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2025.10.17 Fri

家庭の蓄電池が電力市場で売電!2026年度開始の新制度で変わるビジネスの未来を解説します。

 
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需給調整市場に関する気になる記事があったので調べてみました。再生可能エネルギーの導入が広がる中、電力の安定供給を支える「調整力」の重要性がますます高まっています。しかし、その調整力を取引する「需給調整市場」では、供給力が不足するという課題がありました。その解決策として、これまで参加が認められていなかった家庭用蓄電池などの小規模リソースに大きな期待が寄せられています。2026年度から、ついにこれらのリソースが市場に参加できる新制度がスタートします。これは、蓄電池をお持ちのご家庭や企業にとって、新たな収益機会が生まれることを意味します。この記事では、何がどう変わるのか、私たちのビジネスや生活にどんな影響があるのか、ポイントを分かりやすく解説していきます。
 


 
目次
1.はじめに:なぜ今「需給調整市場」が熱いのか?
2.これまでの壁:「受電点計測」が参加を阻んでいた
3.【2026年度から】新制度で変わる3つのポイント
  ・ポイント1:家庭用蓄電池などの「低圧リソース」が市場に参加解禁!
  ・ポイント2:頑張りが正当に評価される「機器個別計測」の導入
  ・ポイント3:小さな力を束ねる「群管理」で大規模な調整力に
4.気になるスケジュールは?いつから参加できる?
5.まとめ:蓄電池の価値が飛躍的に高まる時代へ
 


 
1. はじめに:なぜ今「需給調整市場」が熱いのか?
太陽光発電などの再生可能エネルギーは、天候によって発電量が大きく変動します。この変動を吸収し、電気の需要と供給のバランスを常に保つために必要なのが「調整力」です。この調整力を電力会社間で取引する場が「需給調整市場」です。
しかし、2024年に本格スタートしたこの市場では、多くのエリアで調整力の「応札不足」、つまり売り手が足りない状況が続いています。電力の安定供給を維持するため、新たな調整力の担い手を探すことが急務となっていました。そこで白羽の矢が立ったのが、これまで市場に参加できなかった家庭用の蓄電池や電気自動車(EV)といった「需要側リソース」なのです。
 
2. これまでの壁:「受電点計測」が参加を阻んでいた
これまで、なぜ家庭用蓄電池などは市場に参加できなかったのでしょうか。大きな理由の一つに「計測方法の壁」がありました。
従来のルールでは、電力の計測を、家や工場全体の電気が入ってくる大元の「受電点」で行う必要がありました。 これでは、例えば蓄電池を放電して調整力を提供(ΔkW供出)しようとしても、家の中で同時に他の電化製品が動いていると、その効果が相殺されてしまい、蓄電池がどれだけ貢献したのかを正確に測ることが困難でした。これが実質的な参入障壁となっていたのです。
 
需給調整市場における機器個別計測について
電力広域的運営推進機関 第57回 需給調整市場検討小委員会 配布資料3 より抜粋

 
3. 【2026年度から】新制度で変わる3つのポイント
この状況を打開するため、第57回「需給調整市場検討小委員会」で、2026年度から始まる新制度の具体的な内容が整理されました。注目すべき大きなポイントは3つです。
 
ポイント1:家庭用蓄電池などの「低圧リソース」が市場に参加解禁!
最大の変更点は、これまで対象外だった家庭用蓄電池などの低圧リソースが、需給調整市場の全ての取引商品に参加できるようになることです。これにより、一般家庭や小規模事業者が持つ蓄電池も、電力の安定に貢献し、対価を得る道が開かれます。
 
ポイント2:頑張りが正当に評価される「機器個別計測」の導入
前述の「受電点計測」の課題を解決するのが「機器個別計測」です。これは、蓄電池やEV充電器といった個別の機器の働きを直接計測する新しい方法です。
これにより、他の電気使用量に影響されることなく、その機器が生み出した調整力(ΔkW)を正確に評価できるようになります。この計測には、新しい「特定計量制度」を活用し、高価な検定計量器の代わりに「特例計量器」を使用することで、導入コストの負担も軽減されます。 ただし、この計測データを送信するためには、第2世代スマートメーターの設置が必要となります。
 
ポイント3:小さな力を束ねる「群管理」で大規模な調整力に
一つ一つの家庭用蓄電池の力は小さいですが、何万という数が集まれば、発電所に匹敵する巨大な調整力になります。この多数の小規模リソースを一つのかたまり(リソース群)としてまとめて管理する「群管理」という仕組みが導入されます。
これにより、アグリゲーター(リソースを束ねる事業者)は、膨大な数のリソースの発電計画などを個別に作成する手間が省け、より効率的に市場へ参加させることが可能になります。
 
4. 気になるスケジュールは?いつから参加できる?
新しい制度の開始時期は、リソースの種類や第2世代スマートメーターの設置状況によって異なります。
・低圧リソース(家庭用蓄電池など):2026年度から
機器個別計測に必要な第2世代スマートメーター(低圧用)は、2025年度の中頃から順次設置が開始される予定です。(現時点で設置されているのかについては未確認です。)
・高圧リソース(1,000kW未満):2027年度から
高圧・特高用の第2世代スマートメーターは、2026年度後半からの設置が予定されています。
まずは低圧リソースから先行して市場参加が始まり、その後、高圧リソースへと拡大していくイメージです。
 
まとめ
2026年度から始まる需給調整市場の新制度は、蓄電池の役割を大きく変えるゲームチェンジャーと言えるでしょう。
・家庭用蓄電池などが市場に参加可能に
・「機器個別計測」で貢献度を正しく評価
・「群管理」で多数のリソースを効率的に活用
これまで「備える」ための設備だった蓄電池が、これからは電力システムを「支え、収益を生む」能動的な資産へと進化します。これは、蓄電池を持つすべての人々にとって大きなビジネスチャンスであり、日本のエネルギーの未来をより持続可能にするための重要な一歩です。
 


 
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〇 本記事で解説した内容は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が公開している資料に基づいています。より詳細な情報をご確認されたい方は、以下のページをご参照ください。
電力広域的運営推進機関(OCCTO)需給調整市場検討小委員会 第57回 需給調整市場検討小委員会 配布資料
 
ITmedia スマートジャパン:蓄電池等の低圧リソースや機器個別計測 2026年度から需給調整市場へ参入可能に