水道料金値上げの裏側にあるインフラ老朽化、電気代にも忍び寄るコスト上昇のリスク

信濃毎日新聞に『水道広域化 議論リードを』という記事があったので調べてみました。長野県内の小規模な村営水道が、人口減少による料金収入の減少と、老朽化した設備の更新費用という「二重の重荷」を抱えているという内容です。標高1500mを超える山あいの村では、水道事業の年間予算をはるかに上回る改修費用が必要になるとされ、県も水道事業の広域化・広域連携を急いでいますが、実現の道のりは平たんではないようです。
読んでいて気づいたのですが、これは水道だけの話ではありません。人口減少と設備の老朽化という構造は、私たちが毎日使っている電気のインフラにも共通しています。今回は、水道の記事をきっかけに、電気代にも影響しうる「見えないコスト上昇」について、家計や事業運営の視点から調べてみました。
目次
- 1. 水道の「広域化」が急がれる背景ー信濃毎日新聞の記事から
- 2. 人口減少と老朽化が生む「水道クライシス」の実態
- 3. 水道の広域連携、進まない理由
- 4. 実は電気も同じ?インフラ老朽化と人口減少のダブルパンチ
- 5. 電気代を見直すことが、いま重要な理由
1. 水道の「広域化」が急がれる背景ー信濃毎日新聞の記事から
2026年7月16日付の信濃毎日新聞に、「水道広域化 議論リードを」という記事が掲載されていました。人口減少時代における県の役割を問う連載の一つで、8月9日投開票の知事選を意識した内容にもなっています。
記事の柱は、「人口減と老朽化 小規模水道に危機」という見出しに集約されています。長野県内の小規模な水道事業、とりわけ山間部の村が運営する簡易水道が、料金収入の先細りと設備更新費用の重さという二重苦に直面しているという指摘です。
普段、蛇口をひねれば当たり前のように出てくる水。その裏側で、これほど深刻な経営問題が進んでいるとは、意外と知られていないのではないでしょうか。
2. 人口減少と老朽化が生む「水道クライシス」の実態
南相木村にみる小規模水道のリアル
記事で取り上げられていたのが、長野県南佐久郡の南相木村です。標高1532mに位置し、「水と空気がタダ」といわれるほど自然豊かな村ですが、水道事業の実情は決して楽観できるものではないようです。
村の人口は2005年と比べて約2割超減少し、788人になっているとされています(記事より)。人口が減れば、当然ながら水道料金による収入も減っていきます。一方で、設備は待ってくれません。老朽化した施設の更新には13億円規模の費用が見込まれるとされる一方、村の水道事業の年間予算は約3千万円程度にとどまるといいます。
・人口減少により料金収入が先細りしている
・施設の多くが更新時期を迎えつつある
・更新費用が自治体の年間予算規模を大きく上回る
こうした状況の中、村では過疎債など交付税措置のある有利な借入れの活用を検討しているとのことですが、抜本的な解決には至っていないのが現状のようです。
県内水道事業の経営状況を示す数字
記事によれば、長野県内には公営・民営を合わせて124もの水道事業が存在するとされています。
経営状況を示す指標として紹介されていたのが「経常収支比率」です。これは料金収入で運営費用をどれだけ賄えているかを示すもので、100%を下回ると収入だけでは費用をカバーできていないことになります。記事では、県内82の水道事業のうち19事業、割合にして約23%がこの100%を下回っているとされ、南相木村については特に厳しい水準にあると報じられていました。
また、県内の年間給水量は1997年度をピークに減少傾向が続いているとのデータも紹介されています。1人1日あたりの平均給水量も同様に減少傾向で、2023年度は380リットル台とされています。使う人が減れば、当然ながら収入も減る。水道事業は、まさに人口減少の影響をダイレクトに受ける事業だといえそうです。
3. 水道の広域連携、進まない理由
こうした危機感を受けて、長野県は水道事業の広域化・広域連携を進めようとしています。記事によると、県内を9つの圏域に分けた「水道ビジョン」を策定し、圏域単位での事業統合を目指す方針だそうです。
具体的な動きとしては、上田市・千曲市・坂城町・長和町・青木村の5団体が、施設の共同管理やシステムの共同化を検討しており、システムを共同化した場合には年間15億円程度の削減効果が試算されているケースもあるとのことです。麻績村・筑北村・生坂村や山形村なども、業務の共同化を模索しているといいます。
ただし、記事の中では「圏域で中核的な動きを生むハードルが低い」「統合の効果を周辺自治体に波及させるのは容易ではない」といった課題も指摘されており、広域連携の実現時期は見通せていないのが実情のようです。自治体ごとに料金体系や設備の状況が異なる中で、足並みをそろえるのは簡単なことではないのでしょう。
4. 実は電気も同じ?インフラ老朽化と人口減少のダブルパンチ
ここまで水道の話をしてきましたが、実はこの構造、電気のインフラにもそのまま当てはまります。
電気は発電所でつくられた後、送電線・変電所・配電線といった設備を通じて各家庭や事業所に届けられます。これらの設備も水道管と同じように年数とともに老朽化し、更新や維持管理には継続的な投資が必要です。一方で、人口減少や省エネの進展によって電力の使用量そのものは減少傾向にあり、設備を維持するためのコストを、より少ない需要で支え合う構造になりつつあります。
こうした送配電網の維持コストは「託送料金」という形で電気料金に組み込まれており、実はどの電力会社から電気を買っていても、この部分の負担からは逃れられません。つまり、水道と同じように、電気の世界でも「使う人は減っているのに、インフラを維持するコストは簡単には下げられない」という構造的な圧力が働いているのです。
以下に、水道と電力インフラが抱える共通点を簡単に整理してみました。
| 比較項目 | 水道インフラ | 電力インフラ |
|---|---|---|
| 老朽化の状況 | 耐用年数を超えた設備が全国的に増加 | 送配電設備の高経年化が各地で進行中 |
| 人口減少の影響 | 料金収入の減少に直結しやすい | 需要減が託送料金など全体のコスト構造に影響 |
| 更新・維持コスト | 自治体ごとの財政負担が増大 | 託送料金を通じ利用者全体で負担 |
| 対応の方向性 | 広域化・共同化による効率化 | 設備更新・再エネ拡大・料金プランの見直し |
水道の記事を読んで「自分には関係ない話」と思った方も多いかもしれません。ですが、インフラの老朽化と人口減少という日本全体の構造的な課題は、水道か電気かという違いを超えて、私たちの生活コストにじわじわと影響を及ぼしていく可能性がある、という点は頭の片隅に置いておいていただきたいところです。
5. 電気代を見直すことが、いま重要な理由
インフラ維持コストの上昇圧力そのものを、私たち一人ひとりが止めることはできません。しかし、その中で「どの電力会社と、どんな料金プランで契約するか」は、自分自身で選ぶことができる数少ないポイントです。
・契約している料金プランが、今の使用状況に合っているか
・基本料金や単価の内訳を、きちんと把握できているか
・地域の電力事情に詳しい会社に、気軽に相談できる環境があるか
こうした点を定期的に見直すことは、家計にとっても、電気を多く使う事業所にとっても、これからますます大切になっていくはずです。インフラコストが構造的に上がりやすい時代だからこそ、「よくわからないまま契約している」状態を避け、納得感のある電気の選び方をしていただきたいと考えています。
まとめ
長野県内の水道事業は、人口減少による料金収入の減少と、設備老朽化による更新費用の増大という二重の課題を抱えており、県も広域化による効率化を模索していますが、実現には時間がかかりそうです。今回はこの水道の記事をきっかけに、実は同じ構造的な課題が電気のインフラにも存在することをご紹介しました。送配電網の維持コストは、どの電力会社と契約していても電気料金の一部として負担することになります。だからこそ、私たちにコントロールできる「料金プランの選び方」や「使い方の見直し」が、これからの時代はより重要になってきます。水道も電気も、当たり前に使えることのありがたさと、その裏側にある課題を、この機会に少し意識してみていただけたらうれしいです。
情熱電力からのお知らせ
今回ご紹介したように、電気料金の中には送配電網の維持コストなど、私たちにはコントロールしにくい部分も含まれています。だからこそ、契約している料金プランの内容を「わかりやすく」ご説明することを大切にしています。
情熱電力は長野県松本市を拠点に、地域に根ざした新電力として、お客様一人ひとりの電気の使い方に合わせたご相談を承っております。「今のプランが自分に合っているのか気になる」「電気代の内訳をきちんと知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。
TEL:0263-88-1183
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この記事に関連するページリンク
・信濃毎日新聞デジタル:水道事業を直撃する人口減や施設の老朽化 将来像に長野県はどう関わるのか
・国土交通省:上下水道 「水道広域化推進プラン」
・資源エネルギー庁:託送料金について
・資源エネルギー庁:料金設定の仕組みとは?