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2026.05.17 Sun

ポテチが白黒に!?中東危機とナフサ不足が招く包装激変—ホルムズ海峡緊迫で日本の食卓はどうなる?

 
カルビーのポテトチップス
 
日経新聞に話題になっている「ポテチの白黒包装」に関する記事があったので、このような対応に至った経緯などについて調べてみました。
一見、遠い国の出来事に思える中東での地政学リスクですが、実は私たちの身近なスナック菓子や食品パッケージにまで深刻な影響を及ぼし始めています。カルビーが主力商品のパッケージを順次モノクロ化するというニュースは、多くの消費者に衝撃を与えました。これまでスーパーの棚で競われていた「カラフルなデザインで目を引く」という常識が、いま大きな転換期を迎えています。なぜカラー印刷ができなくなるのか、他社の動きはどうなっているのか、そして今後の日本への影響について、エネルギーと暮らしのつながりという視点から分かりやすく解説します。
 


 
なぜポテチが白黒に?カルビーなど主力14商品が異例のモノクロ化へ
カルビーは、5月25日出荷分から順次、看板商品である「ポテトチップス(うすしお味、コンソメパンチ、のり塩、コンソメダブルパンチ)」や「かっぱえびせん」「堅あげポテト(うすしお味)」「フルグラ」など、計14の主力商品のパッケージを白黒(2色のみ)に変更することを決定しました。
同社が確保できているインク用溶剤の在庫は夏ごろまで。これから収穫を迎える新じゃがは日持ちがしないため、パッケージの供給がボトルネックとなって出荷できなくなる事態を防ぐための、先手を打った「防衛策」です。カルビーには東日本大震災時にインク使用量を減らしたパッケージを採用したノウハウがあり、今回のモノクロ化によってインク使用量を半分程度に抑えることを目指しています。
 


 
カラー印刷ができない裏事情:中東危機と「ナフサ不足」の深刻な構造
なぜ、突如としてカラー印刷ができなくなってしまったのでしょうか?その背景には、米国・イスラエルによるイラン攻撃など中東情勢の緊迫化に伴う、原油価格の高騰と「ナフサ(粗製ガソリン)」の不足があります。
食品パッケージの印刷に使われる「グラビアインク」は、原材料におけるナフサ由来の割合が非常に高いのが特徴です。
 
溶剤の需要逼迫: インクの製造や印刷時の希釈に不可欠な「トルエン」や「キシレン」などの溶剤は、塗料やシンナー、接着剤にも使われるため、足元で世界的に需要が逼迫しています。
カラー顔料の制約: 白色の顔料(鉱物由来)や黒色の顔料(炭素由来)に対し、その他の「カラー顔料」の多くは石油由来です。そのため、カラーインクの入手が極めて困難になっています。
 
日本は原油やナフサの大部分を中東からの輸入に頼っています。「世界のエネルギーの要衝」であるホルムズ海峡の動向も含め、今後の調達の先行きは不透明な状況が続いています。
 


 
広がる「脱カラー・簡素化」:食品・飲料業界の最新動向
インクや包装資材の不足に頭を悩ませているのはカルビーだけではありません。包材メーカーからは食品メーカーに対し、6月以降のフィルム価格を20〜40%引き上げたいとの打診も届いており、業界全体で仕様変更の動きが加速しています。
各社の具体的な動きは以下の通りですが、実はここには「なぜ白と黒なら大丈夫なのか」という科学的な理由と、危機を乗り越えるための最新技術が隠されています。
 

企業名 主な取り組み内容
カルビー 主力14商品のパッケージを白黒(2色)に変更、インク使用量を半減
日清製粉ウェルナ 「マ・マー スパゲティ」やそうめん等の結束テープを6月納品分から順次「無地」に(ゆで時間等の赤色印字を廃止)
伊藤ハム米久HD パッケージに使用するインクの色数を減らし、シンプルな包装にすることを検討
エスビー食品 パッケージの変更を検討中
中堅飲料メーカー 5月下旬から乳酸菌飲料など15商品のパッケージ容器への印字を取りやめ

 
また、これを機に環境配慮の観点からも包装を簡素にする流れが強まっています。飲料業界ではEC(電子商取引)を中心にラベルレス飲料のケース販売が広がっていますが、経済産業省は制度面の見直しを進めており、2027年にも自販機や店頭での「ラベルレス飲料のばら売り」を解禁する方針です。
 
 
💡 そもそも、なぜ「白と黒」なら印刷できるの?
「ナフサがなくてインクが足りないなら、白や黒だって使えないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、ここには顔料の性質の違いがあります。
色を表現する顔料には「有機顔料」と「無機顔料」があります。鮮やかな赤や黄色などのカラーインクに使われるのは石油を原料とする「有機顔料」が多く、製造にも多くの有機溶剤(トルエン等)を消費します。
一方で、白色の顔料(酸化チタン)は鉱物由来、黒色の顔料(カーボンブラック)は炭素由来の「無機顔料」です。これらは石油由来の成分への依存度が低く、色数をこの2色に絞り込むだけで、印刷時に大量に消費する希釈用溶剤の使用量を劇的に抑えることができるのです。
 
 
🚀 ピンチをチャンスに変える「インクレス」の新技術も登場
このナフサ不足という未曾有の危機をきっかけに、パッケージ業界では新たな技術革新も注目を浴びています。
 
例えば、印刷会社などが開発を進めている「インクを使わない白いフィルム」です。これは、透明なプラスチックフィルムの内部に目に見えないほど微細な空気の泡を無数に閉じ込め、光を乱反射させることで、インクを一切塗らなくても表面を真っ白に見せるという画期的な技術(2025年冬に実用化)です。重い商品には不向きなどの課題はありますが、こうした「脱石油・脱インク」のイノベーションが今、急速に評価されています。
この「食品包装の白黒ショック」は、生活への影響の大きさから農林水産省がカルビーへの聞き取り調査に動くなど、政府・行政も事態を注視し始めています。また、環境配慮の観点からも包装を簡素にする流れが強まっており、経済産業省は2027年にも自販機や店頭での「ラベルレス飲料のばら売り」を解禁する方針です。
 


 
モノクロ包装は消費者にどう受け止められるのか?
お馴染みのカラフルなパッケージが消えることに対し、専門家の間でもマーケティング的な見方が分かれています。
 
「ポテトチップスの黄色を見て食欲がそそられるなど、パッケージの色は消費行動の潜在意識に深く結び付いている。白黒になれば商品そのものの顔を失いかねない」
(桜美林大学・宮本文幸教授)
 
一方で、今回のモノクロ化をあえてポジティブに評価する視点もあります。
 
認知度が高いからこその強み
カルビーは、誰もが知っている定番商品に絞ることで、白黒にしても購買への影響は少ないと踏んでいます。
話題性と危機管理への評価
マーケティング調査会社からは、「カラーが多い売り場の中で逆に物珍しさから目を引く」「企業の危機管理能力の高さが評価され、新たなファンを掴む可能性がある」との指摘もあります。
地政学リスクへの意識改革
日本パッケージデザイン協会の中越出事務局長は、「白黒パッケージにより、地政学リスクが生活に大きく関連するということを消費者に伝える効果もある」とみています。
 


 
まとめ
中東情勢の緊迫化によるナフサ不足は、ついに私たちの「食卓の風景」を白黒に変えるほどのインパクトをもたらしました。カルビーの迅速なモノクロ化への舵切りは、一見ネガティブな供給不安を、安定供給の維持と企業の危機管理能力のアピールへと変える先進的な取り組みと言えます。
エネルギー資源の大部分を輸入に頼る日本にとって、ホルムズ海峡の緊迫化をはじめとする地政学リスクは決して他人事ではありません。今後はスナック菓子だけでなく、様々な製品で「シンプルさ」や「資源の効率利用」が新しいスタンダードになっていくと考えられます。
 


 
💡 関連記事・関連リンク
※本トピックに関する中東情勢やエネルギー動向、政府の方針について詳しく知りたい方は、以下の公的ページもご参照ください。
・外務省:中東情勢に関する各種情報
・経済産業省 資源エネルギー庁:日本のエネルギー政策とナフサ・原油の動向
 
 
⚡ 情熱電力からのお知らせ
今回のカルビーの取り組みは、エネルギーや原材料の「供給不安」というリスクに対し、あらかじめ過去のノウハウを活かした代替案を用意し、迅速に「先手」を打つことの重要性を物語っています。
 
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