植物工場の4割が赤字?電気代高騰で苦境に立つハイテク農業と、今注目の「露地×ICT」という現実解

気になる記事があったので調べてみました。 天候に左右されず、安定供給ができる「未来の農業」として注目を集めてきた植物工場。しかし、その内実は非常に厳しい経営環境にあるようです。 日経新聞の報道によると、なんと国内植物工場の4割が赤字、特に人工光を使うタイプでは6割が苦戦しているとのこと。背景にあるのは、昨今のエネルギー価格高騰です。
「工場で作る野菜」は、なぜこれほどまでにコストの壁にぶつかっているのか?そして、その解決策として今、なぜ「露地栽培×ICT」が見直されているのか? 今回は、アグリビジネスへの参入を考える上で避けては通れない「エネルギーコスト」と「技術選定」の視点から、最新の農業事情を深掘りします。
夢の工場野菜、現実は「電気代」との戦い
植物工場といえば、クリーンな屋内でLEDライトを浴びて育つレタスなどをイメージされる方が多いと思います。最大のメリットは、異常気象の影響を受けず、一年中安定して生産できること。しかし、そのメリットを打ち消すほどのデメリットが「コストの高さ」です。
記事によると、植物工場の経営を圧迫している主な要因は以下の通りです。
・電気代の高騰: 震災以降の上昇に加え、資源高が直撃。
・販売価格の乖離: 工場レタスは1kgあたり800〜1000円に対し、一般品は557円(足元の価格)。約2倍の価格差があります。
・差別化の難しさ: レタスなどの葉物野菜はトマト等と違いブランド化しにくく、どうしても価格勝負になりがちです。
実際、国内最大級のレタス工場を運営していた企業が民事再生法の適用を申請するなど、業界の淘汰が進んでいます。日本施設園芸協会の調査(2024年度)でも、赤字率は2017年度以降40%台で高止まりしており、特に完全人工光型では6割が赤字という厳しいデータが出ています。
勝ち筋はどこに?「露地栽培 × ICT」への回帰
植物工場が苦戦する一方で、今改めて脚光を浴びているのが、既存の「露地栽培」に「ICT(情報通信技術)」を組み合わせるというアプローチです。
「スマート農業」というと大掛かりな設備を想像しがちですが、実はもっと手軽で効果的な導入が進んでいます。
〇低コストで導入できる「クラウド型生産管理」
植物工場の建設には10億〜30億円規模の初期投資が必要ですが、生産管理アプリなどのクラウド型ICTであれば、年額1万〜5万円程度で導入が可能です。
【成功事例:静岡県 佐野ファーム】 生産管理アプリ「アグリノート」を導入し、以下の成果を上げています。
・農地の情報や作業状況をクラウドで集約。
・天気予報とデータを照らし合わせ、収穫の最適化や猛暑対策を実施。
・結果、生産効率が約10%向上。
日本の露地栽培はもともと品質が高く、コスト競争力があります。そこにデータの力を加えることで、莫大な電気代をかけずにリスクヘッジと効率化を実現する。これが現在の「勝ち筋」と言えそうです。
まとめ
・植物工場の苦戦: 電気代高騰などが響き、約4割が赤字。一般品の2倍近い価格設定がネックに。
・現実的な解: 莫大な投資が必要な工場建設よりも、既存の露地栽培に安価なICTツール(アプリ等)を導入する手法が成果を上げている。
・今後の展望: 直近では「露地×ICT」が優勢だが、気候変動リスクへの備えとして植物工場の技術開発も長期的には不可欠。
アグリビジネスへの参入や投資を考える際は、「ハイテク=高収益」という図式を一度疑い、「エネルギーコスト」と「導入コスト」のバランスを冷静に見極める必要がありそうです。
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今回の記事にもあった通り、農業ビジネスにおいて「電気代」は利益を大きく左右する経費の一つです。
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