
気になる記事があったので調べてみました。
世界的なエネルギー地図が、また大きく塗り替えられようとしています。 2025年、米国の液化天然ガス(LNG)輸出基地への投資規模が過去最大となりました。背景にあるのは、トランプ政権による強力なエネルギー政策の転換です。「アメリカ湾(旧メキシコ湾)」を中心に進む巨大プロジェクトの数々は、単なる経済活動を超え、日本や欧州を含む同盟国への「脱ロシア」圧力という外交カードとしても機能しています。
一方で、急速な拡大は将来的な「供給過剰」や「開発中止」という新たなリスクも生み出しています。今回は、米国LNG市場の最新動向と、それが世界のエネルギー需給に与える影響について詳しく解説します。
目次
1.過去最大級!2025年の米国LNG投資ラッシュ
2.政策転換と「アメリカ湾」の隆盛
3.トランプ政権の「エネルギー支配」と日本への影響
4.光と影:迫りくる供給過剰リスクと開発中止
5.まとめ:エネルギー新時代の幕開け
1. 過去最大級!2025年の米国LNG投資ラッシュ
2025年は、米国LNG産業にとって歴史的な一年となりました。民間企業が最終投資決定(FID)を行った新規建設プロジェクトの生産能力は、合計で年間約6,090万トンに達しました。
これは、投資決定がゼロだった2024年から劇的なV字回復を見せただけでなく、これまでのピークだった2014年の4,310万トンと比較しても1.4倍という驚異的な規模です。
輸出実績も過去最高を更新
投資だけでなく、実際の輸出量も記録を更新しています。英LSEGのデータによると、2025年11月の米国LNG輸出量は1,067万トンとなり、月別で過去最高を記録しました。これは、ルイジアナ州で8カ所目の輸出拠点となる「プラークミンズLNG」が本格稼働したことが大きく寄与しています。
2. 政策転換と「アメリカ湾」の隆盛
この急激な拡大の背景には、米国の明確な政策転換があります。バイデン前政権下では環境対策として新規建設の審査が一時停止されていましたが、2025年に発足したトランプ政権がこれを覆しました。
特に注目すべきは、政府がメキシコ湾を「アメリカ湾」と呼称変更し、エネルギー開発の聖地として位置づけたことです。2025年に決定された6件の投資案件はすべて、このテキサス州とルイジアナ州の沿岸部に集中しています。
さらに2026年初頭には、エクソンモービルなどが約100億ドルを投じた「ゴールデンパスLNG」(テキサス州)が稼働予定です。ここには日本の千代田化工建設も建設に携わっており、年間約1,800万トンの輸出能力が追加される見込みです。
3. トランプ政権の「エネルギー支配」と日本への影響
トランプ大統領が掲げるキーワードは「エネルギーの支配」です。 9月の国連総会で「ロシアからの全てのエネルギー購入をただちに停止すべきだ」と発言した通り、豊富な米国産LNGを外交ツールとして活用しています。
・対EU: 年間2,500億ドル(約39兆円)の米国産エネルギー購入を約束。
・対日本: アラスカLNGプロジェクトへの参画圧力。
これまで投資回収の懸念から開発が先送りされてきたアラスカのプロジェクトですが、関税交渉などの文脈で、同盟国である日本に対し輸入拡大や参画が求められています。
米エネルギー情報局(EIA)の見通しでは、2029年までに米国の輸出能力は倍増するとされており、世界のエネルギー安全保障における米国のプレゼンスは圧倒的なものになりつつあります。
4. 光と影:迫りくる供給過剰リスクと開発中止
しかし、一本調子の拡大には懸念もあります。「供給過剰(オーバーサプライ)」のリスクです。
国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年1月〜10月に世界で投資決定されたLNG生産能力の85%を米国が占めています。 専門家や調査機関からは、以下のような予測が出ています。
・ボストン・コンサルティング・グループ: 「2028年から遅くとも2030年にかけて供給過剰が生じる」
・英LSEG: 「2030年に世界の供給能力は需要を15%近く上回る」
開発コスト高騰による計画中断も
実際に、供給過剰懸念と建設コストの高騰(人件費、資材費)により、計画が見直されるケースも出てきました。
米エナジー・トランスファー社は、ルイジアナ州の「レイクチャールズLNG」の開発中断を発表。このプロジェクトには日本の九州電力も関わっていましたが、熟練技能者不足やコスト増が重荷となりました。当局の認可を受けながら投資決定に至っていない案件はまだ9カ所あり、今後の選別はさらに厳しくなりそうです。
5. まとめ:エネルギー新時代の幕開け
2025年の米国LNG投資の急拡大は、世界のエネルギー市場に安定供給をもたらす一方で、将来的な需給バランスの崩れや、地政学的なパワーバランスの変化も予感させます。
・供給力: 米国一強体制の確立と、輸出能力の倍増。
・外交: 「脱ロシア」を旗印にした同盟国への購入圧力。
・市場: 2030年に向けた供給過剰リスクと、建設プロジェクトの淘汰。
私たちエネルギー需要家にとっては、調達先の多様化と同時に、こうした国際情勢を注視し続けることが不可欠です。
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この記事に関連するページ
本記事の作成にあたり、以下の公的機関や専門機関のデータ・情報を参照・推奨します。
より詳細なデータを確認したい方はぜひご覧ください。
・JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)
┗ 世界の石油・天然ガス情勢に関する最新レポートが充実しています。
・EIA(米国エネルギー情報局)
┗ 米国のエネルギー統計の一次情報源です。
・IEA(国際エネルギー機関)
┗ 世界全体のエネルギー需給見通しを確認できます。








