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2025.12.07 Sun

系統用蓄電池の接続ルールが厳格化!必須となる「土地確保」 2026年1月からの「空押さえ対策」

 
系統用蓄電池
 
系統用蓄電池に関するルール改定という気になる記事があったので調べてみました。ここ数年、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い「系統用蓄電池」への注目度が急上昇しています。しかし、その裏で接続検討の申込みが殺到し、手続きの遅延や、実態のない「空押さえ」といった問題が深刻化していました。そこで経済産業省・資源エネルギー庁のワーキンググループで、2026年1月から系統アクセス手続きにおける土地に関する要件を厳格化する方針が示されました。今回は、これから系統用蓄電池事業を行う上で避けては通れない、新しい「規律強化」の内容について詳しく解説します。
 


 
目次
1.なぜ今、規制強化なのか?急増する接続検討と「空押さえ」問題
2.【変更点①】接続検討申込み:土地に関する調査結果の提出が必須に
3.【変更点②】契約申込み:土地の使用権原(契約)がないと申請不可に
4.事業者へのメリットは?情報公開の拡充と今後の見通し
5.まとめ:本気で事業を行うプレイヤーには追い風となるか
 


 
1. なぜ今、規制強化なのか?急増する接続検討と「空押さえ」問題
近年、系統用蓄電池の事業化に向けた動きが活発化していますが、その過熱ぶりが数字にも表れています。
2024年度に一般送配電事業者が受け付けた接続検討の件数は全体で14,276件に上り、前年度(6,725件)から倍増しました。そのうち、系統用蓄電池は9,544件を占めており、これは2023年度の1,599件と比較して約6倍という驚異的な急増ぶりです。
しかし、この中には実現性の低い案件も多数含まれていることが問題視されています。例えば、防災公園や既に別の建物がある場所など、常識的に考えて設置不可能な土地での申込みも見受けられます。こうした「とりあえず場所を確保する(空押さえ)」ような申込みが増えると、本当に事業を行いたい事業者の手続きが遅れ、系統連系までに膨大な時間がかかってしまいます。
こうした事態を解消するため、今回「規律強化」の方針が打ち出されました。
 
2. 【変更点①】接続検討申込み:土地に関する調査結果の提出が必須に
まず、最初のステップである「接続検討」の段階からハードルが上がります。
これまでは比較的容易に申し込めましたが、2026年1月以降の申込み分からは、事業用地に関する調査結果や登記簿等の提出が要件化される見込みです。
 
具体的な変更ポイント:
・対象: 系統用蓄電池に限らず、接続検討が必要なすべての新設発電設備
・提出内容: 設置場所の登記簿等の確認結果、所有者名、地権者との対応状況など
・目的: 明らかに事業実施が不可能な土地(公共の場所や他人の建物がある場所など)での安易な申込みを排除するため
これにより、「地図上で空いている場所を適当に見繕って申し込む」といった手法は通用しなくなります。
 
3. 【変更点②】契約申込み:土地の使用権原(契約)がないと申請不可に
さらに大きな変更が予定されているのが、その次のステップである「契約申込み」です。
これまでは、契約申込み時点では土地の使用権原(所有権や賃借権など)の確認までは行われていませんでした。しかし、これでは「系統枠だけ確保して、土地は後回し(あるいは転売目的)」という事例を防げません。
そこで今後は、事業用地における「使用権原を証する書類」の提出が契約の必須要件になります。
 
重要なポイント:
・ルール: 土地の所有権や賃貸借契約などが確認できない場合、“申込みは取り下げ(無効)”扱いとなります。
・背景: FIT/FIP制度でも認定時に土地の権利証明が求められており、それと同様の確度が系統アクセスでも求められることになります。
つまり、契約申込みを行う前段階で、地権者との交渉を完了させ、確実に土地を押さえておく必要があります。
 
4. 事業者へのメリットは?情報公開の拡充と今後の見通し
規制が厳しくなる一方で、真剣に事業を検討する方にとってはプラスの動きもあります。それが「情報公開の拡充」です。
現在でも「空き容量マップ」などは公開されていますが、系統用蓄電池にとっては「充電側(電気を吸う側)」の容量も重要です。
今後は、以下のような情報公開が進むことが期待されています。
 
・ウェルカムゾーンマップの拡充: 順潮流(充電)側の余裕があるエリアの可視化
・系統増強工事の要否情報: 東北電力ネットワーク等の先行事例のように、接続検討の結果(工事に5〜10年かかるか等)を簡易的に示す仕組みの検討
事前に「接続しやすい場所」が分かりやすくなれば、無駄な調査コストを省き、確度の高い土地選定が可能になります。
 
5. まとめ:本気で事業を行うプレイヤーには追い風となるか
今回のルール変更をまとめると、以下のようになります。
 
・2026年1月から適用開始予定
・接続検討時には、登記簿確認などの「土地調査結果」が必要
・契約申込み時には、契約書などの「土地の使用権原」が必須
「とりあえず枠を押さえる」というビジネスモデルは通用しなくなり、土地確保のハードルは上がります。
しかし、これは裏を返せば、「空押さえ」による混雑が解消され、しっかりとした準備をした事業者の審査がスムーズに進むようになることを意味します。
現状、系統の空き容量を見つけるのは難しいといった声もありますが…。
これから系統用蓄電池事業に参入される方は、早い段階から地権者との交渉や土地の権利関係の整理を進めることが、成功への鍵となりそうです。
 


 
情熱電力からのお知らせ
今回の記事でご紹介した通り、今後の系統用蓄電池事業では「確実な土地の確保」と「迅速な手続き」がこれまで以上に重要になります。
情熱電力では、系統用蓄電池の設置をご検討中の皆様に対し、事業用地の選定から地権者様との交渉サポート、そして複雑化する系統連系申請の代行など、ご相談に乗らせていただきます!!
「系統用蓄電池ビジネスをやってみたい」「新しいルールに対応した準備を進めたい」とお考えの事業者様は、ぜひ一度ご相談ください。
 
株式会社情熱電力へのお問合せは コチラから
 
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※本記事は、第5回次世代電力系統WG(2025年11月14日開催)の資料を基に作成しています。
 
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