電気代への影響は?ホルムズ海峡封鎖で「石炭火力」がじわり復権している理由

電気新聞に『ガス減産・高騰で…石炭、じわり活用/IEA予測、26年の発電量最大に』という記事があったので調べてみました。
「電気代、また上がるの?」——ニュースでホルムズ海峡や中東情勢という言葉を目にするたび、そう感じている方も多いのではないでしょうか。実はこの中東情勢が、私たちの電気料金にも静かに影響を及ぼし始めています。国際エネルギー機関(IEA)は、これまで「減っていく」と見ていた石炭火力発電について、2026年は一転して過去最高になるという予測に修正しました。天然ガス(LNG)の供給が細り、価格が上がる中で、石炭が”つなぎ役”として再び存在感を増しているのです。今回は、なぜこうした転換が起きているのか、そして私たちの暮らしにどう関わってくるのかを、情熱電力がわかりやすく整理してご紹介します。
目次
- 1. ホルムズ海峡の「実質封鎖」で何が起きているのか
- 2. LNG(天然ガス)の供給ひっ迫と価格高騰のメカニズム
- 3. IEAが予測を大転換 2026年の石炭火力発電量が過去最高へ
- 4. 日本にも広がる影響 石炭・LNG輸入と電気代のゆくえ
- 5. 石炭火力「じわり活用」から見える、これからのエネルギー選び
1. ホルムズ海峡の「実質封鎖」で何が起きているのか
まず、今回の話の発端となっている「ホルムズ海峡」について整理しておきましょう。ホルムズ海峡は中東のペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ幅の狭い海峡で、世界の原油供給量の約5分の1、LNG(液化天然ガス)貿易量の約4分の1がここを通過しているとされています。まさに世界のエネルギーの大動脈です。
2026年に入り中東情勢が悪化し、この海峡は実質的に封鎖された状態になっています。米エネルギー情報局(EIA)は、イラクやサウジアラビア、クウェート、UAEなど複数国であわせて日量1,050万バレル規模の原油生産が停止したと推計しました。エネルギー関連施設への攻撃も発生し、原油価格は前年同月比60%上昇(2026年5月時点、1バレル=約100ドル)、航空機用のジェット燃料にいたっては前年比121%急騰したと報じられています。
日本は原油の9割以上を中東に依存しているとされ、他人事ではいられない状況です。こうした地政学リスクの高まりが、今回の「石炭じわり活用」の背景にあります。
2. LNG(天然ガス)の供給ひっ迫と価格高騰のメカニズム
原油だけでなく、LNG(液化天然ガス)もホルムズ海峡経由の輸送に頼っている部分が大きいエネルギー源です。海峡の実質封鎖によってLNGの供給が絞られ、世界的に価格が上昇する事態となっています。
発電の世界では、天然ガス火力は「起動・停止がしやすく、需要の変化に柔軟に対応できる」電源として重宝されてきました。ところがその調達コストが跳ね上がると、電力会社としては「もっと安定して調達できる燃料はないか」と考えざるを得ません。そこで再び注目されているのが、石炭です。
石炭は現在も世界の発電量の約2割を占める、依然として主力級の電源とされています。価格の安定性や供給の分散という点で、ガスが不安定な局面では”代替の切り札”として使われやすい燃料だといえるでしょう。
3. IEAが予測を大転換 2026年の石炭火力発電量が過去最高へ
こうした状況を受けて、国際エネルギー機関(IEA)は現地時間2026年7月23日に公表した電力市場見通しの年央改定版で、大きな方針転換を行いました。
これまでIEAは、2026年から2030年にかけて石炭火力の発電電力量は平均で年0.9%程度減少し続けると予測していました。ところが中東情勢の悪化を受けてこの予測を一転させ、2026年の石炭火力による発電電力量は過去最高を更新するという、強気な見通しに修正したのです。
「脱炭素の流れの中で石炭は減っていくもの」というイメージを持っていた方にとっては、意外に感じるニュースかもしれません。ただこれは、長期的な脱炭素の方向性が変わったというより、「目の前のエネルギー危機にどう対応するか」という短期的な現実対応の色合いが強いと捉えるのが実情に近いでしょう。
4. 日本にも広がる影響 石炭・LNG輸入と電気代のゆくえ
この動きは、日本にとっても無縁ではありません。財務省の貿易統計によると、日本でも中東の軍事衝突後にあたる2026年5〜6月にかけて、一般炭(発電用の石炭)の輸入量を増やす動きが見られたとされています。LNGの調達コストが上がる中、燃料調達を多様化させる動きの一環と考えられます。
家庭や企業にとって気になるのは、やはり「電気代への影響」です。燃料費の変動は、電気料金に含まれる「燃料費調整額」という形で私たちの請求にも反映される仕組みになっています。LNG価格の高騰がすぐに電気代の値上げに直結するわけではありませんが、燃料市場全体が不安定になっていることは、中長期的に見て電気料金の変動要因として意識しておく必要があります。
地域の電力会社として感じる変化
私たち情熱電力は、長野県松本市を拠点に、地域のお客様に寄り添いながら電力小売事業を営んでいます。世界情勢の変化が遠い海の向こうの話ではなく、確実に電気料金という形でお客様の暮らしに届いていることを、日々の業務の中でも実感しています。だからこそ、こうしたニュースの背景を「難しい専門用語」のままにせず、できるだけわかりやすくお伝えしたいと考えています。
5. 石炭火力「じわり活用」から見える、これからのエネルギー選び
今回のニュースが教えてくれるのは、特定の燃料や電源だけに依存すると、地政学リスクの影響を受けやすくなるということです。石炭・LNG・再生可能エネルギー・原子力など、電源をバランスよく組み合わせる「エネルギーミックス」の重要性が、あらためて浮き彫りになったともいえるでしょう。
私たち一人ひとりにできることは限られていますが、契約している電力プランの仕組みを知っておくこと、そして省エネや節電を意識した暮らしを心がけることは、こうした不安定な時代においても変わらず有効な備えになります。
まとめ
今回は、電気新聞の「石炭じわり活用」という記事をきっかけに、ホルムズ海峡の実質封鎖から始まったLNG供給ひっ迫と、IEAによる石炭火力発電量の予測上方修正についてご紹介しました。中東情勢の悪化により原油・LNGの供給が細り価格が上昇する中、これまで「減少していく」とされていた石炭火力は、2026年に一転して過去最高の発電量になると見通されています。日本でも石炭の輸入を増やす動きが見られ、燃料調達の多様化が進んでいるとされています。世界のエネルギー情勢は今なお流動的です。だからこそ、電気代の仕組みやエネルギーの背景を知っておくことが、私たちの暮らしを守る第一歩になります。
情熱電力からのお知らせ
今回のようなエネルギー情勢の変化は、電気料金の背景にある「燃料費調整額」などにも関わってきます。「自分の電気料金プランがどういう仕組みになっているのか知りたい」「今のご契約が今の情勢に合っているか見直したい」という方は、お気軽に情熱電力までご相談ください。地域に根ざした電力会社として、専門用語をかみ砕きながら、一つひとつ丁寧にご説明いたします。
TEL:0263-88-1183 お問い合わせ:https://jo-epco.co.jp/contact
この記事に関連するページリンク
・資源エネルギー庁:中東情勢を踏まえた石油及び関連製品等に関する対応
・IEA(国際エネルギー機関):電力2026
・財務省:貿易統計 過去の報道発表資料 (月別データ4ページ目の「3 鉱物性燃料」参照)