3人に1人が「バスタオル卒業」? 洗濯・干し場所・物価高が変えたお風呂上がりの新常識

日経MJに「バスタオル、キャンセル派が3割 部屋の狭さ・物価高から小さめ台頭」という記事があったので調べてみました。
実は私自身、もう何年もバスタオルを使っていません。お風呂上がりはセブンイレブンで買った今治のフェイスタオルが1枚。それで十分足りてしまうんです。正直なところ「うちだけ変わっているのかな」と思っていたのですが、記事を読んで驚きました。同じように「バスタオル、もういいかな」と考えている人が、全国に3割近くいるというのです。
しかも、その理由が単なる面倒くささだけではありませんでした。干す場所が足りない、室内干しが当たり前になった、タオルそのものが値上がりしている——住まい方や働き方の変化が、そのままタオル選びに表れているのです。
今回は日経MJの調査データをもとに、「バスタオルキャンセル」がなぜ広がっているのか、そしてやめた人は実際どう感じているのかを整理してみました。読み終わる頃には、洗面所のタオル棚をちょっと見直したくなるかもしれません。
目次
- 1. 「バスタオルキャンセル」とは? 27.2%が使っていない・減らしている
- 2. やめているのは誰? 女性と60代に多いという意外な結果
- 3. なぜやめるのか? 洗濯・住まい・物価の3つの理由
- 4. 売れている「キャンセル系タオル」を3つ紹介
- 5. やめた人の満足度は75.9%。実際どう変わった?
- 6. フェイスタオル1枚生活、実際にやってみた感想
1. 「バスタオルキャンセル」とは? 27.2%が使っていない・減らしている
最近、「風呂キャンセル界隈」「コンロキャンセル界隈」といった言葉をSNSで見かけた方も多いのではないでしょうか。そこに新しく加わりそうなのが「バスタオルキャンセル」です。
日経MJが調査会社インテージを通じて全国の男女533人に行ったアンケートによると、一般的なバスタオル(幅60センチ前後)について、次のような結果が出ています。
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| 現在も主に使っている | 72.8% |
| 現在も使っているが、以前より使う頻度は減った | 5.6% |
| 以前は使っていたが、現在は使っていない | 13.7% |
| もともとあまり使っていない | 7.9% |
| 「キャンセル派」合計 | 27.2% |
出典:日経MJ調査(インテージ、全国の男女533人)
つまり、およそ4人に1人以上がバスタオルを使っていない、または使う量を減らしているということになります。
さらに「お風呂上がりに使うタオル」を複数回答で聞いた設問では、一般的なバスタオルが69.0%でトップ。続いて幅30〜40センチ前後で衣類用ハンガーに掛けられるサイズが23.5%、フェイスタオルが19.7%という結果でした。バスタオルの存在感はまだまだ大きいものの、約3割がすでに「小さめ派」に移行している計算です。
東京・渋谷ロフトのタオル売り場では、「バスタオル卒業宣言」「バスタオルやめませんか?」といった名前の商品がずらりと並び、その数は55種類。すでに売り場の主力商品になっているそうです。もはや一部の変わった人の習慣ではなく、はっきりとした市場になっているんですね。
2. やめているのは誰? 女性と60代に多いという意外な結果
「バスタオルキャンセル」と聞くと、一人暮らしの若い世代を思い浮かべる方が多いかもしれません。ところが、データを見ると少し違った姿が見えてきます。
日経MJの調査では、女性のキャンセル率が32.1%と、男性より10ポイント近く高くなっています。そして最も比率が高かったのは、なんと60代女性で40.0%。5人に2人がバスタオルを手放している計算です。
理由も納得できるものでした。記事では60代女性の「大きなバスタオルが重くてつらくなってきた」という声が紹介されています。濡れたバスタオルは想像以上に重く、洗濯機から取り出して干すという動作の負担は年齢とともに大きくなります。一方、18歳の女性からは「大きいタオルは洗うのが面倒」「スペースがなく、バスタオルは干すだけで埋まってしまう」という声も。
年代は違っても、行き着く先は同じ。「大きいタオルは、洗って干して片づけるまでが大変」ということです。実際、小さめタオルを扱うメーカーへの取材でも、主な購入層は30〜50代の女性だといいます。つまり、家事の実務を担っている層ほど、この選択にたどり着いているわけです。
3. なぜやめるのか? 洗濯・住まい・物価の3つの理由
ここからが本題です。なぜこれほど多くの人がバスタオルを手放しているのでしょうか。調査結果を読み解くと、大きく3つの理由が浮かび上がってきます。
理由1:干す場所が足りない、室内干しが当たり前に
キャンセルのメリットを複数回答で聞いた結果が、こちらです。
| 順位 | メリット | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 干すスペースに余裕ができた | 47.6% |
| 2位 | 洗濯が楽になった | 44.8% |
| 3位 | 収納しやすくなった | 33.1% |
| 4位 | タオルをより頻繁に洗いやすくなった | 26.9% |
| 5位 | 特に変化はなかった・その他 | 11.7% |
出典:日経MJ調査
1位が「干すスペースに余裕ができた」というのが象徴的です。バスタオル1枚は、物干し竿の一等地をどっしり占領します。これがなくなるだけで、洗濯物の景色が変わるんですね。
背景には室内干しの定着があります。積水ハウスが25〜74歳の男女を対象に2025年と2015年で比較した調査によると、晴れの日に洗濯物を干す場所が「室内のみ」という割合は全世代で増加。フルタイムの共働き世帯では、晴れの日でも47.6%が室内干し派だったとされています。
プライバシーへの意識、夕方に洗濯物を取り込めない生活リズム、花粉やPM2.5。理由はさまざまですが、結果として「限られた室内スペースに、どう干すか」という課題が生まれました。幅30〜40センチのタオルなら、衣類用のハンガーにそのまま掛けられます。これは室内干し派にとって、かなり大きな違いです。
理由2:大きいタオルは乾きにくく、生乾き臭が出やすい
洗濯行動に詳しい東京家政大学の木村美智子特任教授は、「生乾きのにおいや干す場所、洗濯頻度が絡み、大きいタオルを洗うのが大変だからではないか」と分析しています。
バスタオルは主に綿素材が使われており、吸水性や肌触りに優れる一方で乾きにくいという特徴があります。室内干しだと乾燥に時間がかかり、その間に雑菌が増えて、あの独特の生乾き臭が発生してしまう。実際、バスタオルを使わない・使わなくなった理由を聞いた設問でも、「洗濯物を減らしたい」「乾きやすい方がいい」がともに45.5%で首位に並びました。4位には「干す場所が足りない」(27.6%)が入っています。
ちなみに、長野県のように冬の冷え込みが厳しい地域では、そもそも屋外に干すという選択肢が取りにくい季節があります。乾きにくい大判タオルの扱いに悩む場面は、他地域より多いかもしれません。
ここで少しだけエネルギーの話をさせてください。室内干しの乾燥時間を短縮するために、除湿機や衣類乾燥機、浴室乾燥を使うご家庭は増えています。これらは家電の中でも消費電力が大きめの部類です。洗濯物のかさが減れば、当然ながら乾燥にかかる時間も電力も減ります。「#バスタオルやめました」は通常のバスタオルより洗濯量が約半分になるとうたっていますが、これは干す時間と乾燥機の稼働時間にも効いてくる話です。タオルを小さくすることが、めぐりめぐって電気代にもやさしい——そんな副次的な効果もありそうです。
理由3:タオルの値上がり。小さいほど価格も抑えられる
3つ目は、家計に直結する理由です。総務省の消費者物価指数(2020年=100)によると、「タオル」は2025年に111.8となり、2011年以降で過去最高を記録しました。綿花価格や輸送費、人件費の上昇が反映された形です。
同じ生地であれば、面積が小さいほど価格は安くなります。タオルメーカー・丸中の中道啓太副社長は、自社商品について「バスタオルの平均単価は足元で大体2200〜2500円ぐらいなので、半値に収まる」と語っています。実際、同社の「#バスタオルやめました」の売価はグレードにより900円台〜1400円強。1枚あたり1000円前後の差は、家族分をそろえると決して小さくありません。
しかも小さいタオルは乾きやすく、頻繁に洗いやすいので清潔さを保ちやすい。安くて、早く乾いて、清潔。この3つがそろえば、選ばれるのも自然な流れです。
4. 売れている「キャンセル系タオル」を3つ紹介
「気になるけど、実際どんな商品があるの?」という方のために、日経MJの記事で紹介されていた代表的な3商品を整理しました。
| 商品名 | 企業 | サイズ | 実績 |
|---|---|---|---|
| バスタオル卒業宣言 | 本多タオル(名古屋市)/おぼろタオル(津市)共同開発 | 幅33cm×縦100cm | 2018年9月発売、累計550万枚以上。2025年に過去最高の販売を記録 |
| #バスタオルやめました (ホテルスタイルタオル ビッグフェイスタオル) |
丸中(大阪府泉佐野市)/ブランド「ヒオリエ」 | 幅40cm×縦100cm | 2006年にEC限定で発売、累計1000万枚超。同社タオル販売の3割を占める |
| バスタオルやめませんか? | 小杉善(大阪府箕面市) | 小さめサイズ | 2022年から大手チェーン向けに供給、出荷20万枚 |
出典:日経MJ
面白いのは「バスタオル卒業宣言」の誕生エピソードです。企画を担当した本多タオルの間瀬竜弥さんによると、開発のきっかけは社内の雑談だったそう。「バスタオルについて話していたら、社内でも半数ぐらいが使ってなかった」というのです。ご自身も小学生の頃からフェイスタオル2枚で拭いていたそうで、「1枚に集約したらもっと便利では」と企画が進んだといいます。同社の従来品に比べて6倍の吸水力を実現したことで、小さくても1枚で足りる商品になりました。
ネーミングも工夫されています。当初は「革命」という案もあったそうですが、バスタオルをやめることをポジティブに表現しようと「卒業」に落ち着いたとのこと。たしかに「卒業」なら、後ろ向きな我慢ではなく前向きな選択に聞こえますよね。
なお、バスタオルに限らず体の拭き方そのものが多様化しています。ニトリはお風呂上がりに羽織る「タオルポンチョ」を展開。本多タオルの「03’59″」は、髪が長い人がドライヤー前に拭き取ることで4分以内で乾かせる吸水効果をうたう髪専用タオルです。ドライヤーの使用時間が短くなれば、こちらも電気の節約につながりますね。
5. やめた人の満足度は75.9%。実際どう変わった?
「やめたら不便になるのでは」と心配される方もいるかもしれません。ところが調査結果は、かなりはっきりしています。
一般的なバスタオルをあまり使わない、または使わなくなった人に現在の生活の満足度を聞いたところ、「非常に満足」「やや満足」の合計が75.9%。一方、「やや不満」「非常に不満」の合計はわずか6.2%でした。
4人に3人が満足していて、不満は16人に1人程度。これは「我慢して減らしている」のではなく、「減らしたら快適だった」という結果だと読み取れます。
もちろん、タオル業界にとっては悩ましい流れでもあります。一大生産地である愛媛県今治市の関係者は「業界としては大きいバスタオルを使ってほしい」としながらも、「家庭や洗濯事情は理解できる。ニーズがある以上は小さめを販売する」と語っています。使う人の暮らしに合わせて商品が変わっていく——健全な変化とも言えそうです。
6. フェイスタオル1枚生活、実際にやってみた感想
最後に、私自身の話を少しだけ。
冒頭でも書いたとおり、私はもう何年もバスタオルを使っていません。お風呂上がりはセブンイレブンで買える今治のフェイスタオル1枚。コンビニで手に入るのに品質がしっかりしていて、吸水も申し分ありません。「今治」というだけで安心感がありますよね。
やってみて実感したメリットは、調査結果とほぼ同じでした。まず洗濯物のかさが目に見えて減ります。物干しの一等地が空くので、他の衣類がゆったり干せて乾きも早い。収納棚もスカスカになりました。そして毎日気兼ねなく洗い替えできるので、かえって清潔です。
デメリットを挙げるなら、髪の長い方には1枚だと少し心もとないかもしれません。その場合はフェイスタオル2枚使い、あるいは記事で紹介されている幅30〜40センチの「大きめフェイスタオル」に切り替えるのが良さそうです。今回調べてみて、そういう選択肢がこれだけ充実していることを初めて知りました。
なにより、この記事を読んで「同じような人、けっこういるんだ」と分かったのが一番の収穫でした。日経MJの記事では「バスタオルならぬ『パス・タオル』民が増殖する日本」と表現されていましたが、風呂やコンロのキャンセルが面倒さを主な理由とするのに対し、バスタオルキャンセルは住環境や働き方の変化が背景にあるという指摘は、なるほどと思わされます。大多数の人がバスタオルを使わない日常は、そう遠くない未来なのかもしれません。
まとめ
日経MJの調査では、一般的なバスタオルを「使っていない・使う頻度が減った」人が27.2%、お風呂上がりのタオルを複数回答で聞くと約3割がすでに小さめサイズを選んでいることが分かりました。特に女性のキャンセル率は32.1%と高く、最も多いのは60代女性の40.0%。「大きなタオルは重くてつらい」「洗うのが面倒」という声が、年代を超えて共通しています。
背景にあるのは3つの変化です。室内干しの定着による干し場所不足、乾きにくさから来る生乾き臭、そしてタオルの消費者物価指数が2025年に111.8と過去最高を記録した値上がり。どれも私たちの暮らしの実感と重なる話ばかりです。
そして注目したいのが、やめた人の満足度が75.9%と高いこと。不満はわずか6.2%でした。我慢して減らしているのではなく、減らして快適になっているのです。
洗濯物のかさが減れば、除湿機や乾燥機の稼働時間も短くなります。小さなタオル1枚の選択が、家事の負担だけでなく毎月の電気代にもそっと効いてくる。暮らしを軽くする工夫は、案外こんな身近なところに転がっているのかもしれません。
情熱電力のこのお知らせページでは、情熱電力が注目した様々な事柄をピックアップして掲載させていただいております。随時、このページを更新して参りますので、ご興味を持たれた方はまたこのサイトにお越しいただければ幸いです。
情熱電力からのお知らせ
今回はタオルのお話でしたが、洗濯物の量が減ると乾燥機や除湿機の稼働時間も変わってきます。実は電気代というのは、こうした日々の小さな習慣の積み重ねで少しずつ形が変わっていくものです。
株式会社情熱電力は長野県松本市を拠点とする新電力会社です。「今の電気代、これって高いの? 安いの?」といった素朴な疑問から、ご家庭・事業所の使用状況に合わせたプランのご相談まで、専門用語をできるだけ使わずに、わかりやすくご説明することを大切にしています。
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・総務省統計局:消費者物価指数(CPI)結果
・e-Stat(政府統計の総合窓口):全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)
・資源エネルギー庁(省エネポータルサイト):無理のない省エネ節約(洗濯機・衣類乾燥機)
・今治タオル工業組合:今治タオルブランド商品の品質基準