「電気から水素をつくる!? タイヤ工場の脱炭素チャレンジ」やまなしモデルP2Gシステム導入でCO₂削減へ
気になる記事があったのでご紹介します。
再生可能エネルギーで水素をつくり、それを工場内で活用する——そんな“地産地消型”のエネルギー循環に取り組んでいる企業があります。タイヤメーカーの住友ゴム工業は、福島県白河市にある自社工場に「やまなしモデルP2Gシステム」と呼ばれる水素製造装置を導入。太陽光などの再エネで水を電気分解し、グリーン水素を製造。それをタイヤ製造時に必要な高温・高圧蒸気を発生させるボイラーの燃料として活用しています。年間で最大100トンの水素を工場内でつくり、輸送を含むCO₂排出をおよそ1000トン削減できるとされています。製造業の脱炭素化が本格化するなか、水素エネルギーの実用的なモデルとして注目の取り組みです。
目次
1.やまなしモデルP2Gシステムとは
2.白河工場での導入背景と目的
3.グリーン水素の製造と利用方法
4.CO₂排出削減への効果
5.今後の展望と他工場への展開
6.まとめ
1. やまなしモデルP2Gシステムとは
「やまなしモデルP2Gシステム」は、山梨県が中心となり、民間企業と共同で開発した水素製造装置です。再生可能エネルギー由来の電力を活用して水を電気分解し、グリーン水素を製造します。このシステムは、固体高分子(PEM)形の電解装置を採用しており、高効率かつ高耐久性が特徴です。製造された水素は、工場内での熱源として利用され、CO₂排出の削減に貢献します。
出典:環境省 カーボンニュートラル社会の実現に向けた「やまなしモデル」P2G事業への取り組み
情熱電力の拠点長野県のお隣山梨県の資料
2. 白河工場での導入背景と目的
住友ゴム工業は、2050年のカーボンニュートラル達成を目指し、白河工場を「脱炭素グランドマスター工場」と位置づけています。これまで、外部から供給される水素や太陽光発電を活用してきましたが、今回の「やまなしモデルP2Gシステム」の導入により、工場内での水素製造が可能となりました。これにより、輸送に伴うCO₂排出も削減され、さらなる脱炭素化が期待されています。
出典:株式会社インプレス Car Watch
住友ゴム、再エネ由来電力で水素を作る「やまなしモデルP2Gシステム」を“脱炭素グランドマスター工場”を目指す白河工場に設置
3. グリーン水素の製造と利用方法
白河工場では、「やまなしモデルP2Gシステム」を24時間稼働させることで、年間最大約100トンの水素を製造しています。製造された水素は、タイヤ製造工程の加硫工程で使用される高温・高圧の蒸気を生成するボイラーの燃料として利用されます。これにより、化石燃料の使用を削減し、CO₂排出の抑制に寄与しています。
4. CO₂排出削減への効果
「やまなしモデルP2Gシステム」の導入により、白河工場では輸送を含むサプライチェーン全体で年間約1000トンのCO₂排出量削減が見込まれています。これは、再生可能エネルギー由来の電力で水素を製造し、工場内で利用することで、化石燃料の使用を削減し、CO₂排出を抑制する効果によるものです。
5. 今後の展望と他工場への展開
住友ゴム工業は、白河工場での取り組みをモデルケースとして、他の工場への展開を検討しています。また、2025年3月には中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議と、水素およびアンモニア等のサプライチェーン構築に向けた相互協力に関する基本合意書を締結しました。今後も、グリーン水素の活用を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していく方針です。
まとめ
住友ゴム工業の白河工場における「やまなしモデルP2Gシステム」の導入は、再生可能エネルギーを活用した水素製造とその利用によるCO₂排出削減の好例です。この取り組みは、製造業における脱炭素化のモデルケースとして、他の企業や工場にも波及することが期待されます。今後も、グリーン水素の活用を通じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが進められることが望まれます。
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本記事の参考サイト
山梨県 新エネルギーシステム推進課
グリーン水素の地域産業利用に係る基本合意書の締結について