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2026.03.27 Fri

イラン攻撃・ホルムズ海峡封鎖で日本の電気代はどうなる?2027年まで続くLNG争奪戦の衝撃

 
カタール ラスファン
 
日経エネルギーNEXTに気になる見出しの記事があったので調べてみました。2026年2月末に発生した米国・イスラエルによるイラン攻撃から約1ヶ月。事態は「世界のエネルギー動脈」であるホルムズ海峡の封鎖という、日本のエネルギー安全保障を揺るがす最悪のシナリオへと進展しています。

3月26日時点の最新情報では、原油価格の高騰に加え、停戦協議の難航、さらには2027年まで続くかもしれない深刻な供給不足の影が見え始めています。エネルギー自給率の低い日本において、この事態は単なる国際ニュースではなく、私たちのビジネスや生活を支える「電気代」に直撃する重大なリスクです。現状を整理し、今後私たちが直面する「エネルギー高騰時代」の正体を詳しく解説します。
 


 
目次
1.「世界の2割」が消失。ホルムズ海峡封鎖の深刻すぎる現状

2.【3/26最新市況】原油100ドル超えと「高ボラティリティ相場」の衝撃

3.なぜLNGや原油が高騰すると「電気代」が上がるのか?

4.日本の電力会社への影響:東北電力・中国電力に迫る個別リスク

5.予測一転。2027年まで続く「LNG供給不足」という新たなシナリオ

6.【解説】世界を揺るがすカタールの増産計画「NFE」の誤算

7.まとめ:出口の見えないエネルギー危機にどう備えるか
 


 

1. 「世界の2割」が消失。ホルムズ海峡封鎖の深刻すぎる現状

 
2月末の開戦以来、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態にあります。ここを通過するLNG(液化天然ガス)と原油は、それぞれ世界全体の約20%に相当します。
 
特にカタールのLNG供給停止のインパクトは凄まじく、2022年に欧州を震撼させたロシアの供給削減(約4,300万トン)の約2倍にあたる8,600万トン規模の供給が市場から一気に失われました。IEA(国際エネルギー機関)が「カタールを代替できる国はない」と警告する通り、前代未聞の需給危機に直面しています。
 


 

2. 【3/26最新市況】原油100ドル超えと「高ボラティリティ相場」の衝撃

 
3月26日現在の最新ニュースによると、市場はさらに神経質な展開を見せています。

・原油価格の高止まり: 米イラン間の停戦協議が難航。WTI原油は1バレル=91ドル前後、北海ブレントは102〜105ドル台と、依然として危険な高値圏を維持しています。

・イランによる通航料徴収の懸念: イランが船舶への管理や通航料徴収を検討しているとの報道もあり、供給不安が強まっています。

・実体経済への波及: 欧州のガス価格は戦争前に比べ約6割高。アジア各国でもフィリピンでの非常事態宣言や韓国の危機対応体制入りなど、エネルギーショックが実体経済を浸食し始めています。
 


 

3. なぜLNGや原油が高騰すると「電気代」が上がるのか?

 
日本の電気料金には、燃料価格の変動を反映させる「燃料費調整制度」があります。これが「中東の紛争」と「あなたの会社の固定費」をつなぐパイプとなっています。
 
平均燃料価格(\(A \))は、以下の算定式で算出されます。
 
$$A = (L \times \alpha) + (O \times \beta) + (C \times \gamma)$$


$$\text{L:平均LNG価格、O:平均原油価格、C:平均石炭価格}$$
$$\alpha, \beta, \gamma\text{:各燃料の構成比等に基づく係数}$$
 
注視すべき2つのポイント:
・3〜5ヶ月のタイムラグ: 今日の原油100ドル突破の影響は、今年の夏から秋にかけての請求額に重くのしかかってきます。
・原油価格との連動: 日本のLNG長期契約の多くは原油価格に連動しています。つまり、直接カタールから買っていなくても、原油が上がれば自動的にLNG調達コスト、ひいては電気代が上がる構造なのです。
 


 

4. 日本の電力会社への影響:東北電力・中国電力に迫る個別リスク

 
日本全体では中東産LNGへの依存度は低い(2〜4%)ものの、特定の地域を支える電力会社には強い逆風が吹いています。
・東北電力: 需要に対する長期契約が不足しており、スポット市場(時価)での調達比率が高いとみられています。価格高騰の直撃を受けやすく、経営への影響が懸念されます。
・中国電力: オマーン産の比率が高く、紛争が周辺国へ波及し供給が不安定になった場合、燃料確保そのものに課題が生じる恐れがあります。
国内最大手のJERAがすでに1隻の緊急追加調達に動くなど、日本国内でも「エネルギー争奪戦」はすでに始まっています。
 


 

5. 予測一転。2027年まで続く「LNG供給不足」という新たなシナリオ

 
当初、2026年から2027年にかけては米国やカタールの新設プラントにより、世界的な「LNG供給過剰」が訪れ、価格は下落すると予想されていました。しかし、今回の衝突でその予測は一転しました。

供給側の制約と物流の混乱が同時に起きている現在の状況は、過去の需給逼迫とは質が異なります。数ヶ月のスパンではなく、2027年頃まで続く「エネルギー高騰時代」への備えが必要不可欠となっています。
 


 

6. 【解説】世界を揺るがすカタールの増産計画「NFE」の誤算

 
今後の世界の需給を左右するのが、カタールの巨大プロジェクト「NFE(ノース・フィールド・イースト)」です。
 
NFEプロジェクトとは?
カタールが誇る世界最大の単一ガス田の拡張計画。年間3,200万トンの増産を目指し、日本の年間輸入量の約半分に相当する供給力を持つ「市場の救世主」と期待されていました。
 
しかし、現在この計画には大きな暗雲が垂れ込めています。

・設備の損傷と不可抗力宣言: 3月の攻撃により、生産拠点であるラス・ラファン工業都市の設備が損傷。カタール・エナジーは供給に関する「不可抗力(フォース・マジュール)」を宣言しました。
・稼働の延期: 治安悪化により主要建設パートナーが作業を中断。2026年後半予定だった稼働は2028年以降へずれ込むことが確実視されています。
 
日本のJERAが締結した「2028年からの27年間契約」もこのNFEからの供給を前提としていますが、稼働遅延は「安価なLNGによる価格安定」が先送りされることを意味します。
 


 

7. まとめ:出口の見えないエネルギー危機にどう備えるか

 
今回のホルムズ危機は、供給制約、物流混乱、そして地政学的な長期停滞という三重苦の様相を呈しています。外交ニュースに大きく振れる「高ボラティリティ相場」は当面続くとみられ、電気料金の上昇は避けられないシナリオです。
 
エネルギーコストの上昇は、企業の利益を直接的に圧迫します。いまこそ、以下の対策を真剣に検討すべき局面に立たされています。
・電力調達先のリスク分散
・徹底した省エネ設備の導入
・価格変動に耐えうる契約形態への見直し
 


 
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日々刻々と変わる国際情勢の中、情熱電力はお客様の「エネルギーのパートナー」として、最新の市場動向に基づいた情報提供と、コスト最適化のご提案を続けております。

「今後の燃料費調整額がどう動くのか予測を知りたい」「電力調達のリスクを最小限に抑えたい」といった経営者様・ご担当者様のご不安に寄り添います。不透明な2027年までのエネルギー情勢を、共に乗り越えていきましょう。

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