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2025.07.04 Fri

「再エネ賦課金」の正体【年間約2万円の負担増】電気料金の明細にある「再エネ賦課金」をプロが解説!

 
解説します。
 
電気料金の明細書を見て、「今月はちょっと高いな…」と感じた時、各項目をじっくりとご覧になったことはありますか?「基本料金」や「電力量料金」と並んで、必ず記載されている「再生可能エネルギー発電促進賦課金」、通称「再エネ賦課金」。今回は、この“気になるアレ”をテーマに、専門家がその正体をわかりやすく解説します。
「そもそも何のためのお金?」「どうして毎年金額が変わるの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実はこの再エネ賦課金、2024年度から2025年度にかけて2年連続で単価が上昇しており、家計への影響も決して小さくありません。この記事を読めば、再エネ賦課金の仕組みがわかります。
 


 
「再エネ賦課金」とは?その仕組みをわかりやすく解説
電気をお使いのすべての方が支払っている「再エネ賦課金」。正式名称を「再生可能エネルギー発電促進賦課金」といいます。これは、国の「固定価格買取制度(FIT/FIP制度)」を支えるために、電気料金の一部として徴収されているお金です。
 
【ポイント】
・目的:太陽光や風力、水力といった「再生可能エネルギー(再エネ)」の普及を促進するため。
・仕組み:電力会社が、再エネで作られた電気を国が定めた価格で買い取る際の費用を、全国の電気利用者が「賦課金」という形で分担して負担する制度です。
・注意点:「税金」ではなく、電気のご使用量に応じてお支払いいただく、電気料金の一部です。
(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「固定価格買取制度 2018度版」・「固定価格買取制度 2021度版」)
(出典:経済産業省 資源エネルギー庁 「FIT制度・FIP制度の2025年度以降の買取価格等と2025年度の賦課金単価
 
つまり、私たちが支払う再エネ賦課金が、日本のクリーンなエネルギー社会への移行を支えているのです。
 


 
なぜ導入されたの?再エネ賦課金の背景
これまで日本の発電は、石油や石炭といった「化石燃料」が中心でした。
 
しかし、化石燃料には2つの大きな課題があります。
・環境問題:発電時に大量の二酸化炭素(CO2)を排出し、地球温暖化の主な原因となる。
・資源枯渇の問題:埋蔵量に限りがあり、使い続ければいずれ枯渇してしまう。
 
そこで世界的に注目されているのが、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスといった、自然の力を利用する「再生可能エネルギー」です。再エネは、CO2排出量が非常に少なく、資源が枯渇する心配もありません。
しかし、再エネを普及させるためには、新しい発電所の建設や設備の導入に大きなコストがかかります。この課題を解決し、日本のエネルギー構造をクリーンなものへと転換していくために、国全体で再エネを支える「再エネ賦課金」の制度が2012年に導入されました。
 


 
【2025年度最新】年間負担額はいくら?気になる金額をシミュレーション
再エネ賦課金の金額は、以下の計算式で決まります。
 
 ◇ 再エネ賦課金=電力使用量 (kWh)×賦課金単価 (円/kWh)
 
この「賦課金単価」は、毎年度、国が決定します。近年の単価の推移を見てみましょう。

年度 適用期間 賦課金単価 (円/kWh)
2016年度 2016年5月~2017年4月 2.25
2017年度 2017年5月~2018年4月 2.64
2018年度 2018年5月~2019年4月 2.90
2019年度 2019年5月~2020年4月 2.95
2020年度 2020年5月~2021年4月 2.98
2021年度 2021年5月~2022年4月 3.36
2022年度 2022年5月~2023年4月 3.45
2023年度 2023年5月~2024年4月 1.40
2024年度 2024年5月~2025年4月 3.49
2025年度 2025年5月~2026年4月 3.98

ご覧の通り、2023年度から2025年度にかけて2年連続で単価が上昇しています。
では、一般的なご家庭(月の電力使用量400kWh)では、どのくらいの負担になるのでしょうか? 最新の2025年度単価で計算してみましょう。
 
・1ヶ月の負担額:
400kWh × 3.98円/kWh = 1,592円
・年間の負担額
1,592円(1か月)× 12か月 = 19,104円
 
月々約1,600円、年間で約1.9万円が再エネ賦課金としてかかっている計算になります。ぜひ一度、ご自身の電気料金明細書と見比べてみてください。
 


 
家計のためにできること
再エネ賦課金の単価は国が定めますが、その負担額は工夫次第で減らすことが可能です。
 
1. 日々の節電を意識する
最も簡単ですぐに始められる対策です。賦課金は電力使用量に比例するため、使っていない部屋の電気を消す、省エネ性能の高い家電に買い替えるなど、日々の節電が賦課金と電気代そのものの削減に直結します。
 
2. 電力会社の料金プランを見直す
再エネ賦課金の単価はどの電力会社でも一律ですが、「基本料金」や「電力量料金単価」は、電力会社や料金プランによって大きく異なります。ご自身のライフスタイルに合ったプランへ見直すことで、電気代の総額を大きく節約できる可能性があります。
 
3. 太陽光発電・蓄電池を導入する ☀️ 
より根本的な対策として、自宅の屋根などに太陽光発電設備を設置する方法があります。
※ご自宅で発電した電気には再エネ賦課金はかかりません。
 
・購入電力量を削減
自宅で発電した電気を自分で使う(自家消費)ことで、電力会社から買う電気の量を大幅に減らせます。購入電力量が減るため、再エネ賦課金の負担もその分軽くなります。
・売電収入
使い切れずに余った電気は、電力会社に売ることで収入を得ることも可能です(売電)。
・蓄電池との連携
蓄電池を併設すれば、昼間に発電した電気を貯めておき、夜間や天気の悪い日に使うことができます。これにより、さらに購入電力量を減らします。
初期費用はかかりますが、国や自治体の補助金制度を活用できる場合も多く、長期的に見れば電気代の削減や売電収入によって家計の大きな助けとなります。
 


 
まとめ
今回は、電気料金の明細書に記載されている「再エネ賦課金」について深掘りしました。
 
再エネ賦課金は、日本のクリーンエネルギー社会を実現するために不可欠な制度。
・その費用は、電気を使う全国民が電力使用量に応じて公平に負担している。
・2025年度の単価は3.98円/kWh。標準家庭では年間約1.9万円の負担となる見込み。
・家計への影響を抑えるには、日々の節電と、ライフスタイルに合った電力プランの見直しが有効。
環境を守るための大切なコストであることを理解しつつ、家計への影響もしっかりと把握する。そして、日々の電気の使い方を工夫したり、最適なプランを選んだりして、賢く電気と付き合っていくことが、これからの時代に求められます。
 
〇 参考 再エネ(再生可能エネルギー)の今後の見通し
現在、日本のエネルギー政策は、再生可能エネルギーの導入を積極的に進める方向で進んでいます。ポイントは以下の2点です。
 
1. 国の目標:再エネは今後も主力電源へ
日本政府は「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月閣議決定)の中で、2030年度の電源構成目標を明確に示しています。
2030年度の再エネ比率目標:36~38%
これは、2019年度の実績(約18%)から大幅に引き上げる、非常に意欲的な目標です。国として、太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスといった再生可能エネルギーを「主力電源」としていく方針を固めています。
 
2. 再エネ賦課金の今後の見通し
賦課金の動向は、家計に直結する重要なポイントです。
 
・短〜中期的な見通し(今後数年間)
 過去に認定された高価格での買取契約(FIT制度)の費用負担が続くため、賦課金単価は当面、高水準で推移するか、さらに上昇する可能性があります。再エネの導入量が増えれば、その分買い取る費用も増えるためです。
・長期的な見通し
 賦課金の負担は、いずれピークを迎え、その後は減少に転じると予測されています。
 
理由1:高価格の買取期間が順次終了(卒FIT)
2012年から始まったFIT制度による10年間〜20年間の買取期間が、古いものから順次終了していくため、高価格で買い取る必要のある電気が減っていきます。
 
理由2:再エネの発電コスト低下
技術の進歩により、太陽光発電をはじめとする再エネの発電コストそのものが世界的に安くなっています。
 


 
エネルギーの未来と、情熱電力の取り組み
皆様の電気料金に含まれる「再エネ賦課金」。その負担増にご心配をおかけしております。
 
国は2030年までに、電力の36~38%を再生可能エネルギーでまかなうという大きな目標を掲げており、これは私たちが持続可能な社会を実現するために不可欠な取り組みです。
再エネの導入拡大に伴い、賦課金は当面、高水準で推移する可能性があります。しかし、将来的には、かつての買取制度が順次終了していくことや、世界的な発電コストの低下により、賦課金の負担はピークを越えて軽くなっていくことも期待されています。
情熱電力は、こうしたエネルギーの転換期において、お客様が少しでも賢く、そして安心して電気をお使いいただけるよう、全力でサポートしてまいります。
日々の電気の使い方に関するご相談から、ご家庭に最適な料金プランのご提案、そして長期的な視点での太陽光発電・蓄電池導入のご相談まで、お客様一人ひとりの家計と環境への想いに寄り添い続けます。
 
未来のために、今できる最適な選択を。情熱電力がそのお手伝いをいたします。
 


 
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弊社では、随時、このページを更新して参りますので
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それではまた!!
 
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