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2025.10.30 Thu

なぜ北海道・沖縄の電気代は突出して高い?電力自由化の「幻想」と私たちが考える未来

 
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こんにちは!情熱電力です。 電力自由化に関するご意見で、私たち電力事業者としても非常に気になる記事があったので調べてみました。
 
それは、「なぜ北海道と沖縄の電気代だけが突出して高いのか」というトピックです。アゴラ(agora-web.jp)に掲載された記事によると、2023年6月時点の標準家庭の電気料金は、北海道電力が14,301円で最も高く、次いで沖縄電力が12,877円。しかし、沖縄電力は政府の「激変緩和措置」による補助が他地域より1,200円多いため、実質的な負担額は14,077円となり、北海道とほぼ同額の突出した高さであると指摘されています。
私たち情熱電力も、電力自由化市場に参入し、お客様の電気代削減のために日々奮闘している事業者です。なぜこの2地域だけがこれほど高くなってしまうのでしょうか? その背景にある「地理的な制約」と「電力自由化の仕組み」について、私たちなりに深く考えさせられました。この記事では、元記事の内容を紐解きながら、日本の電力事情が抱える構造的な課題と、その中で私たち新電力が果たすべき役割について考察します。
 


 
目次
1.データで見る「北海道・沖縄」の電気料金
2.電気代が高い決定的な理由:「地理と系統のハンデ」
  2-1. 【沖縄】送電線が繋がらない「独立系統」の課題
  2-2. 【北海道】本州と繋がるも「送電ロス」という壁
3.データ分析:電力自由化の恩恵が届きにくい構造
4.私たち情熱電力が考える「電力自由化」の意義と役割
5.まとめ
 


 
1. データで見る「北海道・沖縄」の電気料金
まず、元記事で示されている2023年6月時点の料金データを(標準的な家庭)を見てみましょう。
 
・北海道電力: 14,301円
・沖縄電力: 12,877円
 
一見すると北海道が最も高いですが、記事が指摘するように、政府の「激変緩和措置」による補助金が、沖縄電力は他社より月1,200円多くなっています。 この補助額の差を考慮し、もし補助が同額だった場合を仮定すると、沖縄電力の料金は「14,077円」となり、北海道電力とほぼ並ぶ、全国で突出して高い水準であることがわかります。
 
2. 電気代が高い決定的な理由:「地理と系統のハンデ」
では、なぜこの2地域の電気代はこれほど高くなってしまうのでしょうか。元記事は、その最大の理由を「地理と系統のハンデ」にあると分析しています。
 
2-1. 【沖縄】送電線が繋がらない「独立系統」の課題
沖縄本島は、九州から約1,000kmも離れており、電力を送るための海底ケーブルがありません。これは、建設・保守コストや送電ロスが莫大になるためです。
その結果、沖縄は「独立系統」という、他の地域から電力の融通を受けられない(または非常に限定的な)環境にあります。
 
・問題点1:非効率な発電 電力は常に需要と供給を一致させる必要があります。もし沖縄が60万kW級の大型・高効率な発電機を導入し、それが故障で停止すると、供給力の大部分を失い大規模停電(ブラックアウト)に陥る危険があります。 そのため、沖縄では20万kW程度の比較的小型で効率の低い発電機を複数台運転して、リスクを分散させています。この「小型発電機への依存」が、発電単価(コスト)を押し上げる大きな要因となります。
 
・問題点2:電力自由化の恩恵がない 電力自由化のメリットの一つは、電力が安い地域から高い地域へ「卸売り(売電)」できる市場メカニズムです。しかし、送電線が繋がっていない沖縄は、他地域と電力の売買ができません。事実上、自由化による競争の恩恵がほとんど及ばないのです。
 
2-2. 【北海道】本州と繋がるも「送電ロス」という壁
北海道も本州とは地理的に離れていますが、海底送電線で結ばれています。しかし、ここにも課題があります。
 
・問題点1:直流送電によるロス 長距離の海底送電では「直流送電」が採用されますが、電気を送る側(北海道)と受け取る側(本州)で、交流と直流の変換が必要です。この変換時に「送電ロス」が発生し、その分コストが上乗せされるため、売電単価が高くなってしまいます。 結果として、本州の電力会社と市場で競争する際に価格面で不利になりがちです。
 
・問題点2:需要規模の限界 北海道の電力需要規模(約400万kW)は、高効率な大型発電所を複数、常にフル稼働させ続けるには十分ではありません。元記事では、2018年の胆振東部地震で全道停電(ブラックアウト)が起きたことにも触れており、これも特定の大型発電所(苫東厚真火力)に発電を集中させていたことが一因とされています。
沖縄ほどではないにせよ、北海道も電力系統の面でハンデを負っており、基本的には道内の需要に依存した経営にならざるを得ないのです。
 
3. データ分析:電力自由化の恩恵が届きにくい構造
元記事では、さらに各社のコスト構造(総括原価)を分析しています。 非常に興味深いのは、「②(他社販売電力費+控除収益)/総原価」の比較です。これは、電力市場などで「売電して得た利益」の割合を示しています。
この数値が、北海道と沖縄の2社は著しく低いのです。
これは、前述の地理的ハンデにより「他社に売電して収益を上げる」という、電力自由化がもたらした経営改善の手段を、この2社はほとんど活用できていないことを示しています。
元記事の筆者は、沖縄は燃料税の免除などを受けてもなお電気代が高くなってしまう構造を指摘し、電力自由化が「地域格差を固定化する結果となっている」と結論づけています。
 


 
4. 私たち情熱電力が考える「電力自由化」の意義と役割
元記事は、物理的な制約を抱える地域での電力自由化の限界を指摘し、安定供給と料金低減を実現する方式として、かつての「総括原価方式」への認識転換を求めています。
私たち情熱電力も、こうした電力系統の構造的な課題は、業界全体の非常に大きなテーマであると重く受け止めています。
電力自由化は、確かに元記事が指摘するような物理的制約の前では万能ではないかもしれません。北海道や沖縄のお客様が、他の地域と同じように「自由に電力会社を選び、安い電気を使う」という恩恵を十分に受けられていない現実は、私たち事業者としても大変心苦しく感じます。
しかし、電力自由化によって、私たち情熱電力のような新しい事業者が誕生し、お客様に対して多様な選択肢(独自の料金プラン、再生可能エネルギー比率の高い電力、地元密着、ポイントサービスなど)を提供できるようになったことも、また事実です。
「総括原価方式」には、経営効率化のインセンティブが働きにくいという側面もありました。私たち事業者は、自由化という競争環境の中で、いかに知恵を絞り、コストを削減し、お客様にメリットを還元できるかを日々真剣に追求しています。
北海道や沖縄が抱える地域固有の課題は、国や大手電力会社、そして私たち新電力が一体となって、技術革新(例えば、より効率的な送電技術や蓄電技術)や制度設計を含めた解決策を模索し続けるべきだと考えます。
 
私たち情熱電力は、電力自由化の理念である「競争によるサービス向上と料金低減」を信じ、電力の安定供給という社会インフラとしての大前提を絶対に守りながら、日本の電力の未来のために、そして何よりお客様のお役に立てるよう、精一杯努力を続けていく所存です。
 
5.まとめ
今回は、「なぜ北海道と沖縄の電気代は高いのか」というテーマについて、アゴラに掲載された記事をもとに考察しました。
1.北海道と沖縄の電気代は、政府補助を考慮すると実質的に全国で突出して高い水準にある。
2.最大の理由は、沖縄が「独立系統」、北海道が「送電ロスの大きい系統」という地理的・物理的なハンデを負っているため。
3.これにより、発電効率の追求が難しく、また電力自由化のメリットである「他地域への電力販売による収益化」が機能していない。
4.元記事では自由化の限界も指摘されているが、私たち情熱電力は、自由化によって生まれた事業者として、お客様へのより良いサービス提供のため、努力を続けます。
電力の未来は、こうした地域格差の是正と、安定供給、そしてお客様の「選ぶ自由」をいかにして両立させていくかにかかっています。私たちもその一翼を担う事業者として、真摯に取り組んでまいります。
 


 
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この記事に関連するページ
◇元記事
・アゴラ AGORA:電力自由化という幻想:なぜ北海道と沖縄の電気代は高いのか
 
◇元記事のデータは「資源エネ庁HP」を典拠としています。日本の電力料金の仕組みや、電力自由化に関する公式情報は、以下の経済産業省 資源エネルギー庁のページをご参照ください。
・資源エネルギー庁:電力の小売り全面自由化
・資源エネルギー庁:電気料金について