
最終更新日:2026年10月30日
電気・ガス代の補助金が、2026年12月使用分から再開します。値引き単価は電気の低圧が1kWhあたり1.0円、高圧が0.5円。1月と2月は低圧4.5円、高圧2.3円に増えます。高市早苗首相が10月29日に表明し、経済産業省が30日に詳細を公表しました。
ただ、ここで気をつけたいことがあります。12月の単価は、今夏(7〜9月)の低圧3.5円・高圧1.8円を下回ります。しかも11月1日に託送料金が改定されたばかりで、その分はそのまま残ります。「補助が戻るから12月の請求は下がる」とは限りません。効いてくるのは1月と2月です。
この記事では、9月で終わった支援と、12月から始まる支援を並べて、何がいくら変わるのかを整理します。あわせて、補助が請求書のどこに入っているのか——どこを見れば自分の分が分かるのかも、実際の明細の数字で説明します。
目次
- 1. 電気・ガス代の補助金は、2026年9月使用分で終わりました
- 2. 11月の請求が上がる理由は、ひとつではありません
- 3. 補助金はいつ再開する? 12月から2月までの単価
- 4. 補助金は「値下げ」ではなく「値引き」です
- 5. 補助がない冬に向けて、法人がいまできること
1. 電気・ガス代の補助金は、2026年9月使用分で終わりました
まずは、確認からです。2026年の支援の対象は7月使用分から9月使用分までの3か月間でした。値引きの単価は次のとおりです。
| 区分 | 7月使用分 | 8月使用分 | 9月使用分 |
|---|---|---|---|
| 電気(高圧) | 1.8円/kWh | 2.3円/kWh | 1.8円/kWh |
| 電気(低圧) | 3.5円/kWh | 4.5円/kWh | 3.5円/kWh |
| 都市ガス | 14.0円/m³ | 18.0円/m³ | 14.0円/m³ |
出典:資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」特設サイト。都市ガスは年間契約量1,000万m³未満のご契約が対象で、プロパンガス(LPガス)はこの支援の対象外です。
(情熱電力の過去記事:この夏の支援がどういう経緯で決まったのかは、高圧の単価も含めてこちらで解説しています)
ところで、この支援は請求書のどこに入っていたのでしょうか。実は、ここが今回いちばん分かりにくいところです。
情熱電力では、低圧・高圧のいずれも燃料費調整単価に含めて計算する形で支援を反映してきました。独立した「値引き」の行があるわけではなく、燃料費調整単価そのものが、支援の分だけ低く表示されています。この扱いは経済産業省からの通達に沿ったもので、請求書のサンプルチェックも受けています。
では、どこを見れば支援の額が分かるのか。明細の欄外にある注記です。情熱電力の請求書には、燃料費調整単価のすぐ下に、次の1行が入っています。
・(低圧)※1 燃料費調整単価には、国による電気料金軽減措置(-3.50円/kWh)を含んでいます。
・(高圧)※1 燃料費調整単価には、国による電気料金軽減措置(-1.80円/kWh)を含んでいます。
実際の数字で見ると、影響の大きさが分かります。2026年10月分の請求書では、燃料費調整単価は低圧が0円09銭/kWh、高圧が2円74銭/kWhでした。どちらも、支援の分が差し引かれたあとの数字です。
| 区分 | 10月分の燃料費調整単価(支援込み) | 含まれる支援 | 支援を除いた水準 |
|---|---|---|---|
| 低圧 | 0円09銭/kWh | -3.50円/kWh | 3円59銭/kWh |
| 高圧 | 2円74銭/kWh | -1.80円/kWh | 4円54銭/kWh |
出典:情熱電力の2026年10月分の請求書より(いずれも税込)。燃料費調整単価は毎月変わります。右端は、同じ月の単価から支援分を戻した水準です。
※なお情熱電力の燃料費調整額は、みなし小売電気事業者(大手電力会社の小売部門)と同じ算定式を用いています。独自の算定式を採用している小売電気事業者もあるため、他社の請求書と単価を見比べるときは、同じものを比べているかどうかにご注意ください。
燃料価格そのものがまったく動かなかったとしても、支援が外れれば、燃料費調整単価の表示はこの水準に戻ります。低圧では0円09銭が3円59銭へ。数字の見た目は大きく変わりますが、実際に増えているのは1kWhあたり3.50円です。
そして11月以降の請求書では、この※1の注記そのものがなくなります。「補助が終わった」と請求書の上で分かる手がかりは、実はこの1行です。
ここで混乱しやすいのが、「9月使用分で終わり」と「11月の請求から上がる」のあいだにある、1か月以上のずれです。これは検針のタイミングによるものです。
エネ庁の説明では、たとえば「7月使用分」とは、7月中の検針日から8月中の検針日までの使用分を指します。ただし、期間の区切り方は電気を使用する施設の検針日によって違います。実際、情熱電力の2026年10月分の請求書を見ると、ある低圧のご契約は9月11日〜10月13日、ある高圧のご契約は9月1日〜9月30日と、同じ「10月分」でも期間の取り方が異なります。確実なのは、お手元の検針票にある「ご使用期間」欄を見ることです。
いずれにしても、10月に届いた請求書が支援の入った最後の1枚で、支援のない最初の請求書が11月に届く、という順番は共通です。
請求書を保管されている方は、10月分を1枚取り出して、燃料費調整単価の行と欄外の注記を見てみてください。そこに書かれている数字が、11月以降との比較の基準になります。
2. 11月の請求が上がる理由は、ひとつではありません
今年のやっかいなところは、補助の終了と、まったく別の制度変更が、ほぼ同じタイミングで重なったことです。順番に見ていきます。
理由① 燃料費調整額から、支援の分が外れる
計算そのものは単純です。高圧なら1kWhあたり1.8円、低圧なら3.5円の支援がなくなります。単価が決まっているので、自社の使用量をかければ目安が出ます。
・高圧で月20,000kWh使う事業所 → 1.8円 × 20,000kWh = 約36,000円
・高圧で月50,000kWh使う工場 → 1.8円 × 50,000kWh = 約90,000円
・低圧で月1,500kWh使う店舗 → 3.5円 × 1,500kWh = 約5,250円
※いずれも単価に使用量をかけた単純計算です。税や各社の料金体系によって実際の金額は前後します。
高圧の単価は低圧のおよそ半分ですが、使う量の桁が違うので、金額としては事業所のほうが大きく効いてきます。年間に直すと、月20,000kWhの事業所で40万円を超える水準です。これは「気づいたら増えていた」で済ませるには大きい額ではないでしょうか。
理由② 11月1日からの託送料金の改定
もうひとつが、託送料金の改定です。託送料金というのは、送配電網を使うための料金で、電気料金のなかに最初から組み込まれています。どの小売電気事業者と契約していても、エリアごとに同じ金額がかかる部分です。切り替えで避けられる性質のものではない、という点がポイントになります。
託送料金は、レベニューキャップ制度という枠組みのもとで、5か年の事業計画に基づいて決められています。中部電力ミライズの説明によれば、今回は物価や労務費、金利などの上昇を反映するための「期中調整」が行われ、2026年11月1日から託送料金が見直されることになりました。これを受けて、小売側の電気料金単価も見直されます。
中部電力パワーグリッドが2026年9月11日に公表した託送供給等約款の変更届出によれば、1kWhあたりの平均託送料金は次のように変わります。
| 区分 | 現行単価 | 改定単価 | 差引 |
|---|---|---|---|
| 高圧 | 3.49円 | 3.93円 | +0.44円 |
| 特別高圧 | 1.76円 | 1.82円 | +0.06円 |
| 低圧 | 9.13円 | 10.76円 | +1.63円 |
出典:中部電力パワーグリッド「託送供給等約款の変更届出について」(2026年9月11日)。いずれも1kWhあたりの平均託送料金で、区分全体をならした数字です。実際の負担は契約容量や使い方によって変わります。改定の幅も実施時期もエリアごとに異なるため、中部エリア以外に拠点のある企業は、各エリアの発表もあわせてご確認ください。
高圧でみると、託送料金が1kWhあたり平均で0.44円上がります。補助の終了分1.8円と合わせると、単価の差は2.2円前後。月20,000kWh使う事業所なら、ひと月あたり4万円台の増加という計算になります。複数拠点をお持ちの企業であれば、拠点数の分だけ積み上がることになります。
低圧の店舗や事務所をお持ちの場合は、影響の出方がもう少し大きくなります。中部電力ミライズは、ご家庭の平均モデル(従量電灯B・30A・使用量260kWh、口座振替初回引落とし割引後、2026年11月分の燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金を含む)で、9,252円から9,647円へ、月395円の増加になると公表しています。この395円には補助の終了分が含まれていないため、同じ使用量なら補助終了の約910円が別に乗ります。1kWhあたりで見ると、補助の3.5円に託送の平均1.63円が加わって5円を超える計算です。
そしてここに、燃料費調整額の動きも重なります。中東情勢を受けた燃料価格の高止まりで、燃料費調整の上限に達して、超えた分を電力会社が自己負担している会社もあります。上限のある料金メニューでは単価の上昇が途中で止まりますが、高圧の自由料金メニューには上限がないものが多く、その場合はそのまま反映されます。自社の契約がどちらなのかは、確認しておいて損はありません。
(情熱電力の過去記事:燃料費調整の上限がどういう仕組みなのかはこちらにまとめています)
3. 補助金はいつ再開する? 12月から2月までの単価
高市早苗首相が10月29日、12月から来年2月までの電気・ガス料金を補助すると表明しました。これを受けて経済産業省が10月30日に値引き単価を公表しています。対象は2026年12月使用分から2027年2月使用分までの3か月です。当初は1〜3月を念頭に検討されていましたが、12月に前倒しされました。3月分については示されていません。
公表された値引き単価は、次のとおりです。
| 区分 | 12月使用分 | 1月使用分 | 2月使用分 |
|---|---|---|---|
| 電気(高圧) | 0.5円/kWh | 2.3円/kWh | 2.3円/kWh |
| 電気(低圧) | 1.0円/kWh | 4.5円/kWh | 4.5円/kWh |
| 都市ガス | 4.0円/m³ | 18.0円/m³ | 18.0円/m³ |
出典:経済産業省が2026年10月30日に公表した値引き単価(いずれも税込み)。このほかLNGは1トンあたり4,862円(12月)、21,880円(1・2月)です。資源エネルギー庁の特設サイトは順次更新される見込みです。
ここで見落としたくないのが、12月の単価の小ささです。低圧は1.0円、高圧は0.5円。今夏の低圧3.5円・高圧1.8円と比べると、3分の1以下になります。
しかも、11月1日からの託送料金の改定はそのまま効き続けます。「補助が戻るから12月の請求は下がる」とは限りません。補助が本当に効いてくるのは、低圧4.5円・高圧2.3円になる1月と2月です。この2か月は、今夏でいちばん手厚かった8月使用分と同じ水準にあたります。
高市首相は、標準的な家庭で3か月間に「7千円程度の負担の引き下げ効果を実現できる」と述べています。ただしこれは電気と都市ガスを合わせた数字とみられます。電気だけで見ると、低圧で月400kWh使う家庭なら、12月が400円、1月と2月がそれぞれ1,800円で、3か月の合計は4,000円程度という計算になります。
事業所の場合は、高圧で月20,000kWh使うなら、12月が1万円、1月と2月がそれぞれ4万6千円で、3か月で10万円強です。いずれも単価に使用量をかけた単純計算なので、実際の金額は料金体系によって前後します。それでも、補助が入る月と入らない月で単価が動くことは、来期の見通しに入れておいて損はありません。
残るのは3月分です。今回の発表では触れられていません。過去2年の冬の支援は1〜3月の3か月でしたが、今回は12〜2月に前倒しされた形なので、3月をどう扱うかは今後の判断になります。このブロックは、続報が入るたびに最新の内容へ書き換えます。
4. 補助金は「値下げ」ではなく「値引き」です
毎回この時期になると感じるのですが、補助金は電気料金そのものを安くする仕組みではありません。請求の最後で、国のお金で差し引いているだけです。
この違いが効いてくるのは、補助が切れた瞬間です。支援の分が外れると、もともとの単価がそのまま表に出てきます。しかも先ほど見たとおり、その支援は燃料費調整単価に含まれていたので、単価の行だけを見ても気づけない形で入っていました。この2年ほど、断続的に補助が入り続けてきたので、「補助が入った状態の金額」のほうが基準のように感じられている方も多いのではないでしょうか。実際には、そちらが特別な状態でした。
現に、今回の自民党の提言案では、電気・ガスの支援を求める一方で、ガソリンなど燃料油の補助は段階的に縮小する方向が示されました。補助というのは、いつまでも同じ形で続くものではない、ということでもあります。
法人にとって、この点は実務的な意味を持ちます。補助が入っている時期の請求額をもとに年間のエネルギーコストを見込んでいると、補助が切れた期の予算が足りなくなります。特に市場連動型のプランでは、補助の有無と燃料価格の変動が二重に効いてくるため、ぶれ幅が大きくなりがちです。来期の予算を組む前に、補助を除いた素の単価で一度試算し直しておくことをおすすめします。前期の実績をそのまま横に置くと、見込みが低く出ます。
私たち情熱電力のような小売電気事業者も、補助の対象月と単価が決まってはじめて請求に反映できます。「いつから戻りますか」とお問い合わせをいただくことが多いのですが、正直に申し上げると、私たちも国の発表を待っている立場です。決まり次第、このブログでお知らせします。
5. 補助がない冬に向けて、法人がいまできること
補助の再開は待つしかありませんが、待つあいだにできることはあります。
① 11月の請求書を、前年同月と並べて見る
金額だけを見ると「高くなった」で終わってしまいます。使用量(kWh)と燃料費調整単価も一緒に並べてみてください。支援は燃調単価に含めて計算されていたので、10月に届いた請求書の燃調単価と注記(※1)を控えておくと、11月以降の単価と比べたときに、補助の終了分と燃料価格そのものの動きを切り分けられます。拠点が複数ある場合は、拠点ごとに並べると、設備の不調や運用のズレが見つかることもあります。
② 契約電力(デマンド)を見直す
高圧のご契約では、過去1年のうち最大の30分デマンドで基本料金が決まります。500kW以上の契約電力のお客様の場合。数年前のピークを引きずったまま契約電力が高止まりしているケースは、実際に少なくありません。設備を更新した、稼働を減らした、拠点を統合した。そうした変化があったのに契約電力が当時のままなら、基本料金を払いすぎている可能性があります。冬は暖房でデマンドが立ちやすい季節でもあるので、いまのうちに実績を確認しておく価値があります。
③ 料金メニューの条件を確認する
燃料費調整に上限があるメニューかどうか、市場価格の変動がどこまで反映される設計か。この2点は、確認するだけなら費用がかかりません。冷え込みの厳しい信州のような地域では、冬のピーク時に市場価格が跳ねることもあるため、ここを把握しているかどうかで年間のぶれ方が変わります。
④ 補助に左右されない構造を考える
自家消費型の太陽光発電や蓄電池は、初期費用がかかる代わりに、買う電気そのものを減らす打ち手です。蓄電池はピークカットによる基本料金の抑制にもつながります。補助金の有無に左右されにくいという意味では、ここ数年の振れ幅を見てきた企業ほど検討の価値があるかもしれません。
まとめ
2026年夏の電気・ガス料金支援は、9月使用分で終了しました。検針のタイミングの関係で、支援の入らない最初の請求書が届くのは11月です。しかも支援は燃料費調整単価に含めて計算されていたため、独立した値引きの行としては出てきません。手がかりは欄外の注記(※1)だけで、11月以降はその注記も消えます。終わったことに気づきにくいのは、このためです。
11月の請求が上がる理由は、補助の終了だけではありません。11月1日から託送料金が改定され、中部エリアでは1kWhあたりの平均託送料金が高圧で0.44円、低圧で1.63円上がります。高圧では補助の終了分1.8円と合わせて単価差が2.2円前後となり、月20,000kWh使う事業所ならひと月4万円台の増加という計算です。さらに燃料費調整額の動きも重なるため、「思ったより上がった」と感じる可能性があります。
補助は2026年12月使用分から2027年2月使用分までの3か月、再開します。値引き単価は低圧が12月1.0円・1〜2月4.5円、高圧が12月0.5円・1〜2月2.3円。ただし12月は今夏より薄く、託送料金の改定も続くため、12月の請求がすぐ軽くなるわけではありません。効いてくるのは1月と2月です。3月分は示されていません。
いまできるのは、請求書を使用量と燃料費調整単価と一緒に確認すること、契約電力と料金メニューの条件を見直すこと、そして補助が入る月と入らない月を織り込んで来期の予算を組み直しておくことです。続報が入り次第、この記事に追記していきます。
2026年10月30日:補助の再開が決定し、値引き単価が公表されたため、タイトル・リード文・3章・まとめを更新しました。表をスマートフォン対応に差し替えています。
2026年10月27日:経済産業大臣の発言と自民党の提言案を受けて、3章の「最新の動き」を更新し、4章に補足を加えました。
2026年10月22日:政府が来年1〜3月使用分の補助を検討していると報じられたため、3章に追記しました。
2026年10月20日:公開
情熱電力からのお知らせ
「11月の請求が急に上がるの?」「うちの契約は燃料費調整に上限があるの?」といったご質問を、このところ多くいただいています。契約電力が実態に合っているかの確認や、補助を除いた素の単価での年間試算など、来期の予算を組まれる前のご相談を承っています。拠点が複数ある場合の比較もお手伝いできますので、お気軽にお声がけください。
株式会社情熱電力
TEL 0263-88-1183
https://jo-epco.co.jp/contact
この記事に関連するページリンク
・資源エネルギー庁:電気・ガス料金支援 特設ページ(公式発表後に情報更新されます。)
・中部電力ミライズ:2026年11月 電気料金単価の見直しについて
・中部電力パワーグリッド:託送供給等約款の変更届出について
・電力・ガス取引監視等委員会:電気の小売供給契約における燃料費調整条項について
・資源エネルギー庁:省エネルギー投資促進に向けた支援補助金








