三菱商事が洋上風力から電撃撤退!日本の再エネ戦略は白紙に?1兆円プロジェクト頓挫の真相と未来を解説
洋上風力発電所の建設に関する気になるニュースがあったので調べてみました。日本の再生可能エネルギーの切り札として大きな期待が寄せられていた、三菱商事を中心とする企業連合による大規模な洋上風力発電プロジェクトが、突如として「撤退」という衝撃的な結末を迎えました。2021年に国が実施した第1弾公募で、千葉県と秋田県沖の3海域すべてを圧倒的な安値で落札し、大きな話題を呼んだ巨大プロジェクトです。しかし、世界的なインフレや円安の波が事業を直撃し、建設コストは当初想定の2倍以上に高騰。採算が取れないと判断し、1兆円超とされた巨大プロジェクトからの撤退を決定しました。この一件は、単なる一企業の事業失敗に留まらず、日本のエネルギー政策そのものの根幹を揺るがす事態に発展する可能性があります。一体何が起きたのか、そして私たちの未来にどのような影響があるのか、詳しく解説していきます。
目次
1.何が起きた?三菱商事、洋上風力発電事業からの撤退を正式発表
・撤退の概要:対象海域と規模
・撤退の理由:想定を「はるかに超えた」コストの高騰
2.論点整理:なぜ巨大プロジェクトは頓挫したのか?
・論点①:安すぎた?価格競争を重視した入札制度
・論点②:予期せぬ逆風:ウクライナ危機、世界的なインフレ、円安
3.このニュースの問題点・課題点:日本のエネルギー政策への打撃
・主力電源化への道が遠のく再エネ戦略
・制度設計の甘さが露呈
4.今後について:日本の洋上風力発電の未来は?
・撤退した海域の再公募
・問われる国のエネルギー政策のあり方
5.まとめ
1)何が起きた?三菱商事、洋上風力発電事業からの撤退を正式発表
2025年8月27日、三菱商事、中部電力グループ会社などの企業連合は、秋田県沖と千葉県沖の計3海域で計画していた洋上風力発電事業から撤退することを正式に発表しました。日本の再生可能エネルギー政策の柱となるはずだった大規模プロジェクトの頓挫は、エネルギー業界に大きな衝撃を与えています。
撤退の概要:対象海域と規模
今回、事業撤退が決定されたのは以下の3つの海域です。
・千葉県銚子市沖
・秋田県能代市、三種町、男鹿市沖
・秋田県由利本荘市沖
これらの海域では、合計134基の風車を設置し、2028年から2030年にかけて順次運転を開始する計画でした。
撤退の理由:想定を「はるかに超えた」コストの高騰
撤退の直接的な原因は、事業採算性の著しい悪化です。三菱商事の中西勝也社長は記者会見で、「ウクライナ危機、インフレ、為替など、事業環境が大きく変化し、想定をはるかに超えてコストが膨らんだ」と説明しました。
・建設費用の倍増:当初1兆円超と見込まれていた建設費用が、世界的な資材価格や労務費の高騰、さらに円安の進行により2倍以上に膨れ上がりました。
・巨額の損失:この事業見直しに伴い、三菱商事は2025年3月期に524億円、中部電力も356億円の減損損失を計上する見込みです。
2)論点整理:なぜ巨大プロジェクトは頓挫したのか?
今回の事態は、単に外部環境の変化だけが原因ではありません。そこには、制度設計と事業計画そのものに内在する問題点がありました。
論点①:安すぎた?価格競争を重視した入札制度
企業連合が2021年の公募で落札した際の売電価格は、1キロワット時(kWh)あたり11.99円~16.49円でした。これは、政府の想定や他の事業者の提示額を大幅に下回る、極めて安い価格でした。
当時、この事業で適用されたのは固定価格買い取り制度(FIT)で、入札価格の安さが落札の決め手となりました。結果的に、過度な価格競争が、将来のコスト上昇に対するリスク許容度を極端に低くしてしまったと言えます。
論点②:予期せぬ逆風:ウクライナ危機、世界的なインフレ、円安
落札後に発生したウクライナ危機を契機に、世界は歴史的なインフレに見舞われました。風車の調達コストは2020年から2024年の4年間で1.5倍~1.8倍に上昇したとのデータもあります。当初の安すぎる売電価格では、このコスト急騰を吸収することは到底不可能でした。
3)このニュースの問題点・課題点:日本のエネルギー政策への打撃
今回の撤退は、日本のエネルギー政策、特に再生可能エネルギーの導入目標に深刻な影響を与えます。
主力電源化への道が遠のく再エネ戦略
政府は2024年2月に閣議決定したエネルギー基本計画で、電源全体に占める風力発電の割合を現在の1%から、2040年度には4~8%まで引き上げる目標を掲げています。特に、大規模な発電量が見込める洋上風力は、その目標達成の「切り札」と位置づけられていました。今回の巨大プロジェクトの頓挫は、この戦略に大きな狂いを生じさせることになります。
制度設計の甘さが露呈
業界関係者からは、第1弾公募の制度設計が「安さ」を重視しすぎたため、「見通しが甘かった」との批判が出ています。コスト上昇分を価格に転嫁しにくいFIT制度のリスクが露呈した形です。なお、第2弾以降の公募では、市場価格に一定額の補助金を上乗せする新制度が導入されており、政府も制度の見直しを進めています。
4)今後について:日本の洋上風力発電の未来は?
撤退した海域の再公募
三菱商事などが撤退する3海域については、政府が速やかに再公募を行う方針です。しかし、新たな事業者が決定し、建設が始まるまでには相当な時間が必要となり、計画の大幅な遅れは避けられません。
問われる国のエネルギー政策のあり方
今回の件は、再生可能エネルギーの普及には、事業者の努力だけでなく、予期せぬコスト変動にも耐えうる、持続可能な制度設計がいかに重要であるかを浮き彫りにしました。今後、コストを官民でどのように分担していくのか、より現実的で強靭なエネルギー政策のあり方が問われることになります。
5)まとめ
三菱商事連合による洋上風力発電事業からの撤退は、過度な価格競争を招いた入札制度と、世界的な経済環境の激変が重なったことで発生した、日本のエネルギー政策における象徴的な出来事と言えます。再生可能エネルギーを主力電源化するという大きな目標を達成するためには、今回の失敗を教訓とし、より現実的で持続可能な事業環境を官民一体で構築していくことが急務です。このニュースの動向は、日本のエネルギーの未来を占う上で、引き続き注視していく必要があります。
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この記事に関連するページ(リンク)
・経済産業省 資源エネルギー庁:洋上風力発電 (https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/yojo_furyoku/)
日本の洋上風力発電に関する政策や入札情報などが公開されています。