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2026.01.07 Wed

電力自由化10年:JERA・中国電力が語る「市場の歪み」と「電源投資の危機」—安定供給への分岐点

 
電力自由化から10年
 
日本経済新聞に日本の電力小売自由化に関するインタビュー記事が掲載されていたので読んでみました。
 
2016年の全面自由化から、来年でいよいよ10年という大きな節目を迎えます。当初は「競争による価格低下」が期待され、実際に多くの恩恵をもたらしましたが、ここ数年のエネルギー情勢の激変により、制度の「副作用」が浮き彫りになってきました。 記事では、業界のキーマンであるJERAの奥田社長と中国電力の中川社長が、現状の電力市場が抱える構造的な課題について語っています。特に焦点となっているのは「なぜ発電所の新規建設が進まないのか」という点。生成AIの普及などで電力需要が増加に転じる中、日本の電力システムは今、大きな転換点を迎えています。本記事では、過去10年の振り返りと共に、両社トップが指摘する市場改革の必要性について解説します。
 


 
1. 自由化から10年:競争の光と影
2016年の電力小売全面自由化は、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。多くの新電力が参入し、消費者はライフスタイルに合わせて電力会社を選べるようになりました。
・成果: 競争原理が働き、再生可能エネルギーの導入拡大とも相まって、特に昼間の電力価格が低下しました。
・副作用: 価格競争が激化した結果、稼働率の低い古い火力発電所の休廃止が加速しました。
しかし、2021年から2022年にかけての市場価格高騰は、この構造の脆さを露呈させました。安価なスポット市場(JEPX)への依存度が高かった新電力の多くが、価格変動に耐え切れず撤退を余儀なくされました。
 
2. 「電気が足りない」時代への逆戻り?
今、電力業界の景色は自由化当初とは全く異なっています。かつては「電力需要は伸びない」とされていましたが、現在は以下の要因で需要が増加傾向にあります。
・生成AI(データセンター)の急拡大
・半導体工場の新設
・EV(電気自動車)の普及
中国電力の中川社長は、「中国地域では電力消費の伸びが全国平均を上回る可能性がある」と指摘しています。本来なら、これに合わせて新しい発電所(電源)を作るべきですが、日本では新規の電源投資が進んでいません。その最大の理由は「投資回収の見通しが立たないから」だということです。
 
3. 最大の壁は「限界費用」入札ルール
なぜ、電力会社は新しい発電所を作れないのでしょうか。両社長が口を揃えて指摘するのが、市場の「価格設定の自由度のなさ」です。
現在のルール(ガイドライン)では、大手電力会社は余った電気をスポット市場に出す際、「限界費用(燃料費など、電気をもう1単位作るために必要な追加費用)」で売り出すことが求められています。これは元々、大手による売り惜しみを防ぐための規制でした。
 
しかし、JERAの奥田社長は以下のように警鐘を鳴らしています。
「現在のガイドラインは会計上の整理に従ったものだが、実際には限界費用の中に反映できていない様々な費用が存在する」
 
・実際の発電所運営には、燃料費以外にも以下のコストがかかります。
・設備の修繕費(部品代・人件費の高騰)
・将来の建て替え費用
・需給調整のための運転による設備劣化コスト
これらを価格に転嫁できない現状では、発電事業者は赤字リスクが高すぎて、数十年にわたる投資決断が難しいようです。
 
4. 今後の市場改革:正しい「価格シグナル」を
これからの電力市場に必要なのは、「短期的な安さ」だけでなく「長期的な供給能力」を評価する仕組みです。
 中国電力・中川社長: 「市場は供給者と小売り側が納得した価格で決まるべき。限界費用入札のあり方について議論が深まることを期待したい」
 JERA・奥田社長: 「事業者のプライシング(価格設定)にある程度の自由度が必要。市場環境を反映した正しい価格シグナルを伝えることが大切」
電気が「ただ安ければいい商品」から、「価値に見合った対価を支払って安定確保するインフラ」へと、認識をアップデートする時期に来ているのかもしれません。
 
まとめ
電力自由化からの10年は、競争による効率化が進んだ一方、長期的な供給力を維持する体力が削がれた10年でもありました。 JERAと中国電力、両トップの言葉からは、「ルールを見直さなければ、将来の日本に電気を安定供給できなくなる」という強い危機感が伝わってきます。
・需要は増えるが、電源投資は進んでいない。
・その原因は、実態に合わなくなった「限界費用入札」などの市場ルール。
・今後は、設備の維持更新コストも含めた「適正価格」への理解が必要。
これからの10年は、安さと安定供給のバランスをどう取り直すか、制度設計の真価が問われます。
 


 
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この記事に関連するページ
・電力広域的運営推進機関(OCCTO): 日本の電力需給状況や計画などのデータが公開されています。
 ┗ https://www.occto.or.jp/
・経済産業省 資源エネルギー庁: 電力システム改革や審議会の資料が閲覧できます。
 ┗ https://www.enecho.meti.go.jp/