お知らせ

INFO

2026.06.09 Tue

次世代太陽電池戦略の進捗と新施策:ペロブスカイト太陽電池の普及に向けた国内の現状

 
ペロブスカイト太陽光電池フィルムパネル
 
気になるペロブスカイト太陽電池に関して、経済産業省で第10回「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」が行われたようなのでまとめてみました。
かつて日本はシリコン太陽電池において国際競争力を低下させた苦い経験があります。その反省を踏まえ、現在は世界に引けを取らない規模とスピードで、量産技術の確立・生産体制整備・需要創出を三位一体で進める「次世代型太陽電池戦略」が推進されています。
日本が世界トップクラスの技術力を誇るペロブスカイト太陽電池ですが、世界各国との競争は激化の一途をたどっています。本記事では、2024年11月に策定された戦略の最新の進捗状況や、コスト目標、さらには自治体や政府が一体となって進める新たな需要創出の施策など、日本の太陽光発電の未来を握る最新トレンドを分かりやすく解説します。
 


 

ペロブスカイト太陽電池のコスト目標と量産化のロードマップ

次世代型太陽電池戦略では、軽量で柔軟な「フィルム型」および「ガラス型」において、2030年度までに14円/kWhを可能とする量産技術の確立を目指しています。さらに2040年には、補助金に頼らない自立化水準として10〜14円/kWh以下を目標に掲げています。
この発電コストを実現するためには、変換効率の改善や耐久性の向上、生産規模の拡大によるモジュールコストの低減が必須です。これに向け、国による手厚い投資支援のもとで国内企業の動きが本格化しています。
 
積水化学工業・積水ソーラーフィルム:2025年度から事業化を開始。シャープ堺本社工場を譲り受け、まずは2027年度に100MWの供給設備の稼働を予定しており、追加投資によって2030年までにGW(ギワワット)級の生産ライン構築を目指しています。
 
エネコートテクノロジーズ、リコー、パナソニックホールディングス:グリーンイノベーション(GI)基金の支援を受け、2030年度までに年間製造能力200〜300MW以上(フィルム型300MW、建材一体型ガラス型200MW)の量産体制構築に向けた研究開発を推進しています。
 
また、主要原材料である「ヨウ素」(日本は世界第2位の産出国で世界シェア約3割)や部素材、レーザー加工装置といったサプライチェーンに関しても、国が「GXサプライチェーン構築支援事業」などを通じて強靭な国内生産体制の確立を支援しています。
 
 

変換効率の限界を突破する「タンデム型」の動向

従来のシリコン太陽電池とペロブスカイト等を積層させ、変換効率を1.5〜2倍程度に向上させる「タンデム型太陽電池」の開発も加速しています。国内ではカネカが変換効率32.5%を達成しています。
 
タンデム型では、2030年までに発電コスト12円/kWh以下、変換効率30%以上、耐久性20年の実現を目指しています。GI基金においては、2030年度までに500MW以上の量産化構想を持つ「長州産業」と「カネカ」の2社が2026年2月に採択され、公共施設での屋外実証なども始まっています。
 
 

政府と地方自治体が主導する「需要創出」の新施策

普及のボトルネックとなる初期の需要創出に向け、政府は「政府実行計画」に基づきペロブスカイト太陽電池を率先導入する方針です。2026年夏頃には、政府部門における具体的な導入目標(2035年及び2040年)を策定する予定となっています。保有施設を調査したところ、一定条件下での導入ポテンシャルは屋根・外壁・窓を合わせて合計約106MWと推計されました。
 
さらに、地方自治体でも独自の野心的な導入目標を掲げる動きが広がっています。

自治体 2030年度目標 2035年度目標 2040年度目標
大阪府 80MW 530MW
東京都 約1GW 約2GW
愛知県 1.2GW

環境省などでは、民間企業や自治体を対象に導入補助金(補助率2/3、3/4)や事前調査補助金(補助率9/10)を措置しているほか、東京都では機器費・施工費を「10/10補助」する手厚い独自支援も実施予定です。
 
 

国内外の需要予測とリサイクルへの取り組み

国内の導入ポテンシャルを経済性の観点から見ると、日射量や設備利用率の有利な「屋根」から導入が始まり、コスト低下に伴って「壁面」や「窓」へと波及していく見込みです。発電コストが15円/kWhまで下がった場合、国内の導入ポテンシャルは25GW程度(公共部門20GW、民間/個人5GW)と推計されています。また、既設のシリコン太陽電池からタンデム型へのリプレース需要も期待されており、2040年までの累積リプレース容量は約67GWにのぼると推計されています。
 
グローバル市場に目を向けると、2040年時点で海外の需要量は約500〜1,000GW(発電コスト10円/hWhなら1TW超)に達する予測です。2050年の世界の太陽光市場全体(年間約140兆円)のうち、次世代型が50%(約70.4兆円)を占めると仮定し、日本企業が25%のシェアを獲得できれば、17.6兆円の経済効果が期待できます。
 
社会実装を安全・円滑に進めるため、NEDOは2026年3月に「フレキシブル太陽電池を利用した太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン(初版)」を公表しました。また、ペロブスカイトに含まれる鉛(0.5g/m²程度)の環境影響評価を含むリサイクルシステムの検証も2025年度からスタートしています。2026年5月には民間企業が抱える共通課題を解決するための業界団体「日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会(JPSC)」も設立され、国産ペロブスカイト普及へのインフラが急速に整いつつあります。
 
 

まとめ

日本発の技術であり、主要原材料であるヨウ素を自国で調達できるペロブスカイト太陽電池は、日本のエネルギー自給率向上と経済成長を両立させる「ゲームチェンジャー」です。これまでのシリコン太陽電池では設置が難しかった建物の壁面、窓、耐荷重の低い屋根やインフラ空間への導入が可能になることで、都市型太陽光発電の可能性は無限に広がります。
 
国や大都市圏の強力なバックアップ、そして民間企業の技術革新により、2025〜2026年はまさに「社会実装の黎明期」として大きな一歩を踏み出しました。コスト低減やリサイクル体制の確立といった課題をクリアしながら、日本の誇る次世代技術が世界のエネルギー市場をリードしていく日に期待が高まります。
 
 

【情熱電力からのお知らせ】次世代のクリーンエネ、未来の選択肢を共に

私たち情熱電力は、地域の皆さまとともに歩む未来のエネルギー社会を見据え、常に最新の再生可能エネルギー技術に注目しています。
今回ご紹介した「ペロブスカイト太陽電池」は、これまでの太陽光発電の常識を覆し、日本のエネルギー環境を大きく変える可能性を秘めています。今はまだ公共施設や大規模実証が中心の段階ですが、2030年に向けた技術革新とコスト低下により、将来的には皆さまのオフィスや工場、そしてご自宅の身近な場所でも活躍する日がやってきます。
情熱電力では、現在普及している安心・安全な太陽光発電システムの導入サポートはもちろん、将来的な次世代クリーンエネルギーの活用も含め、持続可能な電力環境の構築をサポートしてまいります。「再エネを導入したい」「自社の脱炭素化を進めたい」とお考えの方は、ぜひお気軽に情熱電力までご相談ください!
 
株式会社情熱電力へのお問い合わせは こちらからお願いします。
 
この記事に関連するページリンク
・経済産業省:次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会
・NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構):フレキシブル太陽電池を利用した太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン