太陽熱発電の仕組み

太陽“光”発電と太陽“熱”発電は、どちらも太陽エネルギーを使い発電しますが仕組みは異なります。

太陽の光を一か所に集めると高い温度を作ることができます。
太陽熱発電というのは、太陽の光を鏡で集め、その熱で水を高温高圧の水蒸気に変えて蒸気タービンを回して発電します。
集熱器の種類としては集中形のタワー集熱方式と反射鏡やフレネルレンズを使う分散形の方式があります。

一般的な太陽“光”発電では、太陽光を太陽電池等を用いて、直接電力に変換する必要があるため、夜間などの人々が電気を多く使うときに安定した電気供給ができないという難点がありました。
一方、太陽“熱”発電は蓄熱することにより24時間の発電が可能となり、昼夜をとおして安定した電気供給が可能です。

太陽熱発電には日照量の多いことも必要ですし、装置の構造上、湿気や砂嵐、曇天などの少ないエリアが好まれ、多くの太陽光を集めるため発電所敷地の広さも必要です。
以上の条件を加味すると、多湿で比較的日差しが弱く、天候の悪い日も比較的多く、国土の狭い日本では太陽熱発電に向いている場所があまりありません。
しかし、今後さらに集光技術の向上や、湿気に強い設備の構造が開発されれば、日本においても普及する可能性は高まっていくと考えられています。

今後の電気エネルギー

経済産業省資源エネルギー庁のHP記事によると、
『現状、太陽光発電や風力発電などの再エネ(再生可能エネルギー)は、「主力電源」(電力をつくる方法)となるには、まだまだ課題を抱えていますが、
今後のエネルギー情勢を考えれば、再エネを大量導入し「主力電源」化していくことは不可欠です。』とあります。

2030年度におけるエネルギーの割合を示した「エネルギーミックス」では、再エネの導入水準を22~24%としています。

現在、日本で導入されている再エネは、太陽光発電にかたよっており、バランスのとれた再エネの導入を進めていく必要があります。
しかし、それぞれの発電方法にはコスト面や季節や天候に左右されるといった様々な課題も多いのも現実です。

今後再エネを主力電源とし、その大量導入を持続可能なものとしていくためには、
①コスト競争力の強化
②長期安定的な発電を支える事業環境の整備
③系統制約の克服
④調整力の確保
といった課題にそれぞれに対応していく必要があります。

石油や石炭などの化石資源をもたない日本において、自然環境を活かした再エネは、
今後も社会を維持し発展させていくために、とても重要な意味を持っています。

水力発電の仕組み

水力エネルギーの利用は歴史が古く3000年以上の歴史があるといわれています。
もともとは水車の回転エネルギーをそのまま動力として利用する方法でした。
世界で初めて水力を発電に利用するようになったのは、今から約140年前の1878年頃(明治11年頃)、
フランスのパリ郊外のセルメーズ製糖工場と言われています。
発電の仕組み自体はこの当時と大きく変わっていないそうです。
水の持つ位置エネルギーを利用して水車を回転させて、回転エネルギーに変換します。
さらに、水車と連結させた発電機を回転させて電気エネルギーに変換するという仕組みになっています。

日本では、1882年頃に九州島津藩庭園で、初めて水車を使った発電が試みられたと伝えられています。

地熱発電の仕組み

地球の地下には高熱のマグマがあり、マントルなどの対流などによって、その熱が地表に伝えられます。
その熱が再生可能な地球内部のエネルギー、地熱です。

地熱発電は、地中深くにあるマグマによって熱せられた地下水の水蒸気と熱水を、
何千メートルにもなる蒸気井で取り込み、その蒸気でタービンを回して発電します。

世界初の地熱発電は1900年代初めにイタリアで作られたそうです。
日本では1966年、岩手県に最初の本格的な地熱発電所が作られました。

日本は世界有数の火山国で、日本の地熱資源量はなんと世界第3位。
環太平洋火山帯という火山の集積地帯に位置していることもあり、日本は世界有数の地熱資源国なのです。
しかし一方で日本の地熱発電は、2017年の電源構成全体の0.2%にとどまっています。

地熱発電は、
・天候に左右される太陽光発電や風力発電や、水不足になることもある水力発電に比べ、安定的に発電できる。
・CO2排出量がほぼゼロ。
・他の再エネに比べ発電コストが低い。
・電力価格が燃料市場に左右されない。
などのメリットがあります。

その一方で、探索・開発に時間がかかり開発コストが高く、
また、利用に適した地域の約8割が国立公園内にあり開発が規制されていたり、
温泉街に近いために建設しにくいという理由などで、
日本の電源構成の地熱発電の占める割合は低いのが現状のようです。

風力発電の仕組み

風の強い地方では、昔から粉を挽いたり水を汲み上げたりするのに、風車が使われました。
初めて風力発電のベースとなる風車ができたのは、10世紀ごろのイスラム圏からだったようです。
そこから西に遠征にする旅人や十字軍により、ヨーロッパやアジアに伝えられたと言われています。

風力発電は、風車が風をうけて回転することで発電機を回転させて電気が作られます。
自然がつくり出す風の運動エネルギーをそのまま利用するので燃料が必要なく、温室効果ガスや有害物質が出ません。
さらに、風力発電は電力への変換効率が高く、風によるエネルギーの約40%を電力に変換できるそうです。

しかし、風力発電は風が吹いている時しか発電ができないので、発電量が一定ではないというデメリットがあります。
風が弱すぎると発電量は低下してしまいますし、逆に、風が強すぎるときは安全確保のために、風車の回転(発電)を停止することもあるそうです。
また、陸地に作る場合は特に風車が回る際に出る低周波や機械音が騒音問題となることもあります。

日本は世界で6番目の広さを誇る海を有しています。
「洋上風力発電」は、その広さを利用して風力発電施設を筏で浮かべていかりで固定したり、
風車の基礎を海底に固定し、そこで発電が行われます。
建設にはまだまだ課題もあるようですが、
洋上風力発電は、陸地に比べると風の乱れが少なく強い風が安定的に得られると期待できます。

バイオマス発電の仕組み

バイオマスとは、「バイオ(生物)」と「マス(量)」を組み合わでできた言葉で、
動植物などから生まれた生物資源の総称です。
バイオマス資源には、間伐材・おがくずなどの「林業廃棄物」、
もみ殻やサトウキビの搾りカスなどの「農業残渣」、
牛・豚・ニワトリの糞などの「畜産廃棄物」、
解体業者や土木業者から出る「建築廃材」、
食品加工廃棄物や水産加工残渣、
下水汚泥、生ごみや使用済みの油など「生活廃棄物」等々さまざまな種類があります。
バイオマス発電では、これらの生物資源を「直接燃焼」したり、
微生物を使ってメタンなどに「ガス化」するなどして発電します。

未活用だった廃棄物を燃料とするバイオマス発電は、廃棄物の再利用やゴミ減少につながります。
また、家畜排泄物、稲ワラ、林地残材など、国内の農産漁村に存在するバイオマス資源を活用することにより、
農産漁村の自然循環の保全にもなります。
家畜排泄物や生ゴミなど、捨てていたものを資源として活用することで、
地域環境の改善にもつながると考えられます。

波力発電の仕組み

波力発電とは、海の波を利用して電力を得る発電方法です。
波力発電の方法には、振動水柱型、可動物体型、越波型、ジャイロ式の4つがあります。
振動水柱型波力発電は、発電装置の中にある空気室と呼ばれる箇所に海水が流れ込み、
海面の上下運動によって空気が押し出されます。押し出された空気が風となり、タービンが回転し発電されます。
可動物体型波力発電は、タービンを用いずに波エネルギーを振り子の運動エネルギーに変換し、油圧モーターを回転させて発電します。
越波型波力発電は、貯留池の水面と海面の高低差を利用してタービンを回転させ発電します。
ジャイロ式波力発電は、高速で回転させた円盤を大きな浮きの上に置きます。
すると波に揺られて傾きますが、このとき「ジャイロ効果」によって、円盤をまっすぐに保とうとする回転運動が生まれます。
波で揺らすだけで発電機を回せるため、高い効率が実現できるのです。

あまり聞きなじみのない波力発電ですが、実は1970年代ごろから注目されるようになりました。
そのきっかけはオイルショックです。
世界的に石油を含めた化石燃料への危機感が高まり、代替エネルギーに注目が集まりました。
その際に、太陽光発電や風力発電と同様に波力発電も注目を浴び、研究開発が進められるようになりました。

世界で初めて波力発電を実用化させたのは、なんと日本人、益田善雄氏(1925-2009)という方です。
益田氏が1964年に航路標識ブイの電源として初めて発電に成功し、
この装置を搭載した益田式航路標識ブイが翌年海上保安庁に採用されて、
これが世界で初めて実用化された波力発電装置となったそうです。

潮力発電・潮汐発電の仕組み

潮汐流(潮汐による海水の移動)が持つ運動エネルギーを電力に変える潮力発電(ちょうりょくはつでん)、潮汐発電(ちょうせきはつでん) というのもあります。
地球の自転や月の公転に伴って海水が満ち引きします。
湾を堤防で閉め切り、潮の満ち引きに合わせて開放したりして湾の内側と外側の海面の高低差を作り、それにより水の流れを作りだしその力でタービンを回して発電します。

海水を利用する発電には、他にもあります。
黒潮など潮の流れを利用して海中浮遊式の海流発電装置が海流エネルギーによりタービンを回転させ発電する『海流発電』。
温かい海面と深海との温度差を利用して発電する『海洋温度差発電』。
淡水と海水(塩水)の性質を利用した「塩分濃度差発電」などの研究も進められているそうです。

日本は排他的経済水域第6位という海洋国であり、海洋再生可能エネルギーについて大きなポテンシャルを有しているのです。

太陽光発電と宇宙太陽光発電

再エネの中でも広く普及している太陽光発電は、半導体に光を当てると電気が生まれる「光電効果」という仕組みで発電します。
半導体に太陽光があたると、電子が光のエネルギーを吸収して動きだします。このとき、2箇所の電極を導線で結ぶと、電流が流れます。
エネルギーを抱えた電子が動き出して仕事をし、半導体に戻るサイクルを繰り返して、電力が供給されるのです。

太陽光発電は、発電するときにCO2を出さないことが最大の魅力です。
空気を汚さず、騒音もなく、メンテナンスが簡単であるため、世界中のあらゆる場所で導入されています。

デメリットは、発電量が天候に左右される、日没後は発電できないといった欠点があります。

そこで、天候の影響を受けない宇宙空間での太陽光発電『宇宙太陽光発電』というのも、実用化に向けて動き出しています。
「宇宙太陽光発電システム(SSPS:Space Solar Power System)」は米国をはじめ先進国が研究開発に取り組んでいる次世代の再生可能エネルギー技術です。
SSPSとは、「宇宙空間において、太陽光エネルギーをマイクロ波またはレーザー光に変換して地球に伝送し、電力として利用するシステム」です。

日本では小惑星探査機の「はやぶさ」で有名なJAXA(宇宙航空研究開発機構)が中心になってSSPSの中核技術を開発中ということです。
2030年代にMW(メガワット)級のSSPSを実用化することが国の目標で、地上の実証試験が本格的に始まっているそうです。

再生不能エネルギー

使えばなくなる資源を使うエネルギーを「再生不能エネルギー」というそうです。
石油や石炭、天然ガスやウランがそれにあたります。

石油や石炭、天然ガスといった動植物の死骸などが何億年もの長い長い年月の間に変化してできた化石燃料はあとどのくらい利用することができるのでしょうか。
また原子力発電に使われるウランはあとどのくらいの埋蔵量があるのでしょう?

エネルギー資源確認埋蔵量とは、現時点で確認されている経済的、合理的な範囲で採掘可能なそれぞれの資源の埋蔵量を年間の生産量で割ったもので、「このまま使い続けるとあと何年資源を採取できるか」という数字です。
このエネルギー資源確認埋蔵量は、石炭が約100年、石油、天然ガスは50年ほどと見られています。ウランについてはいろいろな意見もあるようですが十分にあるとはいえないという見解もあるようです。
今後、新たな油田や鉱山が発見されたり、技術革新によってこの数字が変わっていく可能性はありますが、化石燃料がいつかは尽きてしまう「限りある資源」であることに変わりはないのです。