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2025.11.12 Wed

政府主導で電力の未来が変わる?原発・送配電への「公的融資」解禁、その狙いとは

 
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日本経済新聞に「原発・送配電に公的融資 政府主導で電力の脱炭素促す」という気になる見出しがあったので調べてみました。 日本は2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目標に掲げています。この壮大な目標の達成には、なんといっても電力部門の脱炭素化が不可欠です。しかし、原子力発電所や再生可能エネルギーといった「脱炭素電源」の確保や、それらを運ぶための送配電網の整備には、莫大な初期投資が必要となります。 記事によると、みずほ銀行産業調査部の試算では、2050年までに総額180兆円もの投資が必要とされています。一方で、2016年の電力自由化以降、電力会社は市場価格を基準に電気代が決まるため、長期的な投資の回収見通しが立てにくくなり、民間からの資金調達が難しくなっているという指摘があります。 そこで政府が、この巨大なハードルを越えるため、「公的融資」という形で支援に乗り出す法改正を検討しているとのこと。これが実現すれば、日本のエネルギー政策や電力の安定供給に大きな影響を与えそうです。具体的にどのような仕組みで、どんな背景があるのか、詳しく見ていきましょう。
 


 
なぜ今、公的融資が必要なのか?
日本のエネルギー政策は今、大きな転換点にあります。2050年のカーボンニュートラル達成という高い目標に加え、AI(人工知能)開発に必要なデータセンターの増加などで、電力需要そのものも増大が見込まれています。電力広域的運営推進機関によると、電力需要は今後10年で6%程度増える見通しです。
政府は、電源構成に占める原発や再生可能エネルギーの比率を、2023年度の約3割から、2040年度には6〜7割程度まで増やす目標を定めています。しかし、例えば原発の新設には数兆円規模の資金が必要で、調査から運転開始まで十数年かかることも珍しくありません。
これまでは電力各社も、民間からの融資や社債の発行で資金を調達してきましたが、それだけでは限界が見え始めています。三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、2024年度の電力債(電力会社が発行する社債)の発行額は約1.7兆円と、この10年間で2倍以上に増加。さらに昨今の金利上昇で、資金調達のコスト負担も増しています。
こうした背景から、民間の力だけでは賄いきれない巨額の投資を、政府の信用力を活用して後押しする必要があると判断されたわけです。
 
政府が検討する「公的融資」の仕組み
経済産業省が検討しているのは、電力会社による大規模な脱炭素電源(原発、再エネ)や送配電網への投資計画に対し、民間の金融機関と公的機関が協調して融資する仕組みです。
具体的には、経済産業省の認可法人である「電力広域的運営推進機関」などが融資の担い手として想定されています。政府の信用力を活用することで、電力会社が長期かつ安定的に資金を調達しやすくするのが狙いです。
ただし、無制限に融資が行われるわけではありません。重要度の低い案件への融資を防ぐため、政府が案件の事前確認や審査に参加できるようにする方針です。あくまでも、国のエネルギー政策上、重要と判断されたインフラ投資を後押しする形となります。
 
今後のスケジュールと具体的な動き
この案は、近く経済産業省の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の作業部会に提示され、年内に結論が出される予定です。そして、2026年の通常国会で、電気事業法などの関連法改正を目指すとしています。
すでに具体的な動きとして、関西電力が美浜原子力発電所(福井県美浜町)の敷地内で、安全性を高めた次世代原発の建設を検討しており、自主的な調査を始めています。今回の法改正が実現すれば、こうした動きを資金面から強力にサポートすることになりそうです。
 
まとめ
AI開発に必要なデータセンターによる電力需要の増加の見通しや電力系統の増強が不可欠という状況下。
政府が「公的融資」という新たな手段で、電力の脱炭素化に向けたインフラ投資を強力に後押ししようとしています。これは、2050年カーボンニュートラルという国家目標の達成と、将来的な電力の安定供給を両立させるための重要な一手と言えるでしょう。
電力自由化によって生まれた資金調達の課題に対し、政府がどう関与していくのか。原発や再生可能エネルギー、送配電網の整備が今後どのように進んでいくのか。私たちの生活に直結するエネルギー政策の大きな転換点として、2026年の法改正に向けた今後の動向を注意深く見守る必要があります。
 


 
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〇 この記事に関連するページ
日本のエネルギー政策の全体像や、記事の背景にある計画について知るために、以下の経済産業省 資源エネルギー庁のページが参考になります。
資源エネルギー庁:「エネルギー基本計画
日本のエネルギー政策の根幹となる計画です。脱炭素に向けた方針や電源構成の目標などが示されています。