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2026.10.04 Sun

9月の日照不足で太陽光の発電量が前年比74%に 記録的な長雨と電気代への影響を解説

 
厚い雨雲の下で雨に濡れる太陽光パネルと、長雨で日照不足が続いた秋の里山
 
信濃毎日新聞の10月2日付朝刊に「県内 記録的な9月の長雨」「雨多し 県内戸惑い」という2本の記事があったので、まとめて調べてみました。
 
正直なところ、記事を読む前から体感がありました。「こんなに晴れない9月は初めてだ」と。弊社で見ている太陽光発電の発電量も、前年同月比で74%まで落ち込んでいます。4分の1が消えた計算です。気のせいではなかったのだと、数字を見て妙に納得してしまいました。
 
9月というのは本来、残暑と秋晴れが入れ替わる月です。ここ数年は「暑さがいつまで続くのか」という話ばかりしていました。それが今年は一転して、雨と曇りの話になった。発電量だけでなく、果樹の生育にも、保育園の運動会にも、そして体調にも影響が出ています。
 
記録的だったのは、どれくらい記録的だったのか。そして10月以降はどうなるのか。気象庁の発表まで遡って確かめてみます。
 


 
目次

 


 

1. 県内の9月、日照時間は平年の5〜6割にとどまった

 
信濃毎日新聞が長野地方気象台のまとめとして伝えたところによると、県内の9月の日照時間は、比較可能な27観測地点のうち10地点で平年比5割台、14地点で6割台にとどまりました。つまり24地点、ほぼ9割の地点が「平年の7割未満」だったということになります。
 
主要5地点の数字を並べてみます。
 

観測地点 9月の日照時間 平年比
長野 102.3時間 68%
諏訪 94.2時間 62%
松本 93.3時間 62%
飯田 91.7時間 59%
軽井沢 64.8時間 51%

出典:信濃毎日新聞 2026年10月2日付朝刊(長野地方気象台のまとめ)
 
最も少なかった軽井沢は64.8時間、平年の51%です。1か月で64時間ということは、1日あたり2時間ちょっとしか日が差さなかった計算になります。同紙によれば、これは1945年の統計開始以来、2番目の少なさでした。
 
降水量のほうも極端でした。大鹿では429.5ミリと平年比220%を記録し、県内26地点で平年の1.5倍を超えています。降った量そのものより、「降る日が多かった」ことのほうが体感に効いた月だったのではないでしょうか。
 


 

2. 東日本の太平洋側は統計開始以来の多雨・日照不足

 
この長雨は県内に限った話ではありません。気象庁は10月1日、「9月の東日本太平洋側の記録的な多雨・日照不足と今後の見通しについて」という報道発表を出しています。一次情報を当たってみると、そこには次のような数字が書かれていました。
 
・東日本太平洋側の9月の降水量平年比は236%で、1946年以降で最多。従来の記録は1982年の182%
・同じく日照時間平年比は46%で、1946年以降で最少。従来の記録は1988年の54%
・12地点で、月降水量の多い方からの記録を更新
 
ここで注目したいのは、記録の「更新幅」です。降水量は182%だった従来記録を236%で塗り替え、日照時間は54%だった記録を46%まで下げました。わずかに上回ったのではなく、80年近い統計の中でこれまで一度もなかった水準に、はっきりと踏み込んでいます。「こんな9月は初めて」という実感は、統計的にもその通りだったわけです。
 
 

 原因は秋雨前線の長期停滞

気象庁は要因として、秋雨前線が本州付近に長期間停滞したことを挙げています。太平洋高気圧と一体化した優勢な高気圧と、大陸から張り出した秋の高気圧。その2つに挟まれる形で前線が居座り、活動も非常に活発になりました。そこに台風の接近が重なったことで、雨の日が途切れなかったという構図です。
 
秋雨前線そのものは毎年現れます。珍しいのは、それが動かなかったこと。前線は普通、高気圧の勢力が変われば南北に動いて、晴れ間が入ります。今年はその押し引きが起きにくい配置が続きました。
 


 

3. 太陽光発電の発電量はどれくらい減ったのか

 
日照時間が平年の5〜6割ということは、太陽光発電にとってそのまま発電量の問題になります。冒頭でも触れたとおり、弊社で見ている発電量は前年同月比74%でした。
 
ただし、ここは少し丁寧に見たほうがいい部分です。日照時間が6割なら発電量も6割、とはなりません。日照時間は「直射日光が地表を照らした時間」を数えたもので、太陽光パネルは曇り空の散乱光でも発電するからです。薄曇りでも、晴天時の2割前後は発電します。日照時間の落ち込みほどには発電量が落ちない。これはパネルの性質として知っておいてよい点だと思います。
 
とはいえ、4分の1が消えるのは小さくありません。売電していれば収入がそのまま減りますし、自家消費していれば、減った分を買電で埋めることになります。
 
 

 自家消費型の工場で起きていたこと

信濃毎日新聞は、佐久市の樫山工業の例を伝えています。同社は県内4工場のうち2工場で太陽光発電システムを稼働させ、工場で使う電力の一部を賄っています。パネルは計2980枚、総面積は約6100平方メートル。昨年の年間発電量は約1114メガワット時でした。
 
その9月の発電量が、約9万7千キロワット時。前年同月比で2割以上の減少です。消費電力全体に占める自給率は約9%で、残りは外部から購入しているとのことでした。
 
自家消費型の太陽光は、発電した分だけ買電が減る仕組みです。裏を返せば、発電が落ちた分はそのまま購入電力量の増加として請求書に出てきます。規模が大きいほど、「天候で月の電気代が動く」という感覚は強くなります。
 
天候による変動を均したいのであれば、蓄電池を組み合わせて日中の余剰を夜間に回す、あるいは電力の購入契約そのものを単価の読める形にしておく、といった打ち手が現実的な選択肢になります。発電量を天気任せにしない、という発想です。
 


 

4. 果樹や農作物への影響

 
同紙の27面では、農業への影響が詳しく紹介されていました。
 
飯田市座光寺のリンゴ農家では、11月中旬に収穫する晩生種の「ふじ」に、実の表面が円形に腐り始める「炭疽病」が出ています。高温多湿を好む病気で、9月の長雨がその条件をつくってしまいました。農家の方は「雨続きで薬剤の散布ができず、散布しても雨で流されてしまった」と話しています。病気を防ぐには散布の回数を増やしたいのに、雨でそれができない。もどかしい状況です。
 
飯田下伊那特産の市田柿にも影響が出ています。柿が水分を吸って実が肥大する傾向があり、肥大した実の皮がひび割れる「条紋」が生じているとのこと。条紋ができた柿は加工に適さず、商品にならないものが出てきます。
 
日照不足は、農作物にとって「光合成の材料が足りない」という直接の問題でもあります。糖度が上がりにくい、着色が進みにくい、収穫が遅れる。秋の味覚は、9月の日差しで仕上がりが決まる部分が大きいのです。
(情熱電力の過去記事:気候の変化が農業と電気代に与える影響については、夏の高原野菜の記事でも取り上げました)
 


 

5. 日照不足と体調の関係

 
周囲でも「今年の9月は体調を崩した」という声をよく聞きました。
 
日照時間の減少と気分の落ち込みの関係は、季節性感情障害(SAD)として知られています。秋から冬にかけて日照が減る時期に、気分の落ち込みや過眠、だるさなどが現れるもので、光を浴びる量の減少が関係しているとされています。例年なら10月以降に起きやすい条件が、今年は9月の時点で揃ってしまったという見方はできそうです。
 
ただし、今回の長雨で体調不良が何割増えた、といった統計は見当たりませんでした。気圧の変動や、気温の上下が激しかったことの影響もあります。ですので「長雨が原因だ」と言い切ることはしません。できることとして現実的なのは、晴れた日の午前中に少し外に出る、室内の照明を明るめにしておく、といった程度の話です。症状が続くようであれば、医療機関に相談してください。
 
ちなみに、照明をつけている時間が長くなれば、その分の電気はかかります。とはいえ、LED照明を数時間余分に点けたところで、月の電気代に与える影響はごくわずかです。暗い部屋で過ごすことと比べれば、点けたほうがいい場面のほうが多いはずです。
 


 

6. 10月以降の見通しと、電気代への備え

 
気象庁の同じ発表には、今後の見通しも書かれています。10月は全国的に天気が数日の周期で変わり、平年に比べて晴れの日が多い見込み。東日本太平洋側で降水量の多い状態や日照時間の少ない状態が続く可能性は小さい、とされています。
 
つまり、9月の状況がそのまま10月も続くわけではなさそうです。太陽光の発電量も、平年並みに戻ることが期待できます。
 
ただ、ここから先に控えているのは冬です。暖房の電気代が立ち上がる季節に向けて、9月に起きたことは一つの教訓を残しました。再生可能エネルギーの発電量は天候で動く。そして天候は、これまでの経験則から外れた動き方をすることがある。「去年と同じくらいだろう」という前提が、必ずしも成り立たないということです。
(情熱電力の過去記事:この冬の見通しについては気象庁の3か月予報をもとにこちらで整理しています)
 
家庭であれば、電気の使用量を月単位で記録しておくと、天候要因なのか使い方の変化なのかを切り分けられます。事業所であれば、自家発電の比率が高いほど天候による変動も大きくなるので、購入電力の契約単価が読めるかどうかが効いてきます。どちらも、慌ててからでは選択肢が狭くなる話です。
 


 
まとめ
2026年9月は、県内の27観測地点のうち24地点で日照時間が平年の7割を下回り、軽井沢では平年比51%まで落ち込みました。全国で見ても、東日本太平洋側の降水量平年比236%・日照時間平年比46%は、いずれも1946年以降で最も極端な記録です。原因は、本州付近に長期間停滞した秋雨前線でした。
 
この1か月は、太陽光発電の発電量を前年同月比74%まで押し下げ、佐久市の工場では2割以上の減少として表れました。リンゴには炭疽病が、市田柿には条紋が出ています。体調を崩した方も少なくなかったようです。日が差さないということが、これほど広く影響するのかと改めて感じた9月でした。
 
10月は晴れの日が多い見込みで、9月の状態が続く可能性は小さいとされています。ひとまず安心ですが、天候が読みにくくなっているのは確かです。発電量も電気代も、「去年と同じ」を前提にしない。そのくらいの構えが、ちょうどよいのかもしれません。
 


 
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自家消費型の太陽光を導入されている事業所さまからのご相談も承っています。発電量の変動に対して、購入電力の側をどう組むか。地域の事情を踏まえてお話しできることがあるかと思います。
 
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この記事に関連するページリンク
・気象庁:9月の東日本太平洋側の記録的な多雨・日照不足と今後の見通しについて
・気象庁:過去の気象データ検索
・長野地方気象台:長野県の気象概況(年のまとめ)
・厚生労働省 e-ヘルスネット:快眠と生活習慣