FIP制度って何?(再生可能エネルギーの制度)認定条件や収益の仕組み
再生可能エネルギーの導入が進む中、FIP(フィードインプレミアム)制度が注目を集めています。
FIP制度は、売電価格に市場価格が反映される仕組みで、太陽光発電事業者にとって新たな収益モデルとなります。
本記事では、FIP制度の概要や認定条件、収益の仕組みについて詳しく解説します。FIP制度の活用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1. FIP制度とは?
1-1. FIP制度の基本概要
FIP(Feed-in Premium:フィードインプレミアム)制度とは、再生可能エネルギーの発電事業者が市場価格に基づいた売電を行い、一定のプレミアム(補助金)が上乗せされる仕組みです。
従来の固定価格買取制度(FIT)では、政府が設定した固定価格で電力を買い取る方式でしたが、FIP制度では市場価格に応じた変動価格で取引されます。これにより、発電事業者は電力市場の動向を意識した運用を求められ、より市場競争を意識した収益モデルとなります。
1-2. FIT制度との違い
FIT(Feed-in Tariff:固定価格買取制度)とFIPの主な違いは、電力の売電価格が固定か変動かという点です。
項目 | FIT制度 | FIP制度 |
---|---|---|
売電価格 | 固定 | 市場価格+プレミアム |
契約形態 | 国が一定価格で買取 | 市場取引が前提 |
市場影響 | 受けにくい | 受けやすい |
収益の安定性 | 高い | 変動リスクあり |
FIT制度は価格が固定されているため収益が安定しますが、今後は縮小傾向にあります。
一方、FIP制度では市場の動向を反映した価格で売電するため事業者の売電戦略が重要になります。
2. FIP制度が認定される条件
2-1. FIP制度の対象となる発電設備
FIP制度の対象となるのは、再生可能エネルギー発電設備です。
日本では以下の設備がFIP制度の対象として認められています。
・太陽光発電(50kW以上の高圧事業用設備)
・風力発電
・水力発電(出力30,000kW未満)
・バイオマス発電
・地熱発電(出力15,000kW未満)
特に、一定規模以上の太陽光発電設備(50kW以上)がFIP制度の対象となる点は、事業者にとって重要なポイントです。
3. FIP事業の収益の仕組み
3-1. 売電価格の決まり方
FIP制度では、売電価格は以下の式で決まります。
売電価格 = 市場価格 + プレミアム(FIP補助金)
市場価格:日本卸電力取引所(JEPX)で決まる価格
プレミアム:政府が設定する上乗せ額(補助金)
市場価格は需給バランスに応じて変動するため、安定した収益を確保するには、価格の動向を常に把握し、最適な売電戦略を立てることが求められます。
3-2. 価格変動リスクとその対策
FIP制度では市場価格が変動するため、収益が不安定になりがちです。このリスクを回避するために、以下の対策が考えられます。
・蓄電池との併用:電気を貯め、市場価格が高いタイミングで売電
・価格予測ツールの活用:AIを活用した市場価格の予測ツールを導入
4. FIP制度のメリットとデメリット
4-1. FIP制度のメリット(収益向上の可能性)
FIP制度を活用することで、以下のメリットがあります。
・市場価格が高騰した際に高収益が期待できる
・政府の財政負担が少なく、制度が継続しやすい
・電力系統の需給バランスを維持しやすい
・多様なビジネスモデルが期待される
市場価格が上昇する局面では、FIT制度よりも高収益を狙える可能性があるのがFIPの大きな魅力です。
4-2. デメリットとリスク管理の重要性
一方で、デメリットやリスクもあります。
・市場価格の変動による収益の不安定化
・価格が低迷すると売電収入が減少
・運用コストがかかる
これらのリスクを抑えるためには、蓄電池の導入や市場分析の強化が重要になります。
5. FIP制度の今後の展望
5-1. 日本におけるFIP制度の現状
日本では、2022年4月からFIP制度が本格導入されました。現在、多くの太陽光発電事業者がFIPへの移行を検討していますが、FITからの変更に戸惑うケースもあります。
政府も施策の導入を進めており、徐々に環境が整いつつあります。
5-2. これからの市場動向と太陽光発電事業の可能性
今後、FIP制度を活用した太陽光発電事業には以下の可能性があります。
・蓄電池との併用で安定した収益化
・電力の市場価格の動向を活かした売電戦略の確立
・政府のエネルギー政策と連動した成長
今後、FIP制度は市場競争を意識した太陽光発電事業の鍵となるため、早期の情報収集と適応が重要です。
まとめ
FIP制度は、市場価格に応じた売電モデルであり、FIT制度に比べてリスクとリターンが大きい仕組みです。
また、FIT制度と異なり、FIP制度には発電計画値の報告義務があるほか、非化石価値の取引も行うことができます。
市場の動きを理解し、最適な売電戦略を取ることが成功のカギとなります。
FIP制度を上手く活用し、太陽光発電事業の新たな収益モデルを確立していきましょう!
参考HP:経済産業省 資源エネルギー庁関連
再生可能エネルギーFIT・FIP制度ガイドブック(リンク)
(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/data/kaitori/2023_fit_fip_guidebook.pdf)
FIP制度について(リンク)
(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/setsuden_dr/pdf/001_02_08.pdf)
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