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2026.07.30 Thu

メモリー不足はいつまで続く?AI・半導体投資と電力需給が電気代に与える影響を解説

 
AI・半導体投資と電力需給
 
日経BPの「一歩先への道しるべ」に『メモリー不足はいつまで続くのか?アナリストが読み解くPCとスマホ供給の一歩先』という記事があったので調べてみました。パソコンやスマートフォンの出荷台数が急減速しているというニュース、気になっている方も多いのではないでしょうか。実はその裏側には、AIサーバー向けにメモリーが集中し、DRAMやNANDフラッシュの価格が数倍にまで高騰しているという事情があります。さらに記事を読み進めると、この供給不足の根っこには「電力」という、私たち情熱電力にとっても他人事ではないテーマが横たわっていました。半導体の話は難しそうに感じるかもしれませんが、電気代や今後のエネルギー動向を考えるうえでも見逃せない内容です。今回は、業界の専門家の解説をもとに、要点をかみくだいてご紹介します。
 


 
目次

 


 

1. 半導体市場に何が起きている?「政府消費」による構造変化

半導体市場は長らく、パソコンやスマートフォン、薄型テレビといった「個人が使う商品」の需要によって動いてきました。ところが2023年ごろを境に、大きな変化が起きたとされています。それまで年率5%程度だった半導体市場の成長率が、7%前後へと上向いたのです。
 
この背景にあるのが「政府による消費」の拡大です。DX(デジタル・トランスフォーメーション)、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、AI(人工知能)といった分野は、いずれも政府の方針決定をきっかけに企業投資が動き出す「政府消費」に分類されます。2030年までの世界全体の政府消費は総額2100兆円規模に達し、そのうち半導体市場へのプラス効果は230兆円ほどにのぼるとみられています。
 
なかでも2026年は大きな伸びが見込まれており、単年で45兆円ものプラス効果があるとされています。2025年の押し上げ効果が120兆円だったことと比べても、相当なペースアップです。ちなみにGXが半導体消費を押し上げるのは意外に思われるかもしれませんが、これは主に太陽光や風力発電、蓄電池といった再生可能エネルギー関連の電力機器に使われる半導体が増えているためです。
 
ここで注目したいのが、金額ベースと個数ベースのギャップです。コロナ禍以降、半導体の消費「金額」は大きく伸びていますが、「個数」ベースではそれほど伸びていません。GPUの価格上昇やメモリー価格の高騰が主な要因で、数量そのものが急拡大しているわけではないのです。専門家は、この実態を見極めずに設備投資を急拡大させると、市場そのものを壊しかねないと警鐘を鳴らしています。
 


 

2. AI投資が牽引する半導体・電力需要の拡大

政府消費のなかでも、とりわけ勢いがあるのがAI関連投資です。米国のテック大手であるグーグル、アマゾン、メタ、マイクロソフトの4社によるAI投資は圧倒的な規模で、2026年は日本円換算で75兆円程度、2027年には100兆円規模に達すると見込まれています。これは日本の国家予算に迫る金額です。投資の多くはデータセンターのAIサーバー向けとされています。
 
一方、バイドゥやファーウェイ、テンセントといった中国のベンダーは、この規模には及ばないとされています。技術面では中国が米国に追いついているとの見方がある一方、収益力や株式市場の状況から、米国ほどの投資余力はないというのが実情のようです。
 
 

GAFAMの巨額投資はなぜ続けられるのか

これだけの投資規模を見ると「バブルではないか」と感じる方もいるかもしれません。しかし専門家は、米国のテック大手はキャッシュフローの範囲内で投資を賄えている点を指摘しています。たとえば、世界で10億人が月30米ドルを支払えば年間58兆円、法人向けでも世界の企業の半分にあたる1億社が月600米ドルを支払えば年間108兆円になる、という試算です。資料作成支援やクリエイティブ制作などにAIを日常的に活用する企業が増えるなかで、月10万円程度の支出は十分に見合うとの見方です。
 
ただし、2027年以降は投資額がキャッシュフローを上回る可能性があるとも指摘されています。そこで注目されているのが、2025年7月に米国で成立した通称「ジーニアス法」です。これは、米国債の購入額に応じて、民間銀行が「ステーブルコイン」という暗号資産を発行できるようにする仕組みで、中央銀行を介さず迅速に資金を供給できる点が特徴です。この仕組みを通じて、GAFAMなどの設備投資を資金面から支える枠組みができつつあるとされています。
 


 

3. メモリー不足はなぜ起きた?DRAM・NAND価格高騰の実態

AIサーバー向けにメモリーの供給が集中した結果、パソコンやスマートフォン向けのメモリーが不足し、価格も急騰しています。以下は、業界専門家が示したDRAMとNANDフラッシュメモリーの価格推移です。
 

指標 2025年Q3 2026年Q2 変化の目安
DRAM ASP(1GB当たり) 0.47ドル 約1.00ドル 約2倍
NANDフラッシュ ASP 0.07ドル 0.29ドル 約4倍

※ASP=平均販売価格。出所:OMDIAシニアコンサルティングアドバイザーへのインタビューをもとに作成
 
これほどの値上がりに加えて、そもそも必要な数量そのものを確保できていないメーカーも多いとされています。明確な統計値ではないものの、「本来必要な量に対して3〜4割ほど不足している」との声が業界から多く聞かれるそうです。過去のシリコンサイクルの調整局面では、需給のズレはおおむね5〜10%程度だったといわれており、それと比べても今回の不足は次元が違う規模といえそうです。
 
こうした需給の逼迫は、メモリーメーカー以外にも波及しています。たとえばAI半導体向けICパッケージ基板を手がけるイビデンは、今後3年間で5000億円の設備投資を発表しました。背景には、顧客企業からの「先行的な支払い」があったとされ、投資に慎重になりがちな部品・材料メーカーを動かす動きが、サプライチェーン全体に広がりつつあることがうかがえます。
 
とくに影響を受けやすいのが、いわゆる「格安パソコン」「格安スマホ」です。マージンの大きいハイエンド製品であればメモリー高騰をある程度吸収できますが、価格の安さを売りにする製品は原価に占めるメモリーの割合が大きく、価格転嫁も難しいため、供給確保に苦労しているメーカーが多いようです。
 


 

4. パソコン・スマホの供給正常化はいつ頃になるのか

気になる供給正常化の時期ですが、専門家も「明確な回答は難しい」としながらも、一定の見通しを示しています。
 
・ウインボンドやナンヤ、バンガード、中国のYMTCやCXMTといった中堅メモリーメーカーが投資を進めており、レガシー(旧世代)のDRAM・NANDの生産能力は徐々に増えつつあるとされています。
・AIサーバー向けの需給がどうなるかは別として、パソコンやスマートフォン向けについては2027年の頭から前半にかけて、需給の落ち着きが見えてくるとの見方が示されています。
・サムスンやSKハイニクスなど大手メモリーメーカーにとって、パソコン・スマホ向けの出荷金額はAIサーバー向けとほぼ同水準とされ、こちらの需要を無視できない事情もあるようです。
 
つまり、AI関連の需要が落ち着かなくても、メーカー各社が幅広い顧客層の要求に応えようとする力学が働くため、パソコン・スマホ向けの供給はそれなりに確保されていく、という見立てです。
 


 

5. 本当のボトルネックは「電力」——データセンターの電力消費急増

ここまで見てきた政府消費の拡大やAI投資には、実は大きな制約要因があるとされています。それが「電力」です。
 
サーバーの消費電力は、1年でおよそ2倍のペースで増加しているといわれています。米国ではすでにデータセンターの電力消費が総消費量の5%程度を占めており、2030年には10%に達するとの見方もあります。年率にすると17〜18%ずつ伸び続ける計算です。専門家の試算では、2030年に必要となる電力量は420ギガワットにのぼるとされ、これは原子力発電所およそ420基分に相当する規模だといいます。
 
この急増する電力需要に対応するため、米国では次のような対策が進められているとされています。
 
・発電所の新設
・電力供給網(グリッド)の刷新による効率化
・電源の800ボルト直流化
・データセンターの冷却方式を空冷から水冷へ切り替え
 
これだけの対策を講じてもなお、伸び続ける電力需要に追いつけるかは「微妙なところ」と専門家は述べており、今後も注視すべきポイントとされています。
 


 

6. 電気代・電力需給への影響とこれからの備え

半導体・メモリー不足の話から一転、最終的に見えてくるのは「電力」というキーワードです。AIデータセンターの急拡大は、半導体だけでなく電力そのものの需給にも大きな影響を及ぼしつつあります。日本国内でも、データセンターの新設や誘致が各地で進んでおり、電力需要の増加や電力コストの動向は、企業にとっても家庭にとっても他人事ではないテーマになりつつあります。
 
私たち情熱電力は長野県松本市を拠点に、地域のお客様に寄り添いながら電力小売を営んできました。こうした世界的な半導体・電力需給の変化は、いずれ電気料金の動向にも波及してくる可能性があります。だからこそ、日頃から電力市場の大きな流れをつかんでおくことは、家計や事業のコスト管理を考えるうえでも意味のあることだと考えています。
 


 
まとめ
パソコンやスマートフォンの出荷減速の背景には、AIサーバー向けにメモリーの供給が集中したことによる深刻な品不足と価格高騰がありました。DRAMは2025年Q3から2026年Q2にかけて約2倍、NANDフラッシュは約4倍にまで値上がりし、本来必要な量に対して3〜4割ほど不足しているとの声もあります。中堅メーカーの増産により、パソコン・スマホ向けの供給は2027年前半には落ち着く見通しですが、その先にあるより大きな課題が「電力」です。データセンターの電力消費は年17〜18%のペースで拡大しており、2030年には原発420基分に相当する電力が必要になるとの試算もあります。半導体の動向は、私たちの電気代やエネルギーの未来にも密接に関わっているといえそうです。
 


 
情熱電力からのお知らせ
今回ご紹介したように、AIやデータセンターの拡大は、今後の電力需給や電気料金にも影響を及ぼす可能性がある大きなテーマです。「うちの電気代、この先どうなるんだろう」「電力会社を見直したいけれど、何から考えればいいか分からない」という方は、お気軽にご相談ください。地域に根ざした情熱電力が、分かりやすく丁寧にご説明いたします。
 
TEL:0263-88-1183/お問い合わせ:https://jo-epco.co.jp/contact
 
 
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・資源エネルギー庁:エネこれ「増加が見込まれるデータセンターの電力需要をどうする?