
再生可能エネルギーに関する気になる記事があったので調べてみました。イギリスのシンクタンク「エンバー」が発表した最新の報告書によると、2025年上半期、世界の電力事情において歴史的な転換点が訪れたようです。なんと、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの発電量が、長らく世界の電力源の主流であった石炭を初めて上回り、世界最大の電力源となりました。これは、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点からも非常に大きなニュースです。特に中国やインドといった国々での再エネの急速な伸びが背景にあるようですが、一方で米国のように異なる動きを見せる国もあり、世界のエネルギー構図はまさに分岐点を迎えています。この記事では、発表された詳細なデータと共に、世界の最新電力事情を詳しくご紹介します。
歴史的瞬間!再エネが石炭を逆転
世界の電力事情に関心のある皆様にとって、非常に象徴的なデータが発表されました。英シンクタンク「エンバー」が世界の電力需要の93%を占める88カ国のデータを分析した報告書によると、2025年上半期、世界の電源構成は大きな節目を迎えました。
再生可能エネルギー:5072テラワット時(TWh)と、前年同期比で7.7%(363TWh)増加。
石炭火力:4896TWhと、前年同期比で0.6%(29TWh)減少。
この結果、世界の電源構成に占める再エネの比率は34.3%(前年同期比1.6ポイント上昇)となり、石炭の33.1%を史上初めて上回りました。
急成長の立役者!太陽光発電と新興国の躍進
再エネの中でも、特に成長が著しいのが太陽光発電です。2025年上半期だけで発電量は306TWhも増加しました。これは、世界で増えた電力需要の8割超を太陽光発電だけでまかなえた計算になるというから驚きです。エンバーのアナリストも「重要な転換点の兆しだ」と指摘しており、再エネが世界の電力需要の伸びに追いつき始めたことを示しています。
この力強い成長を牽引しているのが、中国を筆頭とする新興国です。
・中国:太陽光発電が前年同期比43%増(168TWh増)、風力発電も16%増(79TWh増)と、世界平均を大きく上回る伸びを見せました。その結果、石炭発電は2%(56TWh)減少しています。
・インド:太陽光が25%増(17TWh増)、風力が29%増(11TWh増)と、こちらも過去最高の伸びを記録。石炭発電は3%(22TWh)減少しました。
両国は石炭の生産国であると同時に輸入国でもあります。環境政策として再エネ導入を進めることは、石炭の輸入を抑え、自国のエネルギー安全保障を強化する狙いもあると考えられます。
一方で、懸念材料と米国の逆行
世界のエネルギー転換は順風満帆に見えますが、予断を許さない状況もあります。
第一に、急成長を遂げた中国では、6月に太陽光発電の固定買い取り価格制度(FIT)が市場価格連動型へと移行しました。専門家からは、直近の設備増加は「政策変更前の駆け込み設置の影響もある」として、今後のペースが鈍化する可能性も指摘されています。
第二に、米国の動向です。トランプ政権は風力や太陽光への支援を縮小する一方、石炭火力を優遇する政策を打ち出しています。同国ではデータセンターなどによる旺盛な電力需要を背景に、2025年上半期の石炭発電が前年比17%もの大幅増加となりました。
また、発電用石炭の価格は国際的に大きく下落しています。欧州の指標価格(API2)は一時1トン88ドル台と約4年半ぶりの安値となり、日本などアジアが調達する豪州炭も、高騰していた23年初ごろの約4分の1となる100ドル近辺まで下がっています。
まとめ
2025年上半期、再生可能エネルギーが石炭を抜いて世界最大の電力源となったことは、間違いなく歴史的な出来事です。特に太陽光発電の急速な普及と、中国やインドといった国の取り組みが大きな要因となっています。
しかし、米国の政策転換や中国の制度変更など、エネルギー転換の道のりにはまだ不確実な要素も多く残されています。価格が下落している石炭の動向も含め、各国がどのようなエネルギー政策を選択していくのか、世界のエネルギー構図が今後どのように塗り替えられていくのか、引き続き注目していく必要があります。
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英シンクタンク「エンバー(Ember)」
今回の記事は、英シンクタンク「エンバー(Ember)」が公表した世界の電力市場に関する最新の分析報告書に基づいています。エンバーは、世界の電力セクターの動向に関する詳細なデータや分析を定期的に発表しています。ご興味のある方は、エンバーの公式ウェブサイトで最新のレポート(Global Electricity Reviewなど)をご確認いただけます。










