ソニーの“貪欲さ”が世界を制す?『鬼滅の刃』に学ぶ日本コンテンツ逆転の「3つのグローバル化」

日経ビジネスに気になる記事があったので調べてみました。今や世界中で社会現象を巻き起こしている日本のアニメ。しかし、その裏側で「ビジネスとしての勝ち筋」が劇的に変化していることをご存知でしょうか?
かつて、日本のコンテンツ海外展開は「ゼロからイチ」を自前で立ち上げようとして苦戦する歴史の連続でした。ところが、ソニーグループをはじめとする現在の主要プレーヤーたちは、驚くほど「貪欲」かつ「戦略的」に世界のマーケットを攻略しています。なぜ『鬼滅の刃』はこれほどまでの規模になったのか。そして、少子高齢化が進む日本が「コンテンツ立国」として生き残るための条件とは何か。アニメジャーナリスト数土直志氏の分析を交え、ビジネスパーソンが知っておくべき「日本企業の新しい戦い方」を解き明かします。
■ 「独占」を捨てて「拡散」を取る、ソニーの鮮やかなマーケティング
『鬼滅の刃』の爆発的なヒットを支えたのは、作品の質もさることながら、ソニーグループ(アニプレックス)による「マーケットの広げ方」にあります。
通常、配信プラットフォーム(Netflixなど)との契約では「独占配信」による高額なライセンス料を狙うのが定石です。しかし、アニプレックスはあえて独占を避け、複数のプラットフォームで視聴できる環境を整えました。目先の利益よりも「ファンの分母を最大化する」ことに貪欲だったのです。
さらに、映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』の展開では、これまでの「アニメファン向けイベント」の枠を飛び出し、米国の一般映画・ドラマファンが集まるイベントへも積極的に進出。ターゲットをあえて「薄める」ことで、より広大なエンタメ市場を飲み込む戦略に舵を切っています。
■ 業界を牽引する「三強」の寡占とM&A戦略
現在、日本のアニメビジネスは、特定の分野で圧倒的な支配力を持つ3つの企業がキープレーヤーとなっています。
| 企業名 | 強み・寡占分野 | 戦略のポイント |
|---|---|---|
| ソニーグループ | アニメ配信プラットフォーム | 米「クランチロール」買収により、世界最大級のアニメ専用配信網を構築。Netflixに頼らない独自の出口を確保。 |
| 東宝 | 劇場配給・国内ネットワーク | 国内配給の半分以上を掌握。米「GKIDS」買収により、北米での日本アニメ配給網も大幅に強化。 |
| バンダイナムコHD | 玩具・マーチャンダイジング | 日本最大でほぼ寡占状態。海外のおもちゃ流通会社を買収し、IP(知的財産)の立体化・販売力を盤石に。 |
特筆すべきは、各社が「現地の有力企業を買う(M&A)」ことで、海外展開のショートカットに成功している点です。自社で一から築くのではなく、すでに根を張っている企業を傘下に入れる。このスピード感こそが、今の日本企業に必要な「貪欲さ」と言えるでしょう。
■ 生き残りをかけた「3つのグローバル化」
日本がこれからもコンテンツで覇権を握り続けるために、数土氏は以下の3つのグローバル化が急務であると説いています。
1.ファンのグローバル化:アニメファンだけでなく、全エンタメファンをターゲットにする。
2.制作現場のグローバル化:国内の人材不足を補うため、海外の才能を日本に呼び込む。
3.資金調達のグローバル化:ハリウッドのメジャースタジオに対抗できる規模の資金を世界から集める。
まとめ
「日本のアニメはすごい」という精神論の時代は終わり、今は「世界規模のインフラと資金をどう握るか」という冷徹なビジネスの時代に突入しています。ソニーや東宝が見せている、M&Aを駆使した海外攻略は、他の製造業やサービス業にとっても大きなヒントになるはずです。
「良いものを作れば売れる」から、「売れる仕組み(プラットフォーム)ごと手に入れる」へ。この転換が、日本企業の次なる成長の鍵を握っているようです。
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