【10年待ち解消へ】データセンター急増で電力網が大ピンチ!政府の新ルールで日本のデジタル社会はどう変わる?
こんにちは!情熱電力です。先日、私たちの生活に欠かせないデジタル社会の裏側で、深刻な問題が起きているという気になる記事を見かけました。それは、AIやクラウドサービスを支える「データセンター」の建設ラッシュに、電力インフラの整備が追いついていないというニュースです。なんと、データセンターが送電網に接続するために「10年待ち」というケースも発生しているというのです。一体なぜそんな事態になっているのでしょうか?そして、私たちの生活にどんな影響があるのでしょうか。今回は、この問題の背景と、政府が打ち出した新たな対策について、経済産業省の資料も交えながら詳しく掘り下げてみたいと思います。
目次
1.なぜ今、電力供給が追いつかないのか?〜データセンター建設ラッシュの裏側〜
2.「10年待ち」や「電力の仮押さえ」…現場で起きている深刻な問題
3.政府が打ち出す解決策とは?送電網接続の新ルールを解説
4.今後の展望と私たちへの影響
1. なぜ今、電力供給が追いつかないのか?〜データセンター建設ラッシュの裏側〜
皆さんが日常的に利用するスマートフォンやインターネットサービス。その膨大なデータを処理・保存しているのが「データセンター」です。近年、AI(人工知能)の急速な普及や社会全体のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化により、データ通信量は爆発的に増加しています。
これに伴い、日本国内でもデータセンターの建設が相次いでいますが、実はこれが日本の電力事情を大きく変えようとしています。データセンターは「電気の大食い」と言われるほど大量の電力を消費するため、その影響は絶大です。
経済産業省の資料によると、これまで人口減少などを背景に減少傾向にあった日本の電力需要は、データセンターや半導体工場の新増設により、
約20年ぶりに増加に転じる見通しとなっています。電力広域的運営推進機関の試算では、データセンターと半導体工場だけで、2033年度には最大電力需要が537万kWも増加すると予測されているのです。これは、大規模な発電所数基分に匹敵する量です。
2. 「10年待ち」や「電力の仮押さえ」…現場で起きている深刻な問題
需要の急増に対し、送電網の増強が追いついていないのが現状です。高圧の電力を安定して供給するためには、変電所の新設や太い送電線の敷設といった大規模な工事が必要ですが、これには長い年月がかかります。
その結果、日経新聞の記事にもあったように、データセンター事業者が電力供給を申し込んでも「10年待つ」といった深刻な事態が発生しています。特にデータセンターが集積する千葉県印西市周辺では、2025年3月時点で40件、合計2.5ギガワットもの電力接続待ちが発生しているとのことです。
さらに問題を深刻化させているのが「電力の仮押さえ」という行為です。これは、データセンターの建設計画がまだ曖昧な段階で、とりあえず送電網の接続枠だけを申し込んで確保しておくケースです。土地の取得さえ済んでいないにもかかわらず、申し込み後の初期費用を数年間も支払わない例もあるといいます。こうした仮押さえが横行すると、本当に電力を必要としている他の事業者の接続が後回しになり、順番待ちの列を不必要に長くしてしまうのです。
3. 政府が打ち出す解決策とは?送電網接続の新ルールを解説
このままでは日本のデジタル競争力の低下にも繋がりかねません。そこで、経済産業省は事態を打開するため、送電網接続に関するルールの見直しに乗り出しました。年内にも結論を出す方針で、送配電会社の契約約款を修正することで実効性を確保する構えです。
主な対策のポイントは以下の3つです。
① 早期接続のためのルール緩和
多くの送電網は、災害などによる断線に備えてバックアップ用の設備を持っています。今回、データセンター側が非常時用の蓄電池などを自前で準備している場合は、送電網側のバックアップが完全でなくても早期に接続を認める方向で検討されています。
② 費用負担の仕組み
送電網の増強工事にかかる費用の一部を、恩恵を受けるデータセンター側が負担する仕組みの普及を目指します。これにより、送配電会社の投資負担を軽減し、工事を促進する狙いがあります。
③ 「電力の仮押さえ」対策
悪質な仮押さえを防ぐため、申し込みから初期費用の入金までに「1年以内」といった期限を設けることを検討。また、送配電会社が用地取得の有無を確認できるような仕組みも導入する方針です。
これらの対策と並行して、送配電会社は電力供給に余裕がある地域を示した「ウェルカムゾーンマップ」の公開を進めており、新規データセンターを適切な場所へ誘導する取り組みも行われています。
4. 今後の展望と私たちへの影響
一連のルール見直しによって、データセンターの「電力待ち」が解消されれば、日本のデジタルインフラ整備は大きく前進し、国際競争力の強化にも繋がるでしょう。AIやIoTといった先端技術の社会実装がさらに加速することも期待されます。
一方で、電力中央研究所の専門家が指摘するように、「電力供給システムをどう見直すべきか、蓄電池はどの程度あれば十分なのかなど論点は多い」のも事実です。送電網の運用ルールを変えることは、電力システム全体の安定性に影響を与える可能性もあります。
また、増強される送電網のコストは、最終的に電気料金の一部である「託送料金」を通じて、私たち利用者が広く負担することになります。そのため、デジタル社会の発展と、安定的で公平な電力供給のバランスをどう取るか、社会全体での議論が不可欠です。
まとめ
今回は、データセンターの急増が引き起こしている電力供給の課題と、それに対する政府の新たな取り組みについて解説しました。
・AI等の普及でデータセンター需要が急増し、電力需要が約20年ぶりに増加に転じている。
・送電網の整備が追いつかず、「10年待ち」や「電力の仮押さえ」といった問題が発生。
・政府は、蓄電池の設置を条件とした早期接続の許可や、仮押さえ防止策などのルール見直しを進めている。
・対策によりデジタルインフラ整備の加速が期待される一方、電力の安定供給やコスト負担の在り方など、慎重な議論が求められる。
私たちの便利な生活を支える電力インフラが、今まさに大きな転換点を迎えています。情熱電力としても、この国のエネルギーの未来に貢献できるよう、最新の動向を注視し続けていきたいと思います。
情熱電力からのお知らせ
情熱電力では、再生可能エネルギー由来の電力供給やお客様の事業形態に合わせた最適な電力プランをご提案しております。
特に、これから新設される工場やデータセンターなど、大規模な電力をご利用予定で、かつ環境価値(RE100対応など)を重視される事業者様は、ぜひ一度私たちにご相談ください。
安定した電力供給と脱炭素化の両立に向けて、情熱を持ってサポートさせていただきます!
株式会社情熱電力へのお問合せは コチラ
この記事に関連するページ
・経済産業省 電力ネットワークの次世代化について
・日本経済新聞 データセンター、稼働早く 送電網接続のルール緩和 経産省、電力待ち解消狙う