太陽光発電所の銅線盗難が急増!「金属盗対策法」成立で業者規制を大幅強化へ
太陽光発電所の現場で頻発している「銅線ケーブルの盗難」。その背景には、世界的な銅価格の高騰があります。特に北関東を中心に被害が相次ぎ、2024年には金属盗による被害総額が約135億円にのぼりました。
こうした状況を受け、政府は金属くず買い取り業者への規制を強化する新法「金属盗対策法」を可決・成立。売り主の本人確認義務や取引記録の保存、警察の立ち入り検査権限の付与などが盛り込まれ、再発防止が図られます。
太陽光発電設備における金属盗の対策は、もはや施設運営の安全管理上の重要課題です。本記事では、新たに成立した法律の内容とともに、発電所オーナーが今できる対策についてまとめました。
金属盗被害、太陽光発電所で多発中
近年、太陽光発電所で銅線などの電気ケーブルが狙われる盗難事件が全国で相次いでいます。
特に北関東では、広大な無人設備が狙われやすく、被害が発覚するまで時間がかかるケースも少なくありません。警察庁によると、2024年の金属盗による被害額は約135億円に達し、これは窃盗全体の約2割に当たる規模です。
出典:警察庁Webページ 金属盗対策(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/scrap/scrap.html)
出典:第1回金属盗対策に関する検討会 資料
「金属盗対策法」が2025年6月に成立
こうした被害の多発を受けて、2025年6月13日、「金属盗対策法」が参議院で可決・成立しました。この法律は以下のような内容を含みます:
✅ 金属くず買い取り業者への規制強化
・営業するには都道府県公安委員会への届け出が必須
・無届け営業には6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
✅ 本人確認と記録保存の義務化
・売却時に運転免許証などで本人確認
・氏名・住所・生年月日を記録し、3年間保存
・盗品の疑いがある取引は通報義務あり
✅ 警察の立ち入り検査が可能に
・義務違反があった場合は、公安委の指導・営業停止命令
✅ 犯行工具の所持も違法に
・ケーブルカッターなどを隠し持つこと自体が処罰対象
・違反者には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
今後の規制範囲は「銅」以外にも拡大の可能性
この法律は当面「銅」を規制対象としていますが、情勢に応じて他の金属も対象に加える方針です。太陽光発電設備では銅以外にもアルミや鉄材が使われるため、今後の動向にも注目が必要です。
発電所オーナーができる防犯対策とは?
制度面の強化と同時に、現場での防犯対策も求められます。たとえば以下のような対策が有効です。
・防犯カメラやセンサーの設置
・ケーブル類の埋設や盗難対策ボックスの使用
・地域との見守りネットワークの構築
・発電設備に「所有者情報」や「通報先」表示
今後は、太陽光発電所も「盗難リスクを前提とした施設管理」が常識的になっていくと思われます。
まとめ
太陽光発電所が「銅線泥棒の標的」となっている現実は、設備オーナーにとって見過ごせないリスクです。2025年に成立した「金属盗対策法」は、買取業者への規制強化を通じて盗難の抑止を狙うもので、一定の効果が期待されます。
しかし、法律だけに頼るのではなく、自主的な防犯対策や地域連携を進めていくことが重要です。太陽光発電所を「守る力」がいま、問われています。
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