40年前、トイレで聞いた部下の痛烈な本音。ある経営者の失敗談に学ぶ、リーダーシップの本質
日経ビジネスに掲載されていたある経営者の言葉を、自分への戒め、そして決して忘れてはならないことを書き留めるメモとして、今回記事にしてみます。
<この記事の元ネタ>
日経ビジネス:40年前、トイレの個室で聞いた部下の“本音”で初心に戻る (サイボク 笹﨑静雄会長)
その記事は、ある経営者が40年前に体験した、あまりにも生々しい失敗談から始まります。専務取締役に就任したばかりの日、トイレの個室で耳にしてしまった先輩役員たちの“本音”。それは、抜擢された若きリーダーに対する辛辣な陰口でした。もし自分が同じ立場だったら、平常心でいられるでしょうか?おそらく、冷静ではいられないでしょう。
しかし、この経営者はその出来事をきっかけに、中国の古典『貞観政要』の教えを思い出し、自身の行動を猛省します。この記事は、役職や立場に関わらず、すべてのビジネスパーソンが胸に刻むべき「聞く力」と「謙虚さ」の重要性を、痛いほどリアルに教えてくれます。
あなたは「明君」?それとも「暗君」?
中国・唐の時代の名君として知られる太宗は、臣下の魏徴(ぎちょう)にこう尋ねました。
「聡明な君主(明君)と愚かな君主(暗君)の違いはどこにあるのだろうか?」
魏徴はこう答えます。
「明君と言われる理由は、幅広く臣下の意見や耳の痛い苦言にまで耳を傾けるからです。一方で暗君は、自分の気に入った、聞こえの良い偏った声だけを信じてしまうのです。」
これは、国のトップだけの話ではありません。現代の組織におけるリーダー、管理職、あるいはチームをまとめる立場にあるすべての人に当てはまる、普遍的な真理と言えるでしょう。
扉一枚を隔てて聞いた、部下の“本音”
元記事の筆者である経営者は、37歳で専務取締役に就任したその日、衝撃的な体験をします。
取締役会を終え、ほっと一息つくために駆け込んだトイレの個室。そこへ、先ほどまで会議を共にしていた先輩役員たちが入ってきて、こんな会話を始めました。
「あのバカ息子も、とうとう専務か。大社長の推挙では何にも言えないよなぁ。」
「まだ経験も浅い若造から命令されて働くのも、ど~もなぁ」
「仕方ない。とりあえずお手並み拝見といくかな……」
一番奥の個室にいるとは夢にも思わず、リラックスした雰囲気で語られる、一切の忖度がない本音。筆者は、出るものも出ないほどの衝撃を受け、その夜は一睡もできなかったといいます。
これは特別な出来事でしょうか?いいえ、程度の差こそあれ、どんな組織でも起こりうることです。特に、若くして抜擢されたリーダーにとっては、誰もが通る試練なのかもしれません。
傍観者から「積極的な協力者」へ。変化を生んだ4つの猛省
眠れない夜を過ごした筆者は、ただ落ち込むのではなく、「なぜそう言われるのか」を徹底的に考え抜きました。そして、先輩たちの立場に立って、自分に欠けていた点をノートに書き出します。
感謝の欠如:今の会社があるのは先輩たちの努力のおかげだ、という感謝の気持ちが伝わっていなかった。
謙虚さの欠如:経験豊富な先輩たちに教えを請うという、謙虚な姿勢が欠けていた。
傾聴姿勢の欠如:忙しさを理由に、相手の話を途中で遮ることが増えていた。
丁寧な対話の欠如:自分の考えを丁寧に伝え、理解と協力をお願いする姿勢が薄れていた。
要するに、「本気で相手に分かってもらいたい」という思いと行動が、決定的に不足していたようです。
この自己分析を元に、筆者は初心に戻り、謙虚な姿勢で一人ひとりの先輩方と向き合い始めました。すると、驚くべき変化が起こります。
半年後には、遠巻きに見ていた多くの「傍観者」が「応援者」に変わり、1年後には「積極的な協力者」へと変わっていったというのです。
最大の難敵は、自分自身の「驕り」
リーダーが最も警戒すべきもの。それは、外部の敵や環境の変化だけではありません。『貞観政要』の最後は、名君・太宗自身のこんな言葉で締めくくられています。
「自分の心に驕りやわがままな気持ちが生まれ、喜びや怒りが度を越して判断を誤らせてはいないかと、私は恐れている。しかし、そういう自分自身の振る舞いは、当の本人にはなかなか気づけないものだ。」
自分を客観的に見ることは、名君でさえも極めて難しいことでした。
だからこそ、私たちは意識して他者の声に耳を傾け、時には耳の痛い苦言から目をそらさずに受け止める勇気を持つ必要があるのだと。
まとめ
今回ご紹介した経営者の体験談は、私たちにリーダーシップの核心を教えてくれました。
・人の意見を広く、謙虚に聴くこと。 自分にとって都合の良い言葉だけでなく、耳の痛い声にこそ成長のヒントが隠されている。
・自分を客観視する努力を怠らないこと。 自分の振る舞いが驕りや独善に陥っていないか、常に省みる姿勢が不可欠。
・感謝と敬意を忘れないこと。 組織は一人では成り立たたない。仲間への感謝と敬意が、信頼関係の土台す。
トイレで聞いた陰口という衝撃的な出来事を、自己成長の糧に変えたこのエピソード。私たちも日々の業務の中で、この「初心」と「謙虚さ」を忘れずにいなければ。 です。
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良い組織、良いチームは、リーダーとメンバーの円滑なコミュニケーションと、互いへの敬意から生まれると信じています。今回の記事で触れられた「謙虚に耳を傾ける姿勢」は、組織のエネルギーを最大化するための重要な鍵です。
などと、かなり強引にまとめてみましたが
情熱電力のこのお知らせページでは、
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