衝撃予測!日本海のズワイガニが10年消える?「少子化」が襲う地域経済の未来

日経新聞に「カニの『少子化』」という、非常に気になる見出しの記事がありました。冬の味覚の王様、特に日本海側の地域経済を支えるズワイガニに、いったい何が起きているのでしょうか?
調べてみると、「今冬(2025年度)は最高だが、来冬(2026年度)からは最悪の時代が10年近く続くかもしれない」という、非常にショッキングな内容でした。
今冬のズワイガニ漁(11月6日解禁)は、なんと資源量が1999年の調査開始以来「過去最多」と予測されています。実際、2024年の冬は供給量が増え、「松葉ガニ」が前年度比2割安、「越前がに」が同12%安、能登半島地震の影響もあった「加能ガニ」は同3割安と、価格が大きく下がりました。
今冬も価格の安定が見込まれ、消費者にとってはまさに「カニ天国」。しかし、この記事が警鐘を鳴らすのは、その直後に迫る「崖」です。これは一時的な不漁の話ではなく、日本海側の経済基盤を揺るがしかねない深刻な問題です。

なぜ今、カニは「豊漁」なのか?
まず、なぜ今が豊漁なのか。水産研究・教育機構の分析によると、理由は約10年前にさかのぼります。
カニは隠岐東沖から若狭湾周辺で生まれ、幼生は「暖水渦(だんすいうず)」と呼ばれる渦潮に乗って生息域に運ばれます。
・2015年~2016年: この時期、暖水渦の勢いが非常に強く、多くの幼生が適切な生息域に到達できました。
・漁師さんの努力: さらに、日本海の漁師たちが小さなカニを禁漁にするなど、地道な資源保護を続けた成果でもあります。
この時運ばれたカニたちが、10年近い歳月をかけて成長し、ちょうど今、漁獲対象となっているのです。今冬の豊漁は、過去の海の恵みと人間の努力の賜物と言えます。
2026年から始まる「カニの少子化」という悪夢
問題は、その次です。まさに「少子化」と呼ぶべき事態が海の中で起きていました。
記事によると、主要漁場を調査したところ、2027年以降に漁獲対象となるはずの中堅や若手のカニが「全然いない」ことが判明したのです。
原因は、豊漁の理由と真逆です。近年、暖水渦の勢力が弱く、せっかく生まれた幼生の多くが生息域に到達できませんでした。対馬暖流で北に流され、死んでしまった幼生も多いとみられています。
この分析に基づく未来予測は、衝撃的です。
「28年(2028年)に資源量は過去最低水準になり、10年くらいは非常に悪い状況が続く」
日本海側の地域経済にとって、これは単なる「不漁」では済みません。
地域経済への警鐘。漁業と観光の「最大の資源」が枯渇する日
この記事が地域経済に関心を持つ私たちに突きつけるのは、「主要産品が10年間枯渇する」という現実です。
・漁業への直撃: 日本海の底引き網漁師は、年収の半分以上をカニで稼いでいるとされます。その柱が10年近く失われれば、廃業が相次ぎ、漁業コミュニティそのものが維持できなくなる恐れがあります。
・観光への大打撃: 記事にもある通り、カニは「冬の日本海側の最大の観光資源の一つ」です。カニと温泉を楽しみに大都市から産地へ向かう観光客の流れが止まれば、温泉旅館、飲食店、土産物店など、地域経済全体が冷え込みます。
豊漁に沸く今シーズンの裏側で、来年以降の「カニが獲れない冬」に向けたカウントダウンが始まっているのです。
危機に立ち向かう産地の「付加価値」戦略
もちろん、産地も手をこまねいているわけではありません。「獲れない」時代をどう生き抜くか、資源管理と付加価値向上の取り組みが始まっています。
・資源管理(守り): 鳥取県と兵庫県では、11月の海水温が高い時期に無理な操業をせず、108時間の公休を設けます。網にかかった小ガニが弱る前に海へ返すことで、わずかでも将来の資源を守る狙いです。
・付加価値向上(攻め): 石川県では、今冬から全てのオスガニに漁船名のタグを付けます。さらに「漁師が選ぶ『一番推し』」という新ブランドを設立。漁師が「自分の船で最も上等なカニ」を責任持って出荷し、1匹の価値を最大化する戦略です。
量が減っても「もうかる漁業」へ。これは、カニに限らず、気候変動や資源問題に直面する多くの一次産業にとっての重要なモデルケースとなるかもしれません。

まとめ
冬の食卓を彩るズワイガニ。今冬は「調査以来最多」という恵みを享受できる最後のチャンスになるかもしれません。
しかし、その豊かさの裏で、海の環境変化による「少子化」が静かに進行し、2026年から始まる長期的な資源低迷が予測されています。
これは単なるグルメ情報ではなく、日本海側の漁業、観光、そして地域経済全体の持続可能性が問われる重大な問題です。私たち消費者も、産地が始めた「1匹の価値を高める」取り組みを理解し、応援していく必要があるのではないでしょうか。
カニ資源の未来は、日本海側地域の未来そのものと直結しています。
情熱電力からのお知らせ
日本海のズワイガニ問題は、自然環境の変化が地域の経済活動(漁業や観光業)にいかに直結しているかを示す好例です。
私たち情熱電力は、地域の産業が持続的に発展していくためには、安定したエネルギー供給とコストの最適化が不可欠だと考えています。
カニの加工場を運営する電力、お客様を迎える温泉旅館の電力、飲食店を灯す電力。地域の活力を支えるすべてのエネルギーが、私たちのフィールドです。
情熱電力は、地域の皆さまがこうした厳しい環境変化に立ち向かい、新たな価値を創造していくための「エネルギー・パートナー」として、最適な電力プランのご提案を通じて地域経済の持続的な発展をサポートしてまいります。電力コストの見直しや、事業のエネルギー効率化にご興味がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事に関連するページをご紹介
・国立研究開発法人 水産研究・教育機構:記事で分析を行っている専門機関です。ズワイガニを含む日本の水産資源に関する最新の調査・評価情報を公開しています。
(https://www.fra.go.jp/shigen/)とても興味深い色んな情報が載っています!!