松本市の公共井戸における維持管理の課題と地域コミュニティによる持続可能な保存活動の現状について

地元松本の名水を守る活動に関する気になる記事があったので調べてみました。松本城下町の形成以前から飲用水として親しまれてきた「源智の井戸」や、裏町の「鯛萬の井戸」など、松本市街地には多くの公共井戸が存在します。しかし、近年は周辺住民の高齢化に伴い、これまで清掃を担ってきた町会だけでは維持管理が限界を迎えつつあります。
こうした中、市民有志によるボランティア団体「源智の井戸を守り隊」の発足や、井戸同士の横の連携、さらには専門家を招いた意見交換会など、伝統的な資源を次世代へつなぐための新しい動きが始まっています。本記事では、公共井戸の現状と、持続可能な地域コミュニティの形成に向けたヒントを探ります。
松本市の公共井戸をめぐる現状と維持管理の壁
松本市の中心市街地には、市が管理する公共的な井戸が21カ所あります。これらは観光資源としてだけでなく、市民の日常生活に根ざした貴重な財産ですが、その維持管理体制は大きな転換期にあります。
源智の井戸(特別史跡)の事例
・歴史と規模: 毎分約200リットルの湧出量を誇り、古くから飲用水として利用。
・清掃活動の変遷: かつては地元の宮村町一丁目町会が担っていましたが、担い手不足により限界に。
・新体制の構築: 2023年4月、利用者の一人である中條利治さんの「市長への手紙」をきっかけに、市民有志による「源智の井戸を守り隊」が発足。現在では約40人までメンバーが増え、20代の若手も参加しています。
鯛萬の井戸の事例
・存続の危機: 2003年の整備以来、住民有志が清掃してきましたが、メンバーが3人にまで減少。
・連携による再生: 源智の井戸のノウハウを学ぶため、合同清掃やボランティア募集を実施。現在では十数人規模での活動が可能となりました。
専門家が提唱する「井戸端」からの地域再生
2026年3月、鯛萬の井戸に隣接する公民館にて、法政大学現代福祉学部の野田岳仁教授(環境社会学)を招いた意見交換会が開催されました。野田教授は「水とコミュニティ」の研究における第一人者であり、以下のような提言をされています。
「維持管理の活動は、使命感だけでは続きにくい。井戸水を汲みに来る人(利用者)をいかに巻き込むかがポイント」
野田教授によれば、水場は単なるインフラではなく、人々の社交場=「井戸端」としての機能を持っており、この空間の再生こそが、希薄化する現代の地域コミュニティを再構築する鍵になると指摘しています。
筆者と野田教授の絆
実は、今回講師として登壇された野田教授と私は、大学時代に「ユース世界水フォーラム」で共に活動した仲間です。当時、私も彼と一緒にNPO法人Waterscapeの設立に関わりました。
かつて同じ志を持って「水」に向き合った友人が、こうして地元の松本で専門家として活動し、地域に貢献している姿を見るのは非常に感慨深く、誇らしい気持ちです。彼の知見が松本の井戸文化を守る一助となるよう、今後も活動を全面的に支えていきたいと考えています。
行政と市民の「三位一体」での維持管理へ
現在、松本市内の21の井戸は、文化財課や都市計画課など5つの課にまたがって管理されており、対応も「町会管理」「業者委託」などまちまちです。
今後は、行政内の連携強化はもちろんのこと、「行政・町会・利用者」が三位一体となって井戸を守る仕組みづくりが求められています。野田教授が提唱するように、水を媒介とした「人と人のつながり」をデザインすることが、名水を次世代へ残すため、とても大切な手段なのではないでしょうか。
まとめ
・松本市の公共井戸は、高齢化による担い手不足という共通の課題に直面している。
・有志によるボランティア団体や、井戸同士の横の連携が解決の糸口となっている。
・「使命感」だけでなく、利用者を巻き込んだ「井戸端コミュニティ」の再生が重要。
・持続可能な管理には、行政と市民が手を取り合う「三位一体」の体制構築が不可欠。
情熱電力からのお知らせ
私たち情熱電力は、地域の「エネルギー」を支える企業として、水資源もまた地域の大切なエネルギー(活力)の源泉であると考えています。
松本の名水が育む豊かな暮らしとコミュニティは、私たちの目指す「持続可能な地域社会」の象徴です。地域の伝統を守り、新しいつながりを作る活動を、私たちはこれからも応援してまいります。
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この記事に関連するページリンク
・松本市公式観光サイト:「松本の旅しらべ」・「まつもと水巡り」
・法政大学 現代福祉学部 野田岳仁教授
・ミツカン水の文化センター:水の文化(バックナンバー)