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2026.10.22 Thu

【2026-27冬の天気予報】11月〜1月は気温高め 暖冬とスキー場・電気代への影響を解説

 
雪の少ないゲレンデに造雪機でつくられた雪山が積まれた初冬のスキー場と、暖冬予報を象徴する山並み
 
信濃毎日新聞に「暖冬 案じる県内スキー場」という記事があったので調べてみました。気象庁が10月20日に発表した向こう3か月の予報では、関東甲信の平均気温は11月が「高い」確率60%、12月と1月も50%。以前「【気象庁3か月予報】この冬は暖冬?10〜12月・寒候期予報の確率と電気代への影響を解説」でもお伝えしましたが、その見通しは今回も変わりませんでした。
 
スキー場にとっては死活問題ですし、私たちの暮らしにとっても「暖冬なら電気代が安く済むのかな」と気になるところですよね。でも、暖冬=電気代が下がる、とは言い切れないところがこの冬のややこしさです。
 
予報の数字そのものと、その裏にあるエルニーニョ現象、そしてゲレンデで何が起きているのかを、順番に見ていきましょう。
 


 
目次

 


 

1. 気象庁の最新3か月予報 11月〜1月の気温は「高い」が優勢

 
気象庁は2026年10月20日、11月から来年1月までの3か月予報を発表しました。関東甲信地方の確率は次のとおりです。
 

月 低い 平年並み 高い
11月 10% 30% 60%
12月 20% 30% 50%
1月 20% 30% 50%

出典:気象庁「3か月予報(2026年10月20日発表)」関東甲信地方/日本気象協会 tenki.jp
 
3か月をならした平均気温も「高い」が60%です。この「60%」という数字は、低い・平年並み・高いの3つに均等に分かれる状態(それぞれ約33%)と比べて、かなり偏りがあることを意味します。ただし「高い」が60%ということは、裏を返せば残りの40%は平年並みか低いということでもあります。暖冬予報だから寒波は来ない、という読み方はできません。
 
降水量も各月で「多い」が50%。晴れの日は平年より少なくなる見込みとされています。気象庁によると、冬型の気圧配置になりにくく、日本海側の降雪量は平年より少ない予想です。
 
 

 長野の平年値と比べるとどれくらい?

「気温が高い」と言われても、実感としてはつかみにくいですよね。長野地方気象台の観測地点である長野の月平均気温の平年値は、11月が7.9度、12月が2.3度、1月がマイナス0.4度です(信濃毎日新聞2026年10月21日付の報道による)。
 
この平年値より高くなりやすい、というのが今回の予報です。何度高くなるかまでは3か月予報では示されないため、「0.5度かもしれないし、2度かもしれない」という幅のある話として受け止めるのが良いと思います。
 


 

2. 暖冬予報の背景にある「エルニーニョ現象」とは

 
今回の暖冬予報の背景にあるのが、エルニーニョ現象です。南米ペルー沖の太平洋赤道域で海面水温が平年より高くなる現象で、日本付近では冬の寒気が流れ込みにくくなる傾向があるとされています。
 
今回のエルニーニョは規模が異例です。気象庁が10月9日に発表したエルニーニョ監視速報によると、監視海域の9月の海面水温は基準値より4.0度高く、1949年以降で最も高かった1997年12月の3.6度を上回りました。
(情熱電力の過去記事:エルニーニョ現象のしくみと判定基準については、こちらで詳しく解説しています)
 
エルニーニョが発生すると、日本の南を通る南岸低気圧が増えやすくなります。太平洋側では、普段は雪の少ない地域でも降雪に注意が必要になる一方、日本海側に雪をもたらす冬型の気圧配置は弱まる。「暖冬なのに、関東で雪が積もる」という一見ちぐはぐな現象が起こりうるのは、このためです。
 
なお、エルニーニョ現象は必ずしも「暖冬」とイコールではありません。過去にはエルニーニョの冬に強い寒波が来た例もあります。あくまで確率的に寒気が流れ込みにくくなる、という傾向の話です。
 


 

3. 県内スキー場はどう動いている?造雪機への投資が進む

 
暖冬予報をいちばん切実に受け止めているのが、スキー場です。信濃毎日新聞の報道によると、県内のスキー場では自然の雪を待たずに営業できる体制づくりが進んでいます。
 
軽井沢町の軽井沢プリンスホテルスキー場は、10月31日に今季の営業を開始する予定です。同スキー場はゲレンデの雪を全量人工雪でまかなっており、造雪機8台が24時間稼働して1日およそ450トンの雪を造っています。気温が下がれば降雪機195台も使えるようになり、年内に全14コースを完成させる計画とのことです。
 
白馬村のつがいけマウンテンリゾートは、12月1日のオープンに向けて降雪機を新たに18基導入し、既存の74基と合わせて計92基の体制になると発表しました。新型機は少ない電力と水量で効率よく降雪できるとされており、設備更新が省エネにもつながる形です。
 
このほか、松本市乗鞍高原のMt.乗鞍スノーリゾートは12月12日のオープンを予定し、降雪機の整備を終えています。
 
ゲレンデの雪を「待つもの」から「造るもの」へ。暖冬が常態化するなかで、スキー場の設備投資の優先順位が変わってきているのが見て取れます。
 
 

 「降雪機」と「造雪機」は何が違うのか

報道でも並んで出てくる「降雪機」と「造雪機」。似た言葉ですが、役割が違います。
 

種類 雪のつくり方 気温との関係
降雪機
(スノーマシン)
細かい水滴を空中に噴射し、落下する間に凍らせる 気温が十分に下がらないと使えない
造雪機 機械内部で氷をつくり、砕いて雪状にする 気温が高くても稼働できるとされる

軽井沢プリンスホテルスキー場が「気温が下がれば降雪機195台も使えるようになる」としているのは、この違いによるものです。暖かいうちは造雪機で土台をつくり、寒くなったら降雪機で一気に広げる。暖冬に備えるとは、つまり気温が高いうちから動ける設備を持つ、ということなんですね。
 
ただし、どちらも電気と水を大量に使う設備です。造雪機を24時間動かし続ければ、そのぶん電気の使用量は膨らみます。つがいけマウンテンリゾートが省エネ性能の高い新型機を選んだ背景には、こうした事情もありそうです。
 


 

4. 暖冬でも電気代が下がるとは限らない3つの理由

 
「暖冬なら暖房を使う量が減って、電気代も下がるのでは」と思いますよね。ただ、そう単純にはいきません。理由は3つあります。
 
ひとつめは、寒暖差です。平均気温が高くても、一時的な寒波は来ます。むしろ暖冬傾向の冬ほど、寒波が来たときの冷え込みが急で、暖房をフル稼働させがちです。じわじわ寒い冬より、乱高下する冬のほうが使用量が読みにくいという面があります。
 
ふたつめは、電気料金そのものの動きです。使用量が減っても、1kWhあたりの単価や補助の有無が変われば、請求額は上下します。燃料費調整額や再エネ賦課金といった、使用量とは別の要素も効いてきます。
 
みっつめは、冷え込んだ日に「勝手に増える電気」があることです。ガス給湯器には凍結予防用のヒーターが入っていて、リンナイの説明によれば機器周辺の温度が約3度以下になると自動で働きます(電源プラグが挿さっていることが条件で、抜いてしまうとヒーターもポンプも動きません)。水道管に巻く凍結防止帯も、サーモスタット付きのものは外気温3度前後で通電が始まります(サーモスタットのない古いタイプは、挿しているあいだ通電し続けるものもあります)。
どちらもこちらがスイッチを入れたつもりのない電気です。暖房を控えているのに使用量が思ったほど減らない、という年があるのは、こうした設備が静かに働いているからでもあります。日本海側は雪が少ない見込みでも、南岸低気圧が通れば普段は雪の少ない地域でも冷え込みます。ロードヒーティングや消雪ポンプを備えたお宅では、そのぶんの電気も加わります。
 
暖冬=節約できる冬、ではなく、読みにくい冬。そう構えておいたほうが、実際の請求書を見たときに慌てずに済みそうです。
 


 

5. この冬、家庭でやっておきたい備え

 
やることは、実はそれほど多くありません。
 
・エアコンのフィルター掃除を、本格的に寒くなる前に済ませておく
・暖房器具の設定温度を1度見直す(下げすぎず、上げすぎず)
・窓際の冷気対策(カーテンを床まで届く長さにする、断熱シートを貼る)
・毎月の使用量を記録して、前年同月と比べる習慣をつける
 
とくに4つめはおすすめです。暖冬の年は「去年より安いはず」という思い込みが生まれやすいので、実際の数字を並べておくと、値上がりや使いすぎに早く気づけます。
 
そして、寒波の予報が出たら、その日は暖房が集中する日だと思っておく。天気予報を電気の予報として見る習慣がつくと、冬の過ごし方が少し変わります。
 


 
まとめ
気象庁が10月20日に発表した3か月予報では、関東甲信の平均気温が「高い」確率は11月60%、12月・1月がそれぞれ50%。観測史上最も強い水準のエルニーニョ現象が続いていることが背景にあり、日本海側の降雪量は平年より少ない見込みです。
 
県内のスキー場は、この予報を前提に動き始めています。軽井沢プリンスホテルスキー場は造雪機8台を24時間動かして10月31日のオープンを目指し、つがいけマウンテンリゾートは降雪機を92基体制に増強しました。雪を待つのではなく、造って備える。暖冬が珍しくなくなった時代の、現実的な答えのひとつだと思います。
 
一方で、暖冬だから電気代も安く済む、とは言い切れません。一時的な寒波、単価の変動、太平洋側の降雪。この冬は「平均としては暖かいが、振れ幅が大きい」という読み方をしておくのが安全です。毎月の使用量を記録しながら、寒波の予報が出た日は少し意識して過ごす。それだけでも、春に振り返ったときの納得感が変わってきます。
 


 
情熱電力からのお知らせ
ところで私たち電力会社は、毎日のように天気予報とにらめっこしています。
 
電力は、お客さまが「明日どれだけ使うか」をあらかじめ予測し、その計画値を提出したうえで調達する仕組みになっています。つまり、使われた分をあとから数えるのではなく、予測が先に立つビジネスなんです。そしてこの需要予測に、いちばん効いてくるのが気温です。寒ければ暖房が、暑ければ冷房が動く。夏は気温だけでなく、湿度を加味した不快指数まで見ます。
 
ですから、今回のような3か月予報が出ると、私たちは「この冬の計画をどう組むか」という目で読みます。暖冬と言われても、寒波が来る日は必ずある。その日をどれだけ正確に見込めるかが、私たちの仕事の精度そのものになります。
 
我々にとって天気予報はとても大事。電力会社にはそんな一面もあるのだなと知っていただければうれしいです。
 
ご不明な点やご相談がありましたら、お気軽にどうぞ。
TEL 0263-88-1183 / https://jo-epco.co.jp/contact
 
 
この記事に関連するページリンク
・気象庁:全国の季節予報 3カ月予報
・気象庁:エルニーニョ監視速報
・日本気象協会:関東甲信地方の3か月予報
・信濃毎日新聞デジタル:長野県など11月~来年1月は気温高めか【関東甲信越3カ月予報】
・資源エネルギー庁:2026年度の電力需給見通しについて