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2025.11.17 Mon

なぜ日本人の6割は「生活が苦しい」のか?物価高とエネルギーの知られざる関係

 
チェック
 
日本の物価高とエネルギー問題に関する気になる記事があったので調べてみました。
常葉大学名誉教授の山本隆三氏による『最新 間違いだらけのエネルギー問題』に関する記事(Wedge)を読ませていただいて、なるほどなぁと思ったので、このブログでもご紹介してみます。
厚労省の調査では、今や約6割の世帯が「生活が苦しい」と感じているそうです。その背景には止まらない物価上昇がありますが、記事では「その大きな原因の一つとしてエネルギー価格の上昇があることは、あまり触れられていない」と指摘しています。
なぜ日本の物価上昇は収まらず、私たちの生活は楽にならないのでしょうか。記事で解説されているデータを紐解きながら、物価高とエネルギー問題の深刻な関係について、情報を共有したいと思います。
 


 
目次
1.日本人の6割が「生活苦」を実感する現状
2.なぜ日本はインフレが続く? 円安と「エネルギー自給率15%」の罠
3.データ比較:世界と比べても厳しい日本の家計状況
4.物価上昇に「賃上げ」が追いつかない根本原因
5.まとめ:私たちの生活とエネルギー問題は直結している
 


 
1. 日本人の6割が「生活苦」を実感する現状
「最近、何を買うにも値段が上がったな…」と感じている方は多いのではないでしょうか。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、驚くことに日本の世帯の約6割が「生活が苦しい」(「大変苦しい」「やや苦しい」の合計)と感じている状態だそうです。
この生活苦の直接的な原因は、皆さんも実感されている通りの「物価上昇」です。そして、その物価上昇の大きな要因の一つとして、記事は「エネルギー価格の上昇」を挙げています。電気代、ガス代、ガソリン代が上がれば、輸送コストや製造コストが上がり、回り回ってすべての商品の価格に影響します。
では、なぜ日本の物価上昇は、他国と比べても厳しい状況なのでしょうか。
 
2. なぜ日本はインフレが続く? 円安と「エネルギー自給率15%」の罠
記事によると、日本のインフレが他国と異なる動きになっている背景には「円安」があります。
2022年以降、アメリカやヨーロッパはインフレを抑え込むために金利を引き上げました。一方、日本銀行は金利を据え置きました。その結果、金利差から「円安」が急速に進み、輸入品の価格が軒並み上昇しました。
 
ここで重要なのが、日本の「自給率」です。
・食料自給率(カロリーベース):38%
・エネルギー自給率:15%
食料品も販売額の約4割が円安の影響を受けますが、エネルギーは自給率がわずか15%。つまり、エネルギー価格は食料以上に円安の影響をダイレクトに受けてしまう構造になっているのです。
 
3. データ比較:世界と比べても厳しい日本の家計状況
世界各国もロシアのウクライナ侵攻後にインフレに悩まされましたが、エネルギー価格が落ち着くにつれ、インフレも沈静化してきました。しかし、日本は円安の影響が加わり、国民の生活感は他国より厳しいものになっています。
フランスの調査会社イプソスが2024年11月に発表した調査(主要32カ国対象)では、日本の状況が浮き彫りになっています。
 
〇「生活がかなり良くなった」比率
日本:2%(32カ国中、最低)
32カ国平均:11%
 
〇「生活にゆとりがある」比率
日本:4%(32カ国中、最低)
32カ国平均:10%
 
このデータは、日本が他の先進国や中進国と比べても、家計が特に厳しい状況に置かれていることを示しています。
ちなみに、中国はロシア産の安価な化石燃料の購入を続けていることなどから、G7諸国のような大きなインフレを経験していない、という点も記事では指摘されています。
 
4. 物価上昇に「賃上げ」が追いつかない根本原因
物価が上がっても、それ以上に給料が上がれば生活は楽になるはずです。しかし、日本で生活苦を感じる人が多い最大の理由は、「物価上昇が賃上げを上回っている」からです。
記事によると、日本人の平均所得は1990年代中頃から伸びるどころか、むしろ減少しています。
 
民間企業の平均給与は過去最高の1997年のレベルを2025年8月時点では下回ったままだ。 (中略) 日本人の平均給与はG7国の中で2000年頃に最下位となり、いまは韓国にも抜かれてしまった。
 
世界的なインフレの引き金となったのは、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の上昇でした。しかし、他国が賃金も伸ばしてきたのに対し、日本は賃金が伸びないまま物価上昇の直撃を受け、実質所得(給料から物価上昇分を引いたもの)がマイナスになっている。これが「生活が苦しい」と感じる根本的な原因です。
 
5. まとめ
私たちの生活とエネルギー問題は直結している
今回ご紹介した記事(山本隆三氏 著)から見えてきたのは、以下の点です。
・日本人の約6割が「生活が苦しい」と感じている。
・原因は物価高だが、その背景にエネルギー価格の上昇がある。
・日本のエネルギー自給率は15%と極めて低いため、円安や海外情勢(ウクライナ侵攻など)の影響を非常に受けやすい。
・賃金が上がらないまま物価だけが上昇し、実質所得がマイナスになっている。
私たちが日々感じる「生活の苦しさ」は、漠然とした不安ではなく、エネルギー自給率の低さという構造的な問題と、為替変動、そして世界情勢が複雑に絡み合った結果であることがわかります。
生活を豊かにするためには、賃上げはもちろんのこと、私たちが使うエネルギーの「安定性」や「価格」について、もっと関心を持っていく必要があるのかもしれません。
 
情熱電力からのお知らせ
今回の記事で明らかになったように、日本のエネルギー自給率の低さ(15%)は、海外の情勢や為替の変動によって、私たちの生活費(特に電気代やガソリン代)に直接的な打撃を与えます。
日々、エネルギー価格に注目している我々は“円安”が国内のエネルギー価格に与える影響力の大きさを実感しています。
「情熱電力」は、日々の生活を守るためには、国内でまかなえるエネルギーの比率を高め、外部環境に左右されにくい安定したエネルギー供給を実現することが不可欠だと考えています。
お客様がエネルギー価格の変動に一喜一憂するのではなく、いつも安価で安定した価格で供給される持続可能なエネルギーの未来を創る。私たちは、その実現のために情熱をもって取り組み続けます。
 
株式会社情熱電力の公式HPは コチラ
 
・この記事に関連するページ
厚生労働省「国民生活基礎調査」:2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況
┗ 記事で引用されている「生活が苦しい」世帯のデータは、以下の調査に基づいています。