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2026.10.20 Tue

電気・ガス代補助金はいつ再開する?9月使用分で終了、11月の請求が上がる2つの理由

 
事務所のデスクに置かれた電気料金の明細と電卓、奥に見える工場の屋根
 
新聞各紙に配信された共同通信の記事「電気・ガス代補助再開検討 自民萩生田氏、年末に向け」を読んで、調べてみました。自民党の萩生田光一幹事長代行が2026年10月18日のNHK番組で、電気・ガス代の補助について「エネルギー補助は今までもやってきたし、これからも続けていく」と述べ、年末に向けて再開を検討する考えを示した、という内容です。
 
ここで「再開」という言葉が出てきたということは、裏を返せば、いまは補助が止まっているということですよね。実は2026年夏の電気・ガス料金支援は、9月使用分でもう終わっています。しかもこの補助は、請求書に「値引き」として独立して出てくるとは限りません。気づかないうちに終わっていた、という方が多いのは、そのためです。
 
そして今年は、もうひとつ別の値上がり要因が同じタイミングで重なりました。使用量の大きい事業所ほど、金額としてのインパクトは大きくなります。この記事では、何がいつ終わったのか、請求がいくら上がるのか、再開の話はどこまで決まっているのかを、順番に整理していきます。
 


 
目次

 


 

1. 電気・ガス代の補助金は、2026年9月使用分で終わりました

 
まずは、確認からです。2026年の支援の対象は7月使用分から9月使用分までの3か月間でした。値引きの単価は次のとおりです。
 

区分 7月使用分 8月使用分 9月使用分
電気(高圧) 1.8円/kWh 2.3円/kWh 1.8円/kWh
電気(低圧) 3.5円/kWh 4.5円/kWh 3.5円/kWh
都市ガス 14.0円/m³ 18.0円/m³ 14.0円/m³

出典:資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」特設サイト。都市ガスは年間契約量1,000万m³未満のご契約が対象で、プロパンガス(LPガス)はこの支援の対象外です。
 
(情熱電力の過去記事:この夏の支援がどういう経緯で決まったのかは、高圧の単価も含めてこちらで解説しています)
 
ところで、この支援は請求書のどこに入っていたのでしょうか。実は、ここが今回いちばん分かりにくいところです。
 
情熱電力では、低圧・高圧のいずれも燃料費調整単価に含めて計算する形で支援を反映してきました。独立した「値引き」の行があるわけではなく、燃料費調整単価そのものが、支援の分だけ低く表示されています。この扱いは経済産業省からの通達に沿ったもので、請求書のサンプルチェックも受けています。
 
では、どこを見れば支援の額が分かるのか。明細の欄外にある注記です。情熱電力の請求書には、燃料費調整単価のすぐ下に、次の1行が入っています。
 
・(低圧)※1 燃料費調整単価には、国による電気料金軽減措置(-3.50円/kWh)を含んでいます。
・(高圧)※1 燃料費調整単価には、国による電気料金軽減措置(-1.80円/kWh)を含んでいます。
 
実際の数字で見ると、影響の大きさが分かります。2026年10月分の請求書では、燃料費調整単価は低圧が0円09銭/kWh、高圧が2円74銭/kWhでした。どちらも、支援の分が差し引かれたあとの数字です。
 

区分 10月分の燃料費調整単価(支援込み) 含まれる支援 支援を除いた水準
低圧 0円09銭/kWh -3.50円/kWh 3円59銭/kWh
高圧 2円74銭/kWh -1.80円/kWh 4円54銭/kWh

出典:情熱電力の2026年10月分の請求書より(いずれも税込)。燃料費調整単価は毎月変わります。右端は、同じ月の単価から支援分を戻した水準です。
※なお情熱電力の燃料費調整額は、みなし小売電気事業者(大手電力会社の小売部門)と同じ算定式を用いています。独自の算定式を採用している小売電気事業者もあるため、他社の請求書と単価を見比べるときは、同じものを比べているかどうかにご注意ください。
 
燃料価格そのものがまったく動かなかったとしても、支援が外れれば、燃料費調整単価の表示はこの水準に戻ります。低圧では0円09銭が3円59銭へ。数字の見た目は大きく変わりますが、実際に増えているのは1kWhあたり3.50円です。
 
そして11月以降の請求書では、この※1の注記そのものがなくなります。「補助が終わった」と請求書の上で分かる手がかりは、実はこの1行です。
 
ここで混乱しやすいのが、「9月使用分で終わり」と「11月の請求から上がる」のあいだにある、1か月以上のずれです。これは検針のタイミングによるものです。
 
エネ庁の説明では、たとえば「7月使用分」とは、7月中の検針日から8月中の検針日までの使用分を指します。ただし、期間の区切り方は電気を使用する施設の検針日によって違います。実際、情熱電力の2026年10月分の請求書を見ると、ある低圧のご契約は9月11日〜10月13日、ある高圧のご契約は9月1日〜9月30日と、同じ「10月分」でも期間の取り方が異なります。確実なのは、お手元の検針票にある「ご使用期間」欄を見ることです。
 
いずれにしても、10月に届いた請求書が支援の入った最後の1枚で、支援のない最初の請求書が11月に届く、という順番は共通です。
 
請求書を保管されている方は、10月分を1枚取り出して、燃料費調整単価の行と欄外の注記を見てみてください。そこに書かれている数字が、11月以降との比較の基準になります。
 


 

2. 11月の請求が上がる理由は、ひとつではありません

 
今年のやっかいなところは、補助の終了と、まったく別の制度変更が、ほぼ同じタイミングで重なったことです。順番に見ていきます。
 
 

 理由① 燃料費調整額から、支援の分が外れる

計算そのものは単純です。高圧なら1kWhあたり1.8円、低圧なら3.5円の支援がなくなります。単価が決まっているので、自社の使用量をかければ目安が出ます。
 
・高圧で月20,000kWh使う事業所 → 1.8円 × 20,000kWh = 約36,000円
・高圧で月50,000kWh使う工場 → 1.8円 × 50,000kWh = 約90,000円
・低圧で月1,500kWh使う店舗 → 3.5円 × 1,500kWh = 約5,250円
※いずれも単価に使用量をかけた単純計算です。税や各社の料金体系によって実際の金額は前後します。
 
高圧の単価は低圧のおよそ半分ですが、使う量の桁が違うので、金額としては事業所のほうが大きく効いてきます。年間に直すと、月20,000kWhの事業所で40万円を超える水準です。これは「気づいたら増えていた」で済ませるには大きい額ではないでしょうか。
 
 

 理由② 11月1日からの託送料金の改定

もうひとつが、託送料金の改定です。託送料金というのは、送配電網を使うための料金で、電気料金のなかに最初から組み込まれています。どの小売電気事業者と契約していても、エリアごとに同じ金額がかかる部分です。切り替えで避けられる性質のものではない、という点がポイントになります。
 
託送料金は、レベニューキャップ制度という枠組みのもとで、5か年の事業計画に基づいて決められています。中部電力ミライズの説明によれば、今回は物価や労務費、金利などの上昇を反映するための「期中調整」が行われ、2026年11月1日から託送料金が見直されることになりました。これを受けて、小売側の電気料金単価も見直されます。
 
中部電力パワーグリッドが2026年9月11日に公表した託送供給等約款の変更届出によれば、1kWhあたりの平均託送料金は次のように変わります。
 

区分 現行単価 改定単価 差引
高圧 3.49円 3.93円 +0.44円
特別高圧 1.76円 1.82円 +0.06円
低圧 9.13円 10.76円 +1.63円

出典:中部電力パワーグリッド「託送供給等約款の変更届出について」(2026年9月11日)。いずれも1kWhあたりの平均託送料金で、区分全体をならした数字です。実際の負担は契約容量や使い方によって変わります。改定の幅も実施時期もエリアごとに異なるため、中部エリア以外に拠点のある企業は、各エリアの発表もあわせてご確認ください。
 
高圧でみると、託送料金が1kWhあたり平均で0.44円上がります。補助の終了分1.8円と合わせると、単価の差は2.2円前後。月20,000kWh使う事業所なら、ひと月あたり4万円台の増加という計算になります。複数拠点をお持ちの企業であれば、拠点数の分だけ積み上がることになります。
 
低圧の店舗や事務所をお持ちの場合は、影響の出方がもう少し大きくなります。中部電力ミライズは、ご家庭の平均モデル(従量電灯B・30A・使用量260kWh、口座振替初回引落とし割引後、2026年11月分の燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金を含む)で、9,252円から9,647円へ、月395円の増加になると公表しています。この395円には補助の終了分が含まれていないため、同じ使用量なら補助終了の約910円が別に乗ります。1kWhあたりで見ると、補助の3.5円に託送の平均1.63円が加わって5円を超える計算です。
 
そしてここに、燃料費調整額の動きも重なります。中東情勢を受けた燃料価格の高止まりで、燃料費調整の上限に達して、超えた分を電力会社が自己負担している会社もあります。上限のある料金メニューでは単価の上昇が途中で止まりますが、高圧の自由料金メニューには上限がないものが多く、その場合はそのまま反映されます。自社の契約がどちらなのかは、確認しておいて損はありません。
(情熱電力の過去記事:燃料費調整の上限がどういう仕組みなのかはこちらにまとめています)
 


 

3. 補助金の再開はいつから? 現時点で決まっていること

 
ここからが、冒頭の共同通信の記事の話です。
 
萩生田幹事長代行は2026年10月18日のNHK番組で、「エネルギー補助は今までもやってきたし、これからも続けていく」と述べ、年末に向けて電気・ガス代の補助の再開を検討する考えを示しました。
 
ただ、現時点で押さえておきたいのは、これは与党幹部の発言であって、制度として決まったものではないということです。過去の流れを振り返ると、補助の再開はおおむね次の順番で進んできました。
 
・与党幹部や閣僚が、再開の方向性に言及する
・政府が経済対策の原案をまとめる
・閣議決定で、対象月と予算の規模が決まる
・資源エネルギー庁が、値引き単価(円/kWh・円/m³)を正式に公表する
・小売電気事業者が、請求に反映する
 
いま私たちがいるのは、いちばん最初の段階です。対象がいつからの使用分になるのか、単価がいくらになるのかは、まだ何も決まっていません。高圧の単価が低圧の半分程度に設定されてきた点も、これまでの例であって、次回もそうなるとは限りません。
 
過去2年は、冬の支援が1月使用分から始まる形が続きました。同じ流れになるとすれば、11月・12月の請求は補助がないまま越えることになります。ただ、これはあくまで過去の例からの見方で、確定した話ではありません。この記事は続報が出るたびに追記していきますので、気になる方はブックマークしておいてください。
 


 

4. 補助金は「値下げ」ではなく「値引き」です

 
毎回この時期になると感じるのですが、補助金は電気料金そのものを安くする仕組みではありません。請求の最後で、国のお金で差し引いているだけです。
 
この違いが効いてくるのは、補助が切れた瞬間です。支援の分が外れると、もともとの単価がそのまま表に出てきます。しかも先ほど見たとおり、その支援は燃料費調整単価に含まれていたので、単価の行だけを見ても気づけない形で入っていました。この2年ほど、断続的に補助が入り続けてきたので、「補助が入った状態の金額」のほうが基準のように感じられている方も多いのではないでしょうか。実際には、そちらが特別な状態でした。
 
法人にとって、この点は実務的な意味を持ちます。補助が入っている時期の請求額をもとに年間のエネルギーコストを見込んでいると、補助が切れた期の予算が足りなくなります。特に市場連動型のプランでは、補助の有無と燃料価格の変動が二重に効いてくるため、ぶれ幅が大きくなりがちです。来期の予算を組む前に、補助を除いた素の単価で一度試算し直しておくことをおすすめします。前期の実績をそのまま横に置くと、見込みが低く出ます。
 
私たち情熱電力のような小売電気事業者も、補助の対象月と単価が決まってはじめて請求に反映できます。「いつから戻りますか」とお問い合わせをいただくことが多いのですが、正直に申し上げると、私たちも国の発表を待っている立場です。決まり次第、このブログでお知らせします。
 


 

5. 補助がない冬に向けて、法人がいまできること

 
補助の再開は待つしかありませんが、待つあいだにできることはあります。
 
① 11月の請求書を、前年同月と並べて見る
金額だけを見ると「高くなった」で終わってしまいます。使用量(kWh)と燃料費調整単価も一緒に並べてみてください。支援は燃調単価に含めて計算されていたので、10月に届いた請求書の燃調単価と注記(※1)を控えておくと、11月以降の単価と比べたときに、補助の終了分と燃料価格そのものの動きを切り分けられます。拠点が複数ある場合は、拠点ごとに並べると、設備の不調や運用のズレが見つかることもあります。
 
② 契約電力(デマンド)を見直す
高圧のご契約では、過去1年のうち最大の30分デマンドで基本料金が決まります。500kW以上の契約電力のお客様の場合。数年前のピークを引きずったまま契約電力が高止まりしているケースは、実際に少なくありません。設備を更新した、稼働を減らした、拠点を統合した。そうした変化があったのに契約電力が当時のままなら、基本料金を払いすぎている可能性があります。冬は暖房でデマンドが立ちやすい季節でもあるので、いまのうちに実績を確認しておく価値があります。
 
③ 料金メニューの条件を確認する
燃料費調整に上限があるメニューかどうか、市場価格の変動がどこまで反映される設計か。この2点は、確認するだけなら費用がかかりません。冷え込みの厳しい信州のような地域では、冬のピーク時に市場価格が跳ねることもあるため、ここを把握しているかどうかで年間のぶれ方が変わります。
 
④ 補助に左右されない構造を考える
自家消費型の太陽光発電や蓄電池は、初期費用がかかる代わりに、買う電気そのものを減らす打ち手です。蓄電池はピークカットによる基本料金の抑制にもつながります。補助金の有無に左右されにくいという意味では、ここ数年の振れ幅を見てきた企業ほど検討の価値があるかもしれません。
 


 
まとめ
2026年夏の電気・ガス料金支援は、9月使用分で終了しました。検針のタイミングの関係で、支援の入らない最初の請求書が届くのは11月です。しかも支援は燃料費調整単価に含めて計算されていたため、独立した値引きの行としては出てきません。手がかりは欄外の注記(※1)だけで、11月以降はその注記も消えます。終わったことに気づきにくいのは、このためです。
 
11月の請求が上がる理由は、補助の終了だけではありません。11月1日から託送料金が改定され、中部エリアでは1kWhあたりの平均託送料金が高圧で0.44円、低圧で1.63円上がります。高圧では補助の終了分1.8円と合わせて単価差が2.2円前後となり、月20,000kWh使う事業所ならひと月4万円台の増加という計算です。さらに燃料費調整額の動きも重なるため、「思ったより上がった」と感じる可能性があります。
 
補助の再開については、自民党の萩生田幹事長代行が年末に向けて検討する考えを示しましたが、対象月も単価もまだ決まっていません。確定するのは、経済対策の閣議決定と資源エネルギー庁の発表を待ってからです。
 
待つあいだにできるのは、請求書を使用量と一緒に確認すること、契約電力と料金メニューの条件を見直すこと、そして補助を除いた単価で来期の予算を組み直しておくことです。続報が入り次第、この記事に追記していきます。
 


 
情熱電力からのお知らせ
「11月の請求が急に上がるの?」「うちの契約は燃料費調整に上限があるの?」といったご質問を、このところ多くいただいています。契約電力が実態に合っているかの確認や、補助を除いた素の単価での年間試算など、来期の予算を組まれる前のご相談を承っています。拠点が複数ある場合の比較もお手伝いできますので、お気軽にお声がけください。
 
株式会社情熱電力
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この記事に関連するページリンク
・資源エネルギー庁:電気・ガス料金支援 特設ページ(公式発表後に情報更新されます。)
・中部電力ミライズ:2026年11月 電気料金単価の見直しについて
・中部電力パワーグリッド:託送供給等約款の変更届出について
・電力・ガス取引監視等委員会:電気の小売供給契約における燃料費調整条項について
・資源エネルギー庁:省エネルギー投資促進に向けた支援補助金