「第2のFIT」到来か? 蓄電所ビジネスが沸騰中!土地・送電網の権利転売から将来の展望まで解説

日本経済新聞に系統用蓄電池ビジネスに関する気になる記事があったので調べてみました。
現在、再生可能エネルギー業界で最も熱い視線を浴びているのが「系統用蓄電池(蓄電所)ビジネス」です。かつての太陽光発電バブルを彷彿とさせるその盛り上がりは、関係者の間で「第2のFIT」と称されるほど。
しかし、なぜ今これほどまでに投資が加速しているのでしょうか?背景には、送電網への接続枠を巡る「早い者勝ち」の争奪戦があります。本記事では、土地や接続権利の転売が活発化している現状や、参入企業の動向、そして2027年に予測される市場の変化について、最新データを交えて分かりやすく紐解きます。蓄電所ビジネスへの参入を検討されている方、脱炭素経営の次の一手を探している方は必見の内容です。
目次
1.「蓄電所バブル」の実態:土地と接続権が数千万円で取引される理由
2.投資主体の7割が「資産運用」目的?多様化する参入プレイヤー
3.コスト低下と政策の後押し:電池価格は14年で10分の1に
4.2027年の壁:激化する競争と生き残りの戦略
5.まとめ:蓄電所ビジネスの「今」をどう捉えるべきか
1.「蓄電所バブル」の実態:土地と接続権が数千万円で取引される理由
現在、系統用蓄電池の現場では、実際に施設が稼働する前の「権利」段階での転売が活発化しています。日経記事の取材によると、2メガワット規模の蓄電所では、土地と送電網への接続権を合わせて7,000万〜1億円が相場となっているケースもあるようです。(収益シミュレーションがエリアによって変わるため、収益性が高いエリアの案件が高値の傾向)
なぜこれほど高値で取引されるのか。それは「送電網接続の行列」にあります。
・接続待ちの現状: 資源エネルギー庁のデータでは、接続検討の回答待ちは2024年6月末時点で約143ギガワットと、わずか1年で2倍以上に急増。
・運転までの期間: 一般的な2メガワット級で1〜2年、大規模なものでは3〜4年を要します。
「今から申請しても数年待ち」という状況が、すでに枠を確保した案件の価値を押し上げているのです。
2.投資主体の7割が「資産運用」目的?多様化する参入プレイヤー
かつての太陽光発電は事業会社が主役でしたが、蓄電所ビジネスは「金融商品」としての側面が強まっています。あるスタートアップ企業の顧客構成では、約7割が資産運用目的の企業やファンドだといいます。
一方で、異業種からの参入も目立ちます。
・不動産・建設: ヒューリック、大和ハウス工業
・物流: 三菱倉庫
・通信: KDDI(auリニューアブルエナジー)
・商社・リース: 住友商事や大手リース各社
これらは、単なる売電収益だけでなく、自社保有の土地活用や、自社の電力需要に対する「セーフティネット(安全弁)」としての活用も視野に入れています。
3.コスト低下と政策の後押し:電池価格は14年で10分の1に
ビジネスモデルが成立する背景には、劇的なコストダウンがあります。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、蓄電所の総設置費用は2010年から2024年にかけて約10分の1にまで下落しました。
さらに、制度面での後押しも強力です。
・長期脱炭素電源オークション: 20年間の固定収入が保証される日本独自の制度。
・補助金制度: 系統用蓄電池に対する導入補助。(現在はかなり縮小)
4.2027年の壁:激化する競争と生き残りの戦略
現在稼働している蓄電所は全国で71カ所(2024年6月末時点)に留まりますが、現在仕込まれている大規模案件が稼働し始める2027年ごろから市場は一変すると予測されています。
多くの蓄電池が市場に参入すれば、電力価格の差幅(スプレッド)が縮小し、収益性が低下するリスクがあります。これを見据え、オリックスのような大手は「規模の経済」によるコスト抑制を、KDDIのような企業は「自社需要との連携」によるリスクヘッジを重視しています。
5.まとめ:蓄電所ビジネスの「今」をどう捉えるべきか
系統用蓄電池ビジネスは、まさに「第2のFIT」と呼ぶにふさわしい熱気に包まれています。土地の確保や接続枠の取得難易度は上がっていますが、電池価格の下落と政策支援により、依然として魅力的な投資対象です。 ただし、数年後の競争激化は避けられません。単なる「権利転売」や「利回り追求」だけでなく、運用技術や電力小売とのシナジーなど、「持続可能な運用戦略」を持っているかどうかが、長期的な勝敗を分けることになるでしょう。
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この記事に関連するページ
・日本経済新聞:蓄電所ビジネス沸騰 土地や送電網接続の権利、転売活発に
・経済産業省:系統用蓄電池の現状と課題
・経済産業省:2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ(案)