お知らせ

INFO

2026.03.16 Mon

カタールLNG生産停止!ホルムズ海峡封鎖が日本の電力市場(JEPX)と電気代に与える影響とは

 
LNG 輸送船
 
日経エネルギーNEXTにイラン攻撃による日本への影響についての気になる記事があったので調べてみました。
連日ニュースで報道されている中東情勢ですが、ついに私たちの生活インフラである「電力」にも直接的な影響が及ぶ深刻な事態に発展しています。米国・イスラエルによるイラン攻撃を端緒とするホルムズ海峡の封鎖、そして3月2日に起きたカタールのLNG(液化天然ガス)生産施設へのドローン攻撃により、カタールからのLNG出荷がストップしてしまいました。
 
「中東から日本に輸入しているLNGはそこまで多くないのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、世界のLNG輸出の約2割を占めるカタール産のガスが市場から消えるインパクトは絶大です。日本の電源構成の約3割はLNG火力発電が占めており、今回の供給停止は日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格高騰、ひいては私たちの電気料金の大幅な値上がりに直結する恐れがあります。
 
日々のニュースで遠い国の出来事と感じていた中東情勢ですが、今回は違います。本記事では、この緊迫する情勢が日本の電力ビジネスや日々の電気代にどのようなメカニズムで影響を及ぼすのか、最新のデータを交えながら分かりやすく解説します。今後の電気代高騰リスクに備えたい事業者の皆様はぜひご一読ください。
 


 
目次
1.カタールLNG生産停止の背景と世界の需給パニック
2.日本のLNG調達への影響は?在庫は「約3週間分」
3.大手電力の「限界費用」とJEPXスポット価格のからくり
4.JEPXスポット価格はいつ上がり始めるのか?
5.まとめ:戦況次第で長期化の恐れ。電気代高騰への備えを
6.情熱電力からのお知らせ
 


 
1. カタールLNG生産停止の背景と世界の需給パニック
 
3月2日、カタールの工業都市ラスラファンがドローン攻撃を受け、LNGの生産が停止しました。これを受け、国営のカタールエナジーは3月4日に「フォースマジュール(不可抗力宣言)」を発動。販売先への供給義務が免除され、世界規模でのLNG供給が一気に途絶える事態となっています。
 
ここで問題になるのが、「LNGスポット市場での熾烈な争奪戦」です。
 
・カタールの年間LNG生産量:約7,700万トン
・世界のLNGスポット市場規模:約1.5億トン
 
1.5億トンしかない市場から、突如7,700万トン分の供給が消え去る計算になります。特に深刻なのが、カタールへの依存度が高い韓国(年700万トン)と台湾(年800万トン)です。彼らが不足分を補うためにスポット市場に殺到することで、市場価格はすでに暴騰の兆しを見せています。
アジア向けLNGスポット価格指標である「JKM」は、攻撃翌日の3月3日に一時25ドル台/MMBtuへと急騰し、前日比1.5倍以上の値上げを記録しました。
 


 
2. 日本のLNG調達への影響は?在庫は「約3週間分」
 
日本が現在輸入しているLNGの割合は、オーストラリア(約40%)、マレーシア(約15%)などが上位を占めており、カタールを含む中東全体からの輸入は約10%(カタール単体では約5%)にとどまります。
そのため、「明日すぐに電気が止まる」といった直接的な供給途絶(ブラックアウト)のリスクは今のところ高くありません。しかし、各エネルギー会社が保有しているLNGのタンク内在庫は約3週間分と言われています。中東以外の国からの供給は続くため在庫がゼロになることはありませんが、中東からの輸送が止まる以上、不足分は高騰しきったスポット市場から調達せざるを得なくなります。
 


 
3. 大手電力の「限界費用」とJEPXスポット価格のからくり
 
LNGの価格高騰が、なぜ日本の卸電力市場(JEPX)の価格上昇に直結するのでしょうか?
その鍵を握るのが、大手電力会社がJEPXに余剰電力を供出する際の「限界費用での入札原則」です。
 
過去の制度見直しにより、現在ほぼすべての大手電力会社は、自社のLNGタンクの在庫価格だけでなく、「LNGスポット市場価格(機会費用)」を入札価格(限界費用)に反映させるルールを採用しています。
つまり、「市場で高く売れるLNGをわざわざ燃やして電気を作るのだから、その分の機会損失を電気の販売価格に上乗せする」という論理です。これにより、JKM(LNGスポット価格)が上昇すれば、自動的にJEPXの入札価格も跳ね上がる仕組みになっています。
 


 
4. JEPXスポット価格はいつ上がり始めるのか?
 
大手電力各社がこの高騰したLNGスポット価格を、いつJEPXの限界費用に織り込むかが最大の焦点です。
通常、限界費用の算定に用いる燃料価格は1週間単位などで更新されると言われています。市場関係者の間では、「イラン攻撃から2〜3週間後」という予測もありましたが、JKMの急騰ぶりを見ると、早い段階から徐々にJEPXの約定価格に転嫁され始める可能性が高いと見られています。
 
※ 参考:JPEXシステムプライス(全国24時間平均)が、3月7日(土)8.15円/kWh → 3月14日(土)12.67円/kWh 
 ┗ 3月14日(土)については12:00~14:00まで0.01円/kWh つまり日中の電気が余る状態です。
  つまり、影響が出始めたのではないかと推測しています。
 


 
5. まとめ:戦況次第で長期化の恐れ。電気代高騰への備えを
 
今後のシナリオは、すべて「戦況次第」です。
カタールのLNG設備再開には少なくとも4週間以上かかるとも言われており、ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、LNGだけでなく原油や石炭の価格も連鎖的に高騰します。
 
火力発電の燃料コストが上昇すれば、燃料費調整額や市場連動型の電気料金単価は確実に跳ね上がります。私たち需要家にとっては、電気代の大幅な増加が不可避の状況に近づきつつあると言えるでしょう。今はパニックにならず、今後のJEPX価格の動向を冷静に注視しつつ、コスト削減に向けた対策を前倒しで検討する時期に来ています。
 


 
6. 【情熱電力からのお知らせ:市場連動型プランをご利用の事業者様へ】
 
今回のホルムズ海峡封鎖およびカタールLNGの供給停止により、近いうちにJEPXスポット価格の大幅な上昇が懸念されています。特に「市場連動型」の電気料金プランをご契約されている企業様におかれましては、今後の電気代が想定外に高騰するリスクが高まっています。
情熱電力では、中東情勢を受けた今後の電力市場の動向予測から、貴社の現在の契約内容の無料診断、そして価格変動リスクを抑えるための最適な料金プランへの見直しや省エネ施策のご提案を行っております。
「今の契約のままで大丈夫だろうか?」「急激なコスト増を回避する手段はないか?」とお悩みの担当者様、まずは現状の把握から始めてみませんか?
貴社の電力コスト最適化に向けて、情熱電力が全力でサポートさせていただきます。ぜひお気軽に弊社窓口までご相談ください!
 
株式会社情熱電力へのお問い合わせは こちらからお願いします。
 
関連記事
ホルムズ海峡が閉鎖・・・。電気代はどうなる?
電気料金の市場連動プランとは?
電気料金の固定単価プランとは?
 
この記事に関連するページ
・日経エネルギーNEXT:イラン攻撃でカタールがLNG生産停止、JEPXスポット市場価格への影響は?
 ┗ この記事の元ネタ記事です。編集長の記事です。
 
・JEPX(日本卸電力取引所):https://www.jepx.jp/
 ┗ 現在のスポット市場価格の推移を確認できる一次情報源です。
 
・JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構):https://www.jogmec.go.jp/index.html
 ┗ 世界の天然ガス・LNGの需給動向や価格指標(JKM等)のレポートが閲覧できます。