レタス1玉400円超はなぜ?日照不足で葉物野菜が高騰、家計への影響と対策を解説

以前「9月の日照不足で太陽光の発電量が前年比74%に」でも触れましたが、その後、日照不足の影響は食卓のほうにもはっきり出てきました。日本経済新聞に「レタス1玉400円超、パニック級高値の恐れ 日照不足で供給減」という記事があったので、調べてみました。
スーパーの野菜売り場で「あれ、高い」と足が止まった方も多いのではないでしょうか。レタス類の卸値は前年同期に比べて8割高。市場に入ってくる量は4割も少ない。「過去20年でここまでレタスの供給が厳しいのは初めて」という声まで出ています。
前回の記事で書いたのは、日が差さないと太陽光の発電量が落ちるという話でした。考えてみれば、野菜も同じ光で育っています。パネルと葉物野菜は、同じ空の下で同じものを受け取り損ねた。そう並べてみると、今年の9月が何を奪ったのかが見えやすくなる気がします。
どの野菜がどれだけ上がったのか。なぜここまでの不足になったのか。そして、いつまで続きそうなのか。順に見ていきます。
目次
- 1. レタス類の卸値は前年同期比8割高に
- 2. 葉物野菜が高騰した理由は日照不足と多湿
- 3. 店頭と外食の現場で起きていること
- 4. 一方で安くなっている野菜もある
- 5. 野菜が高いときの買い方と保存のコツ
- 6. いつまで続く?10月以降の見通し
1. レタス類の卸値は前年同期比8割高に
日本経済新聞が伝えたところによると、東京都中央卸売市場におけるレタス類の卸値は、9月中旬時点で1キログラム314円。前年同期に比べて8割高い水準です。しかも市場への入荷量は、前年同期比で4割少ない。値段が上がっているだけでなく、そもそも物が足りていません。
品目別に見ると、差はさらに大きくなります。
| 品目 | 卸値(1kg) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| レタス類(全体) | 314円 | 8割高 |
| レタス | 230円 | 6割高 |
| サニーレタス | 628円 | 9割高 |
| グリーンリーフレタス | 623円 | 2.2倍 |
| ミズナ | ― | 6割高 |
| ハクサイ | ― | 3割高 |
出典:日本経済新聞(東京都中央卸売市場、2026年9月中旬の卸値)。ミズナ・ハクサイは記事中に単価の記載がないため「―」としています
グリーンリーフレタスは2.2倍です。去年と同じ量を買おうとしたら、支払いは倍以上になる計算になります。キュウリが1割高、ナスが7%高と、葉物以外もじわりと上がっていますが、葉物の上がり方は明らかに別格です。
ある青果卸の担当者は「過去20年でここまでレタスの供給が厳しいのは初めて」と話しています。3年前に猛暑で起きた「トマトパニック」を引き合いに出し、今年は日照不足で「レタスパニック」になりかねない、と。市場関係者がここまで言うのは、相当のことです。
2. 葉物野菜が高騰した理由は日照不足と多湿
理由は、前回の記事で扱った9月の長雨そのものです。
9月のレタスの主産地である長野県について、JA全農長野は「日照不足に加え、気温も低かったことから玉が小さい傾向にあった」と説明しています。光が足りないと光合成が進まず、葉が十分に巻かない。小さい玉しか採れなければ、重量ベースの出荷量は当然減ります。
さらに厄介なのが、水です。レタスは多湿に弱く、葉が腐ってしまうこともある作物で、実際に病害が発生した例もあったとのこと。雨が降り続けると、育たないだけでなく、育ったものまで傷んでいきます。前回の記事で、リンゴの炭疽病や市田柿の条紋に触れましたが、構図は同じです。高温多湿は病気の条件がそろってしまいます。
(情熱電力の過去記事:9月の日照不足がどれほど記録的だったかは、こちらで数字をまとめています)
後続の産地も打撃を受けている
もう一つ見落とせないのが、「次の産地も準備ができていない」ことです。
例年、10月以降は茨城県産のレタスが増え始めます。ところが9月の大雨で一部の産地が浸水被害を受けました。さらに、9月は苗を植え付ける定植の時期にあたりますが、JA全農いばらきによれば「雨が続いて土が固まり、作業しにくい日が多くなっている」といいます。
ここが、今回の高騰を「すぐには終わらないかもしれない」ものにしている部分です。今採れていないだけなら、天気が戻れば回復します。しかし定植が遅れたということは、その分だけ収穫のタイミングが後ろにずれるということ。影響が先の月に持ち越されます。
ミズナやコマツナも同様で、東京市場への入荷量は前年同期比で3割ほど減りました。JAほこた(茨城県鉾田市)の担当者は「日照不足で生育が伸び悩む」と話しています。
3. 店頭と外食の現場で起きていること
卸値の上昇は、そのまま店頭に出てきます。
埼玉県桶川市のスーパーでは、9月28日時点でレタスが1玉438円、ハクサイの4分の1カットが275円という値がついていました。レタスは前年同期の2倍、ミズナは330円で3倍ほどです。サラダ1回分のつもりで手に取って、値札を見て戻した。そんな場面が各地で起きていたのではないでしょうか。
同店の担当者は「消費者も買い控え気味で、最近は代わりに豆苗などが売れるようになった」と話しています。豆苗は室内の水耕で育てられるため、天候の影響を受けにくい。買い物客の側も、ちゃんと逃げ道を見つけているわけです。
影響は業務用にも及んでいます。飲食店向けに野菜を扱う都内の青果卸の担当者は「自社で調達しているものだけでは足りず、社員がスーパーを回って買い集めないといけない状況」とのこと。国産の品薄を受けて中国産レタスの輸入を続けてもなお、逼迫しているといいます。
飲食店にとっては、仕入れ値が上がるだけでなく「メニューが出せない」事態になりかねません。サラダや付け合わせは、価格が上がったからといって急に値上げしにくい部分でもあります。
4. 一方で安くなっている野菜もある
ここまで悪い話が続きましたが、売り場のすべてが高いわけではありません。
順調なのが北海道産の野菜です。道産野菜は夏から秋にかけて収穫のピークを迎えますが、2025年は記録的な猛暑で低調でした。それが今年は、ホクレン農業協同組合連合会によると「夏場の気温が高くなりすぎず、雨も適度に降った」とのこと。
東京都中央卸売市場では9月中旬、道産のジャガイモが1割安、タマネギは4割安で取引されました。東京・練馬のスーパーでは17日時点で道産のジャガイモ(男爵)が1袋171円、タマネギが1袋214円。いずれも前年同期比で2割ほど安い水準です。
同じ年の同じ季節に、片方は8割高、片方は4割安。気候が産地ごとに違う顔を見せているということです。葉物が高いときは根菜や芋類に寄せる。昔からある知恵ですが、今年はそれが特によく効く年だといえそうです。
(情熱電力の過去記事:8月は逆に、猛暑で高原野菜の産地が苦しんでいました)
5. 野菜が高いときの買い方と保存のコツ
高い時期の野菜との付き合い方は、だいたい次の3つに整理できます。
・品目を替える:レタスの代わりにキャベツや豆苗、水菜の代わりに小松菜以外の青菜など、安いものに寄せる
・産地を替える:北海道産のように、今年は条件が良かった産地の品目を選ぶ
・形を替える:カット野菜や冷凍野菜は、生鮮の相場ほど極端には動かないことがあります
そしてもう一つ、意外と大きいのが「買った分を傷ませない」ことです。1玉438円のレタスを半分捨ててしまえば、実質的な単価は876円になります。高い時期ほど、保存の丁寧さがそのまま家計に効いてきます。
葉物は、湿らせたキッチンペーパーで包んで袋に入れ、立てて冷蔵する。それだけでも持ちが変わります。使い切れない分は、さっと茹でて小分けに冷凍しておくと無駄が出ません。
冷蔵庫の使い方で電気代は変わる
保存の話が出たので、電気の側からも少しだけ。
冷蔵庫は、庫内に物を詰め込みすぎると冷気の通り道がふさがれ、冷却効率が落ちます。買いだめをしたときほど、ぎゅうぎゅうに押し込みたくなるものですが、少し余裕を持たせたほうが結果的に効率がよい。これは資源エネルギー庁の省エネ情報でも案内されている、基本の考え方です。
一方で冷凍室は逆で、ある程度詰まっているほうが、凍った食品同士が保冷し合うため効率的だとされています。茹でた葉物を小分けにして冷凍室に入れておくのは、食材の無駄を防ぎつつ、冷凍室の中身も埋まるという、二重に都合のいい話です。
ちなみに、冷蔵庫の設定温度を「強」から「中」に変えるだけでも消費電力は下がりますが、食品の傷みと引き換えになります。野菜が高い時期に無理をして傷ませては本末転倒ですから、ここは欲張らないほうがよさそうです。
6. いつまで続く?10月以降の見通し
大田市場の青果卸は「10月いっぱいは入荷量が極端に少ない状況が続くのではないか」と警戒しています。
天気そのものは回復に向かう見込みです。気象庁は10月について、全国的に天気が数日の周期で変わり、平年に比べて晴れの日が多いとしています。ただ、野菜の値段は天気より遅れて動きます。今日晴れたから明日レタスが安くなる、という話ではありません。今から育てはじめたものが店頭に並ぶまでには時間がかかりますし、定植が遅れた分は、そのまま出荷の遅れとして残ります。
つまり、しばらくは高値が続くと見ておくのが現実的です。そのうえで、産地の切り替えが順調に進めば、冬にかけて徐々に落ち着いてくることが期待できます。
今回の件は、気候と暮らしのつながりをあらためて見せてくれました。日が差さなかった1か月が、発電量を減らし、果物に病気を呼び、サラダの値段を2倍にした。別々の出来事のようでいて、原因はひとつです。天気が読みにくくなるということは、こういう形で家計や事業に返ってくるのだと思います。
まとめ
9月の日照不足と長雨によって、葉物野菜の供給が大きく落ち込みました。東京都中央卸売市場のレタス類の卸値は前年同期比8割高の1キログラム314円、入荷量は4割減。グリーンリーフレタスは2.2倍、サニーレタスは9割高です。店頭でもレタス1玉438円、ミズナ330円といった値がつきました。
背景にあるのは、主産地での玉の小ささと病害、そして後続産地での浸水と定植の遅れです。今採れていないだけでなく、次の収穫も後ろにずれている。これが「10月いっぱいは続くのでは」という警戒につながっています。
一方で、北海道産のジャガイモやタマネギは前年より安く取引されています。すべてが高いわけではありません。安い産地・品目に寄せる、買った分を傷ませない、冷蔵庫に余裕を持たせる。地味ですが、この3つが効く時期です。天気が戻れば野菜も戻ってきます。それまでの、しのぎ方の話だと思って付き合っていきたいところです。
情熱電力からのお知らせ
野菜も電気も、値段が動く理由は案外似ています。供給がどれだけあるか、そして需要がどれだけ重なるか。違うのは、電気のほうは契約の形によって、変動の受け止め方を選べるという点です。
「今月は高い気がする」が続くようでしたら、一度ご相談ください。使用量のどこが季節の要因で、どこが契約の条件で決まっているのか。切り分けてご説明します。飲食店さまや食品を扱う事業所さまは、冷蔵・冷凍設備の稼働が電気代の大きな部分を占めますので、そのあたりも含めてお話しできます。
TEL 0263-88-1183
https://jo-epco.co.jp/contact
この記事に関連するページリンク
・農林水産省:野菜の生育状況及び価格見通し(令和8年10月)について
・東京都中央卸売市場:販売結果(青果)
・独立行政法人農畜産業振興機構(alic):「ベジ探 野菜情報」
・気象庁:農業気象
・資源エネルギー庁(省エネポータルサイト):キッチン 無理のない省エネ節約