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2026.06.13 Sat

世界のEVブームは終わった?「新車の4台に1台」が電動化するリアルな市場データと日本の現在地

 
EV Electric car
 
日経エネルギーNEXTに「世界のEVブームは終わったのか?」という気になる見出しの記事があったので調べてみました。
最近、ニュースやSNSなどで「EV(電気自動車)の売れ行きが失速した」「世界的なEVシフトは見直されている」といった論調を見かける機会が増えていませんか?一部の報道だけを見ていると、まるでEVの時代が終わりを迎えたかのような印象を受けるかもしれません。しかし、国際エネルギー機関(IEA)などの公的機関が発表している最新の統計に目を向けると、全く異なる現実が見えてきます。
本記事では、2025年から2026年にかけた世界および日本国内のEV・PHV(プラグインハイブリッド車)の販売データを客観的にひも解きます。「本当にEVブームは終わったのか?」という疑問に対し、過度な不安を煽ることなく、エネルギー市場のフラットな視点から事実をお伝えします。
 


 

世界全体では成長持続:2025年は年間2,000万台を突破

「日米での一時的な停滞」という局所的なニュースが大きく報じられる一方で、グローバル市場全体のEV普及の波は止まっていません。
国際エネルギー機関(IEA)が発表した最新レポートによると、2025年の世界全体のEV(BEV・PHV合算)販売台数は前年比20%増と堅調に成長し、年間2,000万台の大台を突破しました。今やグローバル市場においては、「新車の4台に1台」がEVという計算になります。
 
その成長を牽引する主な地域・要因は以下の通りです。
 

〇 中国市場の圧倒的な存在感

自動車市場全体の3分の1を占める中国では、国内だけで年間1300万台のEVを販売。ついに新車販売の過半数がEV(BEV・PHV)となりました。激しい国内競争が生み出した多様なモデルと車両価格の低下が、爆発的な普及を支えています。
 

〇 息を吹き返した欧州市場

2024年は一部政府の補助金打ち切りなどで一時的な停滞が見られた欧州ですが、2025年の欧州連合(EU)におけるEV販売は前年比30%増と急回復。ポーランド(前年比125%増)やスペイン(80%増)を筆頭に、EUの新車販売でも4台に1台がEVとなっています。
 
 

「米・中・欧」だけじゃない。新興国で巻き起こるEVシフト

「EVは先進国や中国だけのもの」という認識も、すでに過去のものになりつつあります。アジアや中南米などの新興国では、日本の普及率(新車シェア約3%)を大きく凌駕するスピードでEV化が進んでいます。

地域・国 2025年時点のEVシェア・特徴
ベトナム 2022年以降シェアが毎年倍増し、2025年には約4割(5台に2台)に到達。
タイ EVシェアが20%を突破
インドネシア EVシェアが15%に到達。
中南米全体 メキシコやブラジルが市場を牽引し、前年比75%増と急成長。
その他新興国 ネパールでEVシェアが68%に達するなど、各地で普及が加速。

さらに2026年に入り、中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の封鎖リスクなどから原油価格が高騰。燃料費の高止まりに対する「自衛策」として、世界各地でEVへのシフトがもう一段加速しています。IEAの2026年第1四半期データでは、東南アジアで前年同期比2倍以上、インドでも30%を超える増加を記録しており、世界約30カ国で月間販売台数が過去最高を更新しています。
 
 

目前に迫る「価格パリティ(内燃機関車との価格同等性)」

EV普及の背景にあるのは、補助金による後押しだけではありません。バッテリーの量産効果や技術革新による「商品としての競争力(コストパフォーマンス)」の向上が本質的な要因です。
欧州の環境シンクタンクT&Eの分析によると、大型車や高級車(D・Eセグメント)においては、EVとガソリン車などの内燃機関車の価格が同等になる「価格パリティ」に既に達しているとされています。普及帯である小型車(Bセグメント)でも、2025年に平均価格が約13%(約4,600ユーロ)下落しており、補助金なしでもガソリン車と対等に競える時代が目前に迫っています。
 
 

日本国内でも始まった変化:ハイブリッド車(HV)より安いEVの登場

世界的な「車両価格の低下」と「性能向上」の波は、日本の自動車市場にも確実な変化をもたらしています。
 
その象徴的な例が、トヨタ自動車が日本国内で展開しているBEV(純粋な電気自動車)の販売急増です。2025年10月に投入されたミドルサイズSUVの新型「bZ4X」は、大幅な性能向上を果たしながらも大幅な値下げを断行。最廉価グレードの車両本体価格は480万円に設定されました。
同等サイズの人気ハイブリッド車(HV)「ハリアー」の最廉価グレード(430万円)と比較すると、価格差は50万円まで縮小。ここに2026年1月から適用された130万円の補助金を加味すると、実質価格は約350万円となり、HVモデルよりも大幅に安くなる逆転現象が起きています。
この戦略的な価格設定により、これまで月200台前後だった同社のBEV販売は月2,000台規模へと急増。2026年第1四半期の販売台数は7,241台に達し、前年同期比で34倍という飛躍的な伸びを記録しました。日本市場においても、「EVは高くて手が届かない」という常識が変わり始めています。
 
 

まとめ

一部のセンセーショナルなニュースや局所的な政策変更だけを切り取って「世界のEVは終わった」と判断するのは、市場の実態を見誤るリスクがあります。
量産効果によるバッテリーのコストダウンや急速充電性能の向上は、後戻りすることのない世界的な技術トレンドです。EV市場は一時的な熱狂(ブーム)の時期を過ぎ、内燃機関車と価格や性能で直接勝負する「本格的な普及期」へと移行しています。
今後も国内外のエネルギー動向や技術革新のスピードを客観的なデータとともに注視していくことが、変化の激しい時代を乗りこなす鍵となるでしょう。
 
 

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この記事に関連するページリンク
・IEA(国際エネルギー機関)公式レポートページ
 ┗ Global Energy Review 2026(IEA公式 グローバルエネルギーレビュー2026)
 ┗ Global EV Outlook 2026(IEA公式 世界の電気自動車市場展望2026)
世界全体の販売台数推移や、2026年第1四半期、各国のシェアデータのプライマリソース
 
・Ember(エネルギーシンクタンク)公式データページ
 ┗ Ember: Global Electricity Data
アジア・中南米などの新興国の新車販売シェア推移など