☀️ ソーラーシェアリングは難しい?いいえ!飯田市リックス社の「食と電気」同時栽培、成功事例をご紹介

 
ソーラーシェアリング
 
先輩がソーラーシェアリングの成功事例として記事になっていたので、こちらでもご紹介します!
ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)って、初期投資もかかるし、農業との両立も難しそうだな~と思っていたのですが、こんな身近に成功事例がありました!
場所は長野県飯田市。家電販売や太陽光発電を手がける「リックス」さんが、なんとカボチャやシイタケ、ブルーベリーを栽培しながら発電事業を軌道に乗せているとのこと。
この記事では、リックスさんがどのようにして「農業」と「発電」を両立させているのか、その具体的な取り組みと実績をご紹介します。
耕作放棄地や遊休農地などの活用に繋がればいいですね~! ソーラーシェアリングに興味がある方、必見の成功事例です!
 


 
地域貢献を目指すリックス社の挑戦
飯田市に拠点を置くリックス社は、「再生可能エネルギーで南信州を元気にしたい」という熱いモットーを掲げています。
もともと「結いプロジェクト」と名付けた事業で、公共施設への太陽光発電設置や、災害時の非常用電源確保、売電収益の一部を寄付するなど、地域に根差した活動を続けてきました。
そんなリックス社がソーラーシェアリングに注目したきっかけは、「耕作放棄地や遊休農地の再生」。
熊谷弘社長は、「ソーラーシェアリングは食とエネルギーの自給自足に適しているのでは」と考え、農地の一時転用許可を受けて事業を開始。今では「ようやく農業の実績もついてきた」と語るほど、見事に事業を軌道に乗せています。
 
成功の鍵は「作物選び」!3つの品目と驚きの手法
リックス社は現在、3品目7発電所でソーラーシェアリングを展開しています。驚くべきは、それぞれの作物の特性を活かして、パネル下での栽培を成功させている点です。
 
1. 万次郎カボチャ(3発電所)
ラグビーボールのような形をした「万次郎カボチャ」は、なんと1本の苗から最大1000個も収穫できると言われています。丈夫で生育が早いため、ソーラーシェアリングに非常に適しているとのこと。
昨年の実績: わずか5本の苗から460本を収穫
地域への還元: 収穫されたカボチャは直売所だけでなく、地元の学校給食(カボチャスープ)にも使われ、地産地消と子どもたちの食育にも貢献しています。
 
2. 菌床シイタケ(1発電所)
シイタケ栽培と聞くと温度管理が難しそうですが、リックス社はハウス内の空調設備なしで栽培を成功させています。
栽培の工夫: 栽培時期を「春」と「秋」に限定
昨年の実績: 1200の菌床から644.68キロものシイタケを収穫
地域への還元: 収穫したシイタケは地元スーパーの直売所で販売されています。
 
3. ブルーベリー(3発電所)
2020年12月から栽培を開始したブルーベリーも、順調に収穫量を伸ばしています。
昨年の実績: 164.905キロを収穫
 
「食」と「エネルギー」両面での確かな実績
農業での成功はもちろん、発電事業としても確かな実績を残しています。
昨年の総発電量:290,742.8 kWh (※4月から稼働の万次郎カボチャ2発電所を除く)
この「農業と発電の両立」という成功モデルは注目を集め、最近では農林水産省をはじめ、県内外の行政からの視察も増えているそうです。
 
まとめ
飯田市リックス社の事例は、ソーラーシェアリングが単なる発電事業ではなく、「耕作放棄地の再生」「地域の食文化振興」「農家の収益向上」そして「食育」にまで貢献できる可能性を秘めていることを示してくれました。
熊谷社長は今後、「オンサイトPPAという形で地域の農業法人などに設置を提案していきたい」と意気込みを語っています。
ソーラーシェアリングの導入には様々なハードルもありますが、リックス社のような成功事例は、これから取り組む方にとって大きな希望となりますね。
 


 
情熱電力からのお知らせ
私たち情熱電力も、リックス様の取り組みのように「地域を元気にする再生可能エネルギー」を全力でサポートしています。
「遊休農地をどうにかしたい」 「農業収入に加えて、安定した収益源が欲しい」 「ソーラーシェアリングに興味があるけど、何から始めればいいか分からない」
そんなお悩みをお持ちの農家の皆様、地域の皆様、ぜひ情熱電力にご相談ください! 専門のスタッフが、土地の状況やご希望に合わせた最適なプランをご提案し、導入から運用まで手厚くサポートいたします。
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【関連情報のご紹介】
・株式会社リックス:スタッフブログ
・ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の制度やガイドラインについては、農林水産省の公式ウェブサイトで詳しく解説されています。
ご興味のある方は、ぜひ「農林水産省 営農型太陽光発電」などで、最新の情報をご確認ください。
 
関連する情熱電力の過去記事
農地の恩恵だけ受けて“営農なし”?ソーラーシェアリングに規制強化の理由とは
ソーラーシェアリングはなぜ広がらない?制度・コスト・現場のリアルから読み解く理由
 

政府主導で電力の未来が変わる?原発・送配電への「公的融資」解禁、その狙いとは

 
チェック2
 
日本経済新聞に「原発・送配電に公的融資 政府主導で電力の脱炭素促す」という気になる見出しがあったので調べてみました。 日本は2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目標に掲げています。この壮大な目標の達成には、なんといっても電力部門の脱炭素化が不可欠です。しかし、原子力発電所や再生可能エネルギーといった「脱炭素電源」の確保や、それらを運ぶための送配電網の整備には、莫大な初期投資が必要となります。 記事によると、みずほ銀行産業調査部の試算では、2050年までに総額180兆円もの投資が必要とされています。一方で、2016年の電力自由化以降、電力会社は市場価格を基準に電気代が決まるため、長期的な投資の回収見通しが立てにくくなり、民間からの資金調達が難しくなっているという指摘があります。 そこで政府が、この巨大なハードルを越えるため、「公的融資」という形で支援に乗り出す法改正を検討しているとのこと。これが実現すれば、日本のエネルギー政策や電力の安定供給に大きな影響を与えそうです。具体的にどのような仕組みで、どんな背景があるのか、詳しく見ていきましょう。
 


 
なぜ今、公的融資が必要なのか?
日本のエネルギー政策は今、大きな転換点にあります。2050年のカーボンニュートラル達成という高い目標に加え、AI(人工知能)開発に必要なデータセンターの増加などで、電力需要そのものも増大が見込まれています。電力広域的運営推進機関によると、電力需要は今後10年で6%程度増える見通しです。
政府は、電源構成に占める原発や再生可能エネルギーの比率を、2023年度の約3割から、2040年度には6〜7割程度まで増やす目標を定めています。しかし、例えば原発の新設には数兆円規模の資金が必要で、調査から運転開始まで十数年かかることも珍しくありません。
これまでは電力各社も、民間からの融資や社債の発行で資金を調達してきましたが、それだけでは限界が見え始めています。三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、2024年度の電力債(電力会社が発行する社債)の発行額は約1.7兆円と、この10年間で2倍以上に増加。さらに昨今の金利上昇で、資金調達のコスト負担も増しています。
こうした背景から、民間の力だけでは賄いきれない巨額の投資を、政府の信用力を活用して後押しする必要があると判断されたわけです。
 
政府が検討する「公的融資」の仕組み
経済産業省が検討しているのは、電力会社による大規模な脱炭素電源(原発、再エネ)や送配電網への投資計画に対し、民間の金融機関と公的機関が協調して融資する仕組みです。
具体的には、経済産業省の認可法人である「電力広域的運営推進機関」などが融資の担い手として想定されています。政府の信用力を活用することで、電力会社が長期かつ安定的に資金を調達しやすくするのが狙いです。
ただし、無制限に融資が行われるわけではありません。重要度の低い案件への融資を防ぐため、政府が案件の事前確認や審査に参加できるようにする方針です。あくまでも、国のエネルギー政策上、重要と判断されたインフラ投資を後押しする形となります。
 
今後のスケジュールと具体的な動き
この案は、近く経済産業省の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の作業部会に提示され、年内に結論が出される予定です。そして、2026年の通常国会で、電気事業法などの関連法改正を目指すとしています。
すでに具体的な動きとして、関西電力が美浜原子力発電所(福井県美浜町)の敷地内で、安全性を高めた次世代原発の建設を検討しており、自主的な調査を始めています。今回の法改正が実現すれば、こうした動きを資金面から強力にサポートすることになりそうです。
 
まとめ
AI開発に必要なデータセンターによる電力需要の増加の見通しや電力系統の増強が不可欠という状況下。
政府が「公的融資」という新たな手段で、電力の脱炭素化に向けたインフラ投資を強力に後押ししようとしています。これは、2050年カーボンニュートラルという国家目標の達成と、将来的な電力の安定供給を両立させるための重要な一手と言えるでしょう。
電力自由化によって生まれた資金調達の課題に対し、政府がどう関与していくのか。原発や再生可能エネルギー、送配電網の整備が今後どのように進んでいくのか。私たちの生活に直結するエネルギー政策の大きな転換点として、2026年の法改正に向けた今後の動向を注意深く見守る必要があります。
 


 
情熱電力からのお知らせ
日本のエネルギーの未来が大きく変わろうとしています。情熱電力は、こうした国のエネルギー政策の動向を注視しながら、再生可能エネルギーの活用をはじめとする脱炭素への取り組みを推進し、お客様へ「情熱」ある電力を安定的にお届けできるよう努めてまいります。電力に関するご相談や、ご家庭・オフィスのエネルギー見直しなど、お気軽にお問い合わせください。
 
株式会社情熱電力へのお問合せは コチラ
 
〇 この記事に関連するページ
日本のエネルギー政策の全体像や、記事の背景にある計画について知るために、以下の経済産業省 資源エネルギー庁のページが参考になります。
資源エネルギー庁:「エネルギー基本計画
日本のエネルギー政策の根幹となる計画です。脱炭素に向けた方針や電源構成の目標などが示されています。
 

【リニアの情報】総工費11兆円に上振れ! 開業時期は? 南信州の未来に関わる重要ニュース

 
リニア中央新幹線
 
長野県民、特に、南信州・飯田の方々の大きな関心事で、我々も心待ちにしているリニア中央新幹線!このリニア中央新幹線に関する気になる記事があったので調べてみました。
2025年10月29日付の日本経済新聞によると、JR東海が進めるリニア中央新幹線(品川―名古屋間)の総工費が、なんと11兆円に膨らむ見通しとなったことが報じられました。2021年に7兆円に修正されたばかりでしたが、そこからさらに4兆円も増額されることになります。
「いったい何があったのか?」「開業時期への影響は?」「私たちの飯田の駅はどうなる?」と、不安や疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。我々の生活や地域の未来に直結するこのビッグプロジェクトの最新動向について、記事の内容を分かりやすく解説していきます。
 


 
総工費はなぜ11兆円に? 上振れの2つの「直撃」
今回、品川―名古屋間の総工費が7兆円から11兆円へと、一気に4兆円も上振れする見通しとなりました。記事によると、この主な要因は2つあります。
1.近年の物価高騰 建設業界での人件費(労働環境の改善費用)の上昇や、資材価格の高騰が、当初の想定を上回るレベルで押し寄せています。
2.難工事への対応 南アルプスを貫くトンネル工事など、前例のない難工事に対する費用が膨らんでいると見られます。
特に、静岡工区での水資源問題に関する議論で着工が遅れていた間に、これらのコスト高が直撃した形です。
 
巨額の費用、JR東海の資金面は大丈夫?
11兆円という巨額の費用。JR東海の経営は大丈夫なのかと心配になりますが、同社は「資金面の問題はない」との考えを示しています。
記事によれば、膨らむ建設資金は、まず東海道新幹線などで得られる営業キャッシュフロー(営業利益)を充てる方針です。それでも不足する分は、社債や金融機関からの借り入れで調達するとしています。
幸い、足元の財務基盤は安定しているようです。大阪・関西万博の効果などで東海道新幹線の利用が増えており、2026年3月期の運輸収入見通しを従来予想より4%上方修正(1兆5300億円)しています。
 
最大の関心事「開業時期」と「静岡工区」の現状
開通を心待ちにしている人にとって最大の関心事は「いつ開業するのか」ですが、これについては「いまだ見通せない状態が続く」と報じられています。
最大のネックとなっているのは、ご存知の通り「南アルプストンネル静岡工区」です。水資源への影響を懸念する静岡県との協議が続き、いまだに掘削工事に着手できていません。
2024年に静岡県知事が川勝平太氏から鈴木康友氏に交代し、水資源問題の解決など前進する機運はあるとされています。しかし、記事によると、10月29日の会見で静岡県の平木省副知事は(容認に向けた)期限を設けないと改めて述べており、具体的なスケジュール感はまだ見えていないのが現状です。
 
リニアの運賃・料金はどうなる?
総工費が膨らむと、当然「運賃」に跳ね返ってくるのではないか、という懸念も出てきます。
この点についてJR東海は、今回の総工費増を踏まえ、「インフレによるコスト増を柔軟・簡便に運賃などに反映できるような仕組みづくり」に取り組む考えを示したと報じられています。
リニアの具体的な料金はまだ明らかになっておらず、開業後にどれほどの収益を生むかは不透明な部分も多いようです。
 
まとめ
今回、リニア中央新幹線の総工費が物価高と難工事の影響で11兆円に達する見通しというニュースをお伝えしました。JR東海は資金調達に問題はないとしていますが、最大の焦点である「開業時期」は依然として不透明なままです。
南信州・飯田に駅ができることは、地域の未来にとって計り知れない経済効果をもたらすと期待されています。我々地域住民としては、安全な工事の推進を願いつつ、JR東海や関係自治体には、株主や地元住民など関係者(ステークホルダー)への丁寧な説明を求めたいところです。
引き続き、情熱電力ブログとしても、このリニアの動向に注目し、最新情報をお届けしてまいります。
 
情熱電力からのお知らせ
このリニア中央新幹線に関しては、情熱電力のお客さまの中にも“移転”など当事者として影響を大きく受けている方々もいらっしゃる方々もいるリアルな問題です。
リニア中央新幹線がもたらす未来は、地域の活性化、そして新たなエネルギーのあり方を考えるきっかけにもなります。情熱電力は、南信州・飯田の皆様の暮らしと未来を「電気」の力で応援します。
奇しくもリニアの総工費を押し上げた「物価高」は、皆様のご家庭の電気代にも影響を与えています。情熱電力は、地域の皆様に寄り添った、お得で安心な電力プランをご提案しています。リニアの未来に期待を寄せながら、まずは足元のエネルギーコストを見直し、賢い暮らしを実現しませんか?
 
情熱電力のこのお知らせページでは、
情熱電力が注目した地域の情報や、電気に関連した様々な事柄をピックアップして掲載させていただいております。
弊社では、随時、このページを更新して参りますので
ご興味を持たれた方はまたこのサイトにお越しいただければ幸いです。
 
それではまた!!
 


 
・この記事に関連するページ
JR東海 リニア中央新幹線 公式サイト:https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/
┗ リニア中央新幹線に関するJR東海の公式情報ページです。工事の進捗や計画の詳細はこちらで確認できます。
 

さらば、愛しの「まつもとぉ~」!JR松本駅名物アナウンスが11月で終了。40年の歴史に秘められた誕生秘話

 
長野県のJR松本駅
 
弊社、情熱電力の本社最寄り駅「松本」に関する気になる記事があったので調べてみました。
学生時代や近頃は出張時などに幾度となく聞いた、あの「まつもとぉ~」という音声案内に関する話題です。
JR松本駅に列車が到着するとホームに流れる、独特の語尾を伸ばす「まつもとぉ~、まつもとぉ~」という自動放送。松本市民にとっては「帰ってきた」と感じる音であり、観光客にとっては旅情をかき立てる「松本の音」として、長年親しまれてきました。
ところが、この名物アナウンスが、まもなく聞き納めになるというニュースが飛び込んできました。信濃毎日新聞社の報道によると、およそ40年にわたって使用されてきたこの放送が、2025年11月をもって終了するとのこと。
なぜ終了してしまうのか? あの耳に残る声の主は一体誰だったのか? そして、なぜ松本駅のアナウンスはあのように「旅情」を誘う独特の響きになったのか?
松本の玄関口の象徴とも言える名物放送の背景と、その最後について深掘りします。
 


 
11月17日、松本駅の「音」が変わる
あの「まつもとぉ~」が聞けるのは、いつまでなのでしょうか。 記事によると、2025年11月17日(月)の始発電車から、新しい音声に変更されるとのことです。つまり、11月16日(日)の終電までがあの声を駅で聞ける最後のチャンスとなります。
 
なぜ放送が終わってしまうのか?
理由は、放送機器の老朽化だそうです。 この放送が使われ始めたのは、国鉄時代の1985年(昭和60年)ごろ。以来、約40年が経過し、機器の不具合が生じる恐れも出てきたため、設備更新が決定されました。
JR東日本長野支社によると、従来とは異なるメーカーの機器を使うことになり、技術的な制約から、これまでの音声データを引き継ぐのが難しくなった、というのが実情のようです。
 
新しい放送はどうなる?
新しく流れるのは、別の人が吹き込んだ音声とのこと。 JR東日本のコメントでは、これまでのような特徴は打ち出さず、他の駅と「同様になる」としています。松本駅ならではの個性が一つ失われてしまうのは、少し寂しい気もしますね。
 


 
あの声の主は? なぜ「まつもとぉ~」は生まれたのか?
長年、私たちの耳に親しまれてきたあの声。 声の主は、テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」のナレーションなどで知られる、声優の沢田敏子さんでした。
このアナウンスがどのようにして生まれたのか、その誕生秘話も記事で紹介されていました。
 
国鉄時代の「別枠扱い」 沢田さんがこの音声を収録したのは、国鉄が駅の自動放送を本格的に導入しようとした時期。 当時、北海道から九州まで数多くの駅の収録依頼がありましたが、なぜか上野駅(東京)と松本駅だけが「別枠扱い」だったそうです。込められた「旅情」 担当者からの注文は、上野駅は「郷愁」を、そして松本駅は「旅情」を感じるように、というものでした。 沢田さんは当時、松本を訪れたことはなかったものの、「北アルプスへの登山客」や「空気の澄んだ街並み」を思い浮かべ、試行錯誤してたどり着いたのが、あの語尾を伸ばす独特の言い方だったのです。当時の長野県では冬季五輪の招致話が持ち上がりつつあり、国鉄が松本駅にいち早く新技術(自動放送)を導入しようとした背景もあった、と説明されています。
 
まさか「ハイジ」のナレーターの方が、松本の「旅情」をイメージして生み出してくれた声だったとは、驚きですね。
 


 
【ご注意】録音をされる方へ
放送終了が近づくと、名残を惜しんで駅で音声を録音しようと試みる方も増えるかもしれません。 JR東日本長野支社は、以下のように注意を呼びかけています。
“駅構内には高圧の架線があるため、安全のため、長い棒の先にマイクを付けて録音するのは控えてほしい”
とのことです。 最後の「まつもとぉ~」を聞きに行く際も、マナーと安全を守って楽しみましょう。
 


 
まとめ
国鉄時代から約40年間、松本駅のホームで私たち乗客を迎え、送り出してくれた「まつもとぉ~」の響き。当たり前にそこにあった「松本の音」が、設備の更新という時代の流れとともに、もうすぐ聞けなくなります。
沢田敏子さんが込めてくれた「旅情」は、確かに私たちに届いていました。長年の活躍に「ありがとう」と伝えたいですね。
11月17日からは、新しいアナウンスが松本駅のスタンダードになります。寂しさはありますが、新しい松本駅の「音」にも注目していきたいと思います。
 


 
情熱電力からのお知らせ
JR松本駅のアナウンスが約40年の役目を終え、新しい設備に切り替わるように、私たちの暮らしを支える電力インフラも、日々進化し、更新されています。
情熱電力は、皆さまの松本での「日常」や、松本を訪れる方々の「旅情」を、これからも変わらず安定した電力供給で支え続けます。
ご家庭の電気料金プランの見直しや、オフィスの電力コスト削減など、電気に関するご相談は、松本に本社を置く情熱電力にぜひお任せください。電力から応援します!
 
株式会社情熱電力の公式サイトは コチラです。
 
この記事に関連するページ
JR東日本:https://www.jreast.co.jp/
松本市の公式観光情報サイト:https://visitmatsumoto.com/

2025年冬の電力需給「節電要請なし」!しかし2026年夏の東京は「非常に厳しい」見通し

 
解説します。
 
経済産業省のホームページに「2025年度冬季の電力需給対策を取りまとめ」が上がっていたので調べてまとめてみました。2025年の夏は、統計開始以来で最も暑い夏となりましたが、幸い電力供給はおおむね安定的に推移しました。さて、これから迎える今冬の見通しですが、結論から言うと、安定供給に最低限必要な予備率3%は全てのエリアで確保できる見通しです。そのため、政府による全国一律の「節電要請」は実施されないことが決まりました。ひとまず安心ですが、資料を読み解くと、本当に注目すべきは「2026年(再来年)の夏」の見通しでした。特に東京エリアでは「予備率0.9%」という、非常に厳しい予測が示されています。これは何を意味するのか、詳しく解説します。
 


 
2025年冬の電力需給見通し:「節電要請」は見送り
まず、この冬の電力需給についてです。 経済産業省の発表によると、2025年度冬季は、※10年に一度の厳しい寒さ(厳寒H1)を想定した場合でも、全エリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる見通しです。
<2025年度冬季 最小予備率(厳気象H1)>
・北海道:16.5% (12月)
・東北:4.8% (1月・2月)
・東京:4.8% (1月・2月)
・中部:8.5% (1月・2月)
・北陸:8.5% (1月・2月)
・関西:8.5% (1月・2月)
・中国:8.3% (1月・2月)
・四国:19.1% (1月・2月)
・九州:8.5% (1月・2月)
・沖縄:40.5% (12月)
この結果を踏まえ、昨年度に引き続き、冬季の全期間を通じた事前の節電要請は実施しないことになりました。
 
ただし「予断を許さない」状況は続く
「節電要請がないなら安心」と思いがちですが、資料では「電力需給は予断を許さない状況」とも指摘されています。その理由は以下の通りです。
・燃料リスク: 火力発電の主燃料であるLNG(液化天然ガス)の在庫が、10月26日時点で過去5年平均を下回っています。国際情勢の変化によっては、燃料調達に影響が出る可能性があります。2021年1月にはLNGの在庫不足により電力卸価格が高騰しました。
・設備リスク: 供給力には、運転開始から長期間が経過した老朽火力発電所も含まれています。2024年度冬季(昨冬)の実績では、想定(2.6%)を上回る計画外停止が発生した日もありました。
・気象リスク: あくまで「10年に一度」の寒さを想定した見通しであり、それを超える異常気象が発生しないとは限りません。
このため政府は、発電事業者に対する保安管理の徹底を要請するなど 、引き続き供給力対策を講じるとしています。
 
【最重要】2026年・夏の需給見通しが「非常に厳しい」
今回発表された資料の中で最も注目すべきは、2026年度(再来年)の電力需給見通し(速報値)です。 冬季は全エリアで予備率5%以上を確保できる見通しですが、夏季、特に東京エリアの需給が極めて厳しい状況となっています。
 
<2026年度夏季 最小予備率(厳気象H1・速報値)>※H1:10年に一度
東京エリア: 7月 2.1% / 8月 0.9%
予備率「0.9%」は、安定供給の目安である3%を大きく下回る数値です。これは、需要(電力消費)が供給(発電)をほぼ上回ることを意味し、大規模な停電のリスクが非常に高い状態を示しています。
 
なぜ東京エリアだけが厳しいのか?
需給バランスが約400万kW相当も悪化する見通しですが、その主な要因は「供給力の減少」と「需要の増加」です。
1.供給力の減少(-約256万kW) 複数の大型火力発電所(約200万kW)が年間を通じた長期の補修停止に入る予定であることに加え、他の火力発電所(約20万kW)の休止などが重なるためです。
2.需要の増加(+約125万kW) 東京エリア単独でのシミュレーションを行った結果、エリア外からの電力融通を最大まで受けても需要を賄えない可能性が示され、2025年度の試算より需要が大きく評価されています。
 
2026年夏に向けた対策
もちろん、この「0.9%」という見通しをそのまま放置するわけではありません。 政府は、2026年度夏季に最低限必要な予備率3%を確保するため、直ちに「kW公募」を実施し、120万kWの追加供給力を確保する方針を示しました。
これは、休止している発電所を再稼働させたり、企業の自家発電設備を活用したりして、緊急的に供給力(kW)を調達する仕組みです。
 
「電源移行の過渡期」が続く
今回の見通しは、日本の電力事情が「電源移行の過渡期」にあることを示しています。 設備の老朽化などで火力発電所の休廃止が進む一方、新しいLNG火力や脱炭素電源が本格稼働するのは2029年以降となる見込みです。 2030年代初頭にかけては、今後もこうした需給の綱渡りが続く可能性があることを、私たちも認識しておく必要があります。
 
まとめ
今回の経済産業省の発表をまとめると、以下の3点がポイントです。
1.2025年冬の電力需給は、予備率3%以上を確保。政府による一律の「節電要請」は実施されません。
2.ただし、燃料や設備の不安要素は残っており、自主的な省エネは引き続き重要です。
3.2026年夏(再来年)の東京エリアは、予備率0.9% と非常に厳しい見通しです。
4.対策として、政府は120万kWの追加供給力を公募で確保し、電力危機を回避する方針です。
電力の安定供給は当たり前のものではなく、常に繊細なバランスの上に成り立っています。この冬はひとまず安心ですが、来夏以降の動向には引き続き注意が必要です。
 
情熱電力からのお知らせ
いつも情熱電力をご利用いただき、誠にありがとうございます。
今回の政府発表で示されたように、日本の電力需給は(特に首都圏において)「電源移行の過渡期」にあり、今後も綱渡りの状況が続く見通しです。
2025年冬は「節電要請なし」となりましたが、2026年夏には東京エリアで深刻な供給力不足が予測されるなど、決して楽観できる状況ではありません。
 
情熱電力は、こうした状況下でもお客様に安定したエネルギーをお届けし続けるため、多様な電源ポートフォリオの確保に全力を尽くしてまいります。
同時に、私たちはお客様と共に「賢いエネルギー利用」を推進することが、この過渡期を乗り越える鍵だと信じています。
弊社では、お客様の電力使用状況を詳細に「お知らせ」するサービスなどお客様のニーズに合わせたサービスを用意しています。
 
「電気代を効率的に下げたい」「自分に合った省エネの方法が知りたい」という企業様・ご家庭は、ぜひ一度、情熱電力にご相談ください。
未来のエネルギーを、情熱でサポートします。
 
株式会社情熱電力へのご連絡は こちら から
 


 
この記事に関連するページ
・経済産業省「2025年度冬季の電力需給対策を取りまとめました
・第3回次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 資料3「今夏の電力需給及び今冬以降の需給見通し・運用について
 

【速報】電気代支援の行方は?高市政権「10兆円超」経済対策とエネルギー安保戦略を徹底解説

 
日本の国会議事堂
 
連日高市総理に関する気になるニュースが流れておりますが、我々として特に気になるのは、やはり、電気・ガス料金支援策の行方や、今後のエネルギー政策、成長投資などです。これからに関する記事が日経新聞にあったので調べてみました。
高市早苗政権が本格始動し、矢継ぎ早に新たな方針を打ち出しています。特に注目されるのが、11月下旬にもまとめられる「10兆円超」規模とも報じられる新たな経済対策です。
 
この経済対策では、「物価高への対応」「成長投資」「防衛力強化」が3本柱とされています。我々の生活に直結する点として、「電気・ガス代の支援」が物価高対策として盛り込まれる見通しです。この冬の光熱費負担がどうなるのか、具体的な支援内容に注目が集まります。
 
さらに、中長期的な視点では「日本成長戦略本部」が掲げる戦略分野も見逃せません。AIや半導体と並び、「エネルギー安全保障」や「核融合」といった先端技術が、日本の未来を担う「危機管理投資」として重点的に支援される方針です。
しかし、気になるのはその財源です。「責任ある積極財政」を掲げる一方、2024年時点でGDP比236%にも上る債務残高を抱える日本。積極的な財政出動が、さらなる財政悪化や物価高を招くのではないかという懸念の声も上がっています。
この記事では、報道された情報を基に、この冬の支援策の具体的な内容から、日本のエネルギー安全保障戦略の方向性、そして財政的な課題まで、エネルギーに関心のある皆さまが知りたいポイントを分かりやすく整理していきます。
 


 
目次
・高市政権、10兆円超の経済対策を策定へ
・【最注目】この冬の「電気・ガス料金支援」はどうなる?
・中長期の柱:「エネルギー安全保障」と「成長投資」
・懸念される課題:財源と「バラマキ」のリスク
・まとめ
 


 
高市政権、10兆円超の経済対策を策定へ
高市早苗政権は、11月下旬にも新たな経済対策をまとめる方針です。日経新聞の報道(11月4日付)によると、その規模は「10兆円超」とする案が政権内で浮上しており、財源として2025年度の補正予算案が編成される見通しです。
高市首相は「責任ある積極財政」を掲げており、今回の経済対策では以下の3つを柱に据えています。
 
1.生活の安全保障・物価高への対応
2.危機管理投資・成長投資による強い経済の実現
3.防衛力と外交力の強化
特に、各省庁からの要求に上限額(財政キャップ)をはめない方向で調整されており、大型の対策となる可能性が高まっています。
 
【最注目】この冬の「電気・ガス料金支援」はどうなる?
私たち国民の生活に最も直結するのが、3本柱の1つ目「物価高への対応」です。 記事によると、具体的な対策として以下の項目が盛り込まれる見込みです。
 
・電気・ガス代の支援
・ガソリンの旧暫定税率を廃止するまでの「つなぎ」の補助
・中小・小規模事業者の賃上げ支援
・地方自治体が使える重点支援地方交付金の拡充
現行の支援策がどうなるのか、あるいは新たな形で支援が行われるのか、この冬の家計を左右する重要なポイントであり、対策の具体的な内容と支援期間が注目されます。
 
中長期の柱:「エネルギー安全保障」と「成長投資」
今回の発表は、目先の支援策だけではありません。高市政権は「日本成長戦略本部」を始動させ、中長期的な成長の種をまく方針も明確にしています。
注目すべきは、「エネルギー安全保障」が、AIや半導体、防衛産業などと並ぶ17の戦略分野の一つとして明確に位置づけられた点です。
さらに、経済対策の「成長投資」分野においても、以下のようなエネルギー関連技術が重点的に支援される見込みです。
 
・核融合
・AI、半導体などの先端技術
高市首相は「危機管理投資」の重要性を説いており、民間の力だけでは不足しがちな分野に対し、政府が主導して投資を促進する姿勢を鮮明にしています。これは、日本のエネルギー供給構造を根本から強化しようとする意志の表れとも言えます。
 
懸念される課題:財源と「バラマキ」のリスク
これだけ大規模な戦略と財政出動を打ち出す一方で、当然ながらリスクも指摘されています。
最大の懸念は「財源」です。 城内実経済財政相は国債発行も示唆していますが、国際通貨基金(IMF)によると日本の債務残高は2024年時点でGDP(国内総生産)比236%と、先進国の中でも突出して高い水準でであるとされています。
大型の補正予算を組めば、2026年度の黒字化を目指している基礎的財政収支(PB)が再び赤字に陥る可能性が指摘されています。
また、第2次安倍政権下のアベノミクスでも大型補正が繰り返されましたが、2012年以降の潜在成長率は0%台にとどまりました。「総花的な項目設定は『ばらまき』の要素をはらんでおり」という記事1の指摘もあり、今回の投資が本当に日本の成長につながるのか、その実効性が厳しく問われます。
この対策として、政府は米国にならった「日本版政府効率化局(DOGE)」を立ち上げ、補助金の効果検証など歳出改革にも取り組む方針です。
 
まとめ
今回の日経新聞の報道から、高市政権の経済・エネルギー政策の方向性が見えてきました。
・短期的(経済対策):「電気・ガス代支援」が盛り込まれる見通し。この冬の光熱費負担軽減に期待がかかります。
・中長期的(成長戦略):「エネルギー安全保障」や「核融合」が国の戦略分野として重点投資されます。
・課題:財源の確保と財政規律の維持。過去のように「投資はしたが成長せず」という結果を避け、いかに実効性を高めるかが問われています。
私たち情熱電力としても、国民生活に不可欠なエネルギーを担う企業として、政府の新たな支援策やエネルギー安全保障政策の動向を引き続き注視し、皆さまに役立つ情報をお届けしてまいります。
 
情熱電力からのお知らせ
情熱電力のこのお知らせページでは、情熱電力は、政府のエネルギー政策や物価高対策の動向を常に注視し、皆さまのくらしに役立つ最新情報を分かりやすくお届けしてまいります。
この冬の電気料金についてご不安をお持ちの方も多いかと存じますが、弊社では引き続き、安定した電力供給と、お客さまのライフスタイルに合わせた最適な料金プランのご提案に努めてまいります。
現在の電気ご契約内容の見直しや、エネルギーに関するご相談がございましたら、ぜひ情熱電力のカスタマーサポートまでお気軽にお問い合わせください。
 
株式会社情熱電力へのご連絡は コチラから
 


 
本記事で取り上げた経済対策や成長戦略に関する最新の公式情報は、以下のページでご確認いただけます。
・首相官邸ホームページ:https://www.kantei.go.jp/
・経済産業省ホームページ:https://www.meti.go.jp/
 

理想から現実へ。ドイツ「エネルギー転換」政策、失敗回避への軌道修正 海外の事例

 
解説します。
 
ドイツのエネルギー政策に関する気になる記事があったので調べてみました。再エネ先進国として知られるドイツが、その象徴的な「エネルギー転換(Energiewende)」政策を大幅に修正するとの発表です。すでに電力消費の54.9%(2024年)を再エネで賄う成果を出しながら、なぜ今、軌道修正が必要なのでしょうか?
背景には、高騰するエネルギーコストによる製造業の競争力低下という深刻な問題があります。新政権は「このままでは失敗する」とし、理想を追い求めた従来の政策から、電力の安定供給とコスト効率を重視する「現実路線」へと舵を切りました。具体的に何が変わり、産業界や再エネ業界はどう反応しているのか。海外の電力事情として非常に興味深い、ドイツの最新動向を詳しく解説します。
 


 
目次
1.ドイツの「エネルギー転換」が直面する岐路
2.新政権が打ち出す「費用効率」重視の3つの政策
3.野心的すぎた?前政権の再エネ・水素目標の見直し
4.産業界は「歓迎」、再エネ業界は「反発」
5.経済界からはEUのCO2排出権制度(EU-ETS)への緩和要求も
6.再エネ先進国が示す「理想と現実」のバランス
 


 
1. ドイツの「エネルギー転換」が直面する岐路
ドイツ連邦経済エネルギー省(BMWE)のカテリーナ・ライヒェ大臣は9月15日、「ドイツのエネルギー転換は、成功するか失敗するかの分かれ道にさしかかっている」と述べ、エネルギー政策の修正を発表しました。
ドイツ連邦エネルギー水道事業連合会(BDEW)によると、2024年の電力消費量に占める再エネ比率は54.9%に達しており、政策は一定の成果を上げています。
しかし、ライヒェ大臣は「政策の中心を電力の安定供給と、費用効率性の改善に移さなくてはならない」と主張。目標達成の「理想」よりも、それを支える「現実的なコスト」を重視する姿勢を鮮明にしました。
 
ただし、以下の2つの大きな目標は維持されます。
・2030年まで:電力消費に占める再エネ比率を80%に引き上げる
・2045年まで:気候中立(CO2排出実質ゼロ)を達成する
 
2. 新政権が打ち出す「費用効率」重視の3つの政策
エネルギー転換にかかる「電力システム費用」(発電、送配電、蓄電池などの建設・維持費)の増大を抑えるため、以下の3つの具体的な施策が打ち出されました。
① 住宅用太陽光発電(PV)の助成金廃止 現在ブームが起きている住宅屋根用のPVについて、固定価格買取制度(FIT)による助成金が廃止されます。
② 発電設備と送電系統の建設を「同期」させる これまでは再エネ発電所と送電網の建設が別々に行われ、ミスマッチによるコスト増が発生していました。今後は、系統建設が困難で費用がかかる地域に発電所を建設する場合、事業者に系統建設費用の一部負担を求めます。これにより、系統コストが少ない地域への設置を促します。
③ 高圧送電線は「地上設置」を原則に 住民の反対などから原則「地中埋設」とされてきた高圧送電線を、コストの安い「地上設置」を原則とすることで、建設費用を大幅に抑える方針です。
 
3. 野心的すぎた?前政権の再エネ・水素目標の見直し
今回の政策転換は、2025年まで続いた緑の党が主導した前政権の方針とは大きく異なります。前政権はロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシア産化石燃料への依存脱却のため、再エネ目標を大幅に引き上げていました。
 
<前政権の野心的な設備容量目標>

  2024年実績 2030年目標 2040年目標
太陽光(PV) 100 GW 215 GW 400 GW
陸上風力 64 GW 115 GW 160 GW
洋上風力 9 GW 30 GW

ライヒェ大臣は、これらの目標について「PVは達成可能だが、陸上・洋上風力は達成できない」と指摘。特に洋上風力はコスト高騰で建設が遅れ、直近の入札には1社も参加しなかったといいます。
さらに、前政権が2030年の電力需要量を750TWhと予測していたのに対し、新政権は600TWh~700TWhへと下方修正。非現実的な水素生産目標(10GW)も含め、全体的に「現実的な観点から」目標を見直す方針です。
 
4. 産業界は「歓迎」、再エネ業界は「反発」
この現実路線への転換は、ドイツ国内で賛否両論を巻き起こしています。
 
【歓迎する産業界】 ドイツ産業連盟(BDI)や化学工業会(VCI)は、「費用効率性を改善する重要な改革だ」と高く評価しています。
その背景にあるのが、高騰する産業用電力価格です。IEAの2022年のデータによると、ドイツの価格($205/MWh)は、米国($84/MWh)や中国($62/MWh)を大きく上回っています。これにより製造業の国際競争力が低下し、工場を電力の安い中東欧へ移す「産業の空洞化」が懸念されていました。
 
【反発する再エネ業界】 一方、ドイツ太陽光発電連合会(BSW)は「エネルギー転換にブレーキをかける」として、特に住宅用PVへの助成廃止の撤回を求めており、今後、連立与党内での激しい議論が予想されます。
 
5. 経済界からはEUのCO2排出権制度(EU-ETS)への緩和要求も
コスト負担への懸念は、EUの気候変動対策の根幹である「CO2排出権取引制度(EU-ETS)」にも向けられています。
EUは2030年代に企業へのCO2排出権の無償供与を停止する計画です。これに対し、ティッセンクルップ(鉄鋼)やBASF(化学)などの大手メーカーは、「エネルギー価格高騰の中でCO2排出権の価格も上がれば、脱炭素化への投資資金が確保できなくなる」として、無償供与期間の延長を要請。ある化学分野の企業の社長に至っては「制度の廃止」を訴える事態となっています。
 
6. 再エネ先進国が示す「理想と現実」のバランス
2023年(-0.9%)、2024年(-0.5%)と2年連続のマイナス成長に苦しむドイツは、世界で最も真剣に再エネ拡大とCO2削減に取り組んできた国の一つです。
しかし、その先進国がいま直面しているのは、「環境保護」という理想と、「産業競争力(=経済)」という現実の間に生じた深刻な歪みです。
今回の政策修正は、エネルギー転換を諦めるものではなく、あくまで「持続可能」な形で継続するために、経済的な現実を直視した軌道修正と言えます。理想を追求するあまり経済が立ち行かなくなっては元も子もありません。
日本の私たちにとっても、エネルギー転換を進める上でコストと安定供給のバランスをどう取るべきか、非常に重要な示唆を与えてくれるニュースです。
 
まとめ
再エネ先進国ドイツが、エネルギー転換政策の「現実路線」への修正を迫られています。2024年には再エネ比率54.9%を達成した一方、高騰する電力システム費用が製造業の国際競争力を著しく低下させていました。
新政権は「このままでは失敗する」とし、2030年再エネ80%や2045年気候中立の目標は維持しつつも、住宅用PV助成金の廃止や、非効率な場所への再エネ設置抑制、送電網建設のコストダウンなど「費用効率性」を最優先する政策に転換します。
産業界はこの現実路線を歓迎する一方、再エネ業界は「転換のブレーキだ」と反発しています。理想の追求と経済的現実のバランスに苦しむドイツの事例は、日本のエネルギー政策を考える上でも大きな教訓となりそうです。
 


 
情熱電力からのお知らせ
ドイツの事例が示すように、エネルギー政策は「理想」と「現実(コスト)」のバランスが極めて重要です。特に製造業など多くの電力を消費する企業にとって、電力コストの変動は経営に直結します。
情熱電力は、単に電力を供給するだけでなく、お客様の電力使用状況を分析し、電力コストの最適化と安定供給をサポートします。
 
海外の動向を注視しつつ、国内での電力コストや安定供給、脱炭素化に関するお悩みをお持ちの企業様は、ぜひ一度、情熱電力にご相談ください。
 
株式会社情熱電力へのお問合せは コチラ
 
BDEW (Bundesverband der Energie- und Wasserwirtschaft e.V.)
┗ ドイツのエネルギー・水道事業を代表する業界団体。記事内で引用された2024年の再エネ比率など、ドイツのエネルギーに関する多くの公式データを公表しています。
 

EV充電の未来を拓く!操電が22億円調達で「巨大蓄電所ビジネス」に本格参入!

 
EV電池
 
こんにちは!情熱電力のブログ担当です。EVや蓄電池の未来についてアンテナを張っている皆さまにとって、非常に興味深いニュースが飛び込んできたので調べてみました。
電気自動車(EV)の充電設備で急成長中のスタートアップ企業「操電(そうでん)」が、なんと22億6000万円もの大型資金調達を実施し、「蓄電所事業」に本格参入するというのです。EV充電インフラを手掛ける会社が、なぜ今、大規模な蓄電所なのでしょうか?
背景には、EVの普及や再生可能エネルギーの増加によって変わりゆく電力の未来と、2022年の「電気事業法改正」という大きなターニングポイントがありました。これは、EVユーザーにとっても、電力の安定供給を考える上でも見逃せない動きです。今回は、操電の新たな挑戦が、私たちの暮らしや電力の未来にどのようなインパクトを与えるのか、詳しく掘り下げていきます!
 


 
EV充電で急成長!「操電」とはどんな会社?
まず、今回主役となる「操電」について簡単にご紹介します。 操電は2022年に設立された、比較的新しい会社です。しかし、その成長スピードは目を見張るものがあります。
代表を務める飯野塁氏は、なんと消防車・救急車開発の「ベルリング」を創業・売却した経験を持つシリアルアントレプレナー(連続起業家)です。 操電の強みは、EV充電事業への参入を考える法人(例えば、商業施設やマンションなど)に対し、事業プランの提案からシステム提供、設置工事までをワンストップで支援できること。このサービスが支持を集め、充電器の累計設置口数はすでに5000口を超えています。さらに、2025年5月期の業績見通しは、売上高28億2000万円、営業利益1億8000万円に上るというのですから、その勢いがわかります。
 
なぜ今「蓄電所」なのか?22億6000万円の使い道
そんなEV充電の雄が、次なる一手として選んだのが「蓄電所事業」です。 今回、千葉銀行などからの融資(16億1000万円)と、AGキャピタルなどのベンチャーキャピタルからの増資(6億5000万円)を合わせ、合計22億6000万円というシードラウンド(創業期の資金調達)としては非常に大型の資金を調達しました。
この資金の大きな目的は、大型の蓄電池を送電網(電力ネットワーク)に接続し、電力の需要と供給のバランスを調整する「蓄電所」の開発・設置です。
 
なぜ今、蓄電所なのでしょうか? 大きなきっかけは、2022年の電気事業法改正です。これにより、蓄電池を電力ビジネスに活用するための環境が法的に整備されました。 ご存知の通り、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、天候によって発電量が変動します。また、EVの充電が特定の時間帯に集中すると、電力網に大きな負担がかかります。そこで、電気が余っている時に蓄電池に貯め、足りなくなった時に放電する「蓄電所」が、電力網を安定させる「調整役」として非常に重要になるのです。
操電は、この法改正を大きなビジネスチャンスと捉え、EV充電インフラで培ったノウハウを活かして、電力の安定化という大きな課題解決に乗り出したわけです。すでに今年1月には、実験・検証の拠点(千葉県市川市)も設置しており、準備は着々と進んでいるようです。
 
操電が目指す未来:「仮想発電所(VPP)」とは?
操電が見据えているのは、単に大きな蓄電池を作るだけではありません。飯野代表は「分散した蓄電池を一括管理する仮想発電所(VPP)事業で2030年までに2ギガワット時(GWh)規模まで拡大したい」と語っています。
「VPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)」という言葉、聞いたことがある方も多いかもしれません。 これは、各地に散らばっている小さな発電設備(太陽光など)や蓄電池(家庭用、EV、商業用など)を、IoT技術で一つに束ね、あたかも一つの大きな発電所のように機能させる仕組みのことです。
操電は、自社で設置する大型蓄電所だけでなく、商業施設や集合住宅に設置する蓄電池、さらには将来的にEVに搭載されているバッテリーまでもネットワーク化し、巨大なVPPを構築しようとしています。
2030年までに2GWhという目標は、非常に野心的です。これが実現すれば、電力の安定供給にも大きく貢献します。EVユーザーにとっては、自分のEVが「走る蓄電池」として電力網を支え、もしかしたら(VPPへの参加などで)新たな価値を生み出す未来に繋がるかもしれません。
 
まとめ
EV充電インフラで急成長する「操電」が、22億6000万円の大型調達を機に「蓄電所事業」そして「VPP事業」へと駒を進めるニュースをご紹介しました。
これは、EVの普及を「充電」という側面から支えるだけでなく、EVと電力網全体を「蓄電」というキーワードで繋ぎ、よりクリーンで安定したエネルギー社会を実現しようとする大きな挑戦です。
2022年の法改正を追い風に、新しいプレイヤーがエネルギーの未来を創り出そうとしています。私たち情熱電力も、こうした業界の新しい波に注目し、と持続可能な社会に貢献できるよう、情熱を持って取り組んでまいります!
 


 
情熱電力からのお知らせ
今回の記事でご紹介した「蓄電所」や「VPP」は、これからのEVライフや再生可能エネルギーの活用に欠かせない技術です。
 
「情熱電力」では、EVをお持ちの皆さまに最適な電気料金プランのご提案はもちろん、ご家庭や事業所での太陽光発電や蓄電池の導入に関するご相談も承っております。 「VPPって、うちでも参加できるの?」「EVと蓄電池を組み合わせて、もっと賢く電気を使いたい!」 そんな疑問やお悩みがあれば、ぜひ情熱電力までお気軽にお問い合わせください。 エネルギーの未来を、私たちと一緒につくっていきましょう!
 
この記事に関連する情熱電力の過去ページ
家庭の蓄電池が電力市場で売電!2026年度開始の新制度で変わるビジネスの未来を解説します。
関西電力が蓄電池で国内トップへ!原発1基分「100万kW」計画から読み解く未来の電力ビジネス
テスラの蓄電池が実質0円!?日本全国で始まる「仮想発電所(VPP)」の全貌を分かりやすく解説します!
 
この記事に関連するページ
VPPや蓄電池の役割について経済産業省 資源エネルギー庁が分かりやすく解説しているページをご紹介します。
・資源エネルギー庁:VPP・DRとは
・資源エネルギー庁:バーチャルパワープラント
 

長野県の千曲市と南信州が世界に選ばれた!「持続可能な観光地TOP100」の魅力を徹底解説!

 

飯田・南信州・遠山郷 下栗の里
「日本のチロル」と表される 長野県飯田市 南信州・遠山郷 下栗の里

 
長野県に関する気になる記事があったので調べてみました。なんと、国際的な認証団体が選ぶ「2025年版 世界の持続可能な観光地TOP100選」に、私たちの長野県から「千曲市」と「南信州」の2つの地域が選ばれるという素晴らしいニュースです!千曲市は昨年に続いて2年連続の選出とのことで、県民として非常に誇らしいですね。
「持続可能な観光地」と聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、これは、その土地の文化や環境を大切にしながら、未来へとつないでいく観光のあり方が世界的に評価されたということです。なぜ千曲市と南信州が選ばれたのか、その背景にある魅力的な取り組みを深掘りしてみました。地元に住んでいても意外と知らない、信州の新たな魅力を一緒に見ていきましょう!
 


 
世界が認めた信州の魅力!「持続可能な観光地TOP100選」とは?
今回、千曲市と南信州が選ばれた「世界の持続可能な観光地TOP100選」は、オランダに本部を置く国際認証団体「グリーン・デスティネーションズ」が選定しています。この賞は、単に景色が美しい、観光客が多いというだけでなく、
・文化や伝統を大切にしているか
・環境を守る取り組みをしているか
・地域経済に貢献しているか
といった、社会や文化、環境など様々な面から「持続可能な取り組み」を行っている観光地を評価し、世界に紹介するものです。2025年版では、日本からは長野県の2地域を含め、北海道ニセコ町など合計10カ所だけが選ばれており、その価値の高さがうかがえます。
 


 
なぜ選ばれた?千曲市と南信州の取り組み
それでは、なぜこの2つの地域が世界から高い評価を受けたのでしょうか。その理由を見ていきましょう。
 
【千曲市】伝統文化を守り、未来へつなぐ(2年連続選出)

千曲市が評価された最大のポイントは、「戸倉上山田温泉の芸者文化の保護と観光誘客の両立」です。
戸倉上山田温泉では、温泉街の華である芸者文化を大切な地域の宝として守り続けています。その伝統をただ保存するだけでなく、新しい世代にもその魅力を伝え、観光の力で文化の継承を支える仕組みを作り上げています。こうした取り組みが、文化的な持続可能性として高く評価され、2年連続の選出につながりました。
 
【南信州】農村の暮らしを体験!人と地域を元気にする農家民泊
南信州エリアが評価されたのは、16市町村が広域で連携する「農家民泊」の取り組みです。
南信州観光公社によると、この取り組みは1998年から本格的にスタートし、これまでに約20万人もの人々が農村での暮らしを体験しました。
農家民泊は、単なる宿泊体験ではありません。訪れた人が農作業を手伝ったり、地元の人々と食卓を囲んだりすることで、都市部の人々と農村地域との間に温かい交流が生まれます。この交流がきっかけで、南信州へ移住(Iターン)したり、新たに農業を始める人が増えたりと、地域の課題解決にもつながっている点が世界から大きな評価を受けました。
 
長野県は「持続可能」の先進県?
実は、長野県内でこの「TOP100選」に選ばれたのは今回が初めてではありません。2023年には小布施町も選出されています。
今回の千曲市、南信州の選出と合わせて考えると、長野県全体が自然や文化を大切にし、それを未来につなげていこうという意識が非常に高い地域であることが、世界的に認められていると言えるでしょう。
 


 
まとめ
今回は、長野県の千曲市と南信州が「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選ばれたニュースについてご紹介しました。
・千曲市:伝統的な芸者文化を観光と結びつけ、未来へ継承する取り組み
・南信州:広域連携による農家民泊が、交流人口の増加や移住促進に貢献
どちらの地域も、今ある素晴らしい資源を大切にしながら、新しい価値を生み出し、未来へとつないでいく活動が評価された結果です。
今回の選出をきっかけに、国内外からさらに多くの人が長野県の魅力に気づき、訪れてくれることを期待したいですね。私たちも、地元にある素晴らしい文化や自然に改めて目を向け、その価値を再発見してみてはいかがでしょうか。
 


 
情熱電力からのお知らせ
長野県の美しい自然や豊かな文化が世界に認められたことは、私たちにとっても大きな喜びです。千曲市や南信州の取り組みは、地域にあるものを大切にし、未来へつないでいく「持続可能性(サステナビリティ)」の素晴らしいお手本です。
私たち情熱電力も、「エネルギー」という側面から、この美しい信州を未来に残すための活動に取り組んでいます。再生可能エネルギーの普及やエネルギーの地産地消を通じて、環境に配慮した持続可能な社会の実現を目指しています。
地域の文化や自然を守り、未来の子どもたちへと受け継いでいくために。これからも情熱電力は、地域の皆さまと共に歩み続けてまいります。
 
情熱電力のこのお知らせページでは、
情熱電力が注目した電気に関連した様々な事柄をピックアップして掲載させていただいております。
弊社では、随時、このページを更新して参りますので
ご興味を持たれた方はまたこのサイトにお越しいただければ幸いです。
 
それではまた!!
 
この記事に関連するページ
・Green Destinations (https://greendestinations.org/
・一般社団法人 信州千曲観光局(https://chikuma-kanko.com/
・一般社団法人 南信州観光公社(https://www.mstb.jp/
 

なぜ北海道・沖縄の電気代は突出して高い?電力自由化の「幻想」と私たちが考える未来

 
日本地図
 
こんにちは!情熱電力です。 電力自由化に関するご意見で、私たち電力事業者としても非常に気になる記事があったので調べてみました。
 
それは、「なぜ北海道と沖縄の電気代だけが突出して高いのか」というトピックです。アゴラ(agora-web.jp)に掲載された記事によると、2023年6月時点の標準家庭の電気料金は、北海道電力が14,301円で最も高く、次いで沖縄電力が12,877円。しかし、沖縄電力は政府の「激変緩和措置」による補助が他地域より1,200円多いため、実質的な負担額は14,077円となり、北海道とほぼ同額の突出した高さであると指摘されています。
私たち情熱電力も、電力自由化市場に参入し、お客様の電気代削減のために日々奮闘している事業者です。なぜこの2地域だけがこれほど高くなってしまうのでしょうか? その背景にある「地理的な制約」と「電力自由化の仕組み」について、私たちなりに深く考えさせられました。この記事では、元記事の内容を紐解きながら、日本の電力事情が抱える構造的な課題と、その中で私たち新電力が果たすべき役割について考察します。
 


 
目次
1.データで見る「北海道・沖縄」の電気料金
2.電気代が高い決定的な理由:「地理と系統のハンデ」
  2-1. 【沖縄】送電線が繋がらない「独立系統」の課題
  2-2. 【北海道】本州と繋がるも「送電ロス」という壁
3.データ分析:電力自由化の恩恵が届きにくい構造
4.私たち情熱電力が考える「電力自由化」の意義と役割
5.まとめ
 


 
1. データで見る「北海道・沖縄」の電気料金
まず、元記事で示されている2023年6月時点の料金データを(標準的な家庭)を見てみましょう。
 
・北海道電力: 14,301円
・沖縄電力: 12,877円
 
一見すると北海道が最も高いですが、記事が指摘するように、政府の「激変緩和措置」による補助金が、沖縄電力は他社より月1,200円多くなっています。 この補助額の差を考慮し、もし補助が同額だった場合を仮定すると、沖縄電力の料金は「14,077円」となり、北海道電力とほぼ並ぶ、全国で突出して高い水準であることがわかります。
 
2. 電気代が高い決定的な理由:「地理と系統のハンデ」
では、なぜこの2地域の電気代はこれほど高くなってしまうのでしょうか。元記事は、その最大の理由を「地理と系統のハンデ」にあると分析しています。
 
2-1. 【沖縄】送電線が繋がらない「独立系統」の課題
沖縄本島は、九州から約1,000kmも離れており、電力を送るための海底ケーブルがありません。これは、建設・保守コストや送電ロスが莫大になるためです。
その結果、沖縄は「独立系統」という、他の地域から電力の融通を受けられない(または非常に限定的な)環境にあります。
 
・問題点1:非効率な発電 電力は常に需要と供給を一致させる必要があります。もし沖縄が60万kW級の大型・高効率な発電機を導入し、それが故障で停止すると、供給力の大部分を失い大規模停電(ブラックアウト)に陥る危険があります。 そのため、沖縄では20万kW程度の比較的小型で効率の低い発電機を複数台運転して、リスクを分散させています。この「小型発電機への依存」が、発電単価(コスト)を押し上げる大きな要因となります。
 
・問題点2:電力自由化の恩恵がない 電力自由化のメリットの一つは、電力が安い地域から高い地域へ「卸売り(売電)」できる市場メカニズムです。しかし、送電線が繋がっていない沖縄は、他地域と電力の売買ができません。事実上、自由化による競争の恩恵がほとんど及ばないのです。
 
2-2. 【北海道】本州と繋がるも「送電ロス」という壁
北海道も本州とは地理的に離れていますが、海底送電線で結ばれています。しかし、ここにも課題があります。
 
・問題点1:直流送電によるロス 長距離の海底送電では「直流送電」が採用されますが、電気を送る側(北海道)と受け取る側(本州)で、交流と直流の変換が必要です。この変換時に「送電ロス」が発生し、その分コストが上乗せされるため、売電単価が高くなってしまいます。 結果として、本州の電力会社と市場で競争する際に価格面で不利になりがちです。
 
・問題点2:需要規模の限界 北海道の電力需要規模(約400万kW)は、高効率な大型発電所を複数、常にフル稼働させ続けるには十分ではありません。元記事では、2018年の胆振東部地震で全道停電(ブラックアウト)が起きたことにも触れており、これも特定の大型発電所(苫東厚真火力)に発電を集中させていたことが一因とされています。
沖縄ほどではないにせよ、北海道も電力系統の面でハンデを負っており、基本的には道内の需要に依存した経営にならざるを得ないのです。
 
3. データ分析:電力自由化の恩恵が届きにくい構造
元記事では、さらに各社のコスト構造(総括原価)を分析しています。 非常に興味深いのは、「②(他社販売電力費+控除収益)/総原価」の比較です。これは、電力市場などで「売電して得た利益」の割合を示しています。
この数値が、北海道と沖縄の2社は著しく低いのです。
これは、前述の地理的ハンデにより「他社に売電して収益を上げる」という、電力自由化がもたらした経営改善の手段を、この2社はほとんど活用できていないことを示しています。
元記事の筆者は、沖縄は燃料税の免除などを受けてもなお電気代が高くなってしまう構造を指摘し、電力自由化が「地域格差を固定化する結果となっている」と結論づけています。
 


 
4. 私たち情熱電力が考える「電力自由化」の意義と役割
元記事は、物理的な制約を抱える地域での電力自由化の限界を指摘し、安定供給と料金低減を実現する方式として、かつての「総括原価方式」への認識転換を求めています。
私たち情熱電力も、こうした電力系統の構造的な課題は、業界全体の非常に大きなテーマであると重く受け止めています。
電力自由化は、確かに元記事が指摘するような物理的制約の前では万能ではないかもしれません。北海道や沖縄のお客様が、他の地域と同じように「自由に電力会社を選び、安い電気を使う」という恩恵を十分に受けられていない現実は、私たち事業者としても大変心苦しく感じます。
しかし、電力自由化によって、私たち情熱電力のような新しい事業者が誕生し、お客様に対して多様な選択肢(独自の料金プラン、再生可能エネルギー比率の高い電力、地元密着、ポイントサービスなど)を提供できるようになったことも、また事実です。
「総括原価方式」には、経営効率化のインセンティブが働きにくいという側面もありました。私たち事業者は、自由化という競争環境の中で、いかに知恵を絞り、コストを削減し、お客様にメリットを還元できるかを日々真剣に追求しています。
北海道や沖縄が抱える地域固有の課題は、国や大手電力会社、そして私たち新電力が一体となって、技術革新(例えば、より効率的な送電技術や蓄電技術)や制度設計を含めた解決策を模索し続けるべきだと考えます。
 
私たち情熱電力は、電力自由化の理念である「競争によるサービス向上と料金低減」を信じ、電力の安定供給という社会インフラとしての大前提を絶対に守りながら、日本の電力の未来のために、そして何よりお客様のお役に立てるよう、精一杯努力を続けていく所存です。
 
5.まとめ
今回は、「なぜ北海道と沖縄の電気代は高いのか」というテーマについて、アゴラに掲載された記事をもとに考察しました。
1.北海道と沖縄の電気代は、政府補助を考慮すると実質的に全国で突出して高い水準にある。
2.最大の理由は、沖縄が「独立系統」、北海道が「送電ロスの大きい系統」という地理的・物理的なハンデを負っているため。
3.これにより、発電効率の追求が難しく、また電力自由化のメリットである「他地域への電力販売による収益化」が機能していない。
4.元記事では自由化の限界も指摘されているが、私たち情熱電力は、自由化によって生まれた事業者として、お客様へのより良いサービス提供のため、努力を続けます。
電力の未来は、こうした地域格差の是正と、安定供給、そしてお客様の「選ぶ自由」をいかにして両立させていくかにかかっています。私たちもその一翼を担う事業者として、真摯に取り組んでまいります。
 


 
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この記事に関連するページ
◇元記事
・アゴラ AGORA:電力自由化という幻想:なぜ北海道と沖縄の電気代は高いのか
 
◇元記事のデータは「資源エネ庁HP」を典拠としています。日本の電力料金の仕組みや、電力自由化に関する公式情報は、以下の経済産業省 資源エネルギー庁のページをご参照ください。
・資源エネルギー庁:電力の小売り全面自由化
・資源エネルギー庁:電気料金について