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2025.10.04 Sat

系統用蓄電池の「場所取り合戦」に国が動く!知らないと損する系統連系の新ルール案を解説します。

 
電力系統図
 
系統用蓄電池の系統連系に関する気になる記事があったので調べてみました。
再生可能エネルギーの導入拡大に不可欠な存在として、系統用蓄電池ビジネスへの注目が急速に高まっています。しかしその一方で、系統への接続を希望する「接続検討申込み」が全国で殺到し、手続きに深刻な遅れが生じていることをご存知でしょうか。事業の実施が難しい土地からの申請や、一部事業者による大量の申し込みがその一因とされています。
この状況を改善し、本当に事業化を目指す事業者がスムーズに連系できるよう、経済産業省が新たなルールの検討を開始しました。
 
この記事では、これから系統用蓄電池ビジネスに参入するなら必ず知っておきたい「系統アクセス手続きの規律強化」と「新たな接続ルール」のポイントを、誰にでも分かりやすく解説します。今後のビジネスチャンスを掴むため、最新の動向をしっかり押さえておきましょう。
 


 
目次
1.なぜ今、系統用蓄電池のルール見直しが必要なのか?
  ・接続検討申込みが爆発的に増加
  ・手続きの長期化がビジネスの障壁に
2.【対策案1】「早い者勝ち」から「本気度」重視へ!書類提出の要件化
3.【対策案2】一部事業者による買い占め防止!接続検討数に上限を設定
4.将来のスタンダード?「ノンファーム型接続」導入への道のり
5.まとめ:新ルールはビジネスの追い風に!今後の動向を注視しよう
 


 
1. なぜ今、系統用蓄電池のルール見直しが必要なのか?
 
・接続検討申込みが爆発的に増加
現在、系統用蓄電池の系統連系に向けた動きが、まさに”爆発的”とも言える状況になっています。
経済産業省の資料によると、2025年6月末時点での系統用蓄電池の「接続検討」の申込み容量は、全国で約1億4,300万kWに達しました。これは、わずか1年前の2024年6月末時点から約2.4倍に増加した数値です。
 
特に、東北、東京、中国、九州エリアでの増加が顕著で 、件数で見ても2024年度の受付件数は9,544件と、前年度の1,599件から約6倍にもなっています。
 
系統用蓄電池の接続検討等の受付状況
資源エネルギー庁 2025年9月24日 次世代電力系統ワーキンググループ 系統用蓄電池の迅速な系統連系に向けて P3

資源エネルギー庁 2025年9月24日 次世代電力系統ワーキンググループ 系統用蓄電池の迅速な系統連系に向けてP4

 


 
・手続きの長期化がビジネスの障壁に
しかし、この申込みの急増が、深刻な問題を引き起こしています。
電力会社の受付や検討の処理能力には限界があり、申込みが殺到することで、系統用蓄電池だけでなく、太陽光発電などの他の電源についても系統へ接続するまでの手続きが長期化してしまっているのです。
 
その背景には、
・防災公園や既に建物が建設中の土地など、事実上、事業ができない場所からの接続検討
・一事業者が短期間に100件以上もの大量の接続検討申込みを行うケース
・投機目的で系統連系の権利を売買する事業者の存在
といった実態があります。
これでは、真剣に事業化を考えている事業者にとって、大きな機会損失になりかねません。そこで国は、手続きの健全化と迅速化のため、新たなルール作りへ乗り出すことになりました。
 


 
2. 【対策案1】「早い者勝ち」から「本気度」重視へ!書類提出の要件化
まず一つ目の対策案が、
接続検討の申込み時に、土地に関する書類の提出を求めるというものです。
具体的には、事業用地に関する調査結果や登記簿などの提出が要件化される見込みです。
〇ポイント
・目的: 事業の実現可能性が著しく低い、安易な申込みを減らすこと。
・注意点: 申込み時点で土地を所有している必要はなく、登記簿も申込者の名義である必要はありません。あくまで、その土地で事業が可能かどうかを事前に調査したことを示すのが狙いです。
これにより、事業計画の精度が低い申込みが減り、電力会社の検討リソースが本当に必要な案件に集中することで、手続き全体のスピードアップが期待されます。
 


 
3. 【対策案2】一部事業者による買い占め防止!接続検討数に上限を設定
二つ目の対策案は、
一事業者が同時に行える接続検討の数に上限を設けることです。
一部の事業者が、エリアの検討枠を独占するような大量の申込みを行うケースが報告されています。これでは、他の事業者が検討の機会すら得られないという不公平な状況が生まれてしまいます。
〇ポイント
目的: 全ての事業者により公平で迅速な検討機会を提供すること。
仕組み: 一事業者が上限を超える申込みを行った場合、事業者が自ら案件の優先順位を決め、上限の範囲内で電力会社が検討を進める形が想定されています。
このルールによって、より多くの事業者が系統連系のチャンスを得られるようになり、市場の活性化にも繋がると考えられます。
 


 
4. 将来のスタンダード?「ノンファーム型接続」導入への道のり
現在、系統に空き容量がなければ、コストをかけて送電網を増強(系統増強)しない限り、新たな電源を接続することはできません。
そこで中長期的な解決策として、系統用蓄電池にも「ノンファーム型接続」を導入することが検討されています。
ノンファーム型接続とは、送電網が混雑している時間帯に出力(蓄電池の場合は充電)を制御することを前提に、系統増強を行わずに接続を認める仕組みです。すでに太陽光などの発電設備では導入が進んでいます。
しかし、これを蓄電池の充電(順潮流)に適用するには、新たなシステム開発に5年以上の期間を要する可能性があることが分かりました。
 
そのため、まずは対象エリアや蓄電池の規模を限定して導入を進める案や、北海道電力ネットワークで実績のあるリアルタイム制御を先行導入する案なども並行して議論されています。円滑な連系に向けた、一日も早いルール導入が待たれます。
 


 
まとめ:新ルールはビジネスの追い風に!今後の動向を注視しよう
今回は、経済産業省が検討を進めている系統用蓄電池の系統連系に関する新たなルール案について解説しました。
対策①:接続検討申込時の土地に関する書類提出の要件化
対策②:一事業者あたりの接続検討数の上限設定
これらのルール変更は、一見すると規制強化のように思えるかもしれません。しかし、その本質は「市場の健全化」と「手続きの迅速化」にあります。
事業確度の低い案件や投機的な動きが抑制されることで、真摯に事業に取り組む事業者にとっては、むしろ公平でスピーディーにビジネスを進められる環境が整うことになります。
 
系統用蓄電池ビジネスは、まさに今、大きな転換点を迎えようとしています。今後、制度の詳細が固まっていくと予想されますので、引き続き国の動向を注視し、来るべきビジネスチャンスに備えましょう。
 


 
情熱電力からのお知らせ
情熱電力では、今回ご紹介したような制度変更の最新情報を常にキャッチアップし、お客様の系統用蓄電池ビジネスが円滑に進むよう、全力でサポートいたします。
 
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 本記事で紹介した内容は、こちらのワーキンググループで議論されています。議事資料や議事録が公開されており、より詳細な情報を確認することができます。
 
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