AI登場で日本は「失われた60年」に突入か?今こそ経営者が知るべき危機の本質

日経ビジネスに「AI登場で「失われた60年」もあリ得るぞ」という気になる見出しがあったので調べてみました。
「失われた30年」——。バブル崩壊後、日本経済が長く低迷したこの期間について、私たちは「金融危機や不良債権処理のせい」と考えがちです。しかし、この記事は「それは認識が甘い」と一刀両断します。
記事が指摘する「失われた30年」の本当の主因は、「IT/デジタル革命」に日本企業が乗り遅れたことだというのです。1990年代のインターネットの爆発的普及、IT化の波に日本企業(特に経営者)が対応できず、ビジネスモデルの変革を怠った結果が、30年もの停滞を招いたと分析しています。
そして今、私たちは「生成AI」という、当時のIT革命に匹敵、あるいはそれ以上とも言われる巨大な変革の波の前に立たされています。もし、あの時と同じ過ちを繰り返せば、日本は「失われた30年」どころか「失われた60年」に突入し、先進国から脱落しかねない——。
これは、すべての日本企業、特に経営層にとって他人事ではない、背筋の凍るような警告です。この記事が鳴らす警鐘を深く掘り下げ、私たちが今何をすべきか考察します。
🚨「失われた30年」の本当の“犯人”は誰か?
私たちが「失われた30年」と聞くと、バブル崩壊後の金融機関の不良債権処理や、企業の過剰債務の圧縮といった「後始末」に追われた時代を想像します。
しかし、記事の筆者は「それだけなら10年で済んだはずだ」と指摘します。30年もの長きにわたって停滞が続いた最大の原因は、世界で同時多発的に起きていた「IT/デジタル革命」の波に、日本企業が全く乗れなかったことにある、というのです。
1990年代半ば、欧米や新興国の企業がインターネットの普及を機に、ERP(統合基幹業務システム)などを導入し、業務プロセス自体をシステムに合わせて合理化を進めました。さらに、IT/デジタルを活用して新たなビジネスモデルを次々と生み出していきました。
一方で、日本企業はどうだったでしょうか。
・かつて世界を席巻した家電産業は、IT/デジタル革命に対応できず、デジタルコンテンツを核にDXを成功させたソニーグループなどを除き、その多くが没落しました。
・当時の経営者の多くは「私はITが分からない」と公言し、インターネットを情報収集やコミュニケーションのツール程度にしか認識していませんでした。当時の首相が「IT(アイティー)革命」を「イット革命」と誤読したのは、まさにその象徴だったと記事は振り返ります。
なぜ日本はIT革命の波に乗れなかったのか?
日本企業にも、当時インターネットの可能性に気づき、ECサイトの構築などにチャレンジした現場はありました。しかし、その多くが「現場任せの部分最適」、いわゆる「タコツボ的取り組み」に終わってしまいました。
経営者がリーダーシップを取り、IT/デジタルを経営戦略の核に据え、グローバル市場で戦うためのビジネスモデル変革(=本来のDX)に取り組んだ企業は、ごく少数だったのです。
「守りのDX」と言われる基幹システムの刷新においても、日本企業は失敗を重ねました。
欧米企業がERPの標準機能に自社の業務を合わせることで合理化(と、それに伴う痛みを伴う改革)を進めたのに対し、日本企業の多くは「我が社の業務のやり方は優れている」と信じ、現行の業務プロセスを維持するために高額なカスタマイズ(アドオン)を繰り返し、DXとは名ばかりの「現行踏襲」に終わってしまったケースが多いと指摘されています。
迫り来る「AI革命」と「失われた60年」の悪夢
そして今、歴史は繰り返されようとしています。
生成AIの登場は、世間を「AI革命」の熱狂に包んでいます。これは、1990年代後半のインターネット登場時の熱狂と酷似しています。世界中の企業が、AIを活用した新しいビジネスモデルの創出や、業務の抜本的な合理化に一斉に走り出しています。
・AIエージェントが業務を自動化する
・AIが新しいプロダクトやサービスを生み出す
・電気自動車や自動運転が、鉄壁と言われた日本の自動車産業を揺さぶっている
このような「AI革命」という次のIT/デジタル革命のステージにおいて、もし日本企業が、またしても経営者のリーダーシップなき「タコツボDX」や「ITが分からない」という姿勢を繰り返すならば、どうなるでしょうか。
記事は断言します。 失われた30年が、そのまま「60年」に延びる恐れがある、と。
問題は60年という年数ではありません。IT/デジタル革命にこれ以上取り残されれば、日本が先進国でなくなるという、深刻な未来です。
まとめ
「失われた30年」の主因がIT/デジタル革命への出遅れであったという事実は、今を生きる私たちに重くのしかかります。なぜなら、「AI革命」という、当時と同じかそれ以上の「試験」が、今まさに始まっているからです。
もはや「様子見」をしている時間はありません。 AIを単なる効率化ツールとして現場に導入させるだけでなく、経営者自らがAIやデジタルの本質を理解し、自社のビジネスモデルそのものを変革する「攻めのDX」に、全社一丸となって取り組む覚悟が求められています。
「愚かな先輩たちをまねては駄目だぞ」という記事の最後の一文は、私たち全員に向けられた叱咤激励です。この先の30年を「再び失われた時代」にするか、「復活の時代」にするか。その分水嶺に、私たちは立たされています。
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この記事に関連するページ
今回参考にさせていただいたページです。
日経ビジネス:AI登場で「失われた60年」もあリ得るぞ 出遅れ続ける日本
経済産業省:DXレポート(2018年)
※いわゆる「2025年の崖」について言及された、日本のDXの課題を整理した公式レポートです。