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2026.06.25 Thu

第11回次世代電力系統WGからみる系統空押さえ対策と系統用蓄電池ビジネスへの影響

 
解説します。
 
第11回「次世代電力系統WG」が開催され、以前から問題視されている「系統空押さえ対策」に関して、政府が新たな制度を導入する方針を打ち出したようなので調べてみました。近年、データセンターや半導体工場などの局地的な大規模需要、および系統用蓄電池をはじめとする発電等設備の接続申し込みが急増しています。しかし、確保された系統容量が実際には使用されない「空押さえ」が多発し、本当に電気を必要とする事業者の接続を阻む要因となっていました。これに対し政府は、需要家側には「容量開放」や「費用精算」、発電・蓄電池側には「接続検討数の上限設定」や「土地使用権原の提出要件化」といった極めて厳格な規律を導入します。これらの新ルールは、今後の系統用蓄電池ビジネスの確度や参入環境にどのような影響を与えるのか、正確なデータをもとに解説します。
 


 

需要家側(大規模需要)への新たな規律:2027年度初頭より導入へ

大規模なデータセンターや工場などの需要家に対し、空押さえを是正するための新たなペナルティやルール(対応①・②)が示されました。
 
 

適用対象となる「大規模需要」の定義

閾値の設定: 2020年度以降に新設された全国の特別高圧需要家のうち、上位約1割に相当する「最終契約電力30MW以上」の需要家が対象となります。
 
 

対応①:容量開放(段階別契約の未達対策)

概要:
段階別契約において、途中段階の供給開始延期や契約電力の減少(下方修正)が発生した場合、一送(一般送配電事業者)はその差分系統容量を接続待ちの案件に開放できるようになります。
猶予期間:
1年限りの供給開始延期、または1年以内に当初計画通りに設定し直す場合は許容されます。
対象エリア:
系統の空き容量水準を用い、接続申込が多いエリアに適用されます。
 
 

対応②:費用精算(供給開始の延期対策)

概要:
需要家が供給開始を延期し、一定期間最終契約電力を設定しない状態が続く場合、一送側から契約電力を変更(通常契約は解除、段階別契約は引き下げ)し、要した費用の実費(精算金)を請求します。
対象エリア:
系統の混雑状況を問わず、全国一律ですべてのエリアに適用されます。
 
 

【スケジュール】

これらの契約電力に関する規律(容量開放・費用精算)は、既存の契約締結済みの需要家も含めて、2027年度初頭からの適用開始を目指して関係規程類の改定が進められます。
 


 

発電等設備・系統用蓄電池側への規律:2026年より順次運用開始

系統用蓄電池をはじめとする発電等設備に対しても、事業確度の低い「空押さえ案件」を排除し、迅速な系統連系を促すための具体的なルールと開始時期が確定しました。
 
 

1. 一事業者あたりの「接続検討数」の上限設定(2026年8月1日運用開始)

多数の接続検討申し込みによる手続きの長期化を防ぐため、エリアごとに一事業者(同一グループ等)が申し込める上限数が設定されました 。
2026年8月1日時点で未受付の案件のうち、上限を超過する分については受付手続きがなされず、事業者へ通知されます。

エリア 上限数(件)
北海道 5
東北 6
東京 11
中部 7
北陸 5
関西 12
中国 5
四国 5
九州 8

 
 

2. 契約申込における「事業用地の使用権原」の提出要件化(2026年10月1日運用開始)

ルールの内容:
契約申込のプロセスにおいて、連系承諾から2ヶ月以内に土地の使用権原を証する書類(土地の登記簿謄本や賃貸借契約書の写しなど)の提出が必須となります。期限内に提出されない場合は、連系予約が取り消されます。
対象:
原則として非FIT/非FIP電源(系統用蓄電池など)が対象です。
例外措置:
土地の新たな取得を伴わない既設設備の増強・更新・改修や、土地を追加取得しても系統への影響(出力増加など)がない場合は、提出不要とされます。
 
 

3. 系統接続に係る手続期限の設定(2026年10月1日運用開始)

工事費負担金の入金期限:
特別高圧需要家等を対象に、プロセス停滞による空押さえを防ぐため、供給承諾から3ヶ月以内に工事費負担金を入金することが義務付けられます 。期限超過時は契約申込が解除されます。
不備・変更時の申込取消:
契約申込時に需要家都合による不備や技術検討に影響を及ぼす変更が生じた場合は、申込が一旦取り消され、再度並び直し(新規申込)となります。
 


 

まとめ

今回の次世代電力系統WGで示された方針は、系統の「空押さえ」を徹底的に排除するという政府の強い姿勢の表れです。
特に系統用蓄電池ビジネスを検討している事業者にとっては、2026年8月の「接続検討数の上限設定」や10月の「土地使用権原の提出要件化」により、これまで以上に“事業の確度(実現可能性)”が早期から求められることになります。
 
一方で、需要家側への「容量開放」が2027年度から本格化すれば、これまでデータセンターなどに押さえられていた系統容量が市場に吐き出され、順番待ちをしていた確度の高い蓄電池事業者にチャンスが回ってくる可能性も高まります。ルール変更をリスクと捉えるだけでなく、タイムラインを正確に把握し、戦略的に動くことがこれからの蓄電池ビジネスの勝敗を分けるでしょう。
 


 
情熱電力からのお知らせ
系統用蓄電池ビジネスへの参入において、「系統容量の確保」と「確実な土地権原の取得」は切っても切れない重要課題となりました。今回の規律強化により、連系承諾からわずか2ヶ月以内での書類提出や、エリアごとの接続検討枠の制限など、よりスピード感を持った開発体制が必要不可欠です。
情熱電力では、これまでに培った専門的な知見とネットワークを活かし、系統蓄電池ビジネスをサポートいたします。
系統蓄電池ビジネスをご検討中の事業者様は、ぜひお早めに情熱電力までご相談ください。
新時代を勝ち抜く確度の高い蓄電池プロジェクトを、共に実らせましょう。
 
株式会社情熱電力へのお問い合わせは こちら からお願いします。
 
この記事に関連するページリンク
・経済産業省:次世代電力系統ワーキンググループ(第11回:2026年6月10日開催)
 ┗ 資料1 局地的な大規模需要に対する規律確保について
 ┗ 資料2 系統用蓄電池をはじめとする発電等設備の迅速な系統連系に向けた対応について