【最新】ソーラーシェアリングの現在地は?農水省の最新統計から読み解く営農型太陽光の未来

情熱電力が継続的にウォッチを続けているソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)に関する最新の統計資料が、2025年末に農林水産省より公開されました。
「農業と発電の両立」という理想を掲げるこの事業が、今どのような局面を迎えているのか。令和5年度末(2024年3月末)時点のデータを基に、最新の動向と今後の展望をプロの視点で詳しく解説します。ソーラーシェアリングを検討中の方や、土地活用をお考えの農家様にとって、今後の指針となる重要なデータと併せて記事を載せます。
1. 新規許可件数の推移:FIT依存からの脱却と「安定期」への移行
営農型太陽光発電の導入に欠かせない「農地の一時転用許可」。その新規許可件数は、近年右肩上がりを続けてきましたが、最新データでは変化が見られました。
◇ 許可件数の推移
令和5年度の新規許可件数は791件となり、前年度の1,020件から減少に転じました 。これは、FIT(固定価格買取制度)の制度変更に伴う駆け込み需要が落ち着いたことや、運転開始期限(特定営農型太陽光発電設備)の影響によるものと推測されます。
一方で、注目すべきは「再許可件数」です。
・再許可件数(令和5年度):952件
・新規許可(791件)を上回る規模で再許可が行われており、すでに設置された設備が適切に運営され、事業が継続している状況がうかがえます。
設置されている農地の区分
令和5年度の新規許可物件のうち、「農用地区域内農地」が78%(618件)、「第1種農地」が15%(119件)を占めています。全体の9割以上が、本来は転用が厳しいとされる優良な農地で実施されており、営農継続を前提としたソーラーシェアリングが農地保全の有力な手段となっていることが分かります。
2. 営農者の質が変化:プロ農家「担い手」が主役に
今回の統計で最も注目すべきは、下部農地で実際に農業を行う「営農者」の構成比です。
担い手比率が過去最高水準へ
令和5年度の単年度データでは、営農者の 63%(497件)が「担い手」(認定農業者や認定新規就農者など)となっています。
| 営農者の区分 | 全体累計 (H25〜R5末) |
令和5年度 新規許可 |
|---|---|---|
|
担い手 (認定農業者・新規就農者等) |
2,483件 42% |
497件 63% |
| 担い手以外 |
3,470件 58% |
289件 37% |
| 合計 | 5,953件 (100%) | 786件 (100%) |
※農林水産省「営農型太陽光発電設備設置状況等について(令和5年度末現在)」より情熱電力作成
・担い手の圧倒的増加: 累計では 42%(2,483件)である担い手比率が、令和5年度の単年度では 63%(497件) と大幅に上昇しています。
・認定農業者が中心: 担い手の内訳を見ると、認定農業者が2,381件 と大半を占めており、プロ農家による事業化が主流となっていることが分かります。
・制度の恩恵: この背景には、担い手が下部農地で営農する場合、一時転用許可期間が 10年以内(通常は3年以内)となる特例措置が大きく影響しています。
3. 下部農地での栽培作物:戦略的な選択が鮮明に
「パネルの下で何を作るか」という選択も、太陽光パネルによる遮光を前提とした「特徴的な作物」へのシフトが進んでいます。
人気の作物ランキング(累計件数)
1.観賞用植物(36% / 2,147件): 「さかき・しきみ」が中心
2.野菜等(28% / 1,654件): 小松菜やねぎ、さらに特徴的な「みょうが」などが人気
3.果樹(13% / 791件): 柑橘類やブルーベリーなど
特筆すべきは、設備の設置に合わせて 栽培作物を変更したケースが6割(3,415件) に上ることです。パネル下の環境を逆手に取り、高品質な「みょうが」や、低照度でも育つ「しきみ」などを選ぶ戦略的な営農が伺えます。
4. 営農継続の課題:24%で「支障あり」の報告も
一方で、課題も見えてきました。令和5年度末時点で、下部農地での営農に「支障あり」と回答した割合は24%(1,221件) となり、前年度から2%上昇しています。
・支障の主な内容: 最も多いのが「単収減少・生育不良(営農者に起因)」で 71% を占めます。
これは栽培管理の不徹底などが主な要因ですが、法改正による規制強化も進んでおり、今後はより「適切な営農管理」が事業継続の必須条件となっていくでしょう。
まとめ:これからのソーラーシェアリングに求められるもの
今回の統計データから見えるのは、ソーラーシェアリングが「単なる売電事業」から、「地域農業を支え、担い手を強化するための仕組み」へと成熟しつつある姿です。
今後はFIT制度に頼らない「Non-FIT/PPA」モデルへの移行も見込まれる中、「発電効率」と「農業収益」を高いレベルで両立できるパートナー選びがこれまで以上に重要になります。
出典・参考リンク: 農林水産省:営農型太陽光発電設備設置状況等について(令和5年度末現在)
┗ ※本統計は農林水産省が毎年公開している、営農型太陽光発電の現状を把握するための公的なデータです。
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