街に静かに立つ「空看板」――使われなくなったサインに宿る、わびさびの美しさ

 
使われなくなった『空看板』
 
日本経済新聞に「使われなくなった『空看板』を撮影 街の余白に宿るわびさび」という記事があったので、調べてみました。
みなさんは、街を歩きながら「あ、あの看板、広告が消えてるな」と気づいたことはありますか?白地のまま立ち続けるパネル、フレームだけになった支柱、ツタに覆われた古い標識……。普段はほとんど目に入らないかもしれません。
美術講師の小澤啓さんは、そんな「使われなくなった看板」に独自の美しさを見出し、「空看板(あきかんばん)」と名付けて2014年から撮影を続けてきました。現在までに記録した点数は約650点。機能を失ったからこそ生まれる「透明な存在感」に、日本のわびさびや、人工物の命のはかなさを感じるといいます。
これは単なる廃墟趣味の話ではありません。街の「余白」に何を見るか――そんな、ちょっと立ち止まって考えたくなる視点のお話です。
 


 
目次

 


 

1. 「空看板」って何? 小澤さんが気づいた街の余白

「空看板(あきかんばん)」とは、広告や表示が消えてしまった看板や標識のこと。
美術講師の小澤啓さんが名付けた、ちょっとユニークな造語です。
ロードサイドの商業施設が閉店した跡、テナントが変わった建物の壁面、かつてバス停や案内板だった場所……。言われてみると、街の中にそういった「抜け殻」の看板が意外とたくさんあることに気づきます。多くの人が素通りしてしまう存在ですが、小澤さんはそこに「透明な美しさ」を見出しました。
 
 

2. 約650点を記録――撮影を続けるうちに深まった魅力

 

最初の一枚は「亡骸のような看板」

小澤さんが最初に空看板を撮影したのは2014年のこと。もともと「空き地研究」というもう一つのライフワークのフィールドワーク中に、さびついた看板が目に留まったのがきっかけでした。
「まるで生き物の亡骸のようだった」と小澤さんは語ります。そこには機能を失った構造物だからこそ漂う、独特の存在感がありました。生来の収集気質も相まって、それから空看板の撮影が続いていきます。
 
 

白紙の大型看板との出会いが転機に

転機になったのは、撮影を始めて約5年後のこと。通い慣れた道沿いに突然現れた、大きな白地の空看板との出会いでした。
元は衣料品店の看板。閉業して表示が消え、真っ白な構造物へと姿を変えていました。小澤さんはそこに「意思を持って『無』を提示しているようにも思える」と感じたといいます。異様な迫力と造形的な美しさが混在する、簡単には消化できない魅力――それ以来、空看板への向き合い方がより深いものになっていきました。
 
 

3. 空看板を4分類――独自の「生態記録」とは

650点以上の空看板を記録してきた小澤さんは、独自の基準で4つに分類しています。
 
・白紙:基底板(看板の面)が残っているもの
・フレーム:基底板がなくなり、枠組みだけになったもの
・支柱のみ:ほぼ支柱だけが残っているもの
・その他:上記に当てはまらない特殊な形態のもの
 
さらに小分類も存在します。たとえば「支柱のみ」の中でも、十字形のフレームや支柱が残っているものは「十字架」と呼ばれ、かなりのレアものだそうです。ドイツロマン主義の画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの風景画に登場する十字架を想起させる、と小澤さんは表現しています。
また、車が当たるなどして看板の面がおかしな方向を向いてしまっているものは「知らんふり」と命名。こうした命名のセンスにも、小澤さんの観察眼と愛着が感じられます。
 
 

4. 晴れた日にしか撮らない理由と、調査へのこだわり

撮影へのこだわりも徹底しています。小澤さんは「構造物の質感をしっかり写すため」として、もっぱら晴れた日を選んで撮影しています。さびの色味、劣化した素材の肌理(きめ)、ツタが絡まった有機的な表情――そういったディテールが、晴天の光の中でこそ際立つからです。
構図にもこだわりがあり、環境と一体化して見える瞬間を探します。田舎の風景の中にポツンと佇む空看板や、植物に飲み込まれていく様子など、「看板と周囲との関係から生まれる景色」として捉えているといいます。
さらに、かつてどんな広告だったかを調査することも徹底しています。Googleストリートビューで当時の表示を確認したり、個人のブログ記事の写真背景に写り込んだ看板を探したり。「昔は生命保険会社の広告があった」と判明したときの「すっきりとした感覚は忘れがたい」と語っています。
 
 

5. 「透明な存在」に宿るわびさびの感覚

小澤さんが空看板に感じる最大の魅力の一つは、「元々の機能を失ったことで、人の目に留まらぬ透明な存在になった」という物語性です。
そこには、人工物もいつかは滅びて土に還っていくという「わびさび」の感覚が宿っています。特に、ボロボロになりながらも堂々と立ち続ける看板の姿に強く感動するといい、「まるで即身仏を見ているようで、思わず手を合わせたくなる」とも表現しています。
「静かで注目されない透明な存在」に、自分自身と近いものを感じる心地よさもある、と小澤さんは言います。それは単なる廃墟趣味ではなく、存在と消滅、機能と美、記憶と忘却をめぐる、深い問いかけのようにも聞こえます。
 
 

6. 街の「余白」を見る目が変わると、日常が少し豊かになる

小澤さんは現在、撮影した空看板をまとめた写真集を制作中とのこと。「多くの人に知られると『透明な存在』でなくなってしまう」という葛藤を抱えながらも、「空看板を美しいと思った事実を広く共有できたら」という思いで取り組んでいるそうです。
この話を聞いて、私たちも街の見方が少し変わる気がしませんか?
いつも素通りしていた場所に、実は語りかけてくるものがある。機能を失ったものの中に、かえって豊かな表情が宿ることがある。忙しい日々の中でも、街の「余白」に目を向けてみると、日常がほんの少し豊かになるかもしれません。
 
 

まとめ

今回は、美術講師・小澤啓さんによる「空看板」の撮影活動をご紹介しました。2014年から現在まで約650点を記録し続けた小澤さんは、広告表示を失った看板の中に「透明な存在感」と「わびさびの美学」を見出しています。
白紙・フレーム・支柱のみ・その他という独自の4分類、晴天の日にしか撮影しないこだわり、かつての広告内容を徹底調査する姿勢――その探求は、もはや「生態記録」と呼べるほど深いものです。
「静かで目立たない存在に、かえって深い魅力がある」という視点は、街づくりや地域の景観を考える上でも、ひとつのヒントになるかもしれません。
 
 

情熱電力からのお知らせ

株式会社情熱電力は、長野県松本市を拠点とする電力小売(新電力)会社です。地域に根ざした会社として、エネルギーのことはもちろん、地域の暮らしや街の話題にも関心を持ちながら情報発信を続けています。
 
情熱電力のこのお知らせページでは、
情熱電力が注目した様々な事柄をピックアップして掲載させていただいております。
随時、このページを更新して参りますので
ご興味を持たれた方はまたこのサイトにお越しいただければ幸いです。
 
 
この記事に関連するページリンク
・日本経済新聞:使われなくなった「空看板」を撮影 街の余白に宿るわびさび
・Google Arts & Culture:Caspar David Friedrich
 

需給調整市場、上限価格が15円→10円へ引き下げ決定!系統用蓄電池事業者が今すぐ確認すべきポイント

 
需給調整市場、上限価格が15円→10円へ引き下げ
 
電気新聞に『需給調整市場、3商品で上限価格10円に引き下げ/応札未達続きで』という記事があったので調べてみました。経済産業省・資源エネルギー庁は7月14日に開催された電力安定供給ワーキンググループで、需給調整市場の一次調整力・二次調整力(1)・複合商品について、上限価格を現行の15円/ΔkW・30分から10円/ΔkW・30分へ引き下げる方針を示しました。適用は9月1日の実需給分からとされています。実はこの流れ、当ブログでも今年1月に「上限価格は競争状況次第で段階的に引き下げられる可能性がある」とお伝えしていた内容が、そのまま現実になったものです。2026年度に全商品が前日取引化された後も、市場では応札未達や上限価格付近での約定が続いていたことが今回の決定につながりました。今回は資源エネルギー庁が公表した詳細な検証資料をもとに、なぜ上限価格が下がるのか、そして系統用蓄電池事業者は何を見直すべきかを解説していきます。
 


 
目次

 


 

1. 需給調整市場の上限価格、15円から10円への引き下げが決定

経済産業省・資源エネルギー庁は2026年7月14日に開催された第3回電力安定供給ワーキンググループ(WG)で、需給調整市場の上限価格を見直す方針を示しました。対象となるのは一次調整力・二次調整力(1)・複合商品の3商品で、現行の15円/ΔkW・30分から10円/ΔkW・30分へ引き下げられます。適用開始は2026年9月1日の実需給分からです。
 
なお、二次調整力(2)については、対象期間中の単独での応札数が極めて少なかったこともあり、今回は独自の見直しの対象になっていません。当面は現行水準が維持されるとみられますが、資源エネルギー庁は今後も市場の競争状況を継続的に確認していく方針を示しており、動向は引き続き注視が必要です。
 


 

2. なぜ今、上限価格が引き下げられるのか

上限価格の引き下げは、唐突に決まったものではありません。実は2026年1月の第110回制度検討作業部会の段階で、「前日取引化後も市場の競争状況に改善が見られない場合、上限価格を15円から10円、7.21円等と段階的に引き下げる」という方針がすでに示されていました。今回はその「条件」が満たされたと判断されたということです。今回のWGでは、前日取引化後の約3か月間(2026年3月14日~7月3日)の取引実績を4つの期間に分けて検証し、その結果が公表されています。
 
 

前日取引化後も続く「応札未達」

2026年3月13日取引分(14日受渡分)から、需給調整市場は全商品が前日取引・30分単位取引へと移行しました。この移行前後の実績を比較すると、複合商品の不足率(募集量に対して応札量が不足する割合)は、前日取引化前の14.6%から、直近の期間(6月6日~7月3日)には5.3%まで改善しています。一次調整力についても、46.3%から16.1%まで改善しました。
 
ただし、これは一日単位で見た場合の話です。30分ごとのコマ単位で見ると、応札量が募集量を上回る日が増えた一方で、依然として不足するコマが存在しており、資源エネルギー庁も「応札未達の状況が改善したとは言い難い」と評価しています。
 
なお、直近期間で応札量が増加した背景としては、スポット市場での約定量増加に伴い下げ代(発電抑制の余地)が拡大し、稼働済み電源の持ち上げや追加起動による需給調整市場への応札が増えたこと、4~5月と比べて需要がやや増加したこと、梅雨期の太陽光発電の出力低下により火力電源が約定しやすくなったこと、といった複合的な要因が挙げられています。
 
 

上限価格付近での約定が調達コストを押し上げる

もう一つの論点が、上限価格付近での応札・約定が引き続き発生していることです。複合商品の応札価格分布を見ると、14円/ΔkW・30分を超える応札は、前日取引化後も応札量全体の2~5%程度で推移しており、依然として上限価格付近に一定量が張り付いている状況が続いています。
 
さらに注目すべきは調達コストへの影響です。期間③・④(5月9日~7月3日)では、14円を超える約定は複合商品全体の約3.4%の量にすぎないにもかかわらず、調達費用全体では約16.8%を占めていました。前日取引化前は約6.2%の量が調達費用の約35.0%を占めていたので、比率としては改善しているものの、ごく一部の高値札が調達費用全体を大きく押し上げる構造は変わっていません。電源種別で見ると、この価格帯では蓄電池の占める割合が大きい期間が続きましたが、直近(6月6日~7月3日)では火力の占有率も30.5%まで上昇しています。
 
参考として、市場を介さない調整力調達手段である「余力」の平均単価は、2026年3月の2.43円から4月には3.01円へと上昇しました。これは燃料費(LNG価格)の高騰による限界費用の増大や、一部エリアでの起動指令回数の増加が要因とされています。一方、複合商品の市場での平均約定単価は3月2.77円、4月2.91円とほぼ横ばいで、前日取引化の前後で大きな変化は見られませんでした。
 


 

3. 引き下げのスケジュールと対象商品

今回決定した内容と、これまでの上限価格の推移をまとめると、次のとおりです。
 

商品区分 現行上限価格(~2026年8月) 新上限価格(2026年9月1日実需給分~)
一次調整力 15円/ΔkW・30分 10円/ΔkW・30分
二次調整力(1) 15円/ΔkW・30分 10円/ΔkW・30分
複合商品 15円/ΔkW・30分 10円/ΔkW・30分
二次調整力(2) 15円/ΔkW・30分 変更なし(今回は対象外)

これまでの上限価格の推移を振り返ると、次のように段階的な引き下げが進んでいることがわかります。
 

時期 上限価格(一次・二次①・複合商品) 備考
~2025年度 19.51円/ΔkW・30分 週間取引
2026年度当初(3月13日取引分~) 15円/ΔkW・30分 前日取引化と同時に適用
2026年9月1日実需給分~ 10円/ΔkW・30分 今回決定した引き下げ
将来(競争状況次第) 7.21円/ΔkW・30分の可能性 改善が見られない場合、さらなる引き下げも検討

 


 

4. 電源別の反応の違い:火力・揚水は慎重、蓄電池・VPPは市場参加継続へ

資源エネルギー庁は、上限価格を引き下げた場合に事業者の応札行動がどう変わるかについても、事前にヒアリングを行っています。その結果、電源の種類によって反応が大きく異なることがわかりました。
 
火力・揚水については、逸失利益や機会費用をもとに応札価格を算定するケースが多く、上限価格を超える水準になった場合には市場への応札を控えるとの回答が多く寄せられました。実際、追加起動を伴う火力電源では、起動費や限界費用の高騰により応札価格が上限価格を超えてしまい、経済的な理由から応札できないケースもすでに確認されています。
 
一方、蓄電池・VPPについては、容量市場など他市場との収益性を比較したうえで、応札価格を引き下げてでも需給調整市場への参加を継続するという回答が多い結果となりました。
 
こうした電源構成の変化が調整力の確保に影響しないかという懸念については、広域機関(OCCTO)の確認結果が参考になります。東北エリアの一次調整力・二次調整力(2)はエリア単独では調整力を確保しきれない見通しですが、広域運用を考慮すれば2026年度は全エリア・全商品で調整力を確保できる見通しが得られています。資源エネルギー庁は、上限価格の引き下げにより火力・揚水の応札量が一部減少したとしても、その分は一般送配電事業者による「余力」活用での代替調達に置き換わることが想定され、調整力の確保に直ちに支障が生じるものではないと整理しています。
 


 

5. 系統用蓄電池事業者が今、見直すべき3つのポイント

上限価格が15円から10円へ引き下げられることは、系統用蓄電池ビジネスにとって収益構造そのものに関わる変化です。今回の資料や事業者ヒアリングの内容を踏まえると、押さえておきたいポイントは次の3つです。
 
・収支シミュレーションの前提を更新する:上限付近での高値約定に依存した収益モデルは、今後成立しにくくなります。特に、償却期間を短く設定している電源は当該年度の減価償却費が大きくなり、固定費回収額の増加を通じて応札単価が上がりやすいことが今回の資料でも指摘されています。償却期間の設定や固定費回収計画を、10円という新しい上限価格を前提に再点検することが必要です。
 
・応札価格戦略を磨き直す:ヒアリング結果が示す通り、蓄電池・VPPは上限価格が下がっても市場参加を継続する事業者が多数派とみられます。つまり、これからは「下がった上限価格の中で、どう競争力を保ちながら約定を取りに行くか」が事業者ごとの分かれ目になります。他市場との収益性比較を、これまで以上に精緻に行うことが求められます。
 
・スポット市場との一体運用を強化する:直近の期間では、スポット市場での約定状況(下げ代の増減)が需給調整市場への応札量・応札単価に直接影響していました。「このコマはスポット市場(JEPX)で売るべきか、需給調整市場で待機すべきか」の判断精度を高める運用体制やシステムの整備が、上限価格引き下げ後の収益確保にはより重要になってきます。
 


 

6. 今後の展望:さらなる引き下げの可能性と市場の行方

今回の10円への引き下げは、応札未達と上限価格付近への張り付きという「競争が十分に働いていない」状態が、約3か月にわたる実績データで確認されたことが決め手となりました。2026年1月の時点で示されていた「段階的引き下げ」のシナリオが、そのまま現実になった形です。
 
資源エネルギー庁は、上限価格の引き下げ後も適切な競争環境と十分な約定機会を確保する観点から、市場の競争状況や市場外も含めた調整力調達全体の状況を継続的に確認し、必要に応じて募集量や上限価格の在り方について改めて検討するとしています。つまり、7.21円へのさらなる引き下げの可能性は消えていません。
 
また、事業者へのヒアリングでは、高需要期(夏季・冬季)における応札量・応札価格の見通しについて「予測は困難」との回答が多く、需給調整市場が今後も安定した収益源であり続ける保証はありません。系統用蓄電池事業者としては、目先の10円という数字だけでなく、その先の変化も見据えた事業運営が求められる局面に入ってきているといえるでしょう。
 


 
まとめ
今回、経済産業省・資源エネルギー庁は需給調整市場の一次調整力・二次調整力(1)・複合商品の上限価格を、2026年9月1日の実需給分から現行の15円/ΔkW・30分から10円/ΔkW・30分へ引き下げる方針を示しました。背景には、2026年度の前日取引化後も続く応札未達と、上限価格付近での約定が調達コスト全体を押し上げている実態があります。事業者ヒアリングでは、火力・揚水は機会費用の観点から上限価格を超えると応札を控える可能性がある一方、蓄電池・VPPは他市場との収益性を比較したうえで、応札価格を引き下げてでも市場参加を継続する事業者が多いとみられます。系統用蓄電池事業者にとっては収支シミュレーションと応札戦略の見直しが急務であり、さらなる引き下げ(7.21円)の可能性も残されている以上、10円を通過点として中長期の事業計画を練り直すことが求められるでしょう。
 


 
情熱電力からのお知らせ
上限価格が10円へと引き下げられることで、これまで上限付近での高値約定を織り込んでいた収支計画は見直しが必要になります。情熱電力では、今回の決定を踏まえた「2026年9月改定版・収支シミュレーション」のご相談を承っております。10円時代の投資回収ラインの再確認や、将来の7円台も見据えたコストダウン戦略について、気になる方はお気軽にご相談ください。
 
TEL:0263-88-1183
お問い合わせ:https://jo-epco.co.jp/contact
 
 
この記事に関連するページリンク
・経済産業省:次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 電力安定供給ワーキンググループ(第4回) (資料
 

役職がつくと人はなぜ偉そうになる?上司の態度が変わる理由と振り回されない距離感のつくり方

 
偉そうな上司
 
日経ビジネスに『役職がつくと、なぜ人は偉そうになるのか 仏教に学ぶ距離の取り方』という記事があったので調べてみました。
 
人事異動や昇進の季節になると、職場の人間関係にも変化が生まれます。「昨日まで気さくな同僚だったのに、課長になった途端に態度が偉そうになった」「急に細かく高圧的なマネジメントをしてくるようになった」……そんな経験はありませんか?
実はこの「立場が変わると態度も変わる」現象には、はっきりとした心理的な背景があるのだそうです。しかも、その正体は「強さ」ではなく、意外にも「不安」や「責任の重さ」なのだとか。
今回はこの記事をもとに、役職がつくと人が偉そうになってしまう理由と、そうした相手に振り回されないための距離感のつくり方を、仏教の考え方も交えながらわかりやすく整理してみました。上司との関係に悩んでいる方も、これから部下を持つ方も、きっと「なるほど」と思える内容です。
 


 
目次

 


 

1. なぜ役職がつくと態度が変わるのか?

「あの人、偉くなった途端に急に変わったよね」。職場でこんな会話をしたこと、一度はあるのではないでしょうか。人事異動や昇進で立場が変わると、それまで対等だった関係が上司と部下の関係に変わります。すると、接し方や言葉づかいまで変わってしまう人がいるのも事実です。
 
でも、なぜ立場が変わるだけで、人の態度まで変わってしまうのでしょうか。日経ビジネスの記事では、これを興味深いたとえで説明しています。
 
 

大きな車に乗り換えると気が大きくなる?

記事で紹介されていたのは「車」のたとえです。普段は軽自動車に乗っている人が、急に高級車やトラックのような大きな車に乗り換えると、視界の高さも周囲の見え方も大きく変わります。すると不思議なもので、自分が少し大きくなったような感覚を覚えることがあるのだそうです。
このとき、気が大きくなって強気な運転をする人もいれば、逆に余裕が生まれて周囲に配慮した運転をするようになる人もいます。同じ「大きな車」に乗っても、表れ方は人それぞれなんですね。
 
役職がつくというのは、まさにこれと同じこと。役職や権限を持つことで「見える景色」が変わり、その人がもともと持っていた傾向が、よりはっきりと表に出てくるのです。
 
 

立場は人を「変える」のではなく「拡大」する

ここで大切なポイントは、立場によって人がまったくの別人になるわけではない、ということです。
 
・もともと配慮深い人は、役職がつくとより周囲に気を配るようになる
・もともと支配的な傾向がある人は、役職がつくと高圧的な面が前に出やすくなる
 
つまり、役職や立場は人を作り変えるのではなく、その人の内側にあるものを「拡大」する働きを持っているといえます。「偉くなって人が変わった」ように見えても、実はもともとあった一面が大きく映し出されているだけ、というわけです。
 


 

2. 偉そうな態度の正体は「不安」と「責任」だった

では、なぜ役職がつくと、厳しさや高圧的な言動が増えてしまう人がいるのでしょうか。記事によれば、その答えは一言でいうと「不安」と「責任の大きさ」にあります。
 
役職や権限を持つと、その分だけ結果に対する責任を負うことになります。成果を求められ、部下をまとめ、上からは評価される。失敗すれば自分の責任になる
—このプレッシャーの中で、人の心には「きちんとやらなければ」「失敗してはいけない」という緊張や恐れが生まれます。
 
そして、この不安が強くなるほど、人は周囲をコントロールしようとする傾向が出てくるのだそうです。これは特別なことではなく、誰にでも起こりうる自然な反応です。
 
つまり、高圧的に見える言動は「強くなったから」ではなく、むしろ「不安や恐れの裏返し」として表れている場合があるのです。自信満々に見えるあの態度の裏に、実は「うまくやらなければ」という焦りが隠れているかもしれない——そう考えると、少し見え方が変わってきませんか?
 
また、「上司として振る舞わなければならない」という役割意識も、言動を変える一因になります。強い言い方や厳しい態度を、そのまま「人としての評価」として受け取ってしまうと、必要以上の対立や摩擦を生んでしまうことも。「役職という役割を背負いながら、精いっぱい対応している一人の人間」として見られるかどうかで、受け止め方は大きく変わります。
 


 

3. 「立場が人をつくる」の本当の意味〜仏教の教えに学ぶ

「立場が人をつくる」という言葉があります。これは正しくもあり、誤解されやすい言葉でもあると記事は指摘しています。辞令が出たからといって、その瞬間に「完成された課長」になれるわけではありません。役職を与えられたときから、その役割を学び、身につけていく過程が始まる、と考えるほうが自然なのです。
 
 

親は子どもと一緒に育つ「生児現成」

記事では、仏教の「生児現成(しょうにげんじょう)」という考え方が紹介されていました。これは、子どもが生まれると同時に「親」も生まれ、関係の中でともに育っていくという教えです。
 
子どもが1歳になれば、親も「1歳の親」として育っていく。最初から完成された親などいませんよね。役職もまったく同じで、課長になった人は「なりたての課長」として、戸惑いや失敗を重ねながら少しずつ育っていくものなのです。
そう考えると、新任上司のぎこちない厳しさも「まだ役職1年生なんだな」と、少しだけ寛容に受け止められるかもしれません。
 
 

役職にしがみつく「我執」に要注意

一方で、注意したいのが役職への「執着」です。「自分は課長だ」「上司なのだから部下を従わせなければ」という思いが強くなりすぎると、役職そのものにしがみつき、支配的な振る舞いにつながってしまいます。
仏教ではこうした執着を「我執(がしゅう)」と呼びます。役割を担うことと、役割に執着することは、本来まったく別のもの。この違いを知っておくだけでも、自分や周囲の言動を冷静に見つめるヒントになりそうです。
 


 

4. 偉そうな上司に振り回されないための距離感

とはいえ、頭で理解できても、日々高圧的な態度を向けられればストレスは溜まります。そこで大切になるのが「距離感」です。記事の内容をもとに、受け止め方と対処のポイントを整理してみました。
 

上司の言動 受け止め方のヒント 対処のポイント
急に厳しく細かくなった 不安や責任感の裏返しかもしれない 人格への否定と受け取らず、業務として淡々と対応する
高圧的な言い方が増えた 「役割を果たさなければ」という焦りの表れの可能性 言動だけを切り取って評価せず、背景の状況も踏まえて受け止める
理不尽な言動・過度な干渉 すべてを受け入れる必要はない 意識的に距離を保ち、仕事として割り切る。度を越える場合は相談窓口へ

ポイントは、相手の変化に振り回されすぎないこと。「昇進した途端、あいつは偉そうになった」と言動だけを切り取って判断するのではなく、背景にある責任やプレッシャーを踏まえて受け止めることで、無用な衝突を避けられます。
 
もちろん、すべてを我慢する必要はありません。あまりに理不尽な言動が続く場合は、距離を保って淡々と対応する、社内外の相談窓口を利用するなど、自分を守る選択肢も持っておきましょう。なお、職場の人間関係は退職理由の上位に挙げられることが多いとされています。それだけ多くの人が悩んでいるテーマだからこそ、上手な距離感は働くうえでの大切なスキルといえそうです。
 


 

5. 自分が役職についたときに気をつけたいこと

ここまで「振り回される側」の視点で見てきましたが、この話は明日、自分が役職につく側になったときにも役立ちます。最後に、記事から学べる「偉そうにならないためのポイント」をまとめてみます。
 
・立場は自分の内面を「拡大」するものだと知っておく
・厳しくなりそうなときは「自分は今、不安なのかもしれない」と一歩引いて見つめる
・役職は与えられた瞬間に完成するものではなく、そこから育っていくものと考える
・「役割を担うこと」と「役割に執着すること(我執)」を区別する
・役割を通じて「学ばせてもらっている」という姿勢を忘れない
 
役職についてうまくいかないことがあっても、それも含めてすべてが学びであり、成長の過程です。肩書に縛られすぎず、周囲との距離感を大切にできる人こそ、本当の意味で信頼されるリーダーになれるのではないでしょうか。
 


 
まとめ
今回は、日経ビジネスの記事をもとに「役職がつくと、なぜ人は偉そうになるのか」について調べてみました。
 
ポイントは3つです。
まず、役職や立場は人を作り変えるのではなく、もともとの内面を「拡大」するものだということ。
次に、高圧的な態度の裏には、強さではなく「不安」と「責任」が隠れている場合が多いということ。
そして、相手の言動に振り回されすぎず、背景を踏まえて受け止めつつ、必要なときは距離を保つことが大切だということです。
 
仏教の「生児現成」の教えのとおり、上司も部下も、役割の中で少しずつ育っていくもの。相手の変化を「人格の変化」と決めつけず、かといってすべてを受け入れるでもなく、ほどよい距離感で付き合っていく
—それが、職場の人間関係を穏やかに保つコツなのかもしれません。
明日からの職場で、少し視点を変えて周りを見てみてはいかがでしょうか。
 


 
情熱電力からのお知らせ
今回の記事のテーマは「距離感」でしたが、私たち情熱電力が大切にしているのも、実はお客様との「ちょうどいい距離感」です。長野県松本市を拠点とする地域密着の新電力として、電気のことを専門用語ばかりで難しく語るのではなく、顔の見える距離で、わかりやすくお伝えすることを心がけています。
「オフィスの電気代、これで合っているのかな?」「電力会社の切り替えって面倒じゃないの?」
—そんな素朴な疑問レベルのご相談も大歓迎です。職場の環境を整えることは、働く人の心の余裕にもつながります。
電気まわりのことで気になることがあれば、お気軽にお声がけください。
 
お問い合わせはこちら
TEL:0263-88-1183
Web:https://jo-epco.co.jp/contact
 
 
この記事に関連するページリンク
・日経ビジネス:役職がつくと、なぜ人は偉そうになるのか 仏教に学ぶ距離の取り方
 ┗ 本記事の元となった、仏教の視点から職場の人間関係を考察した記事が読めます。
・厚生労働省:「あかるい職場応援団」パワーハラスメントとは
 ┗ 高圧的な言動がパワハラに当たるかどうかの基準や、具体的な対処法・相談窓口が確認できます。
・厚生労働省:「こころの耳
 ┗ 働く人のメンタルヘルスに関する情報や、無料の相談窓口の案内が得られます。
 

「それ、褒めてるつもりですよね?」無意識の言葉が職場を壊す─マイクロアグレッションを知って強い組織を

 
社内での会話イメージ
 
私のメーリングリストに届いたメールの中からとてもためになる記事を見つけたので、このブログで記事にさせていただきました。
 
今回ご紹介するのは、私が年に何度かセミナーに参加させていただいている小宮コンサルタンツのエグゼクティブコンサルタント、藤本正雄さんが書かれた「『マイクロアグレッション』からの解放を目指す」という記事です。
「ハラスメント」という言葉はすっかり浸透しましたが、「マイクロアグレッション」はまだ聞き慣れないという方も多いのではないでしょうか。しかし、これは決して他人事ではありません。善意で発した一言が、相手をじわじわと傷つけていることがある──そんな「無意識の加害」が、今まさに職場の空気を静かに変えているかもしれないのです。
 
この記事では、マイクロアグレッションとは何か、どんな場面で起こるのか、そして組織として何ができるのかを、藤本さんの記事をもとに整理してみます。ぜひ最後まで読んで、明日からの職場コミュニケーションのヒントにしてください。
 


 

1. 「ハラスメント」と「マイクロアグレッション」──何が違うのか?

「ハラスメント」は、優越的な立場や権力を背景に、相手に不快感・苦痛・不利益を与える行為とされています。明確な加害行為があるため、ルール化・制度化が比較的しやすく、コンプライアンス研修などでも取り上げやすい領域です。
一方、「マイクロアグレッション」とは、無意識の偏見や固定観念に基づく差別的・否定的な言動のことを指します。ここで厄介なのは、発言している本人に自覚がないという点です。むしろ善意や褒め言葉のつもりで発せられるケースが少なくありません。
ハラスメントへの対応が「違反を取り締まるステージ」だとすれば、マイクロアグレッションへの対応は「無意識を扱うステージ」と言えます。
 
 

2. あなたの職場にも潜んでいる?マイクロアグレッションの具体例

以下のような言葉を、聞いたことや言ったことはありませんか?
 
・「(外国人の方に対して)日本語がお上手ですね」
・「女性なのに論理的だ」
・「男性なのに共感的だ」
・「シニアなのにITに強い」
 
一見ポジティブに聞こえますよね。でも、これらの言葉の裏側には「本来はそれができないはず」「弱いはず」という前提が潜んでいます。相手はその”裏のメッセージ”を受け取っています。たとえ言った側に悪意がなくても、受け取った側には積み重なる疲弊感や違和感が生まれてしまうのです。
 
 

3. 無意識のバイアスは「なくす」ものではなく「認識して制御する」もの

私たちは日々、膨大な情報を処理しながら生きています。いちいち考えていたら間に合わないので、経験や環境によって培われた「自分にとっての当たり前=固定観念」を使って、素早く判断しています。
これは認知の効率化として自然なことであり、完全に排除することはできません。だからこそ重要なのは「排除」ではなく、「認識して制御すること」です。
「自分もバイアスを持っているかもしれない」という前提に立つこと。それがマイクロアグレッションへの向き合い方の、まずのスタートラインです。
 
 

4. 組織として取り組める、バイアスに気づくための7つのアプローチ

藤本さんの記事では、会議の設計や研修といった組織的な活動として、以下のような取り組みが紹介されています。
 

① 違和感ログを取る

誰かの発言に「少し引っかかった」と感じた瞬間を書き留めてみましょう。後で振り返ると、自分の中の隠れた前提に気づくことがあります。
 

② 他者からのフィードバックを受ける

心理的安全性が一定程度確保されていることが前提ですが、「今の発言をどう感じたか」を率直に伝え合う文化をつくることが助けになります。
 

③ 属性と能力を切り分ける訓練をする

「〇〇だから△△だろう」と考えたとき、その〇〇という属性が本当に△△につながる根拠があるのか、それとも思い込みなのかを問い直してみましょう。
 

④ 逆の仮説を立てる

「もしこの人が別の属性を持っていたとしても、同じ評価をするだろうか?」と問いかける習慣が、バイアスのチェックになります。
 

⑤ データ・事実で補正する

可能な範囲でデータと照らし合わせて、自分や他者の判断が事実とズレた思い込みになっていないかを確認します。
 

⑥ 意思決定プロセスを構造化する

評価の基準を明文化することで、主観に起因するバイアスの影響を減らすことができます。
 

⑦ 多様な人材との接点を増やす

社内外で多様な背景を持つ人と関わる機会を増やし、経験の幅を広げることで固定観念の枠が外れていきます。
 
 

5. マイクロアグレッションへの対応は、組織の競争力に直結する

マイクロアグレッションが放置された組織では、次のような問題が起きやすくなります。
 
・「この組織では声を上げても無駄だ」と、優秀な人材ほど早期に離脱する
・意見が出にくくなり、意思決定の質が低下する
・同質的な発想に陥り、イノベーションが生まれにくくなる
 
逆に言えば、多様な人材が安心して意見を出せる環境は、そのまま組織の競争力の源泉になります。
 
DEI(Diversity:多様性/Equity:公平性/Inclusion:包括性)は今や経営テーマのひとつですが、マイクロアグレッションからの解放はDEI実現への重要な一歩です。「やらなければならないこと」ではなく、「強い組織をつくるためにやりたいこと」として捉えることが、これからの組織づくりのカギになるのではないでしょうか。
 
 

まとめ

「女性なのに論理的」「シニアなのにITに強い」──悪意のない一言が、じつは相手に無意識のメッセージを送り続けているかもしれません。マイクロアグレッションは、自覚のないところから始まるからこそ厄介です。しかし、「自分もバイアスを持っているかもしれない」という認識を持つことが、最初の大きな一歩になります。
違和感ログを取る、逆の仮説を立てる、評価基準を明文化するなど、できることは意外とたくさんあります。そして、これらの取り組みは倫理的な話にとどまらず、人材の定着やイノベーション創出という、経営上の実益にもつながっています。
「無意識を扱う」という難しさはありますが、だからこそ取り組んでいる組織が強くなれる時代です。今日の記事が、あなたの職場コミュニケーションを見直すきっかけになれば幸いです。
 


 
情熱電力からのお知らせ
株式会社情熱電力は、長野県松本市を拠点に、地域のお客様に寄り添った電力サービスをお届けしている新電力会社です。「わかりやすく、親しみやすく」をモットーに、エネルギーのことだけでなく、地域の事業者さまのお役に立てる情報発信も大切にしています。
電力のご契約やエネルギーコスト削減についてご興味のある方は、お気軽にお声がけください。
・TEL:0263-88-1183

・お問い合わせフォーム:https://jo-epco.co.jp/contact
 
この記事に関連するページリンク
・小宮コンサルタンツ:「マイクロアグレッション」からの解放を目指す
・厚生労働省:職場におけるハラスメントの防止のために
・経済産業省:ダイバーシティ経営の推進
・日本経済団体連合会:Diversity, Equity, Inclusion
・内閣府男女共同参画局:性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究
 

エアコンが値上がりする?2027年の省エネ基準引き上げで今買うべきか徹底解説【今秋から新基準】

 
2027年問題 エアコン
 
信濃毎日新聞に「全エアコン 新省エネ基準に 今秋以降の発売 大手メーカー3社方針」という記事があったので調べてみました。記事によると、家庭用エアコンを手がける大手メーカー各社が、今秋以降に発売する機種を国の新しい省エネ基準に適合させる方針を固めたとのことです。背景には2027年4月に予定されている省エネ基準の引き上げがあり、性能向上に伴って価格が上がる可能性や、低価格帯モデルが姿を消していく可能性が指摘されています。実際に家電量販店では、新基準に対応したモデルとそうでないモデルが並び、「今のうちに買い替えを」とすすめる店員の声もあるようです。夏本番を前にエアコンの買い替えを考えている方にとっては、見逃せない話題ではないでしょうか。今回は、この「2027年問題」と呼ばれる動きの背景や、家庭・法人それぞれへの影響、そして今からできる備えについて、できるだけわかりやすく整理してみました。
 


 
目次

 


 

1. 新聞記事から見えてきたこと|家庭用エアコンが「新省エネ基準」に一斉対応へ

信濃毎日新聞の報道(2026年7月)によると、家庭用エアコンを展開する三菱電機、ダイキン工業をはじめとする大手メーカー各社が、今秋以降に発売する機種を国の新しい省エネ基準に適合させる方針であることが分かったとのことです。
 
記事のポイントを整理すると、次のようになります。
 
・今秋以降に発売される新製品は、順次、新しい省エネ基準に対応したモデルへ切り替わっていく見通し
・電力消費量を抑えるための部品改良や大型化に伴い、販売価格は上昇する可能性がある
・同時に、低価格帯モデルは販売終了となる可能性があり、購入の選択肢が狭まることも懸念されている
・高性能モデルは電気代の節約につながる面もあるが、購入時の負担は一時的に増えそうだ
 
現行モデルのうち、新基準をすでに満たしているものはメーカーによって差があり、高価格帯モデルを中心に対応が進んでいる企業がある一方、対応がこれからという企業もある、と報じられています。国としても、省エネ性能の向上や中東情勢・国際関係の変化によるレアメタル調達難などを背景に、メーカー各社に一定割合以上の新基準適合モデルの出荷を求めていく方針のようです。
 
まずは「今、家電量販店の店頭で何が起きているのか」を知ることが、これから買い替えを考える方にとって最初の一歩になりそうです。
 


 

2. なぜ今?エアコンの省エネ基準が変わる背景と「省エネ法」の仕組み

「そもそも、なぜ急にエアコンの基準が変わるの?」と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。この動きのベースになっているのが「省エネ法」です。ここでは資源エネルギー庁の解説をもとに、省エネ法の基本的な仕組みを整理しておきます。
 
 

省エネ法ってどんな法律?

資源エネルギー庁によると、省エネ法(正式名称:エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)は、一定規模以上(原油換算で年間1,500キロリットル以上)のエネルギーを使用する事業者に対し、エネルギー使用状況を定期的に報告させ、省エネや非化石エネルギーへの転換に関する取り組みの見直しや計画の策定を求める法律です。
 
もともとは1979年の第二次オイルショックをきっかけに制定された法律で、これまでに数回の改正を重ねてきました。近年の改正では、太陽光や風力といった非化石エネルギーへの転換も報告対象に加わるなど、対象範囲が広がってきています。
 
 

家電製品は「間接規制」の対象になっている

省エネ法には、工場や事業場、運輸事業者などを対象にした「直接規制」と、自動車・家電製品・建材などの製造・輸入事業者を対象にした「間接規制」の2種類があります。
 
エアコンのような家電製品は、この「間接規制」の枠組みの中で、国がエネルギー消費効率の目標(いわゆるトップランナー基準)を示し、製造事業者に達成を求める仕組みになっています。目標を達成できない場合には、勧告などの措置が取られることもあります。
 
今回話題になっている「2027年4月からの新基準」も、この省エネ法の枠組みに基づくものです。国は省エネ・環境負荷の軽減を目的に、2027年4月をめどに、性能に関する新しい基準を導入する予定で、新基準は現行と比べて最大3割程度引き上げられる見通しとされています。
 


 

3. 家電量販店で起きている「2027年問題」商戦活況の実態

新聞記事では、この一連の動きを「2027年問題」と呼び、家庭用エアコンの商戦が活況を呈していると伝えています。
 
東京都内の家電量販店では、新しい省エネ基準に適合したモデルと、まだ適合していないモデルが売り場に混在しており、「今のうちに買い替えを」とすすめる店員の声も紹介されています。背景には、基準引き上げに伴う品薄や、エアコンの設置工事の遅延への懸念があるとされています。
 
出荷台数の動きにも変化が表れているようです。日本冷凍空調工業会のデータとして、6畳用エアコンの出荷台数は2025年9月以降、前年同月を上回る状態が続いており、2026年6月は前年同月比24%増の約13万台だったと報じられています。
業界団体の幹部のコメントとして、現在5万〜6万円ほどで売られている低価格帯の6畳用モデルについて、新基準を満たすための高機能化により、2万〜3万円ほど価格が上がるとの見方が紹介されています。
 
さらに、この夏は東日本・西日本・沖縄で平年より気温が高くなる見込みとされ(日本気象協会)、猛暑予想も「涼しいうちに買い替えておきたい」という駆け込み需要に拍車をかけているようです。
 


 

4. 家庭にとっての影響|価格は上がる?今買うべき?

家庭の視点から見ると、今回の動きは大きく2つのタイミングに整理できそうです。
 

時期 主な動き 家庭への影響
2026年秋〜 大手メーカー各社が新省エネ基準に対応した新製品を順次展開 価格が上昇する可能性。低価格帯モデルの選択肢が徐々に減っていく見込み
2027年4月〜 国の省エネ基準が最大3割程度引き上げ 低価格帯モデルがさらに減少。省エネモデルへの買い替えで電気代の節約につながる可能性も

新聞記事の中では、資源エネルギー庁の試算として、本体価格だけでなく、長期間使用した場合の電気代(光熱費)まで含めた総合的な判断が呼びかけられていることも紹介されています。省エネ性能の高いモデルは本体価格が高くても、使用年数が長くなるほど電気代の差が積み重なり、トータルではお得になるケースもあるとされています。
 
「今すぐ買うべきか、もう少し待つべきか」に絶対の正解はありませんが、次のような視点で考えてみると判断しやすくなりそうです。
 
・今のエアコンがすでに古く、故障や効率の悪さが気になっている場合は、今秋以降の新基準対応モデルへの切り替えも選択肢のひとつ
・「とにかく本体価格を抑えたい」場合は、低価格帯モデルが減っていく前に検討するという考え方もある
・「多少高くても長期的な電気代を抑えたい」場合は、高性能・省エネモデルを軸に検討するとよさそう
・猛暑本番の時期は工事の混雑も予想されるため、購入だけでなく設置工事のスケジュールにも余裕を持っておきたい
 


 

5. 法人・事業者にとっての影響|省エネ法の直接規制もチェック

事業者の視点では、家庭用エアコンの価格動向に加えて、省エネ法そのものへの理解も大切になってきます。
 
省エネ法では、工場やオフィスなどの「工場等の設置者」のうち、エネルギー使用量が原油換算で年間1,500キロリットル以上となる「特定事業者等」には、エネルギー管理者等の選任義務、中長期計画の提出義務、エネルギー使用状況等の定期報告義務が課されています。トラックなど有償車両を200台以上保有する貨物・旅客輸送事業者や、年間輸送量3,000万トンキロ以上の「特定荷主」にも、同様の報告義務等が定められています。
 
こうした大口の事業者ほど直接規制の対象になりやすい一方、規模にかかわらずすべての事業者に「事業者の努力義務」として省エネへの取り組みが求められている点も見逃せません。オフィスや店舗のエアコンを新基準対応モデルに更新していくことは、法律上の義務というよりも、電気代の削減やCO2排出量の削減につながる実務的なメリットとして捉えるとよさそうです。
 
複数の店舗やオフィスを展開している法人の場合、今秋以降の価格動向を踏まえ、設備更新の時期を前倒しするかどうかを早めに検討しておくと、価格上昇や品薄・工事の混雑といった影響を受けにくくなるかもしれません。
 


 

6. 今からできる備え・買い替えのチェックポイント

最後に、家庭・法人どちらの立場でも意識しておきたいポイントを整理します。
 
・買い替えを検討する場合は、本体価格だけでなく、省エネ性能(APF等)や、想定される使用年数まで含めて比較してみる
・低価格帯モデルは今後選択肢が減っていく可能性があるため、「価格重視」で検討している方は早めの情報収集がおすすめ
・猛暑シーズンは注文や設置工事が混み合いやすいため、余裕を持ったスケジュールで検討する
・法人の場合は、複数拠点の設備更新計画を早めに立てておくと、価格上昇や工事の混雑の影響を受けにくくなる
・省エネ性能の高い機器への切り替えとあわせて、電気の使い方や電気料金プランそのものを見直すことも、電気代対策として有効
 


 
まとめ
今回は、信濃毎日新聞の報道をもとに、家庭用エアコンの新省エネ基準への切り替えと、その背景にある「2027年問題」について整理しました。国は省エネ法に基づき、2027年4月に省エネ基準を最大3割程度引き上げる予定であり、これを受けてメーカー各社は今秋以降、新基準に適合した機種への切り替えを進めています。その結果、低価格帯モデルの選択肢が狭まったり、本体価格が上昇したりする可能性がある一方で、高性能モデルへの切り替えは電気代の節約につながることも期待できます。買い替えを検討している方は、本体価格の高さだけで判断せず、設置工事の混雑状況や、長期的に見た電気代まで含めてじっくり検討することが大切です。省エネ性能の高い機器選びとあわせて、日々の電気料金プランを見直すことも、家計や事業のコスト管理を考えるうえで有効な選択肢のひとつといえるでしょう。
 


 
情熱電力からのお知らせ
エアコンの省エネ性能を見直すタイミングは、実は電気の使い方や電気料金プランを見直す良いきっかけでもあります。株式会社情熱電力では、長野県松本市を拠点に、地域のお客様に寄り添いながら、わかりやすい電気料金プランのご案内を行っています。「今の電気料金プランが自分の家庭・事業所に合っているか気になる」「エアコンを買い替える前に、電気代まわりも一度相談したい」という方は、お気軽にご相談ください。
 
TEL:0263-88-1183
お問い合わせ:https://jo-epco.co.jp/contact
 
 
この記事に関連するページリンク
・資源エネルギー庁:再エネ法の概要
・資源エネルギー庁:トップランナー制度について
・信濃毎日新聞デジタル:全エアコンを新省エネ基準化へ メーカー大手3社、価格上昇も
 

東海・関東甲信の梅雨明けは来週?名古屋37°C予想の猛暑で電気代と熱中症リスクに今から備える

 
梅雨明け
 
今年の梅雨明けに関する記事を見つけたので、まとめて調べてみました。今回取り上げるのは、日本気象協会の予報士による2本の気象記事です。
東海地方では来週にも梅雨明けが発表される可能性があり、14日から16日にかけては名古屋で最高気温37°Cという猛烈な暑さが予想されています。また、関東甲信をはじめ全国的にも7月中旬から下旬にかけて続々と梅雨明けを迎える見込みとのこと。
 
梅雨明け直後は、体が暑さに慣れていないこともあり熱中症のリスクが特に高まる時期です。実際、2025年の愛知県では梅雨明け前後で熱中症の救急搬送者数が約2.9倍に急増したというデータもあります。
 
同時に、エアコンの使用が一気に増えることで「電気代」が気になり始める方も多いのではないでしょうか。
この記事では、最新の梅雨明け予想と熱中症対策、そして電気代とのつき合い方について、電力会社の視点からわかりやすくまとめてみました。
 


 
目次

 


 

1. 東海・関東甲信の梅雨明けはいつ?最新予想まとめ

日本気象協会が2026年7月9日に発表した最新予想によると、九州南部や四国では7月13日ごろ、東海地方では7月14日ごろ、関東甲信では7月15日ごろに梅雨明けとなる見込みです。
その後、北陸は7月19日ごろ、東北南部・北部は7月20日ごろと、来週から再来週にかけて全国的に梅雨明けが続々と発表されそうです。
梅雨明けが近づく14日(火)から16日(木)にかけては、東海地方で最高気温35°C以上の猛暑日が続出する予想となっています。特に名古屋では15日と16日に37°Cという、体温に迫るような危険な暑さが見込まれています。参考までに、tenki.jpが発表した東海地方(名古屋)の週間予報は以下の通りです。
 

日付 天気 最高/最低気温
7月11日(土) 晴れ 32°C / 23°C
7月12日(日) くもり時々雨 32°C / 24°C
7月13日(月) くもり時々雨 30°C / 25°C
7月14日(火) 晴れ 36°C / 26°C
7月15日(水) 晴れ 37°C / 26°C
7月16日(木) 晴れ 37°C / 27°C
7月17日(金) くもり時々雨 34°C / 26°C

※出典:日本気象協会 tenki.jp「東海 週間予報」(2026年7月10日発表時点の予想。天気は変わる可能性があります)
関東甲信地方でも、梅雨明けのタイミングとされる7月15日ごろを境に、同じように厳しい暑さがやってくると考えられます。梅雨明け前後は天気が大きく変わりやすい時期でもあるため、最新の気象情報はこまめにチェックしておきたいですね。
 


 

2. 梅雨明け直後になぜ熱中症が急増するのか

「梅雨明け直後は特に熱中症に注意」とよく言われますが、これには理由があります。
梅雨の間は比較的涼しい日と蒸し暑い日が繰り返されるため、体がまだ暑さに十分慣れていません。
そこへ梅雨が明けて急に強い日差しと高い気温にさらされると、汗をかいて体温を下げる機能がうまく働かず、熱中症のリスクが一気に高まってしまうのです。
 
実際のデータを見ても、その傾向は明らかです。
2025年の愛知県における熱中症の週別救急搬送者数を見ると、梅雨明け前の週は258人だったのに対し、梅雨明け直後の週には754人にまで急増しました。
これは約2.9倍という数字です(出典:愛知県ホームページ「熱中症(疑いを含む)による救急搬送者数について」)。今年も梅雨明け直後から猛烈な暑さが予想されているため、同じように搬送者数が急増する可能性は十分に考えられます。
 
のどが渇く前からこまめに水分を補給すること、汗を大量にかいたときは塩分も一緒に補うこと、そして何より「暑さを我慢しない」ことが大切です。夜間も気温が下がりにくく、熱帯夜(夜間の最低気温25°C以上)になりやすい時期ですので、昼夜を問わずエアコンを適切に使うことが推奨されています。
 


 

3. 猛暑日が続くと「電気代」はどうなる?

熱中症対策としてエアコンを我慢せず使うことは何より大切ですが、その一方で気になるのが「電気代」ではないでしょうか。猛暑日が続く時期は、冷房の稼働時間が長くなるだけでなく、設定温度と外気温の差が大きくなるほど消費電力も増える傾向があります。
 
特に14日から16日のように最高気温35°C以上の猛暑日が連続すると、日中だけでなく夜間もエアコンをつけっぱなしにするご家庭が増え、月単位で見た電気使用量が一段と増えやすくなります。
とはいえ、「電気代が心配だから」とエアコンの使用を控えてしまうのは、熱中症のリスクを考えると本末転倒です。
 
大切なのは、エアコンを我慢することではなく、無理なく賢く使いながら電気の使い方そのものを見直すことです。次の章では、熱中症対策と両立できる節電の工夫をご紹介します。
 


 

4. 熱中症を防ぎながら賢く節電する5つのコツ

猛暑を乗り切るための、無理のない節電の工夫をまとめました。どれも今日から始められるものばかりです。
 
・室温は28°Cを目安に、無理に低く設定しすぎない
・扇風機やサーキュレーターを併用して冷気を部屋全体に循環させる
・カーテンやすだれで日差しを遮り、エアコンの負担そのものを減らす
・フィルターを月1〜2回掃除し、冷房効率を落とさない
・電気の使い方や料金プランを見直し、ご家庭に合った契約かどうかを確認する
 
特に見落とされがちなのが、最後の「料金プランの見直し」です。同じ電気の使い方をしていても、契約している電力会社やプランによって電気代の負担は変わってきます。猛暑で電気の使用量が増えるこの時期だからこそ、一度ご家庭の電気料金プランを見直してみるのもおすすめです。
 


 

5. 小さな子供やペットは大人より「暑さ」を感じやすい

意外と知られていないのが、身長の低い子供やペットは、大人が感じている以上の暑さにさらされているという事実です。
天気予報で伝えられる気温は、地面から1.5メートルの高さで、風通しの良い日陰で観測された値です。
そのため、照り返しの強いアスファルトの上などでは、実際の体感温度はもっと高くなります。
 
環境省の資料をもとにした試算では、外気温が32.3°Cのとき、身長50センチほどの子供の顔の高さでは35°C、さらに地面に近いペットの高さでは36°Cにも達するとされています。大人が「今日は暑いな」と感じているとき、子供やペットはそれ以上の危険な暑さの中にいる可能性があるということです。
 
お散歩やお出かけの際は、暑い時間帯を避ける、熱のこもりにくい薄手の服を選ぶ、こまめに子供やペットの様子を確認するなど、大人以上に気を配ってあげることが大切です。
 


 
まとめ
今回は、東海地方や関東甲信をはじめとした最新の梅雨明け予想と、梅雨明け直後に注意したい熱中症、そして気になる電気代について取り上げました。
東海地方では7月14日ごろ、関東甲信では7月15日ごろに梅雨明けとなる見込みで、その後は最高気温35°Cを超える猛暑日が続出し、名古屋では37°Cに達する日もありそうです。
梅雨明け直後は体が暑さに慣れておらず、熱中症による救急搬送者数も急増する傾向があるため、エアコンを我慢せず適切に使うことが何より大切です。
同時に、扇風機の併用や遮熱、フィルター掃除、そして電気料金プランの見直しといった工夫を組み合わせれば、熱中症対策と節電を無理なく両立させることができます。
小さな子供やペットは大人以上に暑さを感じやすいという点にも、ぜひ気を配ってあげてください。この夏も、安全と快適さを第一に、上手に電気とつき合っていきましょう。
 


 
情熱電力からのお知らせ
猛暑が続くこの時期、「エアコンを我慢せず使いたいけれど、電気代も気になる」という声を、私たち情熱電力にもよくお寄せいただきます。情熱電力は、地域のお客様に寄り添うことを大切にしている新電力会社です。電気の使い方やご契約プランについて、「今の料金が自分の家庭に合っているのかわからない」「もっとわかりやすく説明してほしい」といったご相談も、遠慮なくお寄せください。
長野県松本市を拠点に、お客様との距離が近い電力会社として、一件一件丁寧にお話をうかがっています。気になる方は、お気軽にご相談ください。
 
TEL:0263-88-1183 / お問い合わせ:https://jo-epco.co.jp/contact
 
この記事に関連するページリンク
・日本気象協会:最新の梅雨明け予想
・環境省:熱中症予防情報サイト 熱中症警戒アラート
・気象庁:令和8年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)
 

弘法山古墳が日本最古級と判明!卑弥呼の時代を物語る前方後方墳の新発見を徹底解説【50年ぶり再調査】

 
弘法山古墳のイメージ
 
複数の気になる記事を見つけたので、まとめて調べてみました。今回取り上げるのは、情熱電力の地元、松本市の標高652メートルの尾根上に築かれた前方後方墳「弘法山古墳」についての最新ニュースです。1974年の発掘調査からおよそ50年ぶりに行われた再調査の結果、築造時期がこれまでの推定よりさらに50年ほどさかのぼることがわかり、なんと卑弥呼が活躍したとされる時代と重なる可能性が出てきました。学校の教科書で習った「古墳時代」のイメージが少し変わるかもしれない、そんな発見です。私たちは日々の暮らしに欠かせない電力をお届けする仕事をしていますが、地域に根ざした事業者として、こうした足元の歴史にもとても興味を惹かれました。今回はニュースや公的機関の情報をもとに、弘法山古墳の魅力と今回の発見のポイントをわかりやすく整理してご紹介します。
 


 
目次

 


 

1. 弘法山古墳ってどんな古墳?基本情報をおさらい

弘法山古墳は、国の史跡に指定されている前方後方墳です。標高652メートルの尾根上にあり、頂上からは市街地や北アルプスの山並みを一望できる、いわゆる「国見ヶ丘」のような立地にあります。
古墳としての規模は全長およそ61.7〜66メートルとされ、後方部は幅36メートル・長さ34.2メートル、前方部は幅24.7メートル・長さ27.5メートルほど。後方部の中央には、河原石を積み上げてつくられた竪穴式石室状の「礫槨(れきかく)」があり、ここに被葬者が安置されていたと考えられています。
 
発見されたのは1974年(昭和49年)のこと。学校用地の造成に先立つ発掘調査がきっかけで、単なる円墳ではなく前方後円墳ではないかという疑いが生じ、保存を前提とした継続調査が行われました。その結果、当時は県内で唯一の前方後方墳であることが判明し、翌々年にはスピード史跡指定を受けるほど、学術的に注目される存在となりました。
 
・国指定史跡(指定年月日:昭和51年2月20日)
・墳形:前方後方墳
・全長:約61.7〜66メートル
・埋葬施設:竪穴式石室状の礫槨
・発見:1974年(昭和49年)
 


 

2. 50年ぶりの再調査で分かった衝撃の事実

弘法山古墳は、2020年から史跡としての価値を高める目的で再調査が始まりました。古墳の正確な形状を測量し直すとともに、1974年の調査で出土した副葬品を、現代の考古学的な研究手法を用いて改めて分析するというものです。この再調査によって、これまでの定説を塗り替える新たな事実が明らかになりました。
 
 

 卑弥呼の時代と重なる新たな築造年代

これまで弘法山古墳は3世紀末(古墳時代初期)に造られたとされてきました。しかし今回の再調査により、実際の築造時期はさらに50年ほどさかのぼる3世紀前半から半ばごろだったことが判明しました。
これは、中国の史書に登場する邪馬台国の女王・卑弥呼が活躍していたとされる時代とほぼ重なります。学校の教科書にも登場する、あの有名な時代に、すでにこれほどの規模の古墳が築かれていたというのは、なんともロマンを感じる話ではないでしょうか。
 
 

 奈良県・箸墓古墳よりも古い可能性

「古墳時代」という区分は、奈良県にある箸墓古墳が造られて以降を指すことが多いとされています。ところが今回の分析で、弘法山古墳は箸墓古墳よりも一段階古い時期に位置づけられることがわかりました。
つまり弘法山古墳は、東日本に限らず日本全体で見ても最古級の古墳の一つである可能性が高いということです。考古学において初めて古墳と呼べるものが出現した時期とほぼ同じころに、これほど立派な墳丘が造られていたことは、大きな驚きをもって受け止められています。
 
以下に、1974年の調査結果と今回の再調査結果を比較した表をまとめました。
 

項目 1974年の調査結果 2020年以降の再調査結果
築造時期 3世紀末(古墳時代初期) 3世紀前半〜半ば
位置づけ 東日本最古級 日本全体でも最古級の可能性
全長 推定値 約61.7メートルと正確な形状が判明
比較対象 奈良県・箸墓古墳より一段階古い

 


 

3. 埋葬された人物の手がかりは東海地方の土器

弘法山古墳に眠っているのはいったいどんな人物だったのでしょうか。出土品そのものから直接的に身元がわかっているわけではありませんが、大きな手がかりとなっているのが石室上から見つかった多量の土器です。
 
これらの土器は、この地方に古くからあった様式ではなく、愛知県など東海地方に特徴的な様式のものばかりだったといいます。専門家は、被葬者が東海地方と深い関わりを持つ人物、もしかすると東海地方から移り住んできた人物だったのではないかと推測しています。
 
さらに興味深いことに、周辺の遺跡からも同様の特徴を持つ土器が多数出土しており、古墳の築造に関わった人々の集落があった可能性も考えられています。1800年ほど前、遠く離れた地域とのつながりを持ちながら、この尾根の上に大きな墳丘を築いた人々がいたと想像すると、歴史の奥深さを感じずにはいられません。
 


 

4. 桜の名所としての顔も持つ弘法山古墳

弘法山古墳は、貴重な史跡であると同時に、春になるとサクラが古墳を取り巻くように咲く、県内有数の花見スポットとしても親しまれています。1982年(昭和57年)には史跡公園として整備され、多くの人が訪れる憩いの場になっています。
頂上からの眺めは200度以上に広がり、遠くに連なる山並みまで見渡せる絶景ポイントでもあります。当時の人々もこの眺望に癒やされながら、大きな墳丘を築き上げていたのかもしれません。歴史散策とお花見を同時に楽しめる場所として、訪れる価値は十分にあると言えるでしょう。
 


 

5. 今後の活用計画と地域の受け止め

今回の再調査結果を受けて、行政も古墳の価値をさらに広めていこうという動きを見せています。市長は「東日本に限らず、西日本も含めた日本全体で最古級、最も古い時代の古墳の一つ」と述べ、地域を代表する歴史的資産の一つとして位置づける考えを示しました。
これまでは戦国から江戸初期にかけての歴史的価値が注目されがちでしたが、古墳時代までさかのぼる歴史にも多くの人が興味を持てるよう、活用方法の検討が進められています。実際に訪れた人からは「ロマンがあって良い」「観光客が増えるとうれしい」といった声も聞かれ、地域の新たな魅力として期待が高まっているようです。
 


 

6. 古代史を知ることで見えてくる、足元の魅力

普段何気なく過ごしている場所に、実は1800年近くも前の歴史が眠っている。
 
—そう考えると、見慣れた景色も少し違って見えてくるのではないでしょうか。弘法山古墳の再調査は、私たちが暮らす足元の土地に、教科書に載るような古代史の舞台があったことを改めて教えてくれる出来事でした。
私たち情熱電力も、毎日の暮らしを支える仕事を通じて、この土地に根を張って活動しています。だからこそ、こうした地域の歴史や文化に関するニュースにも、これからも注目していきたいと思っています。
 


 
まとめ
今回は、約50年ぶりの再調査によって新たな事実が判明した前方後方墳「弘法山古墳」についてご紹介しました。1974年の発掘調査では3世紀末・東日本最古とされていましたが、現代の考古学的手法による再分析の結果、実際の築造時期は卑弥呼が活躍したとされる3世紀前半〜半ばごろまでさかのぼり、奈良県の箸墓古墳よりも一段階古い、日本全体で見ても最古級の古墳である可能性が高いことがわかりました。出土した土器からは東海地方との深いつながりもうかがえ、遠く離れた土地とのつながりを持ちながら生きた古代の人々に思いを馳せると、被葬者の人物像にも想像が膨らみます。桜の名所としても親しまれるこの古墳は、標高652メートルの尾根から北アルプスまで見渡せる絶景スポットでもあり、今後さらに活用方法が検討されていく予定です。教科書で習った古代史が、実は身近な場所にもつながっていたと知ると、いつもの景色が少し違って見えてくるかもしれません。歴史散策がてら、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
 


 
情熱電力からのお知らせ
情熱電力のこのお知らせページでは、
情熱電力が注目した様々な事柄をピックアップして掲載させていただいております。
随時、このページを更新して参りますので
ご興味を持たれた方はまたこのサイトにお越しいただければ幸いです。
 
TEL:0263-88-1183
お問い合わせ:https://jo-epco.co.jp/info/
 
 
この記事に関連するページリンク
・松本市:公式ホームページ →「弘法山古墳」と検索
・文化庁:文化遺産オンライン「弘法山古墳」
 

アナロジー思考でビジネスを革新|異分野発想が経営に突破口を開く4つの実践法

 
異なる分野が一本の光の線でつながっているビジネスコンセプト図
 
日経ビジネスに「「アリと通信」「F1と医療」、アナロジーが生む戦略思考 突破口開く異分野発想」というとても興味深い見出しの記事があったので調べてみました。
 
あなたの会社では、「いつも同じようなアイデアしか出てこない」「斬新な提案をしても実行に移せない」と感じたことはありませんか?
経営幹部のほぼ全員が「創造性は不可欠」と答える一方、実際に革新的なアイデアを継続的に生み出せている企業はごくわずか——。これは多くのビジネスリーダーが直面している、リアルなパラドックスです。
その突破口となるのがアナロジー思考(類推思考)です。一見まったく無関係に見える分野から構造的な類似点を見つけ出し、自社の課題解決に応用するこの思考法は、F1レースが医療現場を変え、アリの採餌行動が通信技術を革新した実績からも、その効果が証明されています。
創造性は才能ではなく、鍛えられるスキルです。本記事では、組織にブレークスルーをもたらすアナロジー思考の本質と、今日から実践できる4つの方法をわかりやすく解説します。
 


 
目次

 


 

1. アナロジー思考とは何か?経営に使える「異分野発想」の基本

アナロジー思考とは、一見まったく関係のない分野の構造的な類似点を見つけ、自社の課題解決に応用する思考法です。「類推思考」とも呼ばれます。

西オーストラリア大学ビジネススクールのリチャード・L・グルーナー准教授らの研究によれば、アナロジー思考は単なるテクニックではなく、ストーリーテリングや科学的ブレークスルーにまで活用されてきた「人間の学習プロセスの核心」だとされています。

重要なのは、表面的な「似ている点」を探すのではなく、役割・関係性・制約・流れといった「構造」が対応しているかを見ることです。この視点こそが、アナロジー思考を単なる比喩と区別する本質です。

特に有効なのは、「思考の固定化」から抜け出したいときです。長年同じ業界にいると、その業界の常識に縛られた発想しか出てこなくなります。異分野の構造を借りることで、新しい切り口が生まれます。

 
 

2. 実例で見るアナロジー思考の威力

「理屈はわかったけど、本当に使えるの?」と思う方のために、実際にアナロジー思考が大きな成果をもたらした事例をご紹介します。

 

① F1ピットクルーが医療ミスを42%削減した話

英ロンドンのグレート・オーモンド・ストリート病院の医療チームは、救急救命室での患者情報の申し送りに課題を抱えていました。迅速さと正確さが同時に求められるこの作業で、ミスや情報漏れが発生していたのです。

そこでチームが着目したのが、F1(フォーミュラワン)のピットクルーでした。ピットクルーもまた、極限のプレッシャー下で、精緻なタイミング・明確な役割分担・ミスのないコミュニケーションを求められます。救急チームとの「構造的な類似」がそこにありました。

F1の手法を参考に申し送りプロセスを再設計した結果、以下の成果が報告されています(出典:Reason et al., 2006, BMJ Quality & Safety に掲載の研究)。

 

改善指標 改善率
技術的なミス 42%削減
情報伝達の漏れ 49%削減
複数エラーを伴う申し送りの割合 39%→11.5%に低下

医療とモータースポーツ——一見まったく無関係な両者の「構造的な共通点」が、命に関わるミスを大幅に減らしたのです。

 
 

② アリの行動が通信ネットワークを変えた話

通信や物流で使われるネットワークルーティング(経路制御)のアルゴリズムには、アリの採餌行動を応用したものがあります。アリはフェロモンの痕跡をたどって効率的な経路を見つけます。短い経路ほど往復回数が増えてフェロモンが濃く残り、自然と最適ルートが選ばれる仕組みです。

この「アリ・コロニー最適化アルゴリズム」は現在、物流システムや通信網の設計に実用化されています。生物の行動という意外な分野から、テクノロジーの革新が生まれた好例です。

民泊仲介のAirbnb(エアビーアンドビー)も同様です。同社は既存ホテルを模倣するのではなく、「友人や家族の家に泊まる体験」という構造を持ち込み、宿泊体験そのものを再定義しました。

 
 

3. アナロジー思考を組織で実践する4つの方法

では、どうすれば組織でアナロジー思考を根付かせられるのでしょうか。グルーナー准教授らの研究に基づく4つの実践法を解説します。

 

① 異分野から学ぶ

生物学・文学・物理学・ジャズの即興演奏・スタンドアップコメディ——。専門分野の外に目を向けるほど、思いがけないアナロジーが生まれやすくなります。

重要なのは「問いを持って学ぶ」ことです。その分野では何が全体を動かしているのか、誰がどんな役割を担っているのか、情報や制約はどう働いているのか——。こうした構造への着目が、自社課題を解くヒントになります。

デザイン思考と同様に、まず視野を広げて素材を集める「発散」と、有望な案を絞り込む「収束」を繰り返すことが鍵です。業界の外から持ち込まれる発想が、最も独創的なビジネスアイデアにつながることは珍しくありません。

 

② 遊び心を持つ

創造性は「遊び」から育まれます。ここでいう遊びとは、曖昧さを受け入れ、試行錯誤を重ね、失敗を恐れずに発想を広げる姿勢のことです。

たとえば「水中でも機能するサプライチェーンを設計するとしたら?」といった非現実的な問いを立てることで、海の生態系やダイビング機材など普段は結びつかない領域からアイデアが引き出されます。

役割を入れ替える思考も効果的です。マネジャーが規制当局や競合他社の視点に立つことで、相手の意思決定の構造が見え、自社の課題を捉え直せます。即興演劇のワークショップなども、この思考筋を鍛える実践的な手段として挙げられています。

 

③ 心理的安全性の高い空間をつくる

アナロジー思考は、自由に発想できる環境でこそ活性化します。短期的な成果や効率ばかりを追う職場では、「遠回りに見える発想」は生まれにくいのです。

好例として挙げられるのが、Spotify(スポティファイ)の「ハック・ウィーク」です。年に1週間、従業員が通常業務から離れて自由な発想に取り組む時間を設けており、その結果生まれたのが、リスナーの好みに合わせた週替わりプレイリスト「Discover Weekly」だとされています。

オーストラリアのAtlassian(アトラシアン)も四半期ごとに「ShipIt Days」と呼ばれる24時間のアイデアソンを実施し、既存ロードマップの枠外にある革新を生み出しています。

大がかりな制度がなくても、会議の場で「他業界の事例を一つ持ち寄る」ルールを設けるだけでも効果はあります。在庫のボトルネックを「悲劇のヒーロー」に、価格交渉を「テニスのラリー」に例えるだけで、見慣れた問題が違う角度から見えてきます。

 

④ 洞察を正しく評価する

アナロジーなら何でも使えるわけではありません。「何となくしっくりくる」だけでは不十分です。役割・関係性・制約・流れという「構造」が本当に対応しているかを丁寧に確かめることが重要です。

たとえば「経営戦略は戦争だ」というアナロジーは一般的ですが、戦争は勝敗が明確な「終わりのあるゲーム」。企業経営は適応と協働を重ねながら続く営みであり、構造が完全に一致するとは言えません。

アナロジーを評価する際に確認すべき問いは以下の通りです。

 

確認ポイント 問うべき内容
構造の対応 発想の源の要素間の関係が、自社の課題に本当に対応しているか?
不一致の確認 見落としている不一致や過度な単純化はないか?
条件・時間軸 条件や時間軸が変わっても成り立つか?
仮説への変換 検証可能な仮説として置き換えられるか?

この評価を「最後に軽く確認する作業」ではなく、意図的かつ繰り返し行う重要なステップとして組み込むことが、アナロジーを実用に堪えるものにします。

 
 

4. アナロジーの落とし穴|「似ている」だけでは使えない

アナロジー思考を使いこなす上で、もう一点注意が必要です。表面的な共通点に引きずられると、誤った前提や見当違いの解決策に陥るリスクがあります。

大切なのは「抽象化と具体化の往復」です。具体的な事例から本質(構造)を抽出し、それを別の具体的な課題に移し替える——このプロセスを意識的に繰り返すことが、創造性の核心だとグルーナー准教授は述べています。

アナロジーを「魅力的な比喩」に終わらせず「実行可能な戦略」に変えるには、ブレーンストーミングの段階から評価の視点を持ち込み、魅力的に見えても誤解を招く発想を早期にふるい落とす仕組みが求められます。

 
 

中小企業・地域ビジネスでも使えるアナロジー思考のヒント

「大企業の話でしょ」と感じた方もいるかもしれません。でも、アナロジー思考は規模に関係なく使えます。むしろ、意思決定のスピードが速く、チームの距離が近い中小企業・地域ビジネスこそ、実践しやすい環境ともいえます。

長野県をはじめ地方のビジネスシーンでは、農業・観光・ものづくりといった多様な業種が共存しています。
 
たとえば——

  • ・農業の「間引き」を業務の「選択と集中」に応用する
  • ・旅館の「おもてなし」の構造をBtoB営業に取り入れる
  • ・ものづくりの「工程管理」をサービス業の品質管理に転用する

 

こうした発想は、地域の異業種交流会や勉強会など、身近なところからも引き出せます。「他業界の人と話す」こと自体が、アナロジーの素材を集める行為なのです。

まず試せる小さな一歩は、週1回の会議に「他業界の事例を一つ持ち寄る」ルールを加えること。それだけで、チームの発想の幅は少しずつ広がっていきます。

 
 

まとめ

アナロジー思考は、特別な才能ではなく、誰もが鍛えられる「思考技術」です。F1と医療、アリと通信ネットワーク——一見無関係な分野の「構造的な類似」を見抜くことで、自社が抱える課題に突破口が開かれます。
 
実践のポイントは4つ。
①専門分野の外に目を向けて異分野から学ぶ
②遊び心を持って既存の前提を外す
③自由に発想できる心理的安全性の高い環境をつくる
④表面的な類似ではなく構造的な一致を評価する
——この4ステップを意識するだけで、チームの創造性は大きく変わります。
 
「いつも同じ発想しか出てこない」と感じたら、それはアナロジー思考を取り入れる絶好のサインかもしれません。ぜひ今日の会議から、一つだけ「他の世界」の話を持ち込んでみてください。
 
 

情熱電力からのお知らせ

私たち株式会社情熱電力は、長野県松本市を拠点に、地域の事業者さまへの電力小売サービスを提供している新電力会社です。
エネルギーの世界も、今まさに「異分野発想」が求められる時代です。再生可能エネルギーの普及・電力市場の変化・脱炭素への対応——こうした課題は、従来の「電力業界の常識」だけでは乗り越えられなくなっています。
情熱電力では、地域の経営者・ビジネスマンの皆さまに向けて、電力コストの最適化にとどまらず、エネルギーを切り口とした経営課題のヒントをお届けする情報発信を続けています。
「電力のことを相談できる身近なパートナーが欲しい」と感じたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
 
📞 TEL:0263-88-1183
🌐 お知らせ・ご相談はこちら:https://jo-epco.co.jp/info/
 


 
この記事に関連するページリンク
・日経ビジネス:「アリと通信」「F1と医療」、アナロジーが生む戦略思考 突破口開く異分野発想
・ダイヤモンド社:Harvard Business Review 日本版
 

ゲリラ雷雨2026は全国約11万回発生予想!8月中旬がピーク、落雷による停電対策はお早めに

 
ゲリラ豪雨
 
ウェザーニュースに『今年のゲリラ雷雨 総発生回数は約11万回、8月中旬がピーク』という記事があったので調べてみました。
「さっきまで晴れていたのに、突然バケツをひっくり返したような雨と雷…」。ここ数年の夏、そんな経験をされた方は多いのではないでしょうか。いわゆる「ゲリラ雷雨(ゲリラ豪雨)」です。
発表によると、2026年7〜9月のゲリラ雷雨は全国でおよそ11万回。昨年の約8.8万回と比べても、過去5年平均と比べても多くなる見込みで、ピークは8月中旬とされています。ゲリラ雷雨は短時間の激しい雨だけでなく、落雷による停電や道路の冠水、河川の急な増水など、暮らしにも仕事にも影響を及ぼします。
そこで今回は、今年のゲリラ雷雨の傾向と発生のしくみ、そして今日からできる備えについて、電気に関わる会社の目線も交えながらまとめてみました。
 


 
目次

 


 

1. 2026年のゲリラ雷雨は全国約11万回!昨年より大幅増の予想

ウェザーニュースが2026年7月1日に発表した「ゲリラ雷雨傾向2026」によると、今年7〜9月のゲリラ雷雨の発生回数は、全国でおよそ11万回と予想されています。
(出典:ウェザーニュース「今年のゲリラ雷雨 総発生回数は約11万回、8月中旬がピーク」2026年7月1日)
 
昨年の発生回数はおよそ8.8万回でしたから、単純計算で約1.3倍。過去5年の平均と比べても多くなる見込みだそうです。「今年の夏は、いつも以上に急な雨と雷に注意が必要」ということですね。
主な都道府県の予想発生回数は次のとおりです。
 

都道府県 予想発生回数(2026年7〜9月)
北海道 1.4万回前後
東京都 1,300回前後
愛知県 1,800回前後
大阪府 500回前後

※出典:ウェザーニュース「ゲリラ雷雨傾向2026」
 
同発表の予想マップでは、東日本の内陸部を中心に「昨年比1.5倍以上」とされるエリアが広がっており、私たち情熱電力が拠点を置く長野県を含む中部の山沿いも、雨雲が発生・発達しやすい地域に含まれています。
雨雲の発生は山沿いがメインとされていますが、平野部や都市部にも雨雲が流れ込んだり、真上で急に発生したりすることもあります。「うちは山から離れているから大丈夫」とは言い切れないのが、ゲリラ雷雨の怖いところです。
 


 

2. 発生ピークは8月中旬。カギは「高気圧の切れ目」

今シーズンのゲリラ雷雨は、8月中旬が発生のピークになると予想されています。
7月下旬から8月上旬にかけては、日本付近が太平洋高気圧とチベット高気圧という2つの高気圧に覆われ、晴れる日が多くなる見込みです。高気圧の勢力が強い時期は雨雲の発生が抑えられる日が多いものの、気温が平年より高くなることで大気の状態が不安定になり、山沿いを中心にゲリラ雷雨が発生する日があるとされています。
 
そして8月中旬。一時的に高気圧の勢力が弱まると、湿った空気が流れ込みやすくなり、上空には寒気が南下。北日本や東日本では前線も通過しやすくなるため、全国的にゲリラ雷雨が発生しやすくなる、というのが今年のシナリオです。
ちょうどお盆休みと重なる時期ですよね。帰省やレジャー、屋外イベントの計画がある方は、当日の空模様の急変にいつも以上に気を配りたいところです。
 
9月に入ってもゲリラ雷雨は発生しますが、北日本を中心に秋雨前線の影響を受けて広い範囲での雨に変わっていくため、突発的・局地的なゲリラ雷雨は徐々に減り、シーズンは終息に向かう見通しです。
 


 

3. そもそもゲリラ雷雨はなぜ起こる?しくみをやさしく解説

ここで、ゲリラ雷雨(ゲリラ豪雨)が起こるしくみを簡単におさらいしておきましょう。
(出典:tenki.jp 知る防災「ゲリラ豪雨のしくみ」)
 
・夏の強い日差しで地面が熱せられ、地表付近の空気が温まる
・温まった空気が上昇気流となって一気に上空へ
・上空に寒気があると大気の状態がさらに不安定に
・強い上昇気流によって積乱雲がモクモクと発達
・発達した積乱雲が、局地的に短時間の激しい雨を降らせる
 
これがゲリラ雷雨の正体です。規模が小さく、突発的かつ散発的に起こるため、事前の予測が難しいといわれています。一方で、雨が続くのは長くても1時間程度と、一時的なのも特徴です。
また、都市部ではアスファルトや建物からの排熱で気温が上がる「ヒートアイランド現象」が、ゲリラ豪雨を発生しやすくしていることも指摘されています。エアコンの室外機や車の排熱も一因とされており、実は「電気やエネルギーの使い方」とも無縁ではない話なんです。
 


 

4. ゲリラ雷雨で気をつけたい被害

発達した積乱雲は、激しい雨だけでなく、雷、竜巻やダウンバーストなどの突風、ひょうといった激しい気象現象を引き起こすことがあります。ここでは特に、暮らしと仕事に直結する2つのリスクを見ていきましょう。
 
 

落雷による停電・電気設備への影響

ゲリラ雷雨とセットでやってくるのが「雷」です。落雷は停電の原因になるほか、雷の際に発生する瞬間的な過電圧(雷サージ)が電線などを通じて建物内に入り込み、パソコンや家電、事業所の設備を故障させることがあります。
 
・在宅ワーク中に停電してデータが消えた
・冷蔵庫・冷凍庫が止まって食品や商品がダメになった
・工場や店舗の機器が止まり、営業に支障が出た
 
こうしたトラブルは、夏の雷シーズンに実際に起こりうるものです。雷が近づいてきたら、パソコンなど大切な機器の電源プラグを抜いておく、日頃からデータをこまめに保存・バックアップしておく、といった基本の対策が有効とされています。
 
 

道路の冠水と河川の急な増水

ゲリラ雷雨は短時間に大量の雨が降るため、中小河川の急な増水や氾濫、低地やアンダーパス(立体交差のくぐり道)の冠水、地下街の浸水などの水害につながることがあります。
 
特に注意したいのが、川の上流でゲリラ雷雨が起きたケース。自分のいる場所では雨が降っていなくても、川の水位が急激に上がることがあります。tenki.jpの解説によると、上流の異変を知るサインは次の3つです。
 
・川の水かさが急に増える
・川の水が濁る
・木の枝などが流されてくる
 
夏休みに川遊びやキャンプへ出かける方は、このサインをぜひ覚えておいてください。ひとつでも当てはまったら、すぐに川から離れましょう。また、サイレンはダム放流の合図ですので、川のそばで聞こえたら必ず川から離れてください。
 


 

5. 家庭・職場で今日からできるゲリラ雷雨への備え

最後に、ご家庭や職場で今日からできる備えをまとめます。難しいことはありません。「知っておく」「決めておく」だけでも、いざという時の行動がまったく変わります。
 
・天気アプリや雨雲レーダーをスマホに入れ、外出前・外出中にチェックする習慣をつける
・「急に空が暗くなる」「冷たい風が吹く」「雷鳴が聞こえる」は積乱雲接近のサイン。すぐに頑丈な建物へ
・停電に備えて、モバイルバッテリーや懐中電灯、飲料水を用意しておく
・雷が近づいたら、パソコンなど精密機器の電源プラグを抜く。雷ガード付き電源タップの活用も
・冷蔵庫は停電時でも扉の開閉を減らせば保冷が長持ち。保冷剤を凍らせておくと安心
・事業所では、停電時の業務手順や連絡体制をあらかじめ決めておく
・車の運転中は、冠水したアンダーパスには絶対に進入しない
 
ゲリラ雷雨は「予測が難しい」からこそ、事前の備えがものを言います。今年は発生回数が多い予想だからこそ、この記事を読んだ今日、できることから始めてみませんか?
 


 
まとめ
ウェザーニュースの「ゲリラ雷雨傾向2026」によると、今年7〜9月のゲリラ雷雨は全国でおよそ11万回と、昨年の約8.8万回を大きく上回る予想です。ピークは、お盆休みと重なる8月中旬。高気圧の勢力が一時的に弱まり、湿った空気の流入や上空の寒気、前線の通過が重なることで、全国的にゲリラ雷雨が発生しやすくなると見られています。
 
ゲリラ雷雨は、短時間の激しい雨による道路の冠水や河川の急な増水に加え、落雷による停電や家電・設備の故障など、暮らしと仕事の両方に影響を及ぼします。天気アプリでのこまめなチェック、停電への備え、川や空の異変サインを知っておくことなど、今日からできる対策を少しずつ進めておきましょう。「備えあれば憂いなし」で、今年の夏を安全に乗り切りたいですね。
 


 
情熱電力からのお知らせ
情熱電力は、長野県松本市を拠点とする地域密着の電力会社です。夏は雷による停電やエアコン使用による電気代の増加など、電気にまつわる心配ごとが増える季節。「停電時にどう備えたらいい?」「夏の電気代、少しでも抑えられない?」といった疑問やお悩みがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。地域の皆さまの「わからない」に、顔の見える距離感でお応えします。
 
TEL:0263-88-1183
お問い合わせ:https://jo-epco.co.jp/contact
 
この記事に関連するページリンク
・ウェザーニュース:今年のゲリラ雷雨 総発生回数は約11万回、8月中旬がピーク
・日本気象協会:ゲリラ豪雨のしくみ 知る防災
・政府・広報オンライン:防災・災害対策カテゴリー
 

ドラッカー思想に学ぶ「美しい会社」の条件と、経営者が自らに課すべき「5つの質問」

 
ピータードラッカー先生
 
以前もこのブログでピーター・ドラッカー先生について取り上げました。今回は、日経ビジネスに、ドラッカーは「美しい会社」と「醜い会社」の違いをどう考えたかという気になる見出しの記事があったので調べてみました。
かつてドラッカーの分身とも称された翻訳家・上田惇生氏は、「世の中には『美しい会社』と『醜い会社』がある」と言い残しました。どれほど高い利益を上げていても、私たちが美しいと感じられない会社から学べるものは少ないという指摘です。
一見すると主観的にも思えるこの言葉の背景には、ドラッカーが一生を捧げて構築した「社会救済としてのマネジメント」の哲学と、人間の尊厳への強い想いが息づいています。本記事では、ドラッカーの思想に興味がある皆様へ向けて、企業の真の価値や、経営者があるべき姿についての内省のヒントをお届けします。
(今回の記事も完全に内向きかつ自戒の記事です。)
 


 

マネジメントは「社会救済」の手段である

ドラッカーが「マネジメントの父」と呼ばれる所以は、単に効率的な企業経営の手法を編み出したからではありません。彼の問題意識の根底には、20世紀に台頭した全体主義から人間の自由と尊厳を守るという、極めて厳粛なテーマがありました。
 
1973年の名著『マネジメント─課題、責任、実践』のまえがきにおいて、ドラッカーは以下のように述べています。
「自立した組織をして高度の成果をあげさせることが、自由と尊厳を守る唯一の方策である。その組織に成果をあげさせるものがマネジメントであり、マネジメントの力である。成果をあげる責任あるマネジメントこそ全体主義に代わるものであり、われわれを全体主義から守る唯一の手だてである」
 
つまり、マネジメントの本質とは、組織で働く一人ひとりの人間が自律性と幸福を得るための「社会救済の装置」なのです。個人の存在が埋没し、組織の維持そのものが目的化してしまう状態を、ドラッカーは強く警戒していました。
 


 

「1位2位戦略」の裏にあった、人間の内面への問いかけ

かつて米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ会長が率いた「1位2位戦略(世界で1位か2位になれない事業からは撤退する)」は、日本でもバブル崩壊後の「選択と集中」のモデルとして広く知られました。この戦略もドラッカーの助言がきっかけだったとされていますが、実はその真意は表層的な数字の切り捨てではなかったと言われています。
 
実際にドラッカーがウェルチ氏にかけた言葉は、次のようなものでした。
 
「あなたの会社のやっている仕事は、すべてワクワクドキドキするものばかりか?」
「ワクワクドキドキしてやっている事業以外は、すべてやめたらどうだろう」
 
経営の判断基準は、冷徹な数字や理屈だけではありません。現場の人間が熱意を持って、主体的かつ「ワクワクドキドキ」しながら取り組めているか。ドラッカーは人間の内面に寄り添った問いを立てていましたが、結果としてそれは市場シェアという外的な戦略論へと置き換えられてしまいました。人間の内面や実存を無視し、無目的に数字だけを追う組織こそが、上田氏の言う「醜い会社」の本質と言えるかもしれません。
 


 

キルケゴールから受け継いだ「生きる覚悟」

ドラッカーの人間中心の経営論は、彼が19歳の時に出合ったデンマークの哲学者、キルケゴールの思想に深く影響されています。ドラッカーが精神的な次元で綴った唯一の論文「もう一人のキルケゴール」では、社会の仕組みにあらがえない人間の孤独と、それでも自律的に生きようともがく「実存」について触れられています。
 
ドラッカーは、神と一対一で向き合うような絶対的な孤独の緊張感の中でこそ、人間の実存が可能になると説き、以下のように記しています。
「キルケゴールの信仰もまた、人に死ぬ覚悟を与えてくれる。しかし、それは同時に、人に生きる覚悟をも与えてくれるものである」 ──『すでに起こった未来』所収「もう一人のキルケゴール」より
 
社会や組織に盲目的に従属するのではなく、個人が自由と責任、そして尊厳を持って生きる。そのためにドラッカーは、「自己目標管理(MBO)」や「分権化」といった独自のマネジメント概念を提唱し、組織を人間精神の起点から再定義しようとしたのです。
 


 

自らを省みるための「5つの質問」

ドラッカーの経営論は、画一的なフレームワークを当てはめるものではなく、経営者自身に本質的な問いを突きつけるものです。その象徴が、以下の「5つの質問」です。
 
1. われわれの使命は何か(組織の存続自体を目的にしていないか)
 
2. われわれの顧客は誰か(対象を明確に定めているか)
 
3. 顧客にとっての価値は何か(顧客が本質的に求めているものは何か)
 
4. われわれの成果は何か(売上などの数字ではなく、顧客に価値が届いたかをどう判断するか)
 
5. われわれの計画は何か(一人ひとりが自律的に動くための計画はあるか)
 
日々の業務に追われる中で、これらの問いに答えることは容易ではありません。しかし、正しい問いを立てて内省することなしに、組織の自己破壊を防ぐことはできません。
さらに、ドラッカーは「何によって憶えられたいか」という問いを生涯にわたって自らに課し続けました。未来の人々にどのような貢献を残し、どう記憶されたいかを問うことは、現在の姿勢と行動を変え、経営者としての覚悟を決めるエネルギーとなります。
 


 

まとめ

ドラッカーが描いたマネジメントの世界は、効率性や利益の最大化だけを求める冷徹な技術ではありません。その根底にあるのは、働く人々が尊厳を保ち、熱意を持って自律的に生きるための、人間に対する温かな眼差しです。
数字のみを盲目的に追いかけ、人間の実存を奪ってしまう「醜い会社」にならないために。そして、関わる人々が心から「美しい」と感じられる組織であり続けるために。私たちは定期的に立ち止まり、「5つの質問」や「何によって憶えられたいか」という問いを、真摯に自社へと投げかけ続ける必要があります。
 


 

情熱電力からのお知らせ

前回の記事では、ドラッカー先生が説く「セルフマネジメント」や「強みの最大化」について触れましたが、今回の「美しい会社」というテーマもまた、私たちが目指すべき組織のあり方を深く考えさせられます。
働く一人ひとりが「ワクワクドキドキ」した熱意を持ち、本業という自社の「使命」に100%集中できる環境を整えること。それこそが、持続可能な企業経営の基盤ではないでしょうか。
 
私たち情熱電力は、地域の企業の皆様が本来の強みである本業にエネルギーを注ぎ込めるよう、電力コストの適正化や再生可能エネルギーの導入支援を通じて、バックオフィス面からの効率的な経営基盤作りをサポートしています。複雑なエネルギー戦略や日々の電力管理にかかる手間を最小限に抑え、経営者様が未来への投資や内省の時間を確保できるよう、誠心誠意お手伝いいたします。
自社のリソースをどこに集中させ、どのような貢献を社会に残していくか。企業のエネルギー戦略を見直すことから、一歩を踏み出してみませんか?コスト診断や地域のエネルギー事情に関するご相談など、いつでもお気軽に情熱電力までお問い合わせください。
 
株式会社情熱電力へのお問い合わせは[こちら]からお願いします。
 
この記事に関連するページリンク
・日経ビジネス:ドラッカーは「美しい会社」と「醜い会社」の違いをどう考えたか
・ドラッカー学会(Drucker Society Japan):公式ウェブサイト