
こんにちは!情熱電力のブログ担当です。EVや蓄電池の未来についてアンテナを張っている皆さまにとって、非常に興味深いニュースが飛び込んできたので調べてみました。
電気自動車(EV)の充電設備で急成長中のスタートアップ企業「操電(そうでん)」が、なんと22億6000万円もの大型資金調達を実施し、「蓄電所事業」に本格参入するというのです。EV充電インフラを手掛ける会社が、なぜ今、大規模な蓄電所なのでしょうか?
背景には、EVの普及や再生可能エネルギーの増加によって変わりゆく電力の未来と、2022年の「電気事業法改正」という大きなターニングポイントがありました。これは、EVユーザーにとっても、電力の安定供給を考える上でも見逃せない動きです。今回は、操電の新たな挑戦が、私たちの暮らしや電力の未来にどのようなインパクトを与えるのか、詳しく掘り下げていきます!
EV充電で急成長!「操電」とはどんな会社?
まず、今回主役となる「操電」について簡単にご紹介します。 操電は2022年に設立された、比較的新しい会社です。しかし、その成長スピードは目を見張るものがあります。
代表を務める飯野塁氏は、なんと消防車・救急車開発の「ベルリング」を創業・売却した経験を持つシリアルアントレプレナー(連続起業家)です。 操電の強みは、EV充電事業への参入を考える法人(例えば、商業施設やマンションなど)に対し、事業プランの提案からシステム提供、設置工事までをワンストップで支援できること。このサービスが支持を集め、充電器の累計設置口数はすでに5000口を超えています。さらに、2025年5月期の業績見通しは、売上高28億2000万円、営業利益1億8000万円に上るというのですから、その勢いがわかります。
なぜ今「蓄電所」なのか?22億6000万円の使い道
そんなEV充電の雄が、次なる一手として選んだのが「蓄電所事業」です。 今回、千葉銀行などからの融資(16億1000万円)と、AGキャピタルなどのベンチャーキャピタルからの増資(6億5000万円)を合わせ、合計22億6000万円というシードラウンド(創業期の資金調達)としては非常に大型の資金を調達しました。
この資金の大きな目的は、大型の蓄電池を送電網(電力ネットワーク)に接続し、電力の需要と供給のバランスを調整する「蓄電所」の開発・設置です。
なぜ今、蓄電所なのでしょうか? 大きなきっかけは、2022年の電気事業法改正です。これにより、蓄電池を電力ビジネスに活用するための環境が法的に整備されました。 ご存知の通り、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、天候によって発電量が変動します。また、EVの充電が特定の時間帯に集中すると、電力網に大きな負担がかかります。そこで、電気が余っている時に蓄電池に貯め、足りなくなった時に放電する「蓄電所」が、電力網を安定させる「調整役」として非常に重要になるのです。
操電は、この法改正を大きなビジネスチャンスと捉え、EV充電インフラで培ったノウハウを活かして、電力の安定化という大きな課題解決に乗り出したわけです。すでに今年1月には、実験・検証の拠点(千葉県市川市)も設置しており、準備は着々と進んでいるようです。
操電が目指す未来:「仮想発電所(VPP)」とは?
操電が見据えているのは、単に大きな蓄電池を作るだけではありません。飯野代表は「分散した蓄電池を一括管理する仮想発電所(VPP)事業で2030年までに2ギガワット時(GWh)規模まで拡大したい」と語っています。
「VPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)」という言葉、聞いたことがある方も多いかもしれません。 これは、各地に散らばっている小さな発電設備(太陽光など)や蓄電池(家庭用、EV、商業用など)を、IoT技術で一つに束ね、あたかも一つの大きな発電所のように機能させる仕組みのことです。
操電は、自社で設置する大型蓄電所だけでなく、商業施設や集合住宅に設置する蓄電池、さらには将来的にEVに搭載されているバッテリーまでもネットワーク化し、巨大なVPPを構築しようとしています。
2030年までに2GWhという目標は、非常に野心的です。これが実現すれば、電力の安定供給にも大きく貢献します。EVユーザーにとっては、自分のEVが「走る蓄電池」として電力網を支え、もしかしたら(VPPへの参加などで)新たな価値を生み出す未来に繋がるかもしれません。
まとめ
EV充電インフラで急成長する「操電」が、22億6000万円の大型調達を機に「蓄電所事業」そして「VPP事業」へと駒を進めるニュースをご紹介しました。
これは、EVの普及を「充電」という側面から支えるだけでなく、EVと電力網全体を「蓄電」というキーワードで繋ぎ、よりクリーンで安定したエネルギー社会を実現しようとする大きな挑戦です。
2022年の法改正を追い風に、新しいプレイヤーがエネルギーの未来を創り出そうとしています。私たち情熱電力も、こうした業界の新しい波に注目し、と持続可能な社会に貢献できるよう、情熱を持って取り組んでまいります!
情熱電力からのお知らせ
今回の記事でご紹介した「蓄電所」や「VPP」は、これからのEVライフや再生可能エネルギーの活用に欠かせない技術です。
「情熱電力」では、EVをお持ちの皆さまに最適な電気料金プランのご提案はもちろん、ご家庭や事業所での太陽光発電や蓄電池の導入に関するご相談も承っております。 「VPPって、うちでも参加できるの?」「EVと蓄電池を組み合わせて、もっと賢く電気を使いたい!」 そんな疑問やお悩みがあれば、ぜひ情熱電力までお気軽にお問い合わせください。 エネルギーの未来を、私たちと一緒につくっていきましょう!
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・資源エネルギー庁:VPP・DRとは
・資源エネルギー庁:バーチャルパワープラント







