未来の自分に会いに行く?80歳の体を体験できる「加齢スーツ」が教えてくれた、今から備えるべきコト
インターネットで、とても気になる記事があったので調べてみました。それは、もし80歳になった自分の体を今すぐ体験できるとしたら?という、まるでSF映画のようなお話です。
マサチューセッツ工科大学(MIT)には、加齢による身体の変化をリアルに再現する「加齢スーツ」なるものがあるそうです。ウォール・ストリート・ジャーナルの記者が実際にこのスーツを着用し、80代の日常を体験したルポが話題を呼んでいました。
単に「体が重くなる」「視界が悪くなる」といった想像を超えた、驚きの発見があったようです。この記事を読むと、遠い未来だと思っていた「老い」がぐっと身近に感じられ、これからの人生をより元気に、自分らしく過ごすための大切なヒントが見つかるかもしれません。今回は、この「加齢スーツ」の体験記から、私たちが今からできること、備えられることを一緒に考えていきたいと思います。
80代の日常は想像以上?「Agnes(アグネス)」が再現する世界
マサチューセッツ工科大学(MIT)エイジラボが開発した「Agnes(アグネス)」は、単なる重り付きのベストではありません。Agnesが再現するのは、複数の健康上の不調を抱える70代後半から80代前半の身体です。
・筋力と柔軟性の低下: 約7kgのベストと手足の重りに加え、関節の動きを制限するコードを取り付けることで、腕を上げたり、歩幅を広げたり、背筋を伸ばしたりといった日常的な動作が困難になります。
・バランス感覚の低下: 底に特殊なクッションが入った靴を履くことで、足元が不安定になり、常に転倒のリスクと隣り合わせの状態を再現します。
・視力の低下: 特別に設計されたゴーグルは、加齢による視界の歪みや見えにくさをシミュレーションします。
・首の可動域制限: 首の固定具により、左右を確認するだけでも体全体をひねる必要が出てきます。
このスーツを着用した記者は、私たちの身の回りにある日常の風景が、いかに多くの課題に満ちているかを痛感することになります。
スーパー、駅、自宅… 日常の風景が一変する
Agnesを着用した記者が体験した「80代の日常」は、私たちが普段何気なくこなしていることが、いかに大変な作業になるかを教えてくれます。
・スーパーマーケットでの買い物
棚の高い場所にある商品に手が届かない。セルフレジでは、指先の感覚が鈍る手袋のせいで画面操作に手間取り、後ろにできた行列に焦りを感じる。やっとの思いで買い物を終えても、レシートの細かい文字はゴーグル越しではほとんど読めません。
・街なかでの移動
横断歩道を渡る際、青信号の残り時間を示すカウントダウンを見て、渡り切れる自信がなく立ち止まってしまう。駅のホームでは、電車とホームのわずかな隙間が、転落の恐怖を感じる深い谷のように見えたといいます。
・自宅での調理
インスタントラーメンを作ろうにも、ゴーグルのせいでパッケージに書かれた「水の量」が読めず、味がぼやけてしまう。スープの容器の固いプラスチックの蓋を開けることにも一苦労。
これらの体験は、身体的な衰えが日々のタスクをいかに困難にするかを浮き彫りにします。しかし、Agrividaが明らかにしたのは、身体的な問題だけではありませんでした。
本当に大変なのは「体」より「頭」?専門家が指摘する「認知的負担」
体験記の中で特に印象的なのが、横断歩道のエピソードです。信号が点滅するのを見て渡るのをやめたとき、記者は「車を待たせる運転手のいら立ち」や「自分を追い越していく他の歩行者」を意識し、大きな精神的ストレスを感じました。
MITエイジラボの創設者であるジョセフ・カフリン氏 は、これを「認知的負担」と呼んでいます。単に「体が動かない」という身体的な問題だけでなく、「渡り切れるか?」「迷惑をかけないか?」といった判断を下すこと自体が、脳にとって大きな負担になるというのです。
神経科医のアルバロ・パスクアルレオネ氏はさらに、「若い脳で高齢の身体を体験するのと、高齢の脳で体験するのでは全く違う。高齢の脳では疲労がさらに大きくなる」と指摘します。加齢とは、体だけでなく脳も変化していくプロセスなのです。
未来は変えられる!今日から始めたい「貯筋」と「脳トレ」
では、私たちはただ加齢による変化を待つしかないのでしょうか? 答えは「NO」です。専門家たちは、シンプルな戦略が有効だと口を揃えます。
整形外科医のハワード・ラックス氏は、「人は加齢とともに衰えると思い込んでいるが、その主な理由は練習しないからだ。鍛えた能力は維持できる」と語ります。
具体的には、以下のような心と体を同時に使う活動が推奨されています。
・ヨガ、太極拳: バランス感覚と柔軟性を養い、心身を落ち着かせます。
・ピックルボール、卓球: 俊敏な判断力と体の動きを連動させます。
・ダンス(社交ダンス、タンゴなど): パートナーとのコミュニケーションや音楽に合わせることで、社会的な交流と運動を同時に楽しめます。
そして何より、「歩くことで歩行能力は改善できる」のです。特別なことでなくても、日々の生活の中で意識的に体を動かし、「貯筋」ならぬ「貯健(健康を貯める)」をしていくことが、未来の自分を支える大きな力になるでしょう。
まとめ
MITの「加齢スーツ」体験記は、80代の身体が直面する身体的・認知的な課題をリアルに描き出していました。スーパーでの買い物や横断歩道を渡るといった日常のワンシーンが、いかに多くの能力を必要としているかに気づかされます。
しかし、この記事は私たちに未来への希望も示してくれています。それは、日々の運動や心と体を同時に使う活動を通じて、加齢による変化に備えることができるということです。「まだ早い」と思わずに、今日から少しずつ体を動かす習慣を始めることが、10年後、20年後の自分を助ける最高の投資になるはずです。この記事が、ご自身の健康や将来のライフプランについて考えるきっかけになれば幸いです。
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